カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Kshanam】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2016/03/08 21:17   >>

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 ナーニのことを「中途半端ハンサム」と言って茶化している私だが、他にも中途半端ハンサムと呼びたいテルグ俳優がいる。アディヴィ・セーシュもその一人で、監督も主演もできる面白い人材でありながら、テルグ映画界での存在感はまだ小さい。しかし、皮肉なことに、ナーニが「ハエ男役」でインド全国に知られたのと同様、アディヴィも【Baahubali】(15)の「首斬られ役」を全国に晒すこととなった。

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 そんなアディヴィ・セーシュがストーリーと脚本を書き、自ら主演もこなした新作がこの【Kshanam】。サスペンス映画だが、ナーニがニコニコ型のハンサムであるのに対し、むっつり型のアディヴィにはサスペンスが似合っていそうだったし、トレイラーも面白そうだったの、観て来た。
 監督はラヴィカーント・ペーレープという新人で、ヒロインは南インド映画界に定着しそうなアダー・シャルマ。

【Kshanam】 (2016 : Telugu)
物語 : Adivi Sesh
脚本 : Ravikanth Perepu, Adivi Sesh
監督 : Ravikanth Perepu
出演 : Adivi Sesh, Adah Sharma, Anasuya Bharadwaj, Vennela Kishore, Satyam Rajesh, Satyadev, Ravi Varma, 他
音楽 : Sricharan Pakala
撮影 : Shaneil Deo
編集 : Arjun Shastri, Ravikanth Perepu
制作 : Param V. Potluri, Kavin Anne

題名の意味 : 瞬間
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : サスペンス
公 開 日 : 2月26日(金)
上映時間 : 2時間

《 あらすじ 》
 リシ(Adivi Sesh)はサンフランシスコで投資ビジネスをしているNRI。ある日、4年前に別れた恋人のシュウェータ(Adah Sharma)から「助けてほしい」との電話を受け取り、急遽インドのハイダラーバードに飛ぶ。リシとシュウェータはかつてヴァイザーグにある同じ大学の学生で、恋仲だったが、シュウェータの父が二人の交際を認めなかった。二人は駆け落ち結婚も計画するが、その時シュウェータの父が病に倒れたため、計画はお流れ。その後シュウェータはカールティク(Satyadev)という男と結婚し、リシもアメリカで再出発をしていたわけであった。
 リシはシュウェータと再会し、事情を聞く。シュウェータには3歳の娘リヤーがいたが、2カ月前、幼稚園に送り届ける際に、暴漢に襲われ、リヤーが誘拐されてしまう。しばらく入院していたシュウェータは、退院後、警察に誘拐被害届を出すが、捜査はあっさり打ち切られ、以後、警察はまともに相手にしてくれなかった。そこでリシに何とかしてほしいと依頼したわけであった。
 リシはまず警察署に行き、担当警官と話すが、やはり捜査終了で片付けられる。さらにシュウェータのアパートの住人や、リヤーの幼稚園の園長とも話すが、誰もリヤーという少女については知らなかった。また、幼稚園前のアパートの防犯カメラ映像もチェックするが、シュウェータが襲われた映像はあったものの、少女が誘拐される場面はなかった。極めつけは、シュウェータの夫カールティクが自分には娘はおらず、シュウェータの話は事件の後遺症による想像だと証言したことだった。シュウェータが持っていたリヤーの写真もパスポートサイズのものが1枚あるだけだった。
 リシは、リヤーという少女は実在せず、その誘拐はシュウェータの妄想だと考え、彼女を難詰する。しかし、彼女の部屋の壁に小さな子供の背丈を記録したような印を見つけ、「もしや」と思い直すのだが、、。

・その他の登場人物 : カールティクの弟ボビー(Ravi Varma),中古車屋のバーブ(Vennela Kishore),警官ラヴィ・チャウダリ(Satyam Rajesh),警官(ACP)ジャヤ・バラドワージ(Anasuya Bharadwaj)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★★☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・2年前にテランガーナがアーンドラ・プラデーシュ州より分離して以来、比較的豊かで、ヒンドゥー教の聖地も多く存在するAP州に対し、テルグ語圏屈指の大都市ハイダラーバードがあり、イスラーム教徒の比率も高く、ムンバイと地理的にも近いテランガーナ州では、映画のあり方も当然違ってくるだろうと、テルグ映画の変わり目を眺めてきたが、今のところ圧倒的に目立つのはアーンドラ・プラデーシュ型テルグ映画だ。しかし、最近日本人ファンが言うところの「新感覚」の映画がテルグにも出るとしたら、AP州よりテランガーナ州(というより、ハイダラーバード)のほうかなという予想はあったが、この【Kshanam】はテランガーナ映画と言ってもいいような作品だった。いや、別にテランガーナ州を翼賛している映画ではないし、制作のPVPも生粋のテランガーナ企業というわけではなさそうだが、アディヴィ・セーシュを始めとする出演者たちの出身地や作品のスタイルが、テルグ映画の本流であるアーンドラ・プラデーシュ映画とはずいぶん違った印象を受けるからである。脚本にちょっと手を加えるだけで、すんなりボリウッド映画にリメイクできそうな作品だ。

・スリリングでヒネリの効いた、面白いサスペンス映画だった。似ているといえばヒンディー映画の【Ugly】(14)に近いが、あれほど大人の映画ではない。本作はかつての恋人間、親子間のセンチメントなど、湿っぽい描写も多く、完全な新感覚映画になり切っていないが、そこが魅力だったりもする。

・ストーリーは込み入っているが、麻薬の密売と少女(リヤー)の誘拐が一見ワンセットの出来事と思いきや、全く別の動機を持つ事件だというのがミソ。人相の悪い人間が何人か出て来て、事件の真相や犯人が読みづらいというのも良い。

・事件の背後に結婚、結婚後の不幸、夫婦間の問題を持ってきたのも新感覚的だ。しかし、犯人の犯行に至る心理をもっと丁寧に描いていれば、あるいは俳優が上手く演じていれば、もう一段感動できたと思う。

・配役についても違和感。いや、キャスティングは意図的に日頃光の当たっていない俳優に重要な役をやらせようと選んだのだと思うが、なにせ【Baahubali】で首を斬られたアディヴィ・セーシュ、いつもはコメディーをやっているウェンネラ・キショールとサティヤム・ラージェーシュ、テレビ司会者のアナスーヤが大真面目で演技してるのだから、知らない人はともかく、テルグ映画に馴染んでいる人なら、腹を抱えて笑うかもしれない。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・アディヴィ・セーシュ(リシ役) ★★★☆☆
 4年前の失恋をいまだに引きずっている陰気な男を熱演している。自分が書いた脚本だから当たり前かもしれないが、ぴったり役にはまっていた。

・アダー・シャルマ(シュウェータ役) ★★★☆☆
 若妻と大学生(回想シーン)の役をまずまずこなしている。彼女の顔にきずのあるポスター(上)が出回っていたので、またホラーかと心配したが、そんなことはなかった。ところで、私は彼女のことを北インド人だと思っていたが、Wikipediaの現在の記述によると、ケーララ州パーラッカード生まれのタミル・ブラフミンの家系だということで、驚いた(育ちはムンバイらしいが)。「パーラッカード美女神話」を補強するサンプルがもう一つ現れて、うれしい。

・上で言及したとおり、ウェンネラ・キショール、サティヤム・ラージェーシュ、アナスーヤ・バラドワージがまさかの重要な役回りを大真面目で演じており、目から鱗で感嘆すると同時に、こそばゆいものも感じた。

◎ 音 楽 : ★★★★☆
◎ BGM : ★★★★☆
・歌もBGMも良かった。ソング・シーンは2曲ほどしかなかったと記憶しているが、どちらもリシとシュウェータの学生時代の回想シーンに留めたのが良かったと思う。

◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★★☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・アクションは殴られた悪漢が5センチと宙に浮かないタイプのものだった。

◎ その他(覚書)
・リシとシュウェータはヴァイザーグにある大学に通っていたという設定だったが、この大学がレンガ造りの味わいある建物だった。同じくヴァイザーグが舞台の【Malli Malli Idi Rani Roju】(15)でもレンガ造りの大学が出てきたが、あのような大学が彼の地に実在するのだろうか。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 3月5日(土),公開第2週目
・映画館 : Cinepolis (ETA Mall),14:00のショー
・満席率 : 7割
・場内沸き度 : ★★☆☆☆

 

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