カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Shuddhi】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2017/03/23 20:32   >>

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 前回紹介した【Urvi】が女性主体の映画なら、この【Shuddhi】もそうで、この2作が同日公開されたのは全くの偶然だろうけれど、メディア上では何かとセットで語られることが多く、ならセットで観てやろうと、こちらも観て来た。
 実は【Urvi】がいまいち私にはフィットしなかったので、似たような映画を観るのもなぁと、スディープ主演の【Hebbuli】に乗り換えようかとも思った。また、【Shuddhi】は小難しそうな映画だと予想されたし、ポスターに映っている白人女性の顔も怖そうだったし、決意が揺らいだが、しかし初志貫徹、観て正解だった。
 監督はアーダルシュ・イーシュワラッパという人で、アメリカのNew York Film Academyの卒業生らしい。本作がデビューとなる。

【Shuddhi】 (2017 : Kannada)
脚本・監督 : Adarsh H. Eshwarappa
出演 : Lauren Spartano, Niveditha, Amrutha Karagada, Shashank Purushotham, Sidharth Maadhyamika, Sanchari Vijay, Ajay Raj, Veena Sundar, 他
音楽 : Jesse Clinton
撮影 : Andrew Aiello
編集 : Ramisetty Pavan
制作 : Nandini Madesh, Madesh T. Bhaskar

題名の意味 : 浄め
映倫認証 : A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 3月17日(金)
上映時間 : 1時間56分

《 あらすじ 》
 アメリカのフォトジャーナリスト、カーリン(Lauren Spartano)がベンガルールにやって来る。彼女は何か使命を抱いているようだった。彼女の脳裏にあるレイプ事件の記憶がよぎる。
 ジョーティ(Niveditha)とディヴィヤ(Amrutha Karagada)はジャーナリストだが、女性問題と少年法の問題に強い関心を持ち、「プロジェクト・ニルバヤー」を行おうとしていた。これは2012年12月にデリーで起きた集団レイプ事件をモチーフにした街頭演劇だった。
 ベンガルールでATMを利用していた婦人バーヴァナ・ラメーシュが何者かに襲撃される事件が起きる。幸いバーヴァナは一命を取り留める。この事件には特殊犯罪部の警部ラーケーシュ・パーティール(Shashank Purushottam)が捜査に当たる。ラーケーシュは、容疑者がマイスール方面に逃げたとの情報を得る。
 カーリンはディヴィヤと連絡を取りながら、情報を得、銃も調達する。まずカーリンはアクシャイ・アルス(Sanchari Vijay)という男を始末するため、マイスールへ向かう。だが、その途上で現金を得るために立ち寄ったATMで男に襲われる。やむなくカーリンはその男に銃弾を4発ぶち込み、逃走する。警部ラーケーシュはこの事件とバーヴァナ襲撃事件の関連性を推理し、目撃者から、容疑者は白のマヒンドラXUVに乗っていたとの証言を得る(実はカーリンの乗っていたのは黒のXUV)。
 カーリンはマイスールでアクシャイ・アラスを射殺する。警察はアクシャイの乗っていた車が白のXUVであること、ATMでの殺害に使われた銃と同型であることから、アクシャイが自殺したと発表する。
 ジョーティとディヴィヤは「プロジェクト・ニルバヤー」を開始する。これは評価され、政治家の支援も受けて、ベンガルール以外の街でも公演を行うことになる。彼女たちはハーサン、チッカマガルール、マンガルールへとツアーを行う。
 カーリンの次の標的はマディケーリにいるヴィナイ・ムッタッパ(Ajay Raj)という男だった。カーリンは車で逃げようとするヴィナイを森で射殺する。その後、彼女はマンガルールへと向かう。
 警察はアクシャイ・アラスとヴィナイ・ムッタッパ殺害の共通点を見出し、マンガルールのある学校に鍵があると推理する。
 マンガルールのある屋敷で若い男女が飲酒パーティーを行っていた。そこへヒンドゥー至上主義グループが乱入し、若者たちに嫌がらせを働く。と、そこへカーリンがやって来、ヒンドゥー至上主義者たちに銃を放つ。ヒンドゥー至上主義者のリーダーはカーリンが何者かに気付き、抵抗するが、結局射殺される。
 警察はマンガルールにある学校へ行き、そこのマンジュラ・ヘグデ(Veena Sundar)から話を聞く。それはかつてこの海辺の町で起きたレイプ事件で、少年法と政治家の圧力により、犯人たちが十分に罰せられず、もみ消しにされた事件だった、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★★☆
◎ 脚 本 : ★★★★☆
・【Urvi】と【Shuddhi】、並べて言及されることが多いが、どちらも女性が蒙る問題を扱った映画だし、女神(カーリー/ドゥルガー)への関連付けがなされているし、マンガルール辺りの海辺の町が舞台になっているし、どちらも復讐物だしと、確かに対応している部分が多い。しかし、2作から受ける印象は全然違うなぁ。【Urvi】がリアリティーが飛んでしまったのに対し、【Shuddhi】はしっかりとメッセージが地に付いている印象を受けた。私的には【Shuddhi】のほうが断然好き。

・もちろん、【Shuddhi】のほうもあり得ない話といえばあり得ない話なのだが、語り口と映像感覚が良いせいで、しっかりとした「映画」になっている。

・【Urvi】がレイプよりも買/売春の問題を扱っているのに対し、【Shuddhi】はレイプのほうに力点を置いている。映画中で、例えばインドでは2011年だけでもレイプ事件が2万4千件以上あり、実に20分に1件発生しているとか、10年間でレイプ事件が3倍に増えたとかの言及がなされていた。

・それよりももっと本作で問題視されていたのは、そうしたレイプ事件を起こす犯人には未成年者が含まれるが、現在のインドの少年法ではそうした未成年を(被害者の関係者または世論が望むような形で)十全に罰せられていないということだった。モチーフに使ったのははっきりと、2012年12月にデリーで起き、世界を震撼させた「ニルバヤー事件」だが、あれでも未成年の犯人は少年院に3年送られただけだと言及されていた。

・ちなみに、ジョーティとディヴィヤが行う街頭演劇の「プロジェクト・ニルバヤー」は上のニルバヤー事件に関連付けたもので、犯人が被害女性の性器に鉄棒を突っ込むという出来事も再現されていた。その他、この演劇では南アジアで多発する女性への「酸攻撃」などの問題も扱っていた。

・そうした女性への虐待が起きる原因の一つとして、インドに根強い女性蔑視の問題も指摘されていた(ステレオタイプ的に語られることだが)。それはマンガルールで起きたレイプ事件の犯人グループの何人かがヒンドゥー至上主義で、「露出した服装はいけない」とか「女は男に隷属するものだ」などと語るところによく表れていた(こちらの記事も参照)。ちなみに、マンガルールにこうしたヒンドゥー至上主義が多いことは【Chowka】でも描かれていた。

・本作はこれにサブプロットとしてATMでの襲撃事件(これも都市部では深刻な問題)を絡めて、上手い具合にサスペンス仕立てにしている。

・そういうメッセージ性と離れて私的にうれしかったのは、監督のアーダルシュ・イーシュワラッパが、なるほどアメリカ仕込みのインド映画離れした表現スタイルを取りながらも、内容的にはがっちりローカルだったことだ。まず、ベンガルールという街の描き方にぞくぞくした。そして、ヒンドゥー教の神話への言及やサンスクリット語の台詞、歌など、【Urvi】同様、印哲オタクをわくわくさせるものがあった。ちなみに、題名の「Shuddhi(浄化)」もカーヴェーリ川とカーヴェーリ女神の神話への言及の中で使われた言葉。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
 本作の登場人物はニウェーディターとヴィーナ・スンダル以外、知らない人ばかりだった。おそらく上の2人以外、今後も何かで見ることはないだろう。

◎ 演 技
・ローレン・スパルターノ(カーリン役) ★★★☆☆
 鑑賞前は怖い顔立ちが嫌だったが、見てみると、普通の女の人だった(当たり前か)。決意を抱いた人間として、あれぐらいの表情はしないと。よく映画の内容に溶け込んでいた。

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・ニウェーディター(ジョーティ役) ★★★☆☆
 もはやオフビート映画専門の女優になった感があるが、【Avva】(08)や【December-1】(14)で見られた気負いもなく、良かった。

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・アムルタ・カラガダ(ディヴィヤ役) ★★★☆☆
 むつっとした表情の女優だった。最終的にはローレン・スパルターノさんよりこちらのほうが怖い気がした。

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・シャシャーンク・プルショータム(警部ラーケーシュ役) ★★★☆☆
 始めは何だか素人っぽく見えて、「これが特殊犯罪部の警官?」と違和感があったが、それなりの演技だった。

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◎ 音 楽 : ★★★★☆
◎ BGM : ★★★★☆
・音楽はジェシー・クリントンという、アメリカのミュージシャンが担当している。もちろん一般的なインド映画の音楽とは趣を異にするが、しかし意外に南インドの風景、カンナダ語の台詞と合った音だった。

◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・撮影もアンドリュー・アーイローというアメリカ人で、アーダルシュ監督のアメリカ時代の知人らしい。このお方はまだ若く、きっとアメリカではほとんど名の知れていない人だと思うが、それでもずいぶん良い映像だと思った。カンナダのカメラマンはなぜ、、、以下省略。

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◎ その他(覚書)
・それにしても、アメリカ人がのこのことインドへやって来て、「男の罪は赦しておけない」と、ヒンドゥー至上主義者の男(ごろつきと言えばごろつきだが)を銃殺する話が、よくぞ公開禁止にならなかったものだ。ベンガルール限定の公開かとも思ったが、どうやらマイスール、マンガルール、トゥマクール、シヴァモッガ、フッバッリ、カラブラギでも上映されているようだ。

◆ 完成度 : ★★★★☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 3月19日(日),公開第1週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (Arch Mall),17:10のショー
・満席率 : 7割
・場内沸き度 : ★☆☆☆☆
・備 考 : 英語字幕付き

 

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