カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Jacobinte Swargarajyam】 (Malayalam)

<<   作成日時 : 2016/04/13 21:50   >>

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 今年の初マラヤーラム映画。
 実のところ、監督のヴィニート・シュリーニワーサンも主演のニヴィン・ポーリもそれほど好きではなく、否、どちらかと言うと回避したいほうなのだが、にもかかわらず観たのは、本作が何らかの賞を取りそうな雰囲気だったから。過去の例から言っても、私が観ることになるマラヤーラム映画は年間数本程度なので、後々後悔しないように、ヒット作、賞を取りそうな作品は押さえておきたい。

【Jacobinte Swargarajyam】 (2016 : Malayalam)
脚本・監督 : Vineeth Sreenivasan
出演 : Nivin Pauly, Renji Panicker, Lakshmy Ramakrishnan, Sreenath Bhasi, Aima Sebastian, Stacen, Sai Kumar, Ashwin Kumar, Reba Monica John, T.G. Ravi, Dinesh Prabhakar, Aju Varghese(特別出演), Vineeth Sreenivasan(特別出演), 他
音楽 : Shaan Rahman
撮影 : Jomon T. John
編集 : Ranjan Abraham
制作 : Noble Babu Thomas

題名の意味 : ジェーコブの天の国
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 4月8日(金)
上映時間 : 2時間25分

《 あらすじ 》
 ジェーコブ(Renji Panicker)はドバイに暮らすケーララ出身のNRIで、鉄鋼関連のビジネスを成功させ、裕福で、現地での社会的地位も得ていた。彼には妻のシャーリー(Lakshmy Ramakrishnan)、長男のジェリー(Nivin Pauly)、二男のエービン(Sreenath Bhasi)、長女のアムー(Aima Sebastian)、それに三男のクリス(Stacen)がおり、絵に描いたような平和な家庭を築いていた。ジェリーにはチッピー(Reba Monica John)という同じクリスチャンの恋人がいた。また、アムーは医学の勉強のためにインドに戻ることになる。
 2008年、順風満帆だったジェーコブ家の運命が暗転する。リーマン・ショックに端を発したドバイ・ショックにジェーコブのビジネスも打撃を蒙ったのである。彼は金策のため、ムラリ(Ashwin Kumar)という男から大金を借りるが、それも詐欺に騙し取られてしまう。ムラリはジェーコブに金を返すよう強く迫る。一気に負債者となったジェーコブはインドへと姿を隠す。彼の家は警察の家宅捜査を受けるまでになる。同じころ、父に反抗していた二男のエービンが家を飛び出す。
 この一家崩壊の危機に長男のジェリーが目覚める。彼は気丈な母に支えられ、また、かつて父に聞かされた教訓を反芻しながら、まずは負債の返済へと動き出す、、。

・その他の登場人物 : ピリプ(Sai Kumar),ジェーコブの運転手(T.G. Ravi),ユースフ・シャー(Vineeth Sreenivasan)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・言葉の壁のせいで細部が分からず、正確な評価はできないが、おそらく良い映画。一定の満足感もあった。デビュー作の【Malarvadi Arts Club】(10)に比べると、ヴィニート・シュリーニワーサン監督もずいぶん腕を上げたようだ。観客の反応も、台詞に対するリアクションが良く、また、終了時に大きな拍手も起きていた。ケーララ人の心をしっかりつかんだようで、ヒットは堅いだろう。

・本作は実話に基づくもの。ヴィニート監督の友人、グレゴリー・ジェーコブの家族に実際に起きた出来事ということで、エンディングで実在する当の家族が写真付きで紹介されていた。実話に基づくとする映画は多いが、ここまできっちり細部まで明言している作品も珍しい。

・ただ、ちょっと(と、ここから得意の「くさし」が始まるのだが)脚本にはすきっとしないものを感じた。まず結論(感動させポイント)ありき、という感じで、無理があったように思う。

・本作に盛り込まれたテーマは、@ ドバイ・ショックに煽られたケーララ人の問題超克、A 父と息子の関係、及び息子ジェリーの成長譚、B 離散した家族の再統合、この3つがあると思うが、私の意見では@とAで押すべきだった。しかし、ヴィニート監督はなぜかBの家族センチメントにも力点を置いてしまい、作品のバランスを崩している。否、おそらく監督の作戦は当たり、ここがケーララ人鑑賞者の感動ポイントになったようだが、私の感性では、、(しかも、小道具にキヤノンのレトロなフィルムカメラを持ってくるなんて、臭すぎるぞ)。

・このヴィニート監督のセンスが問題かなと。上でヴィニート監督のことをそれほど好きではないと書いたが、彼に違和感を感じるのは(【Malarvadi Arts Club】鑑賞記でも書いておいたが)、まだ若いくせに「老成」したところがあり、妙に「善き映画」を撮りたがる点と、ノスタルジックなムードに溺れたがる点だ。

・本作でも「善き人」が多すぎて、何だかウソくさい。ちょっとはみ出した感じは二男のエービン(Sreenath Bhasi)だが、これも結局はとても善い子だった。そんな次第で、唯一の悪役とも言えるムラリ(Ashwin Kumar)が出てくるシーンにはかえってホッとした。(もっとも、この「インド的良心」というのは、今も大衆的観客には効くのだが。)

・最大の違和感は、「ドバイにはこのようなケーララ人がたくさんおり、、」と、本作をケーララ人のための映画にしてしまった点だ。確かに湾岸にはケーララ人が多く、それが映画産業にも反映されているのだが、湾岸に出稼ぎに出ているインド人はケーララ人だけか?と反論したくなる。もっとも、これとてヴィニート監督の戦術かもしれない。確かにインドの地方映画というのは「地域エゴ」なものであり(また、そうあるべきかもしれない)、ヴィニート監督がこのように「ケーララ人頑張れ!」というまとめ方にしたおかげで、ここまでケーララ人鑑賞者の拍手を得られたに違いない。意図的にそれを狙ったというなら、ヴィニート監督は老成というより「老獪」のレベルになるが、さすがあのお方の息子だけのことはある。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・ニヴィン・ポーリ(ジェリー役) ★★★★☆
 前半では、裕福な家庭に生まれ、まだ人生をどう生きるか定まっていない青二才、後半では、思わぬ出来事から、家族の威信回復と再統合のために動く責任感ある長男をうまく演じ分けている。ヘラヘラ度が少なかったので、4つ星贈呈。

・ランジ・パニッカル(ジェーコブ役) ★★★☆☆
 私的にはちょっと苦手な父親像だったが、インド人はああいう人物にシビれるのだろうか。最近ものすごい勢いで映画に出ているタレントだが、実は特に上手いとは思わない。
 (写真下: こういう映画なんです。)

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・ラクシュミ・ラーマクリシュナン(シャーリー役) ★★★★☆
 意外に存在感のある役だった。タミル映画の【Yuddham Sei】(11)の印象が強いので、純タミル女優だと思っていたが、マラヤーラム映画にもよく出ていることが分かった。湾岸にも在住していたらしい。

・ヴィニート監督についてもう一つ文句を言わせてもらうと、女優の使い方がつまらない。禁欲的すぎる(ここがラール・ジョーズ監督との違いかな)。本作もリーバ・モーニカ・ジョーン(写真下)という新人が出ており、期待したが、ほとんどチョイ役だった。ヴィニートのアホ!

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 ちなみに、このリーバさんはケーララ人だが、現在ベンガルール在住で、クライスト大学に通っているらしい。これで最近足の遠のいているコーラマンガラ辺りをぶらつく口実ができたと言うもんだ。

・ネガティブ・ロールのムラリを演じたのはアシュウィン・クマールという新人らしい(下)。実はこの役は当初あのガウタム・メーナン監督がやる予定だったと知り、驚く。

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◎ 音 楽 : ★★★★☆
◎ BGM : ★★★★☆
・わざとらしさは拭えないが、オーナムを祝う場面と、ドバイ観光案内みたいな場面の音楽シーンは、外国人の目には興味深かった。

◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・ふうむ、やはりジョーモン・T・ジョーンのカメラは魅力的だ。

◎ その他(覚書)
・全編の95パーセントぐらいはドバイでのロケだが、最後のケーララ州のシーンでローカルの赤バスが出て来たときは、観客から拍手が起きていた。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 4月9日(土),公開第1週目
・映画館 : Sangeet,11:30のショー
・満席率 : 5割
・場内沸き度 : ★★★☆☆

 

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