カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Ricky】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2016/02/09 21:28   >>

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 スタイルが古くさいと言われるカンナダ映画にあって、【Lucia】(13)と【Ulidavaru Kandante】(14)は特筆すべき新趣向映画の秀作だが、その両作品に表向き地味に参画していた人物がリシャブ・シェッティだ。この度そのリシャブ氏が監督デビューする運びとなり、友達でもないのに妙に感慨深いものを感じる。
 主演は【Ulidavaru Kandante】、【Simpallag Ond Love Story】(13)のラクシト・シェッティ。日本でも【Vaastu Prakaara】(15)が自主上映され、ごく限定的ではあるが、知られた顔だ。ヒロインは【Ugramm】(14)のハリプリヤー。トレイラーを見る限り、本作のハリピーは気合い入っていそう、、。
 (写真下: うれしそうにカメラをいじるリシャブ・シェッティ氏。)

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【Ricky】 (2016 : Kannada)
物語・脚本・監督 : Rishab Shetty
出演 : Rakshit Shetty, Hariprriya, Achyuth Kumar, Dinesh Mangaluru, Pramod Shetty, Manjunath Gowda, Ravi Kale, Sadhu Kokila, Raghu Pandaveshwar, Veena Sunder, その他
音楽 : Arjun Janya
撮影 : Venkatesh Anguraj
編集 : N.M. Vishwa
制作 : S.V. Babu

題名の意味 : リッキ(主人公の名前)
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ロマンス/ドラマ
公 開 日 : 1月22日(金)
上映時間 : 2時間17分

《 あらすじ 》
 ダクシナ・カンナダ県の山間の村に暮らす少年リッキ(ラーダークリシュナ)は孤児で、おじのヘグデ(Dinesh Mangaluru)に育てられていたが、ベンガルールの寄宿制の学校で勉強することになる。
 15年後、成人となったリッキ(Rakshit Shetty)は故郷の村に戻って来る。彼は野生生物保護活動家になっていた。リッキは幼馴染みで15年間ずっと心通わせていたラーダー(Hariprriya)と再会し、家族の反対もなく、婚約することになる。しかし、リッキはヒョウの生態観察のためにシュリーナガルに赴くことになり、結婚は1年間お預けとなる。
 だが、リッキがヒマーラヤにいる間に、ラーダーの家族に悲劇が起きる。ラーダーの住居のある辺りが中央政府のSEZ(Special Economic Zone)に指定され、開発のために立ち退きを要求されたのである。この件に端を発して、ラーダーの父ジャッゲーシュ(Achyuth Kumar)は事故死し、母もショック死してしまう。一人残され、家屋も取り壊されたラーダーは、幼馴染みのシュリーカーントに勧誘され、近隣の森を活動地とするナクサル(極左ゲリラ)の一員となる。
 1年ぶりに故郷に戻って来たリッキは、ラーダーの身の上に起きた出来事を知り、愕然とする。彼はラーダーを取り戻すために森に入り、ナクサルのメンバーに会う。そしてラーダー自身にも会うが、彼女は今やシーターと名前を変え、政府への強い憎しみのため、リッキの言葉に耳を傾けようとはしなかった、、。

・その他の登場人物 : ナクサルのリーダー、プリトヴィラージ(Pramod Shetty),プラヴィーラ(Manjunath Gowda),ブッラ(Raghu Pandaveshwar)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★☆☆☆
・一応、カンナダ・ウォッチャーとして、リシャブ・シェッティもラクシト・シェッティもハリプリヤーも応援してあげたい気持ちは強いが、それはそれとして、残念ながら本作はいまいちだった。

・何が私を困惑させたかというと、本作はB・スレーシャ監督作品のような社会問題告発型のアート系映画にしたいのか、マサラ娯楽系映画にしたいのか、どっちつかずな感じがしたことだ。

・第一、サードゥ・コーキラのコメディー・トラックが不可解だった。本作は取り上げたテーマは面白いし、ストーリーも概ね良いのだが、テーマのシリアスさに見合うプレゼンテーションが必要なはずなのに、あのコメディー・トラックは全く不必要だった。いや、コメディー・シーンがあってもいいのだが、全然違うコンセプトのものにすべきだったろう。

・エンディングも、悲劇的結末にしてしまっているが、ここはリッキ(Rakshit Shetty)が知力でナクサルも警察も中央政府もまんまと出し抜いて、ラーダー(Hariprriya)と一緒にバイクで西ガーツ山脈を走り抜け、ハッピーエンド、という形にしたほうがよかったと思う。否、リシャブ・シェッティ監督ははっきりと悲劇的結末を作りたかったのだと思うが、それならもっときっぱりとした終わり方にすべきで、ああいうお涙ちょうだい的な芝居で終わるというのは、徒に観客の失笑を買うだけだろう。

・ただ、単純な善悪二元論的な構図じゃなく、中央政府も警察も、それと闘うナクサルも、すべて胡散臭いという描き方は面白かった。(一般人さえ必ずしも善玉とは描かれていない。)

・また、リッキがナクサライトを森の中で追い詰める方法も面白いアイデアだった。

・カルナータカ州ではナクサルの問題はそれほど大きな問題ではないと思っていたが、皆無ではないということが分かった。また、SEZ(Special Economic Zone)の開発と称して、中央政府があんなにあっさりと民家を破壊できるとは信じがたかったが、ウドゥピ出身の私の知人の証言によると、あんなことが本当にあったらしい。

・本作のロマンス展開はクリシュナのイメージが使われていて、「フルート」、「ナヴィルガリ」、「ゲッジェ」がモチーフに使われていた。「ナヴィルガリ(Navilugari)」というのは孔雀の羽毛のことで(下)、これが一番美しくストーリーに取り入れられていた。

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 参考に、フルートを持ち、ナヴィルガリを頭に挿したクリシュナ。

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・「ゲッジェ」というのはここでは古典ダンスを踊る際に足に付ける鈴付きの輪のことで(下)、本作ではラーダーがこれを付けて、リッキのフルートに合わせてダンスをしていた。ちなみに、プッタンナ・カナガール監督の傑作に【Gejje Pooje】(69)というのがあるので、これを機に(?)ご覧になっていただきたい。

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◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・ラクシト・シェッティ(リッキ役) ★★★☆☆
 この人はどうなのかなぁ、演技が上手いのかなぁ? いつも疑問に思う。きちんと考えて演技しているとは思うが、顔の造作が「マジ」じゃないので、本作のようなマジな役にはいまいちフィットしていないように見えた。(ちなみに、ウドゥピの知人の話によると、富豪の息子らしい。)

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・ハリプリヤー(ラーダー役) ★★★☆☆
 そりゃあ、銃を担ぎ、「ラール・サラーム!」と叫ぶハリピーが見られたのだから、満足したには違いないが、も一つ感銘を受けなかったのは、やっぱり台詞かなぁ。あまり台詞回しが上手いとは思えなかったが、しかし、変な声優が付くよりマシか。ところで、彼女の名前のアルファベット表記はいつの間にか「Hariprriya」になっていたのね(ツイッターでは以前から「HariPrriya」だったけど)。

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・脇役陣では強く目を引くものはなかったが、ナクサルのリーダー(マスター)、プリトヴィラージ役のプラモード・シェッティは一応の存在感は見せていた。

・リッキのおじ(養父)役のディネーシュ・マンガルールも良かった。というより、このお方の名前は以前は「ディネーシュ・マンガロール」だったのに、カルナータカ州の地名改変に伴って、こちらも「マンガルール」になったのね。

・ナレーターの声が「ええ声やなぁ」と思いながら聞いていたが、キッチャ・スディープだった。(事前に知らなかった。)

◎ 音 楽 : ★★☆☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・音楽はアルジュン・ジャニヤの担当だが、平凡だった。音楽シーンは遺跡(メールコーテなど)がうまく使われていた。

◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★☆☆☆
・撮影は良かった。西ガーツ山脈の村落部、森林、どこかの遺跡(メールコーテ以外、どこか分からなかった)、ヒマーラヤ山麓など、どれも思い入れたっぷりに撮られていた。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 2月6日(土),公開第3週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (RR Nagar),14:45のショー
・満席率 : 6割
・場内沸き度 : ★★☆☆☆
・備 考 : 英語字幕付き

 

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