カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Neerdose】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2016/09/22 20:41   >>

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 カンナダ女優のハリプリヤーはなぜか早くから、2009年の【Male Barali Manju Irali】辺りから「ハリピー」と呼んで注目してきたが、長い鳴かず飛ばず期を経て、【Ugramm】(14)、【Ricky】(16)と、やっと主演級女優の座を獲得してくれて、うれしい。

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 そんなハリピーが娼婦の役をやるというので話題だったのがこの【Neerdose】。最初はハリピー目当てだけで観るつもりだったが、調べたら、監督が【Sidlingu】(12)のヴィジャヤ・プラサードだった(【Sidlingu】はいくつかの映画賞を獲得した佳作)。出演もジャッゲーシュ、ダッタットレーヤ、スマン・ランガナータンと渋い顔ぶれだし、公開後の評判も良く、期待の1作となっていた。

【Neerdose】 (2016 : Kannada)
脚本・監督 : Vijaya Prasad
出演 : Jaggesh, H.G. Dattatreya, Hariprriya, Suman Ranganathan, 他
音楽 : Anoop Seelin
撮影 : Sugnan
編集 : Suresh Urs
制作 : S. Prasanna, S. Shashikala Balaji

題名の意味 : ニールドーセ(食べ物の名前)
映倫認証 : A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : コメディー/ドラマ
公 開 日 : 9月3日(土)
上映時間 : 2時間15分

《 あらすじ 》
 ジャッゲーシュ・クマール(Jaggesh)はベンガルール都市公社が運営する霊柩車の運転手。仕事が仕事だけに、また糖尿病持ちとあって、37歳になっても結婚できないでいた。ダッタットレーヤ(H.G. Dattatreya)は公共事業局を定年退職した隠居老人。彼は生涯独身で、身寄りといえば大学教師の姉のみだったが、その姉も最近亡くしていた。
 ダッタットレーヤの姉の遺体をジャッゲーシュが運んだ縁で、二人は友達となっていた。二人は現金収入を上げるために、それぞれの家を他人に貸し、自分たちは安下宿の一室を共同で借りていた。
 ダッタットレーヤは老人といっても、人生の楽しみを全く捨てておらず、現にクラブダンサーのクムダ(Hariprriya)に惚れていた。クムダはダンサーだけでなく、娼婦でもあった。ちなみに、彼女の値段は3万5千ルピーだった。
 ダッタットレーヤとジャッゲーシュは共にクムダに入れあげ、クラブの内外で口説こうとする。だが、その過程でクムダの子供時代の体験を知る。浮気性のクムダは中学生のとき、シュリーパーダとナンジュンダという2人の同級生に二股を掛けていたが、それがばれて、両人から手酷い嫌われ方をする。その体験がトラウマとなり、クムダは自分のことを堕落した女だと思い込むようになっていた。しかし、ダッタットレーヤとジャッゲーシュはクムダに「ガンゲー・プージャー」を行わせる。生まれて初めてまっとうな女として扱われたことに、クムダは涙する。
 ジャッゲーシュはシャーラダ・マニ(Suman Ranganathan)という女性と見合いをしていた。シャーラダは「ムーラ・ナクシャトラ」という不吉な星の下に生まれたせいで、36歳になっても結婚相手が見つからなかった。それでミルク売りをして生計を立てていた。ジャッゲーシュとシャーラダは最初はぎくしゃくした関係だったが、どこか心通じるものを感じ始める。
 ジャッゲーシュ、ダッタットレーヤ、クムダの三人はマンガルール近郊のスラトカルという所へ車で旅行することにする。ジャッゲーシュの亡父の恋人マノーラマに会うためである。ジャッゲーシュの母は家出をして行方知れずだった。粉挽き機の販売をしていたジャッゲーシュの父は、仕事でしばしばマンガルールを訪れていたが、その時マノーラマと出会い、恋仲となったわけである。父の最期を看取ったのもマノーラマだった。ジャッゲーシュはマノーラマに会い、母として扱う。
 そうこうしているうちにジャッゲーシュはシャーラダから連絡をもらい、さっさと結婚しようと告げられる。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★☆☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・実にハートウォーミングな映画だった。好き。

・カンナダ映画には、ストーリーらしいストーリーはなく、台詞主体でドラマが進み、主要登場人物がのべつまくなしに喋っているというタイプの映画が多い。いや、多くはないのだが、そういう映画的には地味な作品がしばしばヒットして、驚かされたりする。グルプラサード監督(【Mata】【Eddelu Manjunatha】)やヨーガラージ・バット監督(【Pancharangi】【Vaastu Prakaara】)、若いところではスニ監督(【Simpallag Ond Love Story】)やパワン・ウォデヤル監督(【Govindaya Namaha】)などの作品がそうだが、本作もそれ系の映画だった。となると、言葉が分からないときついはずだが、不思議と本作は感動できた。

・ただ、本作最大の目玉と言える、セックスや性に関するジョークの大半が分からず、残念だった。このジョークのおかげで、ほんわかしたヒューマン・コメディーなのに、「A」認証が付いている。

・好きな理由は、本作がユニークな視点で社会的逸脱者を描いているからだ。主要登場人物の四人はそれぞれ何らかの理由で結婚とは縁がない。ジャッゲーシュは職業により(たぶんカースト的理由もあるだろう)、クムダは過去からのトラウマにより、シャーラダは占星術により、ダッタットレーヤは「ブラフマーチャーリヤ」と言っていたが、たぶん偏屈な性格だったのだろう。インドのスタンダードでは、独身の誓いでも立てない限り「結婚は当たり前」で、結婚できない者は悪く言えば落ちこぼれとなり、それなりの悲哀を味わう。本作はそういう四人に対して、互いに慰めを与え、笑いのうちに魂を昇華させている。

・この四人に縁のあった食べ物が「ニールドーセ(ニールドーサ)」だが、彼らのそれぞれのエピソードとニールドーセの結び付けはこじつけっぽい。しかし、最後に「人生はニールドーセのような(簡単な)もの」と歌って踊って終わるところは、インドらしくて素晴らしい。ちなみに「ニールドーセ」はカルナータカ州西海岸のトゥルナードゥが本場のドーサで(ベンガルールでもあちこちで食べられるが)、柔らかい触感が本作のムードにはあっている。

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・クムダが癒される「ガンゲー・プージャー」というのがよく分からない。現地人に聞くと、ガンジス川でのプージャーという意味より、家などを建築する際に地下水を得ようとボーリングをするが、その水が出たときに行うプージャーのことらしい。それが行えるのは身持ちの良い女性だけらしく、それでダッタットレーヤとジャッゲーシュはあえて身持ちの悪いクムダにそれを行わせた、という話らしい(要確認)。

・シャーラダ・マニの婚期を遅らせた「ムーラ・ナクシャトラ」という星宿については【Karvva】(16)でも扱われていた。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・ジャッゲーシュ(ジャッゲーシュ・クマール役) ★★★☆☆
 改めてこの人の台詞の上手さが実感できる演技だった。
 (写真下: このスチルを先に見ていたら、本編は観に行かなかったかも。)

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・ダッタットレーヤ(ダッタットレーヤ役) ★★★★☆
 いや、私の人生の指針としたいお爺さんだった。ちなみに、本作が映画出演100本目らしい。(このお方が元空軍の軍人だとは知らなかった。)

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・ハリプリヤー(クムダ役) ★★★★☆
 「あちゃ〜」となりそうな娼婦の演技だったらどうしようかと心配したが、なかなか良かった。台詞も【Ugramm】の頃に比べると格段に良かったが、これはアフレコが付いた? タバコは本当に吸えるようだった。

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 何と言っても、この寒ブリのような皮下脂肪のノリがあっぱれ。身長が177センチあるらしいので、実物を見たら圧倒されるだろうな。

・スマン・ランガナータン(シャーラダ・マニ役) ★★★☆☆
 何度も言うが、ヒンディー映画【Aa Ab Laut Chalen】(99)ではアイシュワリヤー・ラーイと渡り合った彼女も、今や42歳。本作でも地味な役柄だった。そこがまた良いのだが。

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◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★★☆
・歌は大衆的なカンナダ調だが、BGMが良かった。

・歌の1つにあった“Just married and died”というのは、私の周りの既婚男性がよく口にしている言葉。

◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 9月18日(日),公開第3週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (Arch Mall),9:45のショー
・満席率 : 5割
・場内沸き度 : ★★★☆☆

 (オマケ画像: こういうスチルを見る度に、スターはいいなぁと素直に思う。)

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