カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Last Bus】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2016/03/01 21:44   >>

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 ずっと前に、カンナダ映画【Jugaari】(10)を紹介した際に、古のカンナダ映画界の喜劇王ナラシンハラージュの孫たちが映画界デビューしたということを書いておいたが、その彼らが再び映画を作ってくれた。【Jugaari】と同じく、監督がS・D・アラヴィンドで、主演がアヴィナーシュ・ナラシンハラージュ(この二人はいとこ同士)。加えて、本作ではナラシンハラージュのもう一人の孫、サマルトもデビューしている。
 【Jugaari】はヒットしなかったものの、私は好印象を持った作品だ。それで、この新作【Last Bus】も観る予定にしていたが、優先順位が低く、公開7週目にしてやっと観ることにした。社会問題を扱った【Jugaari】とは打って変わって、本作はホラー映画。地味ながら公開後の評判が良く、フランス語のダビング版が作られるという報道まであったが、実現したかどうかは知らない。
 (写真下: 本作はホラー映画ながら、ポスターにこんなコミカルなナラシンハラージュ祖父さんのロゴが入っていた。)

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【Last Bus】 (2016 : Kannada)
脚本・監督 : S.D. Arvind
出演 : Avinash Narasimharaju, Samarth Narasimharaju, Meghashree Bhagavatar, Manasa Joshi, Rajesh P.I., Deepa Gowda, Prakash Belawadi, Raakaa Shankar, 他
音楽 : S.D. Arvind
撮影 : Ananth Urs
編集 : Sri Crazy Mindz
制作 : G.N.C. Reddy, B. Krishnappa

題名の意味 : 最終バス
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ホラー
公 開 日 : 1月15日(金)
上映時間 : 2時間11分

《 あらすじ 》
 山間の村々から町へ行く最終バスに様々な乗客が乗っていた。山道の途中に大木が倒れており、バスが立ち往生する。それで、ほとんどの乗客が降りてしまい、バスが再出発した時にはプルトヴィ(Avinash Narasimharaju)、シータッカ(Meghashree)、マムター(Manasa Joshi)、スダーカラ(Samarth Narasimharaju)、サハースラ(Rajesh P.I.)、リタ(Deepa Gowda)の6人だけになっていた。しかし、ほどなくバスは小さな事故を起こし、運転手のタンカ(Raakaa Shankar)が行方不明となる。6人のうち4人はタンカを探しに行くが、近くの森の中に古い屋敷があり、そこでタンカがつる草に絡まっているのを見つける。タンカはどうして自分がそこにいたのか理解できないでいた。また、バスに残っていたマムターとスダーカラも、剣を持った奇妙な老人に怯え、屋敷の4人と合流する。バスが故障のため、6人と運転手のタンカはこの屋敷で夜を過ごさねばならなくなる。しかし、一同はここで不気味な体験をする。また、タンカがずぶずぶと田んぼに沈んでいくのを目撃し、恐怖がさらに増す。
 しかし、これらはすべてあるテレビ局が仕組んだトリックだった。サンディ(Prakash Belawadi)をディレクターとするその番組制作チームは、よりリアルなリアリティーショーを作ろうと、バスのアレンジからサクラの手配まで行い、何も知らない6人を屋敷に導き、隠しカメラで彼らの行動を撮影しようという企画だった。運転手のタンカもやらせだった。
 そうとは知らぬ6人は不気味な出来事に怯えるが、マムターとスダーカラが目撃した老人はどうやらこの屋敷の住人だったことが分かる。また、この屋敷にはマーイーという女の幽霊が取り憑いているようだった。しかし、この老人とマーイーについても番組チームのシナリオだった。ところが、屋敷では番組チームが意図していなかった出来事が起こり始める、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★☆☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・本作には「A Psychological Mystery Thriller」というタグが付けられており、製作チームは本作をホラー映画とは違った位置付けにしようとしているようだが、どう見てもホラーだった。怖さは中程度、古屋敷での出来事を描いたものなので当然と言えば当然だが、映画を見ているというより、遊園地のお化け屋敷にいるような感覚だった。

・現地人からの評価はそれなりに高いようだが、私の目にはやはりいまいちに見えた。ちょっとテンポが遅い感じがしたので、ランライムを2時間以内に抑え、怖さががんがんやって来るような演出にしたほうが良かったと思う。

・ただ、S・D・アラヴィンド監督がひと味違ったホラーを作ろうとしたのはあちこちに見て取れる。まず、ホラー映画と言っても、白塗りでヒビ(きず)の入った顔の幽霊が出て来て「ギャー」なんてことはない(実際、本作には幽霊が直接描かれるシーンはない)。また、インド製ホラー映画のほとんどがそうであるような「リベンジ物」でもない。この2点だけでも、本作製作チームのセンスの良さが窺える。

・幽霊が直接描かれない、幽霊の復讐譚ではない、ということから、本作が幽霊映画なのかどうかも曖昧なままに残され、観客の解釈に任せるということになっている。それが「A Psychological Mystery Thriller」としたゆえんかもしれない。しかし、そのせいでエンディングがかなり分かりにくくなっているので、困る人もいるだろう(私は困った)。

・結末は、本作の主要登場人物(屋敷にいた6人とテレビ番組制作チーム)はそれぞれ生活上で問題を抱えていたり、人間性に問題があったりするのだが、それがこの不可思議な出来事を通して考え/行動を改めるという、モラルの勝ったものになっている。この辺はカンナダ映画らしい。

・もう1つユニークな点を挙げると、本作は歌もダンスもないようなホラー映画だと思っていたら、プレクライマックスの盛り上がりの場面で登場人物(6人)が突然歌って踊り出すという展開になった。マーイーの霊が6人の一人一人に取り憑くという設定だが、これにはのけ反った。

◎ 配 役 : ★★★★☆
 誰が主役と言うことのできないタイプの映画だが、キャスティングは良かった。また、明らかに素人くさい一部の出演者を除き、概ねしっかりした芝居をしている。

◎ 演 技
・屋敷に入った6人を演じたのは、迷信など全く信じない会社員プルトヴィ役のアヴィナーシュ・ナラシンハラージュ、売春婦シータッカ役のメーガーシュリー、離婚した一児の母マムター役のマーナサー・ジョーシ、大学生スダーカラ役のサマルト・ナラシンハラージュ、うさんくさい僧侶サハースラ役のラージェーシュ・P・I、男と駆け落ちしたいリタ役のディーパー・ガウダ。このうち、中心的に描かれていたのはアヴィナーシュ(写真トップ)だが、メーガーシュリーとマーナサー・ジョーシのほうがこなれた演技をしていた。
 (写真下: 左上がRajesh P.I.、下左よりDeepa Gowda、Samarth Narasimharaju、Manasa Joshi、Meghashree Bhagavatar。)

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・テレビ番組制作チームでは、ディレクター役のプラカーシュ・ベラワーディが相変わらず不気味な役柄を上手く演じていた。

◎ 音 楽 : ★★☆☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・S・D・アラヴィンド監督自身が音楽も担当している。上で言及したとおり、びっくりの音楽シーンはあるが、歌そのものはそれほど良くない。しかし、BGMは良かった。

◎ 美 術 : ★★★★☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 特殊効果 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★☆☆☆
・出演者としてプルトヴィを演じたアヴィナーシュ・ナラシンハラージュは、実は俳優より美術屋が本業らしく、本作の美術も担当している。古屋敷のセットなど、なかなか良かった。

・撮影も良かったと言える。

・本作はホラー映画でありながら、CGがほとんど用いられていないというのもユニークなところ。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 2月27日(土),公開第7週目
・映画館 : Abhinay,13:30のショー
・満席率 : 1割
・場内沸き度 : ★★★☆☆

 

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