カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Hebbuli】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2017/03/29 21:00   >>

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 サンダルウッドの今太閤、キッチャ・スディープの新作。
 もう1ヶ月前に公開されたものだが、ロングラン確実だったので、つい後回しにしてしまった。スディープはさて置き、晴れて離婚ほやほやのアマラ・ポールのカンナダ映画デビューということなら、観てやらずばなるまい。
 監督は、そもそも撮影監督だったが、監督として【Gajakessari】(14)が当たったS・クリシュナ。彼の2作目となる。

【Hebbuli】 (2017 : Kannada)
脚本・監督 : S. Krishna
出演 : Sudeep, Amala Paul, V. Ravichandran, Ravi Kishan, P. Ravi Shankar, Kabir Duhan, Avinash, Kalyani, Chikkanna, Ravi Kale, Anil, Sanjeev Sarovar, 他
音楽 : Arjun Janya
撮影 : A. Karunakar
編集 : Deepu S. Kumar
制作 : Raghunath, Umapathy Srinivas

題名の意味 : 獰猛な虎
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション
公 開 日 : 2月23日(木)
上映時間 : 2時間21分

《 あらすじ 》
 特殊部隊のキャプテン、ラーム(Sudeep)は、パキスタン領内のイスラーム・テロ組織の人質となっていたインド人救出作戦の指揮を執り、見事成功する。救出された人質の中には若い女医ナンディニ(Amala Paul)もいた。ナンディニはラームに一目惚れし、その気持ちを表明する。ラームもまんざらではなかった。そんなこんなの浮かれた空気も、ラーム宛ての電報で吹き飛んでしまう。それはラームの実兄サティヤムールティ(Ravichandran)が死亡したという知らせだった。ラームは幼少のころに両親を失い、サティヤムールティが唯一の肉親だった。
 急遽ベンガルールに戻ったラームに、義兄で警官のプラタープ(Avinash)がサティヤムールティは自殺だったと告げる。サティヤムールティは正義感の強い国家公務員だったが、性質の悪い土木関係の役人といざこざがあり、誤って彼を射殺し、逮捕。プラタープの働きですぐに保釈されるが、その直後に自殺した、という話だった。だがラームは、自宅の自殺現場の物証から、兄の死は自殺に偽装した他殺だと確信する。
 ラームは兄殺しの容疑者を特定し、追跡するが、怪しい車に追突され、逃げられる。翌日、その容疑者は死体となって発見される。
 ラームは自分に追突して来た車の運転者の刺青とTシャツのロゴを記憶していた。それを頼りに、ベンガルールで再会していたナンディニにも協力してもらい、その容疑者(Anil)を見つけ出す。だが、その容疑者も逃走の途中で死亡してしまう。しかし、その男が持っていた携帯電話から、この事件にはカルナータカ州厚生大臣のアラシケレ・アンジャナッパ(Ravi Shankar)が関与していることをつかみ、大臣に宣戦布告の電話を入れる。
 ラームは、自分をいつも見張っている不審な車に逆に罠を仕掛け、カビール(Kabir Duhan)というヤクザを捕えて監禁する。拷問に掛けられたカービルは、サティヤムールティ死亡事件の裏を白状する。
 ・・・
 サティヤムールティには実直な運転手のシャンカランナがいたが、その娘が癌になった際に治療費が払えず、シャンカランナ一家は自殺してしまう。それを悔やんだサティヤムールティは医療費が安く抑えられるジェネリック薬品について調査し、その使用許可をアンジャナッパ厚生大臣に申請する。しかしアンジャナッパは薬品業界の大物アムルト・シャー(Ravi Kishan)と結託していたため、ジェネリック薬品は認めず、それどころかアムルト・シャーと組んでジェネリック薬品の価格を吊り上げ、利益を分配する話を持ちかける。サティヤムールは憤り、ジェネリック薬品の件を最高裁判所に提訴すると脅す。それでアンジャナッパとアムルト・シャーとカビールはサティヤムールティを消そうと、まず土木役人殺害の罠を仕掛けたが、それがうまく行かなかったため、偽装自殺を仕組んだというわけであった。
 ・・・
 これを知ったラームはアンジャナッパらに見えを切り、サティヤムールが集めた資料と事件の証拠を揃える。しかし、サティヤムールの娘リトゥがアンジャナッパらに誘拐され、ラームは証拠と人質のカビールの引き渡しを要求される、、。

・その他の登場人物 : サティヤムールティの妻アヌラーダ(Kalyani)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・第一印象として、スディープがやたらカッコよかった。映画もなかなか面白かった。クリシュナ監督の前作【Gajakessari】はいまいち緊張感がなく、腰折れ気味な時代劇だっただけに(しかし、大ヒットした)、ぐっと進歩している。

・スディープはコマンドーの役で、本物らしさはさて置き、使用する戦闘具類がメカニック、メタリックで、わくわくした。

・ストーリーも割と面白く作られている。映画の6割ぐらいまではサティヤムールティ死亡事件の謎を中心としたサスペンス仕立てで、そこからジェネリック薬品という本作の主テーマへと飛ぶ。その間にラームとサティヤムールティのベタベタな兄弟センチメントが絡むというインド映画らしい展開が楽しめた。しかし、最後は唐突にラームとナンディニの結婚式のシーンで終わってくれたら、私的にはもっと満足できたと思う。

・テーマのジェネリック薬品というのが興味深い。インドにおけるポストIT産業は何?ということになると、バイオ系産業が有力候補になるが、その中でもジェネリック薬はインドも世界の主要生産地になり得る産業だからだ。本当かどうか知らないが、癌の治療もジェネリックを使えば、通常の薬品を使った場合の3分の1の治療費で済むと映画中で言及されていた。

・もう一つ面白かった点は、荒唐無稽なアクション映画でありながら、意外にロジックに配慮していた点だ。南インドのアクション映画を観ると、ヒーローがあれだけの死体(または負傷者)の山を築いて、法的なお咎めはどうなんだ?と普通の日本人のセンスなら思うはずだが、本作のラームはその点をうまく切り抜けていた。

・ただ、ものすごく面白くなりそうなポテンシャルを孕みながら、最終的には「なかなか面白かった」ぐらいの感想で終わったところを見ると、やはり脚本に至らぬ点があるのだろう。例えば、人相の悪い悪役が3人もいた割には、がたがたと巨悪の城が崩れ落ちた、というような爽快感がなかった。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・スディープ(ラーム役) ★★★☆☆
 上で書いたとおり、かなりカッコよかった。しかし、(こんな言い方も何だが)ちょっとかっこよすぎやしませんか?という疑問はあった。スディープはそもそも長身のハンサムなんだから、強調してカッコつける必要はないと思う。

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 例えば、話題となったヘアスタイル。こんなことする必要があったのかなと。インド映画のスターたる者、下手に役を作ってはいけない、むしろ、役がスターのほうへ来るべきだと思う。

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 何が言いたいかというと、下のヴィジャイのように、どんな役であっても「オレはこの髪型じゃ」みたいな通しがスターの証だと思う。その点、スディープはまだ腰の据わったスターじゃない。

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・アマラ・ポール(ナンディニ役) ★★★☆☆
 A・L・ヴィジャイ監督と結婚したときは天を仰いだが、あっさり離婚し、ファンとしてはうれしい。しかし、その経験を糧として、女優として成長してくれたらという期待もあったが、そんな気配がないところが彼女らしい。

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・ラヴィチャンドラン(サティヤ・ムールティ役) ★★★☆☆
 【Maanikya】(14)ではスディープの父親役だったラヴィチャンドランが本作では兄役だった。

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・日本でもその死亡事件が報道された悪役俳優のアニルが出演していた(こちらの記事)。皮肉なことに、本作でも転落死だったが。

・変わったキャスティングとして、スディープの親父のサローワルさんが学校教師役でちらっと出ていた。

◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★☆☆☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・歌はさて置き、BGMが勇ましすぎたように思う。

・ところで、本作を観るにあたって恐れていたことがあった。それは「スディープとアマラ・ポールが音楽シーンで一緒にダンスをする?」だったが、当然の如くそれはあり、そこでガクッとテンションが下がった。(もっとも、そのガクッと墜ちる衝撃を味わうのもカンナダ映画の楽しみ方の一つではあるが。)

◎ アクション : ★★★★☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆

◎ その他(覚書)
・インドのナショナル・ソングとしてナンディニが歌うのが“Jana Gana Mana”じゃなく、“Vande Mataram”でよかった。(つまり、起立する必要がなかったから。)

・客の入りが悪かったせいもあるが、スディープの登場シーンでも全く沸かなかった。やっぱりこういう映画は単館で観るべきだ。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 3月25日(土),公開第5週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (Arch Mall),16:45のショー
・満席率 : 3割
・場内沸き度 : ★☆☆☆☆

 

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カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2017/03/31 20:34

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