カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Pushpaka Vimana】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2017/01/19 21:59   >>

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 先週末は、テルグ映画ではチランジーヴィの復帰作にして150本記念作品の【Khaidi No.150】、バーラクリシュナの100本記念作品の【Gautamiputra Satakarni】、タミル映画ではヴィジャイの60本記念作品と言われる【Bairavaa】など、サンクランティにふさわしい賑やかな映画が公開されたが、私は少し地味に、1週前に公開されたカンナダ映画【Pushpaka Vimana】を観に行った。これもラメーシュ・アラウィンドの100本記念作品と謳われている。

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 ラメーシュ・アラウィンドといえば、私がこちらへ来た90年代後半から2000年代にかけては非常に人気が高く、俳優として、監督として、秀作、ヒット作を連発していたが、ここ数年はどうも影が薄い。私は出演作としてはタミル映画の【Manmadan Ambu】(10)、カンナダ映画の【Naanu Nanna Kanasu】(10)以来観ていないが、これはどちらもカメオ出演だった。しかし監督としては、タミル映画の【Uttama Villain】(15)が一定の成功を収め、カンナダ映画の【Sundaranga Jaana】(16)も現在ヒット中ということで、一応元気なようである。
 本作はそのラメーシュは主演に徹し、S・ラヴィンドラナートという新人がメガホンを執っている。オリジナルではなく、韓国映画【Miracle in Cell No.7】(13)の翻案らしい。

【Pushpaka Vimana】 (2017 : Kannada)
脚本・監督 : S. Ravindranath
出演 : Ramesh Aravind, Yuvina Parthavi, Rachita Ram, Ravi Kale, Rockline Sudhakar, Mandeep Roy, K.P. Sridhar, Achyuth Kumar, Juhi Chawla(特別出演), 他
音楽 : Charan Raj
撮影 : Bhuvan Gowda
編集 : Shiva Shankar. S
制作 : Pawan Wadeyar, Vikhyath, Sukruth Devendra, Deepak Krishna, Deepak Kishore, Devanth

題名の意味 : 華やかな飛行機
映倫認証 : U
タ イ プ : リメイク(翻案)
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 1月6日(金)
上映時間 : 2時間20分

《 あらすじ 》
 アナンタ(アナンタラーマイヤ:Ramesh Aravind)は知恵遅れで、成人しても子供のような精神を持つ男だった。7歳になる娘のプットゥ(プッタラクシュミ:Yuvina Parthavi)と二人暮らしで、二人は強い愛情で結ばれていた。アナンタは祖父の影響で空軍の兵士になりたい夢があり、飛行機が何よりも好きだった。プットゥも父に倣って飛行機好きだった。
 ある日、アナンタは店で飛行機のおもちゃを見つけ、プットゥに買ってやりたいと思う。だがそれは他の家族に買われてしまう。翌日、おもちゃを買ってもらった6歳の女の子がアナンタに他の店で売っているからと言って、彼を連れて行こうとする。だがその直後、その女児は死体となって発見され、目撃者の証言から、女児へのレイプ殺人の廉でアナンタが逮捕、投獄されてしまう。しかし、それはアナンタには身に覚えのないことだった。
 アナンタは刑務所の房で5人の囚人たちと暮らすことになる。その中にマンジャという密輸を専門としていた男がいたが、ライバルの囚人から命を狙われたところをアナンタに救われる。マンジャはアナンタに感謝し、彼のほしい物を刑務所まで持って来させると約束する。そのアナンタの希望が娘のプットゥだったため、マンジャは牢獄までプットゥを「密輸」する。
 かくしてこの房で6人の囚人とプットゥとの奇妙な生活が始まる。だが、当然これはほどなく刑務所所長(Ravi Kale)に知れることとなり、プットゥは帰され、アナンタは独房送りとなる。しかしある夜、刑務所内で火事が起こり、逃げ遅れた所長をアナンタが救う。所長はこの出来事やアナンタの無辜な性格から、彼が女児をレイプ殺人するはずがないと確信し、事件の再捜査を要求する。しかし、被害者の6歳女児は警視総監(K.P. Sridhar)の娘だったため、要求が通りそうになかった。
 しかし、同房の囚人たちがアナンタから事件当時の状況を聞き、それによると、その女児は雨に濡れた道で滑って転倒し、気を失ったのを、彼が介抱しようとしただけであると分かる。着衣を脱がそうとしたのも、口びるを合わせたのも、村に医療チームが来て救急手当ての実習をしたのを、アナンタが覚えており、それを実践しただけであった。
 この証言を基に、再びアナンタの裁判が行われることになる。だが、裁判の前日にアナンタは検事に「娘の身に何かが起きるかもしれない」と脅されたため、裁判では自分がやったと証言してしまう。
 これで結局、アナンタは死刑の宣告を受けることになる。同房の囚人たちは、刑務所で記念行事が行われる際にアナンタを脱獄させる計画を立て、実行するが、アナンタ自身のへまで見つかってしまう。かくして絞首刑の日となる、、。

・その他の登場人物 : 成人したプットゥ(Rachita Ram)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★☆☆☆
◎ 脚 本 : ★★☆☆☆
・上で書いたとおり、韓国映画【Miracle in Cell No.7】の翻案ということだが、観ていないので比較などはできない。また、いくつかのレビューでは【Life Is Beautiful】(97)を思い起こさせるともあるが、これも観ていないので分からない。私が観た映画では、ヴィクラム主演のタミル映画【Deiva Thirumagal】(11)が類作となる。ついでに、題名の「Pushpaka Vimana」はカマル・ハーサン主演のサイレント映画【Pushpaka Vimana】(87)と同名だが、それと本作の関係も分からない。

・現地人の評価は非常に高く、日ごろ泣きそうにない無神経な奴でさえ「泣いた」と言っていたし、あるレビューには「ポップコーンの代わりにハンカチを持って観ろ」というコメントもあった。まぁ、そういう涙系の映画には違いないが、しかし私は全く泣けなかった。参考に、【Deiva Thirumagal】ではかなり泣けたので、やはり本作は何か足りないのだと思う。

・近ごろではカンナダ映画でさえベタベタなお涙頂戴映画(つまり、カンナダの場合、登場人物が泣きまくる映画)は評価されないが、本作はそれなりにモダンな脚本になっており、その点では評価できる。ただ、もう一つ、主人公のアナンタと娘に起きた悲劇性というものを醸し出すエピソードがあってもよかったと思う(例えば、劇中ではほとんど語られなかったラヴィンドラナートの妻の話とか、死亡した女児の父である警視総監の嫌らしいプレッシャーとか)。

・単調と言えば、物語のほとんどは刑務所内か裁判所内の出来事なので、単調だし、アナンタを演じたラメーシュ・アラウィンドの演技も単調だったように思う。語り口がスローすぎるのも泣きを逸する理由かもしれない。泣きの決め手だと思われる父娘の「ワン・ツー・スリー」ダンスも入れるタイミングが悪かったと思う。

・しかし、「泣き」の部分は(私的には)不発だったが、コメディーの部分は面白かった。本作をコメディー映画とするのには無理があるが、アナンタと5人の同房囚人とのやり取り、それに絡む娘プットゥ、各囚人たちのエピソード、彼らと看守とのやり取りなど、かなり笑えた。

・新人のラヴィンドラナート監督はお涙頂戴映画ではなく、端的に良い映画を撮ろうとしたのだと思う。ハッピーエンディングではなく、かと言って悲惨すぎる終わり方でもない点がユニークだった(しかしこれはオリジナルにあるアイデアなのだろう)。

・ひと言で言って、良い映画ではあるが、刺激的な映画ではない。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・ラメーシュ・アラヴィンド(アナンタラーマイヤ役) ★★★☆☆
 好きな俳優であり、チルさんの150本、バラクリの100本、ヴィジャイの60本を差し置いてでも見たかったラメーシュの100本目の演技だったが、私の評価は微妙。アナンタという人物をもう少し多面的に見せてほしかった(いや、これは脚本のせいだろう)。

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・ユヴィナー・パールタヴィ(プッタラクシュミ役) ★★★☆☆
 ぬぬ、見覚えのある顔だぞと思っていたら、つい先日の【Mummy】(16)に出ていた子役だった。やはりこの子は上手い。
 (写真下: 記者会見での写真。ラメーシュおじさんと。)

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・ラチター・ラームがほとんどカメオ的に成人したプッタラクシュミを演じていた。通常のアイドル的ヒロインとは違った役柄だったが、こちらのほうが美人に見えるのが不思議。
 (写真下: 美しすぎる弁護士ではあるが。)

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・脇役陣では、5人の囚人がそれぞれ良かった。刑務所所長役のラヴィ・カーレも良い。

・ジューヒー・チャーウラーがものすごく久し振りにカンナダ映画に出演している。どんな役か期待したが、音楽シーン一発のアイテム的な出方だった。ジューヒーを使いたいほどの役でもなかったと思うし、この地味な映画になぜここだけ奮発したのかも疑問だ。
 (写真下: こんなジューヒーが見られてお得だったが。)

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◎ 音 楽 : ★★★★☆
◎ BGM : ★★★☆☆
・音楽はチャラン・ラージだが、すごく良かった。ちなみに、チャラン・ラージは【Godhi Banna Sadharana Mykattu】(16)を担当した人。

◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・これまた映像が「これは本当にカンナダ映画か?」と驚くぐらい良かった。担当したのは【Rathaavara】(15)のブヴァン・ガウダ。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 1月14日(土),公開第2週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (Arch Mall),13:00のショー
・満席率 : 9割
・場内沸き度 : ★★☆☆☆

 

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