カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Doddmane Hudga】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2016/10/05 21:02   >>

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 プニート主演で【Doddmane Hudga】(お館の息子)という、いかにもな題名の映画が製作されていることは早くから知っていたが、その監督がスーリだと知ったときは「ありゃ?」と思った。カンナダ映画ファンなら誰しもが楽しみにしている【Kendasampige】(15)の続編(正確には、前編)【Kaage Bangara】はどこへ行った?と思った人も多いだろう。本作はプニートの主演25本目記念作品とのこと。そのため、【Jackie】(10)、【Anna Bond】(12)と、プニートとは相性の良いスーリ監督に白羽の矢が立ったのは分からないこともないが、何だかスーリ監督がカンナダ映画界のドッダマネに魂を売ってしまったようで、嫌だな。

【Doddmane Hudga】 (2016 : Kannada)
脚本・台詞・監督 : Suri
出演 : Puneeth Rajkumar, Ambareesh, Radhika Pandit, P. Ravi Shankar, Avinash, Krishna, Srinivasa Murthy, Sumalatha Ambareesh, Bharathi Vishnuvardhan, Rangayana Raghu, Udaya Raghav, Chikkanna, Mico Nagaraj, Satyajit, H.G. Dattatreya, Prasanth Siddi, B. Suresha
音楽 : V. Harikrishna
撮影 : Satya Hegde
編集 : Deepu S. Kumar
制作 : M. Govinda

題名の意味 : お館の息子
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション
公 開 日 : 9月30日(金)
上映時間 : 2時間17分

《 あらすじ 》
 スーリヤ(Puneeth)はフッバッリでビリヤーニ屋台を営む気の好い若者。父のマッランナ・ガウダ(Srinivasa Murthy)と二人暮らしだったが、スーリヤはマッランナの実の息子ではなく、マンディヤのとある村の地主ラージーワッパ(Ambareesh)の一人息子だった。少年の頃、父との確執から家出をし、フッバッリで成長したというわけであった。
 そのマンディヤのラージーワッパは、村人から非常な尊敬を集めるお館様だったが、自分に息子がいないため、甥のクリシュナ(Krishna)を跡取りとして可愛がっていた。クリシュナの母(ラージーワッパの姉:Bharathi Vishnuvardhan)はさる事情から精神に異常をきたしていた。
 ラージーワッパの村の土地を、極悪事業家のケーブル・バーブ(P. Ravi Shankar)が狙っていた。彼は顧問弁護士スッブ(Avinash)の入れ知恵で、この村に化学工場を建設しようと企んでいた。だが、ケーブル・バーブはラージーワッパに殴り飛ばされる。
 ケーブル・バーブの弁護士スッブにはニシャー(Radhika Pandit)という娘がいたが、彼女は芝居の公演のため、たまたまフッバッリに来ていた。そして夜、悪漢に襲われそうになったところをスーリヤに救われる。ニシャーは裕福な身だったが、芝居ではウシャーという貧しい娘の役を演じる予定だった。それでニシャーはスーリヤに自分はコーラール出身の貧乏なウシャーだと自己紹介してしまう。後にこの二人は恋仲となる。
 腹の虫の収まらないケーブル・バーブは、化学工場建設のために、ラージーワッパの甥クリシュナを抱き込むことに成功する。クリシュナは野心家で、ビジネス上の成功を得たいがため、叔父を裏切ったというわけであった。クリシュナは、ラージーワッパが村人たちから預かっていた土地を抵当に入れたローンの書類を盗み出し、それをケーブル・バーブに渡す。騙されたと誤解した村人たちはラージーワッパに抗議したため、彼は詐欺罪で投獄されてしまう。
 一方、フッバッリでは、スーリヤの養父マッランナが病気で入院する。その治療費を用立てしてもらうために、スーリヤは交流のあったローカルドンのパテール(Mico Nagaraj)に相談するが、パテールはある仕事をしてくれたら金を出すと言う。それはマンディヤのラージーワッパを獄中で暗殺することだった。
 スーリヤはその任務のために牢獄に入る。しかし、ラージーワッパの命を狙う者は他にもおり、スーリヤは逆にラージーワッパを救出する。この一件で、スーリヤがラージーワッパの実の息子であることが家族一同に知れる。スーリヤは、父を赦せない過去があるものの、実の母(Sumalatha)に懇願され、家名を守るために、マンディヤに残ってケーブル・バーブと闘うことにする、、。

・その他の登場人物 : マンジャ(Udaya Raghav),ランガ(Chikkanna)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★☆☆☆
◎ 脚 本 : ★★☆☆☆
・ざっくりした印象を言うと、典型的な、あまりにも典型的なマサラ仕立てのヒーロー・アクション映画で、それ自体が悪いわけではないが、あまり面白くなかった。【Kaage Bangara】を後回しにしてまで撮らなければならない作品かなぁ?

・スーリ監督が自分の作家性に蓋をしてまで職人監督に徹したのは明らか。多少ぶっきらぼうな作りで、貧困層への眼差し、それに「片足」の登場人物など、スーリ監督作品らしい道具立ては見られたが、限定的。それもかまわないが、映画自体が一にも二にも面白くなければ話にならない。典型的な定式映画を撮っても、「やっぱりスーリ!」と言わせるものを観せてほしかった。

・スーリ監督の(というか、本作の)意図は明らか。そりゃあ、「プニート主演第25作記念映画」というのだから、徹底したプニート持ち上げ映画になっているのは当たり前。カンナダ旗ぶんまわしのオープニングソング、寺院の沐浴場からの出現、神輿引き、果てはお館様用の玉座に腰掛けるまで、実に威勢が良かった。

・もちろん、ラージクマールの御威光担ぎもある。それと関連するが、スーリヤ(Puneeth)が父ラージーワッパ(Ambareesh)のことを憎しみを込めて「ワジラムニ」(ラージクマールとよく共演した往年の名悪役俳優)と呼ぶのが面白かった。

・加えて、本作には「カンナダ賛歌」という意図もある。正確には、「プニート持ち上げ」と「カンナダ賛歌」を同義とし、プニート・ラージクマールをカンナダ統合の一つの象徴にしようという意図が感じられる。そのため、スーリヤにカンナダ旗を担がせるだけでなく、彼は北カルナータカ弁だけでなく、カルナータカ州のあらゆる方言が話せるという設定になっていた。物語の舞台をマンディヤとフッバッリにしているのにも注目(つまり、ベンガルールは州都でありながら純カンナダとはみなされず、マフィアや腐女子の現れる堕落都市だと保守系カンナダ映画では描かれる)。

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・しかし、プニートをしてカンナダのシンボルとするのには無理があるように見えた。フッバッリといえば、ラージクマールの名作【Aakasmika】(93)の舞台ともなり、チェンナンマ像の前で歌われた"Huttidare Kannada"は今もカンナダ州歌と言ってもいいほど、カンナダ人から愛されている。しかし、当時ラージクマールは60代中盤で、十分カルナータカの象徴となり得るカリスマを備えていた。プニートのカリスマというのはまだファン限定のレベルなので、従って、彼によるカンナダ統合というのは正当化されないと思った。

・というわけで、本作は面白さはさて置き、サンプル的価値が詰まっているので、もしインド映画博物館というものがあるならば、カンナダ映画室に保管してもいいような作品だった。

・化学工場建設を巡って父的存在とその息子/甥が対立し、別の甥/息子が父と協力するというのは、先日観たテルグ映画【Janatha Garage】と同じプロットだった。しかし、ぶれがない分、この【Doddmane Hudga】のほうが良かったと思う。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・プニート・ラージクマール(スーリヤ役) ★★★☆☆
 面白いように持ち上げられていたプニートだが、上に書いたとおり、足りないものは感じる。実際、プニート以外のどんなスターでもできそうな役柄なので、それをプニートだからこれだけの作品になった、というレベルにまで上げてほしいという期待感があったのに、それにプニートが応えていない。

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・アンバリーシュ(ラージーワッパ役) ★★★☆☆
 ケーブル・バーブ(P. Ravi Shankar)の奥歯が飛ぶほどのパンチを見せていたレベルスターだが、もう相当に体が悪いのか、見て痛々しいものを感じた。役柄では酒呑みで酒癖が悪いという設定になっていたが、こりゃ楽屋でもウケただろうな。

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・ラーディカー・パンディト(ニシャー役) ★★★☆☆
 ベンガルール出身の、屋台でビールも平気で飲む腐女子をごく平均的に演じていた。胸が大きく見えたが、リアル?、、じゃないと思う。

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・ラヴィシャンカル(ケーブル・バーブ役) ★★★☆☆
 本作ではコメディー的側面でも見るところあり。この人が成長したおかげで、プラカーシュ・ラージがカンナダ映画界では悪役をする必要がなくなった。

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・クリシュナ(クリシュナ役) ★★☆☆☆
 特にコメントはないが、一応、主演作もある俳優らしい。

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・バーラティ・ヴィシュヌヴァルダンとスマーラタ・アンバリーシュが出演しているが、バーラティはさすがに老いたと思う。それにしても、本作はクレジットに「Rajkumar」、「Vishnuvardhan」、「Ambareesh」が並ぶ、すごいものだった。

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◎ 音 楽 : ★★☆☆☆
◎ BGM : ★★☆☆☆
◎ ダンス : ★★★☆☆
・歌は平凡だが、音楽シーンはカンナダ映画にしては頑張って豪華に作っていた。

◎ アクション : ★★★★☆
◎ 衣 装 : ★★☆☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・アクション・シーンは、一つ一つはキレがあったが、全体的にメリハリがないように感じた。

◎ その他(覚書)
・Prasanna Theatreでこんな凄いカットアウトが立っていた。7体並ぶのは珍しい(私は初めて見た)。左右の3体ずつがプニートで、真ん中はラージクマールとパールヴァタンマの像だった。

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◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 10月1日(土),公開第1週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (Arch Mall),10:00のショー
・満席率 : 9割
・場内沸き度 : ★★★☆☆
・備 考 : 英語字幕付き

 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
英語字幕はフブリ・アクセントが分かんない観客のための配慮何でしょうかね。
メタ坊
2016/10/07 19:05
思い至りませんでしたが、そういう配慮もあるかもしれませんね。
実際、映画の中でも、フブリ・アクセントを習ったヒロインが主人公ととんちんかんな会話をするというシーンがありましたが、それからすると、けっこう通じないもののようですね。
 
カーヴェリ
2016/10/08 09:56

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