カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Beautiful Manasugalu】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2017/02/01 20:55   >>

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 作家主義の波の中でカンナダ映画界にも、スターシステムとは一線を画した感じだが、しかし強い支持を集めている俳優たちがいる。【Lucia】(13)で共演したサティーシュ・ニーナーサムとシュルティ・ハリハランはその好例だが、そのお二方が再びペアとなり、「お、ルシア・パート2か」と思わせた作品がこれ。もちろん【Lucia 2】ではないのだが、公開後の評判はけっこう良い。
 監督はジャヤティールタという人で、本ブログでは【Olave Mandara】(11)を紹介した。

【Beautiful Manasugalu】 (2017 : Kannada)
脚本・監督 : Jayatheertha
出演 : Sathish Ninasam, Shruthi Hariharan, Achyuth Kumar, Tabla Naani, Prashanth Siddhi, Sandeep, Swathi Konde, Meghashri, 他
音楽 : B.J. Bharath
撮影 : Kiran Hampapura
編集 : K.M. Prakash
制作 : S. Prasanna, S. Shashikala Balaji

題名の意味 : 美しき心たち
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 1月20日(金)
上映時間 : 1時間50分

《 あらすじ 》
 パッチ(プラシャーント:Sathish Ninasam)はカーヴェーリ酒店のオーナーの息子で、仕事らしい仕事はせず、友人のランガンナ(Tabla Naani)やムニ(Prashanth Siddhi)と呑んで暮らす日々だった。だが、ランガンナは路上アーチストで、『美しき心たち』というテレビ番組の取材を受けたことがあるほどだった。
 ある日、パッチはムニの店で美しい女性を見つけ、一目惚れする。それは美容院に勤めるナンディニ(Shruthi Hariharan)だったが、ミドルクラスの貧しい家庭で、彼女が母と病気の父、それに1人の弟を養っていた。パッチはナンディニに猛アタックするが、生活に対する責任感のなさから、拒否される。それでパッチは友達と商売を始め、ナンディニの愛を獲得することに成功する。
 しかし、ここでとんでもないことが起きる。ナンディニの勤める美容院が売春を行っているとの理由で、ナンディニと同僚のラトナが逮捕されてしまう。もちろん、二人にとって身に覚えのないことだった。逮捕したのはラージャシェーカル(Achyuth Kumar)という警官だった。この模様は各ニュース番組で大々的に報道される。ナンディニとラトナは保釈されたものの、ラトナは婚約を破棄され、自殺も考える。しかし、兄のシャンカル(Sandeep)が思い留まらせる。町を歩けば白い目で見られるナンディニは、せめてパッチは理解してくれるだろうと期待するが、彼にも疑われ、ショックを受ける。
 だが、美容院のオーナーは店内の防犯カメラのフッテージから、この事件は警官ラージャシェーカルのでっち上げだと突き止める。以前ラージャシェーカルから賄賂を要求された際に、オーナーが拒否したことがあったが、それを根に持っての挙動だろうと推測された。オーナーはテレビ番組の『美しき心たち』に通報し、このフッテージが報道される。
 これを見たナンディニはパッチを責め立てる。パッチはランガンナにも諭され、思い切ってある行動を起こす。それは警官ラージャシェーカルの娘ラチナ(Swathi Konde)の誘拐だった、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・【Olave Mandara】鑑賞記でも書いたが、ジャヤティールタ監督(脚本も担当)は美しい、否、美しすぎる映画を撮りたがる人のようで、そうまで人の善性を信じていいのかと、ヤバいものを感じた。本作もそうで、美しくて感動できるが、観るのにちょっと気恥ずかしいものも感じる。しかし、私は好きだ。

・実話に基づく話ということで、2013年に起きた事件の翻案らしい。冒頭に一部は事実で一部は虚構だと断りが入れてあったが、もちろんどこまでが真実かは想像するのみ。ただ、核心的な部分(恋人の女性が警官のでっち上げた売春容疑で逮捕、その警官の娘を男性のほうが誘拐する)は事実だろう。

・題名の「Beautiful Manasugalu」(美しい心)からしてくさいのだが、これは登場人物たちの心(の希望を込めたあり方)を表すと同時に、劇中に登場するテレビ番組の名前でもあった。

・テーマは警察の腐敗とマスメディアの横暴(視聴率第一主義)になると思う。警察の腐敗は定番だが、マスメディアのほうも近ごろよくインド映画のテーマに取り上げられている。しかし、本作はマスメディアの倫理観の低さ、暴力的な行為を断罪しつつも、肯定的な側面も描いている(『美しき心たち』の報道によって、警官ラージャシェーカルに謝罪を促す世論が形成された)。

・ジャヤティールタ監督は映画の技術的側面にはあまり関心がないようで、脚本主体の、非常にシンプルな映画を撮りたがる人のようだ。本作も野暮ったくて、20年前のインド映画を思わせた。それはのっけのダンス教室(フィットネスクラブ?)のシーンからそうで(まぁ、ベンガルールのダンス教室は実際にあんなふうに垢抜けないのだが)、パッチ(Sathish)とナンディニ(Shruthi)のロマンス展開もくさい。

・ただ、脚本主体といっても、本作の脚本が良かったかどうかは疑問だ。ストーリーは基本的に悪くないし、台詞も良い(取って付けたような美しさに目をつぶれば)。しかし、1時間50分という短い映画ながら、なお要らない部分があるように見えた。

・しかし本作の場合は、その語り口の古くささや脚本上の疑問点を補ってあまりあるほど、作品に「美しさ」があって、私はやられた。さらに言うと、私の感覚では、これが典型的なカンナダ映画なのである。非アクション系のカンナダ映画というのは、こういうシンプルな脚本主体のもので、純な男女のロマンス展開、愛とか人間の善性への確信犯的な信頼、まるで格言集のような倫理観あふれる台詞などを備えたもので、以前はこういう映画がよく作られていた。守旧的なカンナダ人にはバカ受けするだろう。ただ、それでも、【Godhi Banna Sadharana Mykattu】(16)ぐらいの新しさを持つ作品にしてくれれば、日本人にもお勧めしやすい。

・【Lucia】のペアの共演ということで、同作品への関連付けがいくつかあった。例えば、パッチとナンディニが会うシーンでは【Lucia】の‘Jamma Jamma’がBGM的に使われていたし、ナンディニの月給が8千ルピーというのも【Lucia】のピザ屋で働くシュウェータと同額だった。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・サティーシュ・ニーナーサム(パッチ役) ★★★☆☆
 個人経営の酒屋の息子というのがどの程度の社会的ステータス、経済的豊かさを持つのか分からないが、本作のパッチはやっぱり【Lucia】のニッキ(貧乏なほう)みたいな感じだった。個性的で良い俳優だと思うが、役柄に幅がないというのはどうだろうか。

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・シュルティ・ハリハラン(ナンディニ役) ★★★★☆
 実質的にはシュルティ演じるナンディニが本作の主役だろう。パフォーマンスも良かったし、スクリーン映えもしていた。

・アチュート・クマール(警官ラージャシェーカル役) ★★★☆☆
 ネガティブロールだったが、良い演技。

・タブラ・ナーニ(ランガンナ役) ★★★☆☆
 脇役だが、アクセントの付いた役回りで、本作の「美しき心たち」のシンボル的な存在だった。ランガンナの語る哲学的な台詞は消化しにくいものもあるが、非常に評価が高く、愛されキャラになったようだ。

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◎ 音 楽 : ★★★★☆
◎ BGM : ★★★★☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・本作の感動ポイントの1つは、歌とBGMだったと思う。気付かなかったが、テーマソングはラグ・ディークシトが歌っているらしい。

◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★☆☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆

◎ その他(覚書)
・ジャヤナガルとかグッタハッリとか、実在するローカルな地名が聞けて、なんかうれしかった。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 1月29日(日),公開第2週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (Arch Mall),11:40のショー
・満席率 : ほぼ満席
・場内沸き度 : ★★☆☆☆
・備 考 : 英語字幕付き

 

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