カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Baashha】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2017/03/03 20:24   >>

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 先月下旬に短期一時帰国した際に、たまたま【Baashha】のデジタル・リマスター版(日本語字幕付き)の特別公開があったので、良いチャンスだと思い、観て来た。

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 【Baashha】はそもそもラジニカーントの代表作、大人気作の一つだが、2001年6月に日本でも【バーシャ! 踊る夕陽のビッグボス】という題名で一般公開されたらしく(私はすでにこちらにいたので、全く知らなかった)、それで日本のインド映画ファンの間でも知名度が高く、すでにダイハードなラジニ・ファンを中心に多くのことが語られており、ここで中途半端なラジニ・ファンの私が何か言う必要もないくらいだ。なので、この鑑賞記もあっさりと書くことにする。

 私と【Baashha】の関係は、たぶん2004年ごろ、こちらでのテレビ放映で観たのが最初で、その後日本でラジニカーント作品のDVDボックスが出た際(10年ぐらい前?)に購入し、それで【バーシャ! 踊る夕陽のビッグボス】を観たのが2回目。それっきりだった。しかし、実は【Baashha】よりも先にそのカンナダ語版リメイクであるヴィシュヌヴァルダン主演の【Kotigobba】(01)を映画館で観ており、それが【Baashha】関連との最初の出会いと言えなくもない。率直に言って、【Kotigobba】を観たときはあくびが出るぐらい退屈だと感じ、「これがラジニのヒット作?」と思ったが、DVDで【バーシャ!】を観たときはすごく面白いと感じた(ヴィシュヌ天には申し訳ないが)。

 本作のオリジナルの公開は1995年1月ということで、22年を経てデジタル・リマスター版でのリバイバル公開となる。今年の1月10日にチェンナイのSathyam Cinemasでデジタル版のプレミアショーが行われたらしいが、現地の熱気がベンガルールまで伝わって来るということはなかった。本公開は3月3日(つまり今日)で、今のところベンガルールでやる予定は上がっていないので、日本で観られてラッキーだったかもしれない。
 なお、私が観たのは大阪(布施)でのショーだが、これはマサラシステムで行われた。

【Baashha】 (1995/2017 : Tamil)
脚本・監督 : Suresh Krissna
台詞 : Balakumaran
出演 : Rajinikanth, Nagma, Raghuvaran, Janagaraj, Devan, Vijayakumar, Sathyapriya, Shashikumar, Yuvarani, Shenbaga, Charan Raj, Kitty, Anandaraj, Dhamu, Narsing Yadav, Sethu Vinayagam, 他
音楽 : Deva
撮影 : P.S. Prakash
編集 : Ganesh Kumar
制作 : R.M. Veerappan

題名の意味 : 王 (主人公の通称)
映倫認証 : U/A (インドでの認証)
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション
公 開 日 : 2017年1月10日 (リマスター版のチェンナイでのプレミアショー)
上映時間 : 2時間32分 (2時間25分かも)

《 あらすじ 》
 (省略)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★★☆
◎ 脚 本 : ★★★★☆
・過去、テレビ画面で2回観たときも面白いと思ったが、今回デジタル・リマスター版を映画館で観たら、やっぱりめちゃめちゃ面白かった。

・というわけで、面白いというのは既定事実なので、ここでは「ありゃ?」と感じた点を書くと、テンポが遅い。22年なら、こういう悠長な展開でも良かったんだなぁ、、、と、先日【Si3】を観たばかりの目には感じた。

・しかし、そののんびり感は前半だけで、後半はかなり乗ってきた。で、結果的には、本作はインド映画には珍しく「序破急」の効いた、良い脚本だということが分かった。

・もう一つの「ありゃ?」は、やっぱりラジニのダンス。1曲目のオート運転手たちとの群舞は素晴らしい入り方だったけど、ラジニのダンスが始まると、いすからずり落ちた。いや、分かってはいたが、また比較するものでもないが、やっぱり先日【Khaidi No. 150】を観た目には、チランジーヴィという俳優がいかに、、、以下省略。

・しかし、あの冬瓜みたいな野菜をマニカム(Rajinikanth)が頭で割る場面は最高にカッコいい。(当時はあれの真似が流行ったのかな?)

・脚本が「序破急」になっていて良いというのをもう少し説明すると、序は前半のマニカムが過去を弟・妹たちに伏せているシーン、破はマニカムのムンバイ時代の回想シーン、急はマーク・アントニー(Raghuvaran)が脱獄してからのシーン。破の部分はそれ自体が回想シーンだが、その中にマニカムが墓前で亡き友アンワル(Charan Raj)を弔うという設定でもう一つ重要な回想が入る仕掛けになっている。見ていて「これは能だ」と思った。素晴らしい。(もっとも、「バーシャ=能楽」説を主張するつもりはないが。)

・インド映画の褒め言葉に「ツッコミどころ満載」というのがあると思うが、もちろん本作もそうで、私は家族と観に行ったのだが、一緒にあちこちツッコミを入れて、いたく満足した。

・ツッコミどころは数々あれど、私的にヒットだったのはアントニーの爆弾。簡単に見つかりすぎ。実はアントニーはアホか?

・アンワルとマニカムが友情の証として握った手の下(向こう)に夕日が見えるとか、マニカムが身を挺して母や妹たちを炎から守るとか、そういう場面が好きだな。

・カッコいい台詞も数々あって、もったいないぐらいだった。私が一番好きなのは、マニカムが警察署長(DIG)に「俺が恐れているのは神だけだ」、「頭じゃなく、心に従う」と言う台詞かな。もう一つ、正確には覚えていないが、「善人には試練を与えるが、、、云々」の台詞。

・アンワルがマニカムに、アントニーを倒すためにはアントニーと同じことをやらなければならない(つまり、マフィアにならなければならない)と言い、結局マニカムがマフィアになるという論理が興味深い。これはインド映画によく見られる「毒を以て毒を制す」か? それにしても、アントニーへの復讐のために「密輸王」にまでなっちゃったという展開は凄すぎる。

・気に掛かるのは、マーク・アントニーがホテルを建てるためにムンバイの貧しい住人(その中にアンワルとマニカムも含まれる)を立ち退かせようとしている設定だが、あれはおそらくダーラーヴィーかバーンドラーのタミル人集住区なんだろうな。マニカムは間違いなくタミル人のヒンドゥー教徒、アンワルはおそらくタミル人のイスラーム教徒で、アントニー(キリスト教徒)がタミル人かどうか気に掛かる(流暢にタミル語を話してはいたが)。何であれ、ムンバイのタミル人地区を舞台としたヒンドゥー教徒、イスラーム教徒、キリスト教徒の攻防というのは、つつけば面白そう。日本人にはなかなか分かりにくいことだが、【Nayakan】(87)や【Bombay】(95)でもムンバイのタミル人コミュの問題が扱われていることからすると、当時のタミル人にはよく知られた事件、社会背景があったのかもしれない。

・で、思い出すのは【Thalaivaa】(13)だが、あれはヴィジャイ版【Baashha】だったんだな(今ごろ気付いた)。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・ラジニカーント(マニカム役) ★★★★★
 やっぱり惚れるよなぁ、この笑顔。

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 ところで、ラジニといえば、この人差し指立てを連想するが、いつから始めたスタイルだろう?

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・ナグマ(プリヤ役) ★★★☆☆
 実は嫌いな女優である(ファンの方、ご免なさい)。なので、私的には【Baashha】における唯一の暗点なのだが、仕事はきちんとやっていたと言える。

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・ラグヴァラン(マーク・アントニー役) ★★★★☆
 完璧な悪役。刑務所に入る前と脱獄後の2相が楽しめるが、どちらも素晴らしい。

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・デーヴァン(ケーシャヴァ役) ★★★★☆
 悪役といえば、このお方が面白すぎる。いや、もはやコメディー担当なのだが。デーヴァン先生もこんな所でこんな活躍をなさってたんですね。

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・ジャナガラージ(グルムールティ役) ★★★★☆
 真正コメディー担当といえばこのお方だが、後半の「ムンバイ編」ではカッコよかったぞ。
 (写真下: やっぱりオートのホーンはラッパ式でなくっちゃ。)

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・シャシクマール(シヴァ役) ★★★☆☆
 個人的に驚いたのは、そしてうれしかったのは、カンナダ俳優のシャシクマールがマニカムの弟、正義の警官シヴァ役で出ていたことだ。どちらかと言うとパッとしない感のあるシャシクマールだが、こんな男前の時期もあったんだ。

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・その他の驚きは、テルグ俳優のNarsing Yadavがアントニーの手下役で出ていたことだ。

◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★★☆☆
・上でラジニのダンスについて「ありゃ?」と書いたが、アカンわけではない。音楽シーンはどれもよくできている。楽しい。しかし、そう言えば、まだA・R・ラフマーンじゃないんですね。

◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆

◎ その他(覚書)
・本作はアミターブ・バッチャン主演でラジニカーントも共演しているヒンディー映画【Hum】(91)のリメイクという話も聞いたが、あらすじを読む限り、かなり違っているので、オリジナルとしておいた。

・デジタル・リマスタリングについては申し分のない出来だと思う。音声も5.1chになっているらしいが、これについてはよく分からない。

・マサラシステムについては、楽しかったと言っておこう。噂に聞いた「事前講習」と「後片付け」のある日本式マサラシステムだが、予想したほどの盛り上がりはなかった。私はインドの映画館でのマサラシステム(まぁ、インドにはマサラシステムという言葉はないのだが)は3度しか経験していないが、本場では映画開始から終了まで騒ぎっぱなしで、台詞が聞こえる余地などないし、使うのはクラッカーじゃなく、爆竹だもんね。

◆ 完成度 : ★★★★☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★★

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 2月25日(土)
・映画館 : 布施ラインシネマ(大阪),16:30
・満席率 : 満席
・場内沸き度 : ★★★★☆ (マサラシステム)
・備 考 : 日本語字幕付き

 

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