カーヴェリ川長治の南インド映画日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 【U Turn】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2016/05/24 21:15   >>

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

画像

 【Lucia】(13)から3年、パワン・クマール監督の待ちに待った新作が公開されたので、早速観てきた。
 題名も「Uターン」と思わせげだし、トレイラーも良かったので、超期待の1本だった。

【U Turn】 (2016 : Kannada)
脚本・監督 : Pawan Kumar
出演 : Shraddha Srinath, Roger Narayan, Dilip Raj, Radhika Chetan, Skanda Ashok, Krishna, Sudha Belawadi, Pramod Shetty, 他
音楽 : Poornachandra Tejaswi
撮影 : Satya Hegde, Advaitha Gurmurthy, Siddhartha Nuni
編集 : Suresh
制作 : Pawan Kumar

題名の意味 : Uターン
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : スリラー
公 開 日 : 5月20日(金)
上映時間 : 2時間1分

《 あらすじ 》
 ジャーナリスト志望のラチャナ(Shraddha Srinath)は大手新聞社でインターンをしていた。彼女はベンガルール市民の道路交通法違反に目を向け、道路の中央分離帯のブロックをずらして、バイクが違法にUターンしている実情を記事にまとめようとしていた。そのため、ベンガルール中心部の高架道路を定点観測することにし、そこにいるホームレスの男に違法Uターンしたバイクの車両番号をメモしてくれるよう依頼していた。彼女はその番号を交通局の知人に問い合わせ、運転者の住所等を得ていた。
 ある朝、ラチャナは違法Uターンをした運転者のスンダル(Pramod Shetty)にインタビューしようと、そのアパートまで行く。しかし彼はどうやら不在で、会えなかった。その晩、ラチャナは同じ事務所にいる事件記者のアーディティヤ(Dilip Raj)と映画を観に行く。ラチャナはアーディティヤを意識していたが、アーディティヤもそうだった。映画の後、アーディティヤはラチャナを家まで送る。だが驚いたことに、ラチャナはその場で警察に拘束されてしまう。彼女が朝訪問したスンダルが自室で死体となって発見されたため、彼女にも容疑が掛かったというわけである。
 ラチャナは濡れ衣を晴らすため、警官のナーヤク(Roger Narayan)に違法Uターン運転者の取材のことを説明する。その証拠として自分が得た10人の運転者の連絡先を見せる。ところが、その10人はすべて自殺していたことが分かる。さらにもう1人の違法Uターン運転者がいたため、ナーヤクとラチャナはその人物のアパートへ行く。幸い彼は生存していたが、ナーヤクとラチャナが去るときに、警察車の上に彼の死体が落ちて来る。
 検死の結果、スンダルの死因は自殺だと判断され、ラチャナは釈放される。ナーヤクは自殺した10人を担当した警官から話を聞き、自殺で片付けるには不審な点に気付く。彼らは手首を切って死んでいたが、その傷がすべて自殺にしては不自然な「U」字型だったからである。
 ラチャナは高架道路の上で違法Uターンした二人組の男を目撃し、警察に彼らを保護するよう訴える。ナーヤクの上官スダーカル(Krishna)はこれを無視するように言うが、ナーヤクは二人組の男を密かに拘束監禁し、隠しカメラで様子を見ることにする。すると驚いたことに、一人がもう一人を殺害し、自分も自殺するという出来事が起きてしまう。
 この件で、上官の言葉に背いたということで、ナーヤクは停職処分になる。ラチャナはアーディティヤから、例の高架道路で交通事故死した被害者の遺族の連絡先を教えてもらう。ラチャナはその情報を基に、リテーシュ(Skanda Ashok)という人物に話を聞きに行く。リテーシュは妻のマーヤー(Radhika Chetan)と娘のアールナを高架道路で亡くしていた。ラチャナはリテーシュの態度に不自然なものを感じ、ナーヤクに知らせる。しかし停職中のナーヤクは取り合わない。ラチャナは仕方なしに、一体自分の身に何が起きるのか確かめようと、自ら高架道路のブロックをずらし、違法Uターンをする、、。

・その他の登場人物 : ラチャナの母(Sudha Belawadi)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★★☆
◎ 脚 本 : ★★★★☆
・私の期待/予想に合致するか否かということと作品の巧拙は関係ないし、こんなカンナダ映画を観たかった!と言う鑑賞者もいると思うが、私的には軽い失望を味わっている。よもやパワン・クマール監督からこれが出て来ようとは!

・いや、ストーリー展開の75パーセントまではすごく良かった。謎が謎を呼び、緊張感が途切れず、インド映画のスリラー物としては超傑作になるのでは、という予感のうちに鑑賞していた。しかし、落としどころは結局そこか、と。

・私は神様映画、ホラー映画、SF映画といった超自然的な映画も好んで観ているし、【Lucia】もSFっぽい要素の強い作品だった。そうすると、パワン・クマール監督はそもそも非合理的な映画を好む人なのかとも考えられる。しかし、【Lucia】ですんなり受け入れられた非科学的な要素が、本作では裏目に出ているように思われた。良いサスペンス映画では、犯人なり事件の真相なりが分かったときには晴れ晴れした心地よさが味わえるものだが、本作では「な〜んだ、、」と、力が抜けてしまった。

・しかし、根本的なアイデアには違和感が残るものの、本作には優れた点がいくつもある。まず、やっぱりパワン・クマール監督の脚本、演出が良い。また、【Lucia】でもそうだったように、俳優たち(名だたる俳優はほとんどいないのに)から十分な演技を引き出している。撮影、BGM、編集も秀逸で、インド映画を観てこんな怖い体験をしたことがあったかなと、ちょっと考えてしまうほどだった。

・何よりもうれしかったのは、パワン・クマール監督がベンガルール市民の交通マナーの悪さをテーマに取り上げてくれたことだ。ベンガルールに限ったことではないが、インドの大都市では、この違法Uターンだけでなく、逆走、信号無視、バイクの歩道走行、二重追い越し、巻き込み、方向指示器の出し忘れ、及び消し忘れ、夜間のライト無点灯走行、逆にハイビーム走行など、「こいつらアホか」と言わざるを得ないほどの馬鹿げた様相を呈している。私もよくぞ今まで交通事故死しなかったものだ。そんな状況だから、たとえ交通警察の片棒を担ぐような映画であっても、パワン・クマール監督がわざわざ英語字幕付きでベンガルールの恥を世界に晒してくれたことには溜飲が下がる。

・また、この表向きはっきりと語られたメッセージ以外にも、どうも本作にはパワン・クマール監督の内向きの哲学的思いが込められているようで、それが気にかかる(例えば「問うてはいけない問いがある」という台詞に表れているような)。「U」/「Uターン」という文字/言葉が何を象徴しているのかも今のところよく分からない。ただ、道路は合法であれ違法であれUターンできても、人生そのものはUターンできない、といったぐらいの意味はあったかもしれない。

・何であれ、あの嫁はんが(この嫁はんというのが、、)旦那に愛想を尽かして去って行くという結末のアイデアは、ある意味面白すぎると言えなくもない。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・シュラッダー・シュリーナート(ラチャナ役) ★★★★☆
 このお方の口からよもや「数学で28点取っちゃった!」なんて言葉が出て来るとは想像できないほど聡明そうなお顔の持ち主で、賢くて意志の強いラチャナ役にはぴったりだった。鮮烈度は高い。詳しいことは全く知らないが、口コミ情報では弁護士とのこと(本業がそうなのか、大学の専攻がそうだったのかは知らない)。

画像

・ロージャー・ナーラーヤン(警官ナーヤク役) ★★★☆☆
 この人も全く知らないが、ハリウッドでの経験もあるらしく、カンナダ系のNRIか? 台詞の滑舌の良さからすると、演技の勉強はきちんとしているようだ。
 (写真下: 本作のスチルではありません。)

画像

・ディリープ・ラージ(アーディティヤ役) ★★★☆☆
 久しぶりに見た。俳優というより声優での活躍のほうが多いディリープだが、イケボでちょいと魅力的な上司をまずまず演じていた。

画像

・ラーディカー・チェータン(マーヤー役)
 特にコメントはないが、【Rangi Taranga】(15)にインドゥ役で出演していた人。

画像

・【Lucia】に出ていたあの顔この顔がこちらにも友情出演しているかと期待したが、主だった役では警官役のクリシュナぐらいだった。

◎ BGM : ★★★★☆
・音楽は【Lucia】と同じプールナチャンドラ・テージャスウィ。歌は1曲もなかったが、BGMはすごく良かった。

◎ 衣 装 : ★★★★☆
◎ 撮 影 : ★★★★★
◎ 特殊効果 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★★☆
・撮影は3人の名前がクレジットされている。サティヤ・ヘグデは言わずと知れたカンナダの名カメラマン。アドヴァイタ・グルムールティは近作では【Devara Naadalli】(16)を担当した人。シッダールタ・ヌニは【Lucia】を担当した人。

・有名なストリート・アーチストのバーダル・ナンジュンダスワーミが美術を担当していると後から知った。

◎ その他(覚書)
・物語の焦点となった高架道路(flyover)は、KH Road(通称Double Road)から北上し、二又に分かれていて、Residency Road、Richmond Roadとを結ぶもの。ベンガルールに暮らしている人なら誰でも知っているし、何度も通ったことのあるはずの道路。ここでUターンしているバイクは一度か二度しか見たことないが、そういえば、分離帯のブロックがまっすぐ並んでいるのを見るのも稀だ。

・物語中に「Traffic Management Centre」というのが出てきて、すごい(ように見える)設備だったので、フィクション(セット)だと思っていたら、実在する施設だった(こちら)。

◆ 完成度 : ★★★★☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 5月21日(土),公開第1週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (Arch Mall),9:30のショー
・満席率 : 8割
・場内沸き度 : ★★★☆☆
・備 考 : 英語字幕付き

 

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
ナイス

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
【Urvi】 (Kannada)
 シュルティ・ハリハラン、シュラッダー・シュリーナートという今サンダルウッドでホットな2人に加え、シュウェーター・パンディトという、3人の女優が主役の映画ということで話題になっていたが、トレイラーも刺激的で、超楽しみな1本だった。 ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2017/03/21 20:45

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
【U Turn】 (Kannada) カーヴェリ川長治の南インド映画日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる