カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Dana Kaayonu】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2016/10/19 21:56   >>

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 先日カンナダ映画の【Idolle Ramayana】を観、娼婦役のプリヤーマニに一定の満足感を覚えたが、この【Dana Kaayonu】はもっと凄そうな「村の牛飼い娘」役のプリヤちゃんが見られるということで、さらに鼻血ぶうな予感。いや、前回のタマンナーの田舎娘役といい、このお祭りシーズン、南インド映画のラインナップはオレのためにあるぜ!

【Dana Kaayonu】 (2016 : Kannada)
物語・脚本・台詞・監督 : Yogaraj Bhat
出演 : Duniya Vijay, Priyamani, Rangayana Raghu, Suchendra Prasad, Vijanath Biradar, Veena Sunder, Jahangir, M.N. Lakshmi Devi, Natasa Stankovic(特別出演), Shankara(雄牛), Gowri(雌牛), 他
音楽 : V. Harikrishna
撮影 : Sugnan
編集 : Deepu S. Kumar
制作 : Kanakapura Srinivas, Srikanth

題名の意味 : 牛飼い
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : 風刺コメディー
公 開 日 : 10月7日(金)
上映時間 : 2時間30分

《 あらすじ 》
 ドコモ(ケンプ:Duniya Vijay)はとある村落に暮らす牛飼い。彼は親類のクリシュナッパ(Vijanath Biradar)、サブシディ(Rangayana Raghu)らと「シャンカラ」という名の1頭の雄牛を所有していた。ドコモは同じ村に暮らすジュンミ(Priyamani)に惚れていたが、警察官志望の彼女が靡く気配は全くなかった。ジュンミも「ガウリ」という名の1頭の雌牛を所有していたが、皮肉なことに、ドコモのシャンカラとジュンミのガウリは相思相愛だった。
 ある日、この村に外国企業の調査員(Natasa Stankovic)がやって来、村にいる牛の1頭1頭から血液を採取する。もちろんその牛にはシャンカラも含まれていた。
 クリシュナッパらは酪農施設を作ろうと思い、町の銀行にローンの申込みに行く。しかし銀行側からは、クリシュナッパらの唯一の資産である雄牛シャンカラには1ルピーの価値もないとして、却下される。ドコモはジュンミの土地を抵当にローンを組もうと考え、彼女に懇願するが、冷たくあしらわれる。
 この村の村長(Suchendra Prasad)は、その父がかつてクリシュナッパの父の所有する牛に殺された経緯があった。それで村長の妻(Veena Sunder)はクリシュナッパらとシャンカラを嫌い、この村から追い出そうとしていた。と、そんな折に、村長らが新居祝いのプージャーをしている際に、その場にシャンカラがやって来て、村長の妻の金の首飾りを飲み込んでしまう。いよいよ激怒した村長らはシャンカラを捕えて殺そうとするが、そこはドコモが救う。しかし、ドコモはシャンカラの身の安全を考え、シャンカラを解放して去らせる。
 だが、ちょうどその時、例の外国企業の調査員が再びやって来、シャンカラこそが探し求めていた遺伝子を持つ牛だと伝え、9千万ルピーで買い取る提案をする。ドコモらはシャンカラを探すが、見つからない。このことは村人にも知れ、村長らは手のひらを返したようにクリシュナッパらを遇する。
 ジュンミは警察官試験に合格したものの、賄賂が払えなかったため、警官に任命されていなかった。そのため、彼女はまとまった金額の金を必要としていた。そんな時に、彼女のガウリがシャンカラを見つける。ジュンミはシャンカラを廃屋に閉じ込める。そして、シャンカラの糞から金の首飾りも見つける。
 これに勢いを得たジュンミはドコモからを現金をせしめようとするが、ドコモが拒否したため、彼女はますます貪欲な振る舞いに出る、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★☆☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・唖然となる映画だった。どちらかと言うと、都会に暮らす現代人の心の不均衡を癒すような映画を撮ってきたヨーガラージ・バット監督が、こうも田舎くさい映画を発表しようとは! 本作もおそらくヒットを記録すると思うが、今年のカンナダ映画は【Kiragoorina Gayyaligalu】【Thithi】と、田舎映画の当たり年だ。

・どこを取っても田舎臭漂う映画なのだが、物語のテーマの1つは人間の貪欲なので、これは田舎に限った話ではない。価値が低いとして、世間から見下されている者が、何かの拍子でお金持ちになると、周囲の人間が手のひらを返したようになるという話は、バンガロールを舞台にしてもできる。しかし、本作はこのプロットに牛と牛飼いを持ってきたことにより、何ともユニークな内容の映画になっている。

・しかも、牛をモチーフにしたことにより、インドならではのメッセージを持つ作品になっている。牛はインド人(ヒンドゥー教徒)にとって重要な存在であることは言うまでもなく、牛肉を食することの禁忌の他、近ごろではイスラーム教徒やキリスト教徒による牛の屠殺に対する風当たりも強くなっている。しかし、そうしたこととは別の流れも起きている。それは、外国産乳牛の忌避ということである。インド在来の牛は牛乳の供給量がそれほど多くない。そこで、大手酪農メーカーは外国から乳のよく出る乳牛を輸入し、餌に薬を投与したりして、牛乳の生産量を上げている。これを厳しいヒンドゥー教徒が問題視し、それまで乳製品を食してきたベジタリアンも、牛乳より豆乳、パニールより豆腐、という流れも起きている。こうした現象に呼応して、本作はインド本来の牛の価値と、牛とインド人を巡る関係を見直そうというメッセージとなっている。

・それだけでなく、本作がある意味すごいのは、登場する牛(シャンカラとガウリ)が、言葉を話すわけではないが、感情や思考が観客に分かるように描かれており、登場人物と同等の役割を担わされていることだ。これにより、「(悪しき)人間対動物」、「人為対自然」の対立において、完全に後者が勝利を収めるという、(善き)人間と自然の一致というメッセージがはっきりと確立されている。いや、なかなかパワフルな映画だった。
 (写真下: 颯爽たる黒牛のシャンカラだった。)

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・ただ、そうは言っても、田舎者たちがひっきりなしに大声を上げて喋りまくるという台詞の使い方は、鑑賞にかなりの忍耐を要した。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・ドゥニヤ・ヴィジャイ(ドコモ役) ★★★★☆
 すごい演技をしているわけではないが、はまりすぎていたので、4つ星贈呈。
 (写真下: 牛糞だけでなく、牛尿にもまみれていたぞ。)

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・プリヤーマニ(ジュンミ役) ★★★★☆
 なにせカンナダ映画界が誇る怪力男のブラックコブラととっつかみ合いの喧嘩をするわ、牛と一緒にアクションをするわ、音楽シーンでは田舎バーのダンサーをやるわ、アマゾネスみたいな扮装をするわ、婦人警官の制服も着るわで、上へ下への大騒ぎだった。【Idolle Ramayana】と同じくアフレコが付いていたのが残念だったが、ほぼすっぴんの顔が見られたのはお得。こんな親も泣くような役柄をやって、決まった婚約が破棄となれば、しめたものだが。

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・ナターシャ・スタンコヴィッチ(外国企業の調査員役) ★★★☆☆
 全く知らない人だったが、セルビア人のモデルで、ヒンディー映画に出演、というより、テレビ番組の「Bigg Boss」に出演して知られるようになったようだ。本作ではサリーを着てダンスをするシーンもあり、それがキレのあるダンスで良かった。こういう欧州の白人娘をちゃっかり田舎映画に出演させるところなど、ヨーガラージ・バット監督もやるな。
 (写真下: 本作のスチルではありません。)

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・田舎映画には欠かせない顔のビラーダル爺もなかなかな芝居を見せていた。
 (写真下の左。サブシディ役のランガーヤナ・ラグと。)

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◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★★☆☆
・田舎映画といえばアートフィルム、と思いがちだが、楽しい音楽シーンが数曲入っていた。

◎ アクション : ★★★★☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 特殊効果 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・牛も巻き込んだアクション・シーンが迫力あった。

◎ その他(覚書)
・舞台となった村がどこにあるのか分からないが、岩がごろごろした、デカン高原特有の風景だった。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 10月15日(土),公開第2週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (Arch Mall),15:30のショー
・満席率 : 7割
・場内沸き度 : ★★★☆☆

 

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カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2016/11/15 20:51

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ぜひ破談になって欲しいです。あんなチャラチャラした成金男と結婚したって幸福になれるわけありません。
メタ坊
2016/10/20 20:52
それを期待しています。
ところで、この映画のプリヤちゃんは見ものなので、ぜひご覧になってください。
 
カーヴェリ
2016/10/21 09:06

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