カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Kabali】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2016/08/30 20:13   >>

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 ラジニカーントの待望の新作【Kabali】を観て来た、、、なんて言うのも今さらだが、1ヶ月前に観たものの鑑賞記。
 本作の注目点は、私の判断では、なにせ【Lingaa】(14)が大コケしたスーパースターと、まだ2作しか撮っていない若手の、しかも非マサラ系の映画を発表してきたパー・ランジット監督とがタッグを組んで、一体どんな作品になるのだろう、ということなのだが、巷間はそんなことを超越してラジニ映画として大騒ぎしていた。
 物語の舞台がマレーシアだというのも話題だった。私はこれをクアラルンプールで観たが、それは物語の舞台だということを意識したからではなく、単に一時帰国の往路でクアラルンプールで途中下車して鑑賞しただけのことである。ちなみに、私が観た映画館はニューセントラル・モール内にあるGSCというマルチプレックスだったが、チケットを買ったらオマケに本作の絵ハガキをくれた(下)。

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【Kabali】 (2016 : Tamil)
脚本・監督 : Pa. Ranjith
出演 : Rajinikanth, Winston Chao, Radhika Apte, Kishore, Nasser, John Vijay, Dhansika, Dinesh, Kalaiyarasan, Charles Vinoth, Mime Gopi, Riythvika, R. Amarendran, Hari Krishnan, Lingesh, Nandakumar, その他
音楽 : Santhosh Narayanan
撮影 : G. Murali
編集 : Praveen K.L
制作 : Kalaipuli S. Thanu

題名の意味 : カバーリ(主人公の名前)
映倫認証 : U(インドでの認証。マレーシアでは「P13」)
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション
公 開 日 : 7月22日(金)
上映時間 : 約2時間25分

《 あらすじ 》
 マレーシアのマフィアのドン、カバーリ(Rajinikanth)が25年の刑期を終え、出所する。彼はライバルのギャング――トニー・リー(Winston Chao)、ヴィーラ(Kishore)、タミル・マーラン(Charles Vinoth)、ローガ(Mime Gopi)、ヴェール(R. Amarendran)ら――に罠にはめられ、謂れのない罪で獄に繋がれていたのであった。当時妊娠していた妻のクムダ(Radhika Apte)も射殺されたと思われていた。カバーリは出所するなり、早速かつての仲間アミール(John Vijay)らと合流する。この時、ジーヴァ(Dinesh)という青年もカバーリの忠実な部下となる。
 カバーリは自分を罠にはめた1人のローガに会う。ローガはカバーリの妻クムダを侮辱したため、カバーリはローガを車で轢き殺す。しかし、この時のローガの話から、カバーリは妻が今も生きており、その鍵を握る人物がヴェールだと考えるようになる。
 カバーリの出所に対して、ライバルのヴィーラはヨーギ(Dhansika)という刺客を雇い、カバーリの命を狙わせる。
 ある夜、カバーリはタミル・クマーラン(Kalaiyarasan)に襲われるが、事なきを得る。タミル・クマーランは、25年前にカバーリを裏切ったタミル・マーランの息子だが、カバーリがタミル・マーランを射殺していたため、その仇を討とうとしたのであった。また、タミル・マーランは、カバーリのかつてのボス、タミル・ネーザン(Nasser)の息子だった。
 カバーリはアミールの運営する「Free Life Foundation School」の式典に出席する。この施設は、非行に走った青年たちを更生させようとするものだった。カバーリはここで青年たちに、自分がいかにしてドンとなり、投獄されたかを語って聞かせる。
 ・・・
 クアラルンプールに勢力を張るドンのタミル・ネーザンは、抑圧されていたマレーシア・タミル人の権利のために活動する高徳の人物だった。若き日のカバーリはタミル・ネーザンに仕え、アミールやヴィーラも仲間だった。だが、ヴィーラは麻薬や売春に手を染めないタミル・ネーザンに見切りをつけ、トニー・リーらと共謀して彼を殺害してしまう。
 タミル・ネーザン亡き後、組織を引き継いだのはカバーリだった。これを快く思わないヴィーラは、タミル・ネーザンの息子タミル・マーランをそそのかし、罠を張ってカバーリを獄に放り込んだ、というわけであった。
 ・・・
 カバーリの回想を聞いたタミル・クマーランは、カバーリを襲ったことを悔い、彼にクムダの生存の鍵を握るヴェールが現在タイにいると教える。カバーリとタミル・クマーランは、アミール、ジーヴァを伴い、バンコクへと飛ぶ。一同はヴェールに会うが、その時、ヴィーラの部下と刺客のヨーギに襲われる。だが驚いたことに、ヨーギこそがクムダの生んだカバーリの実の娘だと分かり、カバーリらはヨーギに救われる。
 カバーリらはヨーギを伴い、クアラルンプールに戻る。だが、戻るや、カバーリは銃撃され、怪我を負う。今やクアラルンプールを牛耳るマフィア「Gang 43」のドン、トニー・リーとヴィーラの仕業だったが、幸いカバーリは重症に至らず、彼はトニー・リーらに挑戦状を叩き付ける。
 ヨーギやヴェールの回想から、妻クムダは現在も生きており、インドに暮らしていることが分かる。カバーリとヨーギはクムダ捜しのため、チェンナイへと飛ぶ、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・とにかく、ランジット監督による非ラジニ映画にラジニが主演するのか、ラジニ主演によるラジニ映画をランジット監督が撮るのか、はたまたラジニ映画と非ラジニ映画の中道を行くのか、興味津々だったが、結論から言うと、三番目のオプションだった。

・本作のラジニカーントは本当にカッコいい。強度のラジニ・ファンはもちろん、少しでもラジニが好きな人なら、スーパースターへの愛が深々と深まるような作品なのだが、ギャング映画として見た場合、実はそれほど面白みのある内容でもなく、ラジニが主演でなければ退屈なものだったかもしれない。

・そう言った意味では本作は「ラジニ映画」だと言えるが、しかし、ヒーロー像やマンネリ、パンチダイアローグが抑えめで、【Baashha】(95)や【Muthu】(95)、【Padayappa】(99)とは似ても似つかない。それで、ラジニ映画であってラジニ映画でないという、不思議な感覚の作品になるわけだが、【Lingaa】でラジニによるラジニ映画が必ずしも機能しないことが分かった今、ランジット監督が中道を選択したのも理に適っているように思える。

・話がそれるが、先日、たまたまテレビで【Padayappa】を再見したが、べらぼうに面白かった。同じラヴィクマール監督でラジニ主演なのに、どうして【Lingaa】がこけてしまったのかは、脚本とか俳優たちのパフォーマンスの違いというのもあるかもしれないが、やはり時代の違いになるのか?

・さて、「ラジニ映画であってラジニ映画でない作品」という観点から本作を見ると、合格点だと言えるが、やはりどっちつかずの感は拭えず、完成度が高いとは言えない。ランジット監督の前作【Madras】(14)ほどの緻密さやユニークさはないし、【Muthu】や【Padayappa】ほどの力強さはない。往年のラジニ映画という点では、本作に笑いの要素が全くないというのは、興行成績にダメージを与えると思う。(と、マジで思ったが、早々と300カロール突破のブロックバスターになってしまった。)

・ギャング映画としてそれほど面白みのある内容ではないと書いたが、マレーシア・タミル人に焦点を当てたというのはユニークなアイデアだと思う。主人公に、マフィアだが、同胞のために尽力するという任侠的性格がすんなり付与できるからである。タミル人にとっては、異郷の物語だとは言え、タミルの民族的連帯感というのも感じられ、それが彼らの心をつかんだのかもしれない。

・ヤクザ世界の信頼と背信(裏切り)の不透明感がうまくストーリーに織り込まれ、一種異様な緊張感のあったのが良かった。

・クライマックスは面白かったが、ややくどい感じもした。くどいと言えば、カバーリの妻クムダ捜しの展開がだらだら引き摺りすぎたようで、泣きどころのはずだが、私的には盛り下がった。

・上述のとおり、私が観たのはマレーシア版(マレー語吹き替え版ではない)だが、これがどうもインド本国で公開されたタミル版とは違うらしい。本国タミル版のラニングタイムは2時間32分とのことだが、マレーシア版は2時間25分ぐらいしかなかった(暴力シーンとかがカットされているらしい)。エンディングも違っており、本国タミル版は結末はあえて曖昧な形にしているようだが、マレーシア版はカバーリの命運をはっきりと字幕で示していた。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
 配役はタミル映画界のタレントだけでなく、他州、他国の俳優が混じるユニークなもの。パー・ランジット監督のお気に入りが脇役として複数起用されている。

◎ 演 技
・ラジニカーント(カバーリ役) ★★★★☆
 私の思いはただ一つ、「スーパースター」のラジニじゃなく、「俳優」ラジニの演技が見たい、ということなのだが、その線では本作は概ね満足。昔のラジニに戻ったような、ラジニの人間としての魅力が滲み出るパフォーマンスだった。演じている年齢が比較的実年齢に近いというのも成功の理由だろう。と言って、ジジくさいわけではなく、活力が十分あって安心した(出所時の懸垂とか、クライマックスの二丁拳銃とか)。
 (写真下: 若き日のカバーリ。出所後の白髭がウリだったが、こちらもハンサム。妻クムダ役のラーディカー・アプテーと。)

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・ウィンストン・チャオ(トニー・リー役) ★★★☆☆
 中華系の俳優には馴染んでいないので、この方が悪役と言われてもピンと来なかった。日頃見慣れているインド映画の悪役に比べると、さっぱりしすぎているように感じた。

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・キショール(ヴィーラ役) ★★★☆☆
 その点、こちらのお方はインド・ヤクザの下品さを一身に体現しているようで、良かった。ヅラあり、ヅラなしの二相のキショールが楽しめる。

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・ラーディカー・アプテー(クムダ役) ★★☆☆☆
 あまり台詞もなかったし、カバーリとの再会の瞬間を除いては難しい演技どころもなかったので、わざわざこの方を起用する必要があったのかなと。美人に撮ってもらっていたわけでもないし、25年の歳月が過ぎてもほとんど老けていないメイクだったし、本作の疑問点の一つ。

・ダンシカー(ヨーギ役) ★★★☆☆
 こっそり応援しているダンシカーだが、男っぽくクールな役で、良かった。

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・ジョン・ヴィジャイ(アミール役) ★★★☆☆
 印象的。相変わらず良い面構え。
 (写真下: 当時のマレーシア・タミル人の間で、こんなファッションが流行していたのだろうか?)

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・その他、ランジット監督のお気に入りとして、ディネーシュ(ジーヴァ役)、カライヤラサン(タミル・クマーラン役)、リトウィカー(ミーナー役)がそれぞれそれなりの働きをしている(写真下は【Attakathi】でお馴染みのディネーシュ)。

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◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★☆☆☆☆

◎ アクション : ★★★★☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 7月28日(木),公開第1週目
・映画館 : GSC - Nu Sentral (Kuala Lumpur),14:30のショー
・満席率 : 6割
・場内沸き度 : ★★☆☆☆

 

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