カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Pulimurugan】 (Malayalam)

<<   作成日時 : 2016/11/15 20:51   >>

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 今年のマラヤーラム映画界はモーハンラールの当たり年のようで、先日紹介した【Oppam】がヒットした上に、1週間後に公開された本作【Pulimurugan】も記録的な大ヒットとなっている。配役も魅力的だったので、早く観たかったが、映画館と上映時刻が私にとって不都合だったため、叶わなかった。で、待つこと5週間で、やっと観ることができた。

【Pulimurugan】 (2016 : Malayalam)
物語・脚本 : Udayakrishna
監督 : Vysakh
出演 : Mohanlal, Kamalini Mukherjee, Jagapati Babu, Lal, Vinu Mohan, Kishore, Siddique, Bala, Nobi, Makarand Deshpande, M.R. Gopakumar, Suraj Venjaramoodu, Namitha, Hareesh Peradi, Nandhu, Sudheer Karamana, Baby Durga Premjith, Master Ajas, Santhosh Keezhattoor(特別出演), 他
音楽 : Gopi Sunder
アクション : Peter Hein
撮影 : Shaji Kumar
編集 : Johnkutty
制作 : Tomichan Mulakuppadam

題名の意味 : 虎のムルガン(主人公のニックネーム)
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション
公 開 日 : 10月7日(金)
上映時間 : 2時間41分

《 あらすじ 》
 西ガーツ山脈のプリユール村に暮らすムルガン(Mohanlal)は、トラックによる荷物の運搬や木材の伐採をして生計を立てていたが、少年の頃、野生の虎に父(Santhosh Keezhattoor)を殺されて以来、虎を仕留めるハンターとしての顔も持っていた。それで、虎の危害に悩む村人から「虎のムルガン」と崇敬されていた。母はムルガンの弟を出産する際に他界していた。ムルガンはこの弟マニクッタン(Vinu Mohan)を非常に可愛がっていた。また彼はおじのバララーマン(Lal)とも親しくしていた。ムルガンには妻のマイナ(Kamalini Mukherjee)と娘のチャッキ(Baby Durga Premjith)がおり、睦まじく暮らしてはいたが、マイナはムルガンの虎退治を快く思っていなかった。
 ある日、マニクッタンの2人の友人――シヴァ(Bala)とベンニ(Nobi)――が村にやって来る。シヴァは大手製薬会社を経営するダーディ・ギリジャ(Jagapati Babu)の息子で、癌治療の新薬に使う大麻を仕入れるため、村にやって来たわけであった。バララーマンは2人を大麻を扱う森のダコイト、ラーマイヤ(Makarand Deshpande)に会わせる。シヴァとベンニは大麻を仕入れるが、搬送方法に問題があった。それで彼らはムルガンに運搬を頼む。ムルガンはマニクッタンの就職に絡む事柄だっただけに、これを引き受ける。しかし、輸送中に警察隊に追われ、何とかダーディ・ギリジャの所まで大麻を届ける。
 この運搬には成り行きでマイナやチャッキも同行していた。この一件でムルガンは村へ帰りにくくなり、家族一同はしばらくダーディ・ギリジャの屋敷に滞在することにする。ギリジャは一連の出来事でムルガンを気に入り、マニクッタンを製薬会社の営業部長にする。さらにムルガンはギリジャとラーマイヤの依頼で違法伐採した白檀を運ぶ手伝いもする。だがムルガンは、村を離れてギリジャらの仕事を手伝ううちに、心に引っ掛かるものを感じる。そんな時に弟のマニクッタンが何者かに誘拐される、、。

・その他の登場人物 : 森林警備隊長RK(Kishore),警官ザカライヤ(Siddique),ジューリ(Namitha),シャシ(Suraj Venjaramoodu),カーイッカ(Sudheer Karamana),森林保護員ディワーカラン(Nandhu)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★☆☆☆
・まずもって、ラルさんに深々と敬意を表したい。この凄いアクション映画をよくぞ56歳でやったものだ。と同時に、マラヤーラム映画界はやはりまだツインタワーの時代なのか、本作のムルガン役をやる40歳前後のスターはいないのか、と寂しい気持ちにもなった。

・ヴァイシャーク監督の作品は【Pokkiri Raja】(10)しか観ていないが、それはマラヤーラム映画にしては異色な作品だと思った(私自身の鑑賞記を読み返してみたら、「こりゃ、タミル映画だよ」と書いていた)。マラヤーラム映画と言えば、風刺コメディーとか、サスペンスとか、知的な(そして低予算の)映画が多いように思うが、同作品は体に来る娯楽性を持った映画だと感じた。この【Pulimurugan】はその特徴がさらに顕著になっていて、マラヤーラム映画云々と言うよりも、近ごろのラジニ映画も真っ青なアクション娯楽映画となっている。

・ラルさんのヒロイズムが際立つ映画だが、私が見たところ、本作は俳優モーハンラール、もしくは彼の演じるムルガンというキャラクターを神格化する映画ではない。本作が神聖視するのは、実はムルガンが体現しているものであり、それは「野生」ということだと思う。

・最近のインドが失いつつあるもの(と大仰な書き方をするが)、それは野性的な力強さだと思う。近代化、都市化、西洋化という言葉で表される進歩の過程で、インド人が小さくなっている。それは映画にも反映されている。そういう傾向の中で、「自然に帰れ」というわけではないが、インド人が本来持っていた土くさい野性味、力強さを取り戻そうという主張を持つ映画作品が現れても不思議ではない。南インド屈指のIT都市ベンガルールを擁するカンナダ映画で、最近【Kiragoorina Gayyaligalu】【Dana Kaayonu】などの強烈な農村映画が盛んになっているのも偶然ではないと思う。

・しかも本作が痛快なのは、動物愛護団体の存在など屁とも思っていないことだ。インドも近ごろは犬を棒で叩いても動物愛護団体の黄色い声が飛んできそうな風潮になっているが、本作は堂々と虎を殺している。ベンガル虎が絶滅しつつある時代に! しかし、当然のことながら本作は動物虐待を称揚しているわけではなく、本作が提示しているのは、自然の中で人と動物が共存するあり方であり、こういう自然と一致した生き方のほうが、自然から乖離した都市型生活よりも良い、ということだと思う。

・というわけで、体で面白さを感じるはずのヴァイシャーク監督の作品だが、意外と考えさせられるものがあった。

・とは言っても、後でストーリーを辿ってみたら、物語の大枠とか悪人たちの魂胆とかが月並みなもので、脚本的には完成度が高くないように思えた。似たような役回りをする登場人物(森林警備隊のRKと警官のザカライヤ)がいたり、悪役が多すぎたりと、何だかダブついている感があった。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・モーハンラール(ムルガン役) ★★★★☆
 そんなことはないと思うが、これまでの300本を超える出演映画の全アクション・シーンに費やしたのと同じだけのエネルギーを本作一つに費やしたような感じだった。虎を殺すハンターというものがインド人の間でどう受け止められるのか分からないが、ある意味ヤバい人物も映画的にはラルさんがやれば収まる、というのはあるだろう。
 (写真下: 相変わらずトラックが似合うオヤジだ。)

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・カーマリニ・ムカルジー(マイナ役) ★★☆☆☆
 カーマリニとマラヤーラム映画といえば、【Kutty Srank】(10)にいたく感銘を受けた私なので、本作にも期待したが、ガミガミと口うるさい田舎のおカミさんで、興ざめだった(最後のシーンだけ良かった)。

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・ジャガパティ・バーブ(ダーディ・ギリジャ役) ★★★☆☆
 まずまずだったが、登場シーンの不気味さからすると、もっとやってくれてもよかったのに。

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・ラール(バララーマン役) ★★★★☆
 カッコよかった。

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・キショールとシッディクは変化球的な使われ方。若手で、ちょっと期待していたバーラーがいまいちなパフォーマンス。マクランド・デーシュパーンデーイは無駄遣いだと思った。
 (写真下: 森のダコイト役のマクランド・デーシュパーンデーイ。やはりヴィーラッパンを意識した役作りか?)

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・本作を実際に観るまで知らなかったが、のっそりとナミターが出て来たので、ワロタ。ダイエットしたという話だが、なお堂々とした体躯だった。ちなみに、役回りはコメディー。

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◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆

◎ アクション : ★★★★☆
◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 特殊効果 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・ピーター・ハインのアクションは見もの。かなり趣味的だったけど。

・CGによる大虎がいまいちに見えるが、仕方ないかなぁ。

◎ その他(覚書)
・舞台となったプリユール村(虎の村)というのは架空の村だと思うが、部族民の暮らす、かなり隔絶した土地のようだった。カーサラゴードやマンガルールの地名が何度か上がっていたので、ケーララ州北部の西ガーツ山脈内が想定されているのだろう。

・撮影はあちこちで行われたようだが、ベトナムのHang Son Doong Caveの名前なんかも上がっている。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 11月12日(日),公開第6週目
・映画館 : PVR (Forum, Koramangala),10:00のショー
・満席率 : 満席
・場内沸き度 : ★★★★☆
・備 考 : 英語字幕付き

 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ナミーが出たというのは嘘じゃなかったんですね!

それにしてもケーララにはまだナクサライトがいるのかw
メタ坊
2016/11/18 23:14
カマちゃんをイライラさせる女の役でしたw
 
カーヴェリ
2016/11/19 09:18

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