カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Baahubali 2: The Conclusion】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2017/05/10 20:51   >>

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 プラバースとラーナー・ダッグバーティが苦手で、甲冑物とも相性の悪い私は、【Baahubali: The Beginning】(15)にいまいち盛り上がらず(面白いには違いないが)、この【Baahubali 2: The Conclusion】が公開され、空前のヒットとなりつつあっても、まぁ1ヶ月後ぐらいに観に行けばいいか、ぐらいに思っていた。ところが、まさにこの【Baahubali 2】のせいで、他の観たい映画が観られる時間帯にないという事態になり、やむを得ず2週目で観ることにした。

【Baahubali 2: The Conclusion】 (2017 : Telugu)
物語 : K.V. Vijayendra Prasad
脚本・監督 : S. S. Rajamouli
出演 : Prabhas, Rana Daggubati, Anushka Shetty, Ramya Krishnan, Sathyaraj, Nasser, Subbaraju, Meka Ramakrishna, Tamannaah, Rohini, 他
音楽 : M.M. Keeravani
撮影 : K.K. Senthil Kumar
編集 : Kotagiri Venkateswara Rao
製作 : Shobu Yarlagadda, Prasad Devineni
題名の意味 : バーフバリ(主人公の名前)・パート2
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ファンタジー
公 開 日 : 4月28日(金)
上映時間 : 2時間47分

《 あらすじ 》
 何ゆえ忠臣カッタッパ(Sathyaraj)はアマレンドラ・バーフバリ(Prabhas)を殺害したのか、アマレンドラの息子マヘンドラ・バーフバリ(Prabhas)は、母デーヴァセーナ(Anushka)と共に、バッラーラ・デーヴァ王(Rana Daggubati)の手からマヒーシュマティ国を奪還することができるのか、というお話。(詳しくはWikipediaのプロットを参照。)

・その他の登場人物 : マヒーシュマティの実質的女王シヴァガーミ(Ramya Krishnan),バッラーラ・デーヴァの父ビッジャラ・デーヴァ(Nasser),クンタラ国のデーヴァセーナのおじクマーラ・ヴァルマ(Subbaraju),アヴァンティカ(Tamannaah)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★★☆
・ほぼ「めちゃめちゃ面白い」との感想しか聞いていなかったが、めちゃめちゃ面白かった!

・凄い映画を観たときの私の症候群は「頭のネジが飛ぶ」とか、「涙がさめざめ流れる」とか、「ひいていた風邪が治る」とかがあるが、本作はそうだった。何と言うか、インド映画はかなりの数を観たが、アクション・シーンのカッコよさ、美しさで涙が溢れたのは本作が初めてかも。【Baahubali 1】では「Magnum Opus」という言葉が思い浮かばなかったが、本作は「Magnum Opus」と言いたい。

・アクション・シーン以外で泣けたところ、そして本作の最もうまく行っている点は、ヒロイズムの描出だろう。ヒーローが仁王立ちするインド映画はこれまた山ほど観てきたが、ほとんどは型どおりの手順を踏んでいるだけで、何か崇高なものを見たという気分にさせてくれるものはそう多くない。ところが、本作では本当に叙事詩の英雄が出て来たかと思った。プラバースの英雄としての男前さに涙が流れた。

・【Baahubali 1】ではVFXとかの絵的な面白さが勝って、ドラマ的な側面、つまり哲学が希薄で、それでピリッと締まらない大味な感じがした。しかし、このパート2はドラマ面でも強い。まず登場人物の人物造形がきちんとできており、嫉妬や怒りの感情がしっかり描かれている。また哲学面では、「ダルマ」を基礎とした倫理的論理でストーリーが組み立てられており、王家の惨劇とそこからの回復をまさに叙事詩的規模で描くことに成功している。

・今改めてパート1の鑑賞記を読み返してみると、「(ストーリーとか内容とか)つまらなさすぎるように思う」とか、「普通に面白かっただけ」とか、「ほぼすべてが予想の範囲内」とか、好き勝手書いているが、まぁ、今もその評価を変えるつもりはない。しかし、「『マハーバーラタ』や『ラーマーヤナ』から着想を得ているというわけでもなさそう」と書いたのは間違いだったと思う。あえて乱暴に言うと、これは『マハーバーラタ』そのものじゃないか。正確には、S・S・ラージャマウリ版『マハーバーラタ』。

・インド人の物語的/美術的イマジネーションには二大叙事詩が大きな源泉となっていると思われるが(二大叙事詩そのものでなくとも、それを基にした大衆芝居や映画なども含む)、S・S・ラージャマウリ監督もそうじゃないだろうか。【Eega】(12)は子供が父から聞いた物語だという設定だったが、どうもラージャマウリ監督の場合、物語から誘発されるイマジネーションが創造の源泉になっていると思われる。きっと(私の勝手な想像だが)ラージャマウリ少年は子供のころに父や母、祖父、祖母、近所のお年寄りやお坊様に『マハーバーラタ』の物語を聞き、それがイメージとしてどんどん膨らんでいき、【Baahubali】となったんじゃないだろうか。で、何が言いたいかと言うと、なかなか芸術家の想像力というのはカメラのフレーム内に収まるものではないので、最新技術を使って凄い映像を作っても、ラージャマウリ監督はまだ描き切れたという実感がないのじゃないだろうか。というわけで、パート3も来るね。

◎ 配 役 : ★★★★★
◎ 演 技
・プラバース(アマレンドラ・バーフバリ/マヘンドラ・バーフバリ役) ★★★★☆
 パート1の鑑賞記で「ヒーローとしてのオーラがばんばん出ていたわけではなく、これはパート2の課題だろう」と書いたが、本作は申し分なかった。
 (写真下: どのスチルを貼るか迷ったが、やはりシヴァにはリンガということで。)

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・アヌシュカ(デーヴァセーナ役) ★★★★☆
 同じく「後半に期待したい」と書いたアヌシュカだが、期待どおりの出演でうれしかった。やはり剣を持たせれば彼女の右に出る女優はなし、エピック・クイーンと呼びたい。(いや、本作では剣より弓矢だったが。)

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・ラーナー・ダッグバーティ(バッラーラ・デーヴァ役) ★★★★☆
 クライマックスまでは筋肉を封印し、苦虫を噛み潰したような顔の王子/王をひたすら我慢で演じていたが、さすがに最後は上半身を露出したので、「サルマーン・カーンか、お前は」と突っ込んでしまった。何はともあれ、インド映画史上に残る悪役だ。
 (写真下: ひしゃげても、愛用のガダーは捨てません。)

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・サティヤラージ(カッタッパ役) ★★★★☆
 ご存じのとおり、本作が公開される直前になって、このサティヤラージが9年前にカーヴェーリ川水紛争に関してカンナダ人の感情を逆なでする発言をしたという出来事を根拠に、カルナータカ州では本作のボイコット運動が起き、ラージャマウリ監督がカンナダ人へのアピールをし、サティヤラージ自身も謝罪するに至って、何とか事態が収まった、という経緯があった。サティヤラージにすればさぞや悔しかったろうが、自身の演技を見てもらうためにも、仕方なかったということか。何はともあれ、コミカルな面も見せる良いパフォーマンスだった。
 (写真下: 謝罪文を読み上げるサティヤラージ氏。)

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・ラミャ・クリシュナ(シヴァガーミ役) ★★★★☆
 叙事詩的な人物がほとんどの本作にあって、唯一とも言える人間くさい人物だった。パート2を観ると、パート1の冒頭シーン(自分の命に代えてまで赤子のアマレンドラを守る)の重みがよく理解できる。

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・ナーサル(ビッジャラ・デーヴァ役) ★★★☆☆
 凄い場面があちこちにある本作にあって、瞬間インパクトが最も強かったのは、やはりこの「ビッジャラ・デーヴァ、怒りの石柱砕き」だ。

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・スッバラージュ(クマーラ・ヴァルマ役) ★★★☆☆
 コメディー的な登場の仕方が意外だったが、後半では重要な役回りを演じている。

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◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★★☆☆
・すみません、パート1と同様、絵ばかりに注意が行き、歌はほとんど聞いていませんでした。しかし、アマレンドラがデーヴァセーナを連れて船でマヒーシュマティに帰る音楽シーンは面白かった。

◎ アクション : ★★★★★
◎ 美 術 : ★★★★★
◎ 衣 装 : ★★★★★
◎ 撮 影 : ★★★★★
◎ 特殊効果 : ★★★★★
◎ 編 集 : ★★★★☆
・スローモーションの使い方が効果的だった。

◎ その他(覚書)
・大昔も結婚ブローカーというのがいたと見えて、花嫁候補の「絵」をシヴァガーミに見せているシーンがあった。

◆ 完成度 : ★★★★☆
◆ 満足度 : ★★★★★
◆ 必見度 : ★★★★★

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 5月7日(日),公開第2週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (Arch Mall),9:00のショー
・満席率 : ほぼ満席
・場内沸き度 : ★★★☆☆

 

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【Ami Thumi】 (Telugu)
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2017/06/14 21:09

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