カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Kiragoorina Gayyaligalu】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2016/03/17 21:11   >>

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 特に意図したわけではないが、しばらく薄暗い感じのスリラー、ホラー系の映画ばかり観ていたので、がらりと雰囲気を変えて、カンナダの農村映画【Kiragoorina Gayyaligalu】を観て来た。本作は、著名なカンナダ語の作家プールナチャンドラ・テージャスウィの同名の短編小説を映画化したもの(ちなみに、プールナチャンドラ・テージャスウィはカンナダ文学の文豪クウェンプの息子)。題名が示唆するとおり、村の逞しい女たちを描いた映画らしく、強面の女性が並ぶ上のようなポスターが公表されており、早くから注目を集めていた。
 監督はD・スマン・キットゥール。【Slum Bala】(08)、【Kallara Santhe】(09)、【Edegarike】(12)といった、裏社会の現実をリアルに描く作風で知られた彼女だけに、気骨のある農村映画が期待できそうだった。
 (写真下: D・スマン・キットゥール監督。)

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【Kiragoorina Gayyaligalu】 (2016 : Kannada)
物語 : Poornachandra Tejaswi
脚本 : Agni Shridhar
監督 : D. Suman Kittur
出演 : Shwetha Srivatsav, Kishore, Sonu, Sukratha Wagle, Manasa Joshi, Karunya Ram, Achyuth Kumar, Sharath Lohitashwa, Ananth Velu, Rahul Madhav, Sundar, Yogesh, Girija Lokesh, B. Jayashree, Mandya Ramesh, Prakash Belawadi, Shobhraj, Dharma, S. Narayan, Ravishankar Gowda, 他
音楽 : Sadhu Kokila
撮影 : Manohar Joshi
編集 : Suresh Urs
制作 : Syed Aman Bacchan, M.S. Ravindra

題名の意味 : キラグール村の強き女たち
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 3月11日(金)
上映時間 : 2時間19分

《 あらすじ 》
 舞台はおそらく3〜40年前のキラグール村。この小さな農村には様々なカースト、宗教の人々が混在していたが、特に衝突することもなく、仲良く暮らしていた。村の4人の女性、ダーナンマ(Shwetha Srivatsav)、ナーガンマ(Sonu)、ルドリ(Sukratha Wagle)、カーリ(Manasa Joshi)は仲良しだったが、ダーナンマとナーガンマは高カースト、ルドリとカーリは低カーストに属していた。ダーナンマの夫スッバイヤ(Rahul Madhav)とナーガンマの夫カーラッパ(カーレ・ガウダ:Kishore)はいとこ同士だった。カーラッパはナーガンマと結婚して4年になるが、子供ができなかったため、ナーガンマに冷たく当たり、2年ほど床を共にすることがなかった。それどころか、彼は村娘のバーギャ(Karunya Ram)と結婚しようとさえ考えていた。
 この村で政治的な影響力を持っていたのはシャンカラッパ(Achyuth Kumar)という男で、彼はヤシ酒の呑み屋も経営していた。シャンカラッパは政府の役人(Prakash Belawadi)が調査に来た際に、助成金をせしめようと、カーリの夫ムニヤの土地を自分の土地と偽って、役人に示そうとする。それを知ったムニヤやカーリ、ルドリらがシャンカラッパに激しく抗議するが、それには高カーストのダーナンマも加勢する。
 この一件で、シャンカラッパは僧侶(Sharath Lohitashwa)と相談し、高カースト者と低カースト者が仲良く交流しているのが問題だという結論になり、2つのカーストを分断する悪巧みを開始する。しかし、あれやこれやの作戦もあまりうまく行かない。
 ある日、倒れた巨木を撤去する件で、カーラッパの親類が腰痛を患う。この村で腰痛を治療するのはルドリの夫カリヤの役目だったが、カーラッパは低カースト者が高カースト者を治療するのは問題だと考え、自分がその親類のマッサージをすることにする。しかし、その過程でカーラッパ自身も腰痛を患ってしまう。仕方なしに、シャンカラッパの紹介でケーララからアーユルヴェーダ師(Dharma)を呼び寄せ、治療に当たらせるが、あろうことか、妻のナーガンマがそのアーユルヴェーダ師と駆け落ちしてしまう。だが、ナーガンマは翌日に戻って来る。
 このナーガンマの不貞事件に対して、パンチャーヤトが開かれ、ナーガンマに罰を下すことになる。だがこの時、男どもの専横と嘘、屁理屈に憤ったダーナンマを始めとする村の女たちが、各々棒を手に持って、男どもをぼこぼこに殴る。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・カンナダ語の題名に添えて、「Rowdy Women of Kiragooru」という英語の副題が付いていたから、もしやヒンディー映画【Gulaab Gang】(14)のような女性武闘集団を描いた物語かとも予想したが、そうではなかった。本作で描かれているのはごく普通に農業や家事に従事している村の女たちで、その彼女らが憤懣を発散させる形で男たちを殴るという結末になるのだが、その爆発力が面白かった。

・しかし、はっきり言って、外国人にはすごく敷居の高い作品。カンナダ語が分からないと面白さがほぼ分からないのだが、台詞中心に物語が進み、ダンスもアクションもない構成でランライム2時間19分はきつかった(しかもその台詞が田舎訛りのカンナダ語なので、ちょっとカンナダ語をかじったぐらいでは歯が立たない)。描かれているのはカースト差別や女性蔑視、政治を自分たちに好都合なように利用しようとする有力者と僧侶の悪巧みなど、インド映画にはお馴染みのテーマなのだが、本作の田舎生活の機微が本当に理解できるのは現地人のみになる。

・それで、やむなく下の必見度では1つ星にしてしまったが、カンナダ人にはすごく受けがいい。台詞に込められたユーモア、風刺がかなり面白いようで、劇場内でもがんがん笑いが起きていたし、田舎の風情も彼らの琴線に触れるものらしく、例えば、村の子供たちが土手の上に横並びでお尻を出して用を足している場面では拍手が起きていた。

・このキラグール村というのはおそらく架空の村で、カルナータカ州のどことも規定されていなかった。3〜40年前の、まだこの村が都市の政治機構から強く管理されていない頃は、カーストや宗教のこだわりもなく村人が生活していたのに、政府の管理が及び始めると、利権等を狙ったずる賢いシャンカラッパ(Achyuth Kumar)と僧侶(Sharath Lohitashwa)が、村人をコントロールしやすいように「カースト分断策」を始める。

・このことに対して村の女たちが怒ったわけではない。彼女たちが怒った直接の原因は、実は問題の根はカーラッパ(Kishore)の浮気にあるのに、その妻ナーガンマ(Sonu)がちょっとよろめいて他の男と駆け落ちしてしまったことに対して、パンチャーヤトがナーガンマに罰を下そうとしたことにある。それに対して不満が噴出したわけだが、男の都合のみで動いていたパンチャーヤトだけでなく、男たちの社交の場だったヤシ酒呑み屋、それに警察署も攻撃の対象となる。私もあの時代にあの場所にいたら、間違いなく彼女たちに殴られていたと思うが、この場面は実に爽快な気分で眺められた。

◎ 配 役 : ★★★★☆
 キャスティングは適材適所だった。写真下の中央がシュウェータ・シュリーワトサヴ(ダーナンマ役)、左下より時計回りに、カールニヤ・ラーム(バーギャ役)、シャラト・ローヒターシュワ(僧侶役)、ソーヌ(ナーガンマ役)、アチュート・クマール(シャンカラッパ役)、ヨーゲーシュ(ソーナッパ役)、キショール(カーラッパ役)、スクルタ・ワーグレー(ルドリ役)、マーナサ・ジョーシ(カーリ役)。

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◎ 演 技
・女性陣では、誰がどうだと言うわけではないが、やはりダーナンマ役のシュウェータ・シュリーワトサヴが存在感を見せていた。ソーヌも、夫に相手にされない若妻ナーガンマの切ない表情が良かった。

・男性陣では、カーラッパ役のキショール、シャンカラッパ役のアチュート・クマール、僧侶役のシャラト・ローヒターシュワが良い。キショールは「ヅラ着用バージョン」だった。
 (写真下: 僧侶、というより黒魔術師役のシャラト。)

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・ヨーゲーシュがキリスト教徒のソーナッパ役でカメオ的な出演をしていた。しかし、こいつはこういう田舎男の役が似合うなぁ。

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◎ 音 楽 : ★★★☆☆
・歌はなかったが、サードゥ・コーキラのBGMは良かった。きっとこの人は俳優(コメディアン)より音楽監督のほうに才能がある。

◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★☆☆☆
・メイクに難あり。カンナダの田舎映画を観ていつも思うことだが、女優たちの顔のメイクが白すぎる(下参照)。農村の女はもっと色黒で、肌がてかてかと黒光りし、髭なんかも生えているものだ。そこまで写実にこだわる必要もないかもしれないが、タミル映画やマラヤーラム映画なら違ったメイクになっていたはずだ。

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◎ その他(覚書)
・主なロケ地は、Wikipediaの記述によると、ラーマナガラ県のDoddabadkere村、Goluru村、Chikkanawalase村、及びマイスール県のHarohalli村らしい。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★☆☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 3月13日(日),公開第1週目
・映画館 : Kamakya,11:15のショー
・満席率 : 5割
・場内沸き度 : ★★★★☆

 

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