カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Raja Nanna Raja】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2016/04/19 21:21   >>

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 この週末はタミル映画の【Theri】とヒンディー映画の【Fan】が公開され、映画ファンの間で大騒ぎだった。私も素直に【Theri】を観に行くつもりだったが、ラージクマールの40年前のヒット作【Raja Nanna Raja】がひっそりとリバイバル公開されたので、急遽予定を変更した。

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 カンナダ映画では、ここ2,3年、過去のヒット作をリバイバル公開する傾向が続いており、ラージクマールの作品も【Satya Harischandra】(65/08)、【Kasthuri Nivasa】(71/14)、【Mayura】(75/14)、【Eradu Kanasu】(74/15)が公開されたと思う。前の二つはきちんと観たが、後の二つは失礼してしまったので、今回は新作を差し置いてでも観ることにした。

【Raja Nanna Raja】 (1976/2016 : Kannada)
脚本 : Salim-Javed, Chi. Udaya Shankar
監督 : A.V. Seshagiri Rao
出演 : Rajkumar, Aarathi, K.S. Ashwath, Chandrashekar, Balakrishna, Thoogudeepa Srinivas, M.P. Shankar, B. Jaya, Sampath, Sabitha Devi, Jayashree, 他
音楽 : G.K. Venkatesh
撮影 : R. Chittibabu
編集 : P. Bhakthavathsalam
制作 : Abbaiah Naidu

題名の意味 : ラージャ、私の王様
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ロマンス
公 開 日 : 4月15日(金)
上映時間 : 2時間15分

《 あらすじ 》
 ギーター(Aarathi)は両親と死別していたが、富豪のおじ(K.S. Ashwath)に育てられたお嬢様。年頃の彼女の最大の関心事は理想の花婿を見つけ出すことであったが、なかなか良い男に巡り合えない。そんなギーターに、おじはビジネスパートナー(Balakrishna)の息子ムールティ(Chandrashekar)を紹介するが、ギーターはすっかり気に入り、婚約が決まる。
 しかし、ここに思わぬ男が現れる。ギーターが車である男(Rajkumar)をはねてしまうが、その男はギーターを見るなり「私のガンガー!」と叫び出す。この男はラージャという名であったが、ギーターは自分のことをガンガーと呼び、執拗につきまとうラージャを気味悪く思う。ムールティも悪漢を使ってラージャを痛めつけようとするが、うまく行かない。ギーターのおじはラージャに5万ルピーを渡し、彼女から離れるよう諭すが、ラージャーは「ガンガーは私の魂だ。お金では譲れない」と言って、聞かない。
 ラージャには言い分があった。彼はギーターを朽ち果てた宮殿へ連れて行き、そこにある男女の肖像画を見せる。それはラージャとギーター(ガンガー)の肖像画であった。実はラージャの前世はこの地のマハーラージャの息子で、ギーターの前世はその領地に暮らす村娘のガンガーであった。二人は愛を誓い合っていたが、身分の差からマハーラージャが結婚を認めてくれず、駆け落ちする際にマハーラージャに射殺されたというわけであった。それでラージャはギーター(ガンガー)に、前世で叶わなかった愛を現世で全うすべきだと訴えていたのであった。
 その話を聞いて以来、ギーターはラージャに惹かれるものを感じつつも、気持ちは混乱していた。そんなギーターに対しおじは、ムールティと一緒にマディケーリへ行って気晴らしするようアドバイスする。
 ギーターはムールティとマディケーリへ行く。しかしここにもラージャが現れる。ラージャはギーターをある家に連れて行き、ある人物に合わせる。そこでギーターは思いがけない事実を知ることになる、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★★☆
◎ 脚 本 : ★★★★☆
・始めに文句を書いておくと、ひどい映像/音声だった。【Satya Harischandra】と【Kasthuri Nivasa】は(カラー化の是非はさて置き)一応きちんとデジタル・リマスタリングしてあったし、一部再編集も行われ、アスペクト比も現在の横長画面に合うように調整されていた。しかし本作の場合、映像はボケまくりで、音声が良くなったとも感じられなかった。最悪は、4:3の画面を単に横長に伸ばしただけの映写だったので、登場人物がみんな太って見えたことだ。ヒロインのアーラティなんか元々両目の間隔が離れている顔なので、それが誇張されて、E.T.みたいに見えたよ。

・宣伝にも全く力を入れていなかったようで、私が観たショーも客が10人ぐらいしかいなかった。もう、完璧に作品に対する冒涜。こういうことなら、リバイバル公開なんかしてくれなくてもいい。

・しかし、映画そのものはやっぱり面白かった。何年か前にDVD(字幕なし)で観ているのだが、すっかり忘れていたので、もう一度楽しめた(こういう時に記憶力の悪さはありがたい)。

・今回の意外な発見は、インドのストーカー映画の伝統は少なくとも40年前からあったんだ、ということだった。そのストーカー男をラージクマールが真顔で演じているのだから、これは見ものだった。

・ストーリーも面白い。婚約が決まって幸せなギーター(Aarathi)の前に謎の男ラージャが現れ、「私たちの前世は、、」と胡散くさいことを言いだす。しかし、ここから時代劇の場面になり、がらりと雰囲気が変わって面白い。と、安心していると、実は、、、と、どんでん返しになるところなんか、憎い。

・テーマ的には、叙事詩時代からのインド人の不変の関心事である「最良の配偶者選び」が扱われている。70年代中盤のインド人とインド社会がどんなものだったのか具体的にイメージできないが、本作を見る限り、拝金主義、快楽主義に流れる傾向はあったようで、本作もそれを戒める形になっている。持って行き方に時代がかったものを感じたが、しかし結論としては今のインド映画も基本的に変わらない。そうして、裕福なギーターは素性もよく分からないラージャを、その人格ゆえに自分の王様として選ぶ。

・あれやこれやと内容が詰まっており、歌もきちんと5曲入っているのに、ランタイムが2時間15分に収まっているというのは、あの当時の映画にすれば奇跡に近いのではないだろうか。これは現在の監督たちも大いに見習うべきだ。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・ラージクマール(ラージャ役)
 謎の男ラージャと王家の王子ラージャの2相を演じており、ファンなら楽しめる。年齢的には40歳代後半のはずだが、顔もボディーも若々しく、ハンサムに見えた。そして、教訓くさい台詞を説得的に聞かせてしまうあの「目ヂカラ」はすごい。

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・アーラティ(ギーター役)
 大人の女性を演じているアーラティを見ることが多かったので、本作のような夢見る乙女、ぶりっ子お嬢さまの彼女には違和感を感じた。しかし、上手いことには変わりない。時々E.T.に見えてしまったのが残念だが。

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・チャンドラシェーカル(ムールティ役)
 ちょっと信じがたいのだが、インドの70年代といえば、こういうツラの男でも金持ちのお嬢様をうっとりさせたのだろうか。皮肉はさておき、現存する数少ないラージクマールとの共演者の1人で、【Haage Summane】(08)という作品では主人公の父親役を演じていた。

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・K・S・アシュワト(ギーターのおじ役)
 名脇役、貫録の演技だったが、「どこの国の人?」という外見だった。

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・性格俳優のM・P・シャンカルがダニーという名のならず者の役で出ていた。「オレは『マディケーリの虎』だぜ」と勇ましかったが、主人公に簡単にやられてしまうのが可愛かった。

・バーラクリシュナの「腰痛持ちの男」の役が面白かった。

◎ 音 楽 : ★★★★☆
◎ BGM : ★★★☆☆
・歌はすべて有名で、ベンガルールに暮らしていたら何らかの形で聴くような馴染み深いものばかり。親しみやすいメロディーで、良い。5曲のうち2曲でラージクマールが歌っている。

・ところで、音楽を担当したG・K・ウェンカテーシュは、往年のカンナダ映画界(だけではないが)で非常に能産的な仕事をした巨匠。実は現代の南インド映画界の巨匠であるイライヤラージャーも当時G・K・ウェンカテーシュのアシスタントを務めており、本作にもギター奏者として参加しているらしい。

◎ アクション : ★☆☆☆☆
◎ 衣 装 : ★★☆☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★★☆
・アクションが問題となる映画ではないが、2度あったアクション・シーンは、せっかくだからもう少し気合いを入れて作ってほしかった。

・時代の制約だと思うが、衣装がどうも、、。

◆ 完成度 : ★★★★☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 4月16日(土),公開第1週目
・映画館 : Nartaki,10:30のショー
・満席率 : 1割以下
・場内沸き度 : ★★★☆☆ (客が10人ぐらいしかいなかった割には賑やかだった。)

 

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【Babruvahana】 (Kannada)
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2016/04/27 22:23

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