カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Khaidi No. 150】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2017/01/30 21:05   >>

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 「〇〇の何本目記念作品」シリーズ、最後はチランジーヴィの150、その名も【Khaidi No. 150】だよ。ただし、この場合は何本記念というより、チルさんの「銀幕復帰記念作」と言ったほうが適当だと思う。
 それにしても、チルさんの1つ前の主演作が2007年の【Shankar Dada Zindabad】(07)というのは驚きだ(その間、カメオ出演というのはあったが)。約10年もの間、何をしていたんだ、、、って、政治活動をしていたんだけど、あれが私を失望させ、あれで「チランジーヴィもなぁ、、」と思うようになってしまった。もちろん、中央政府の大臣にもなったくらいだから、面目は保てたわけであるが、私はチランジーヴィにあれを期待していなかった。どだい、この10年の間にアーンドラ・プラデーシュ州の分裂という政治的大局面がありながら、チルさんは見事にその政治的好機を外した。あのどん臭さを見て、「この人は俳優一流、政治家五流、はよ銀幕に戻って来なさい」と思った。
 しかし、チルさんもそう簡単には引き下がれないだろうね。政治家、ヤクザ、俳優は長くやっている奴が偉いって性格のものだからね。というわけで、このタミル映画【Kaththi】(14)のリメイク作品への出演というのも、チルさんにとって銀幕への再出発を意味するのか、次の政治活動に向けての単なる充電行為なのか、気にかかる。

【Khaidi No. 150】 (2017 : Telugu)
物語 : A.R. Murugadoss
脚本・監督 : V.V. Vinayak
出演 : Chiranjeevi, Kajal Aggarwal, Tarun Arora, Ali, Brahmanandam, Prudhviraj, Posani Krishna Murali, Raghu Karumanchi, Nasser, Raghu Babu, Nagendra Babu, Lakshmi Rai(特別出演), Ram Charan(特別出演), 他
音楽 : Devi Sri Prasad
撮影 : R. Rathnavelu
編集 : Gowtham Raju
制作 : Ram Charan, A. Subaskaran

題名の意味 : 囚人150番
映倫認証 : U/A
タ イ プ : リメイク
ジャンル : アクション
公 開 日 : 1月11日(水)
上映時間 : 2時間27分

《 あらすじ 》
 コルカタの刑務所からケチな泥棒「カッティ」シーヌ(Chiranjeevi)が脱獄する。シーヌはハイダラーバードへ行き、友人マッラ(Ali)の協力でバンコクへ高飛びしようとするが、空港で出会ったラクシュミ(Kajal Aggarwal)に一目惚れし、インドに留まることにする。ちょうどその時、シーヌは銃撃事件に遭遇する。被害者はシャンカル(Chiranjeevi)という男だったが、驚いたことにシーヌと瓜二つだった。そこでシーヌは警察の追跡を逃れるために、自身はシャンカルになりすまし、意識不明のシャンカルをシーヌに仕立てる。
 ところが、シーヌはシャンカルの関係者に見つかり、シャンカルの運営する老人ホームへ連れて行かれる。シーヌはこのホームに渡る予定の小切手を手にしたら、さっさと逃げる算段だったが、この時またしてもラクシュミが現れる。彼女の祖父がここの入所者だったからである。シーヌはしばらくここに留まることにするが、なぜか刺客に命を狙われたりと、不穏なものを感じる。
 その刺客を放ったのは世界的に有名な清涼飲料会社の社長アガルワール(Tarun Arora)だった。シーヌはアガルワールの事務所に連れて行かれ、2億5千万ルピー渡すからインドから出て行け、さもなくば老人たちの命が危ういぞ、と脅迫される。前金として鞄一杯の現金を手にしたシーヌはすっかり高飛びする気になるが、老人たちにセレモニーの会場に連れて行かれる。それはシャンカルを表彰する式典で、シーヌはここでシャンカルという人物について知ることになる。
 ・・・
 シャンカルは水文地質学者で、ラーヤラシーマにあるニールル村の農民の生活向上のために活動していた。この村は水が乏しく、村人たちは困窮していたが、シャンカルはこの地域に潤沢な地下水脈があることを探り当てる。だが、この事実はアガルワールの清涼飲料会社に知られ、策略で土地が横取りされ、工場建設が始まる。シャンカルと村人たちは抗議するが、逆にシャンカルは逮捕され、憤った農民の中から集団自殺者が出る事態となる、、。
 ・・・
 これを知ったシーヌは、アガルワールに金を返し、シャンカルに代わって農民たちと闘う決意をする、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・上の「本作はチルさんにとって銀幕への再出発を意味するのか、次の政治活動に向けての単なる充電行為なのか」という問いに関しては、映画本編から感じ取れる気配からすると、後者だろうね。なにせ、水文地質学者のほうの役名は「コニデラ・シャンカル」と、チルさんの本名だったからね。

・しかし、コソ泥で頭も腕力も優れ者の「カッティ」シーヌというのは典型的な映画的ヒーローのイメージだし、庶民のために身を投げ出して活動する「善き人」というのは(これも映画的ヒーローのイメージではあるが)理想的な政治家(指導者)のイメージである。そうすると、チルさんが【Kaththi】という一人二役の作品を選んだというのは、これからは映画と政治の両輪で頑張りますよという意思表明なのかな。

・私の意見では、AP州が2つに分裂してしまった今、チルさんがアーンドラ・プラデーシュ州の首相になるのは難しそうだし、かといってテランガーナ州の首相になるのは興味がなさそうだし、このまま政治活動を続けて行ったとしても「美味しいゴール」はないんじゃないかな。なら、やっぱり俳優一本で行こうよ。それか、いっそインド国首相を目指すか!(無理、無理。)

・映画の出来としては、面白かったし、良いリメイクだと思う。チランジーヴィのカリスマ、演技、台詞回し、ダンススキル、コメディーセンス、マンネリなど、チルさんの魅力があらゆる角度から楽しめた。

・ただし、映画の出来もチルさんのパフォーマンスも予想の範囲内で、これ以下の出来だとむしろ腹が立ったと思う。シーヌの特殊能力(図面を見ただけで建物の立体構造が読み取れる)とか、コインをネタにしたアクションとか、ジジイと水道管とか、創造的なアイデアはオリジナルを踏襲しているので、【Kaththi】を初めて観たときほどの衝撃はない。

・オリジナルでダルいと感じた部分もそのままで、何とかしてほしかった(例えば、クライマックスのアクション)。それにしても、本作を観て2時間27分のラニングタイムは長いと感じたが、【Kaththi】は2時間46分と、20分も長かったのね。どこをカットしたんだろう。

・さて、約10年ぶりのチルさんの復帰はめでたいことだが、私的に寂しい気がしたのは、テルグ映画界もコメディアンの数が減ったということだ。本作ではアリーとブラフマーナンダムとポーサーニ・クリシュナ・ムラリぐらい。この10年の間にM・S・ナーラーヤナもダルマワラプも死んじゃったし、スニールはヒーローになっちゃったし、そう言えば寂しい。V・V・ヴィナーヤク監督自身がカメオ出演した役を、せめてヴェーヌ・マーダヴあたりにさせてもよかったと思う。

・記念作品の割には色気も少なく、アイテム・ダンサーはラクシュミ・ラーイだけ(ま、ヒロインのカージャルもアイテム出演みたいなものだったが)。ここはチルさんのヒット作品の歴代ヒロインが勢揃いするとかのダンスシーンがあり、でっぷり太ったアールティ・アガルワールなんかが出てくれたら、私、もう1回観ちゃうな。

・要は、プロデューサーのラーム・チャランはお金を出し渋ったということね。

・オリジナルも本作も、やっぱり衝撃を受けたのは、村の老人たちの集団自決のシーンだった。活動のためとは言え、それをストレートにビデオに撮り、式典で見せるというのはすごい。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・チランジーヴィ(シーヌ/シャンカル役) ★★★★☆
 上で書いたとおり、チルさんの魅力が多面的に楽しめて、良かった。特筆すべきは、皆さんも同意見だと思うが、61歳になっても(10年のブランクがあっても)ダンスとアクションの凄さ。ラジニカーントは【Sivaji - The Boss】(07)に出演したときまだ50代だったはずだが、もっとよぼよぼな感じだった。ただ、上半身、尻周り、頬にかなり皮下脂肪がついた感じがした。目ヂカラには相変わらず惚れ惚れするが、かつては雷のように感じた怒声が聞けなかったのは残念。

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・カージャル・アガルワール(ラクシュミ役)
 ヒロインには違いないが、出番がカメオ出演並みに少なく、星数評価できず。ダンスシーンには「らしさ」が出ていた。

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・タルン・アローラー(アガルワール役) ★★★☆☆
 男前の悪役で、割と良いと思ったが、レビューの評価は低い。ちなみに、このお方の奥さんはアンジャラ・ザウェーリらしいのだが、いいなぁ。(アンジャラ・ザウェーリについては【Life is Beautiful】鑑賞記でちらっと触れた。)

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・上で触れたとおり、ヴィナーヤク監督がオリジナルでムルガダース監督がやっていたのと同じ役でカメオ出演していた。

◎ 音 楽 : ★★☆☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★★☆☆

◎ アクション : ★★★★☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 特殊効果 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆

◎ その他(覚書)
・撮影に使われていた高額紙幣は新札だった。ナレンドラ・モーディー首相の「お触れ」が出たのが11月8日で、本作撮影のほとんどは終わっていたと思われるので、わざわざ撮り直したのかな。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 1月26日(木),公開第2週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (Bannerghatta Road),12:45のショー
・満席率 : ほぼ満席
・場内沸き度 : ★★★★☆

 

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