カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【24】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2016/05/18 21:56   >>

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 スーリヤ主演の話題の新作【24】は、まだ公開2週目なのに、日本で2ショーが行われて多くの日本人鑑賞者によるコメントも出揃っているし、すでに100カロールを突破したとか、監督がパート2の製作を決定したとかの報道もあったりして、話題としては熟し切った感がある。そんな中で今さら私がブログを書くのもなぁ、、、という気もするが、まぁ見たんだから、いつも通り書いておこう。
 監督はタミル映画【Yavarum Nalam】(09)やテルグ映画の【Ishq】(12)と【Manam】(14)でお馴染みのヴィクラム・クマール。
 スーリヤが一人何役かやるSF映画だという触れ込みだった。

【24】 (2016 : Tamil)
脚本・監督 : Vikram Kumar
出演 : Suriya, Samantha Ruth Prabhu, Nithya Menen, Saranya Ponvannan, Ajay, Girish Karnad, Sathyan, Sudha, Mohan V. Raman, 他
音楽 : A.R. Rahman
撮影 : Tirru
編集 : Prawin Pudi
制作 : Suriya

題名の意味 : 24
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : SF
公 開 日 : 5月6日(金)
上映時間 : 2時間44分

《 あらすじ 》
 1990年1月、時計製作者にして科学者のセートゥラーマン(Suriya)は、過去未来を自由に往来できる腕時計型タイムトラベルマシンの開発に成功したところだった。しかし、成功を喜ぶのも束の間、彼の双子の兄弟アートレーヤ(Suriya)がやって来、その腕時計を奪取せんとセートゥラーマンに襲いかかる。これでセートゥラーマンの妻プリヤー(Nithya Menen)が命を落とす。セートゥラーマンは何とか赤ん坊の息子を連れて逃げ出し、列車に乗り込む。彼は赤ん坊をたまたま居合わせたサティヤバーマ(Saranya Ponvannan)という女性に託す。アートレーヤはセートゥラーマンも殺害するが、時計の奪取に失敗した上、自身も大けがを負って昏睡状態となる。
 26年後、セートゥラーマンの息子はマニ(Suriya)という名の青年に育ち、チェンナイで時計修理屋をやっていた。彼はサティヤバーマと二人暮らしだったが、彼女のことを実母だと信じていた。この家には「24」と刻印された箱があったが、中に何が入っているか誰も知らなかった。
 26年間昏睡状態だったアートレーヤがひょんなことで目覚める。しかし、彼の体には麻痺が残り、車椅子に頼らざるを得ない状態だった。アートレーヤは健常な体を取り戻すため、セートゥラーマンの腕時計を使って26年前に戻り、過去を変えようと考える。それで彼は自分たちで同じ時計を開発しようとし、「24」の箱を開ける鍵を捨ててしまう。
 その鍵は巡り巡ってマニの手に渡る。マニはその鍵で「24」の箱を開け、中に珍奇な腕時計を見出したばかりでなく、その時計がタイムトラベルマシンであり、さらには時間も止められる装置であることも知る。彼はこれを使って時計屋の顧客であるサティヤ(Samantha)の気を惹こうとする。
 時計の開発が上手く行かないアートレーヤは作戦を変え、セートゥラーマンの遺した時計がどこかにあるはずだと見当付け、「この時計を届けた方に5千万ルピー」という新聞広告を出す。マニと友人のサラヴァナン(Sathyan)はこの広告に応じてレプリカを作り、指定された会社に届ける。しかし、これは飛んで火に入る夏の虫、アートレーヤはマニの左腕にあった本物の時計を奪取し、彼を殺害する。
 アートレーヤは腕時計を使って26年前に戻ろうとする。ところがこの装置で行き来できるのは24時間以内の過去未来だけだった。彼は1日前に戻って、殺害したマニを再び甦らせ、マニに時計を24時間を超えて自由にタイムトラベルできるように改良させようと、手の込んだ罠を考え出す、、。

・その他の登場人物 : サティヤの祖父(Girish Karnad),サティヤの父(Mohan V. Raman),サティヤの母(Sudha),アートレーヤの腹心ミトラン(Ajay)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★★☆
◎ 脚 本 : ★★★★☆
・実に面白かった。SF映画ということで、サイエンスに力点を置くと、理屈(科学的根拠)は緩いなぁと思うが、SFというのはあくまでもフィクションなので、いかにあり得ないことをもっともらしく、否、もっともらしさを越えて、アホらしく見せるかが焦点なので、その点では本作は想像力豊かで良かった。

・似た雰囲気の作品はやはり【Enthiran】(10)だが、むしろ世界の事象を平気で作り変えてしまうパワーをテーマにしている点で、神様映画に近いものを感じた。なので、インド脳の持ち主にはすんなり受け入れられても、西洋近代的理性脳の持ち主には苦しいかもしれない。(「インド脳」というのは、火星探査機を飛ばすほどの合理的知性を持ちながら、同時にその宇宙空間をふんどし姿の仙人が闊歩するのを受け入れられる認識幅の広い知性体のこと。)

・タイムトラベルを主題にしたインドSF映画というのはほとんど知らないが、実は去年【Indru Netru Naalai】というタミル映画があった。今思えば、観ておくべきだった。

・タイムトラベル物といっても本作はかなりユニークで、タイムトラベラーが車のような乗り物に乗って、「現在」のその人の姿のままで過去未来を旅するといったものではなく、腕時計の時間を過去未来の時間に設定すると、その時の自分になる(つまり、時間を26年前に設定すると、トラベラー自身が26歳若くなる)というもの。そうすると、その当事者の過去未来の受け皿(つまり、その人の身体)が存在する期間しかタイムトラベルできない(つまり、その人の生まれる前や死後の時代には行けない)ことになるのかな?

・なので、トラベラーが歴史の軸から離れた形で旅する従来のタイムトラベルSFでは、その人物と過去未来の時点での当該人物の2人が存在することになり、例えばその人が過去にさかのぼって出来事を変えた場合、そこから新たな因果の連鎖(歴史)が始まってしまうので、歴史は2本存在することになるのか、その人自身はどんな「現在」に戻るのか、という疑問があったが、本作にはその問題はないように思う。本作ではトラベラーの実体はあくまでも1人なので、過去の出来事を変え、新たな歴史が始まっても、その時点で先の歴史が存在しなかったことになる(せいぜいその人の記憶に残るだけ)わけで、「歴史を変える」というより「歴史を削除する」というイメージになると思う。

・ただ、こういうユニークな発想の源泉がインドの伝統的な哲学思想だったりしたらうれしいのだが、神様はハードディスクのデータを自由に書き換えるように世界の事象を書き換えられるとか、聖人は時間を自由に往来できるとかが、ヴェーダやウパニシャッド哲学に書いてあるかどうかは私は知らない。

・映画としては非常に面白かったが、難点を言うと、やっぱりテンポが遅い。年寄りくさいぞ、ヴィクラム・クマール!

・また、ほとんどの人が同じ疑問を持ったと思うが、颯爽と登場した悪役のアートレーヤが何者なのか? なぜセートゥラーマンを憎み、あれほどの悪事を働くのか、その背景の説明が全くなかった。これほどあっさり抜け落ちていると、脚本の不備と言うより、初めっからパート2を作ることを意図していたとしか考えられない。(そういえば、アートレーヤが死んだかどうかもはっきり分からない終わり方になっていた。)

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・スーリヤ(役) ★★★★☆
 科学者セートゥラーマン、謎の悪漢アートレーヤ、チェンナイの下町に暮らす時計修理屋マニと、一人三役をこなしたわけだが、タミルスターにとって一人X役をやるというのは珍しいことではなく、本作のスーリヤも特に上手く演じているわけではない。しかし、三役のすべてが男前だった。しかも若々しい! 個人的には時代錯誤も甚だしい衣装を着て登場した悪漢アートレーヤのダンディーな部分をもう少し見せてほしかった。彼が人を殺す前に使う「アーユシュマーン・バワ(長寿あれ)」という台詞は使えそうだなぁ。
 (写真下: 若き日のアートレーヤ。)

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・サマンタ(サティヤ役) ★★★☆☆
 後から思えば、ストーリーに強く絡む役回りでもなかったが、スーリヤ(マニ)とのコミカルな絡みは面白かった。久々に可愛いサマンタが見られて、満足。
 (写真下: やっぱりサマンタはこの間抜けヅラでなくっちゃ。)

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・ニティヤ(プリヤー役)
 赤ん坊を抱くニティヤというのは見ものだったが、ほとんどカメオ的な出演で、評価できず。彼女は実生活で赤ん坊を抱いても不思議ではない年齢になっているのだが、童顔のせいか、その姿がしっくり来ないように見えたので、個人的に安心した。

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・アジャイ(ミトラン役) ★★★☆☆
 このお方が意外に男前な役回りだった。

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・【Manam】でのブラフマーナンダムの役名が「ギリーシュ・カールナード」だったので、疑問だったが、本作では本当にギリーシュ・カールナードが出演していた。やはり同氏とヴィクラム・クマール監督は特別な関係があるのだろうか。

◎ 音 楽 : ★★☆☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・期待のA・R・ラフマーンの音楽だが、BGMは良かったが、歌はそれほど良いとは感じられなかった。ストーリー部から音楽シーンへの持って行き方は良かったと思う。

◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 美 術 : ★★★★☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 特殊効果 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・ここはどこ?時代はいつ?といった感じの森の中の館(セートゥラーマンの自宅兼研究所)とか、アートレーヤの衣装とか、超アナログと超デジタルがミックスしたような装置の開発とかが、インド的発想で面白かった。

◆ 完成度 : ★★★★☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 5月14日(土),公開第2週目
・映画館 : INOX (Jayanagar),15:55のショー
・満席率 : 8割
・場内沸き度 : ★★★☆☆
・備 考 : 英語字幕付き

 (オマケ画像: これがスーリヤのリアル頭だったら笑っちゃうな。意外に剽軽なヴィクラム・クマール監督と。)

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カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2016/06/07 23:10

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
あの赤ん坊は(実は女の子なんだそうです)演技が上手で皆驚愕したとニティヤが言ってました。
メタ坊
2016/05/28 10:00
え、演技ですか!赤ん坊に、、w
カーヴェリ
2016/05/28 15:48

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