カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Bangara s/o Bangaradha Manushya】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2017/06/06 20:32   >>

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 シヴァラージクマール主演のこの映画は当初観る予定にしていなかったが、去る5月31日にシヴァラージクマールの母親パールワタンマが死去したため、せっかく(?)なので観ようという気になった。
 題名は「バンガーラダ・マヌシャ(黄金の人)の息子、バンガーラ(黄金)」という意味で、やたらギラギラしているが、「Bangaradha Manushya」はシヴァラージクマールの父ラージクマールの名作【Bangaarada Manushya】(72)から取られたもの。
 (写真下: 【Bangaarada Manushya】の1シーン。)

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 本作のストーリー自体が【Bangaarada Manushya】とダイレクトに関連付けられているようで、カットアウトもラージクマール父子が合体したものだった。
 (写真下: シヴァンナが窮屈そう。)

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【Bangara s/o Bangaradha Manushya】 (2017 : Kannada)
物語・脚本・監督 : Yogi G. Raj
出演 : Shivarajkumar, Vidya Pradeep, Srinivasa Murthy, Shivaram, Vishal Hegde, Chikkanna, Sharath Lohitashwa, Mico Nagaraj, Sadhu Kokila,
Honnavalli Krishna, Srinath, K.P. Sridhar, Anil, Sudha Belawadi, Mandya Ramesh, 他
音楽 : V. Harikrishna
撮影 : Jai Anand
編集 : Deepu S. Kumar
製作 : Jayanna & Bhogendra

題名の意味 : 黄金の人の息子、バンガーラ(黄金)
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 5月19日(金)
上映時間 : 2時間18分

《 あらすじ 》
シヴァラージ(Shivarajkumar)はイタリアのミラノに暮らす裕福な実業家。家族はおらず、後見人のムールティ(Srinivasa Murthy)と片腕のサンディー(Chikkanna)が身内のようなものだった。シヴァラージは徹底した現実主義者で、まずセンチメンタルな事柄が大嫌い、そして、不確実な未来(それが明日でも)について語ることも好まなかった。そのせいで、会社でも部下から誤解されることがしばしばだった。
 ナヤナ(Vidya Pradeep)もミラノに暮らすNRIで、ある日、占星術師から恋愛結婚するだろうとの託宣を受ける。それは馬鹿げた内容だったので信じていなかったが、道でシヴァラージを目撃するなり、この人と結婚すると直感する。しかも、たまたま就職した会社がシヴァラージの会社だったため、彼女は彼にアタックをかける。しかしシヴァラージは靡かない。そこでナヤナはサンディーと一計を案じ、シヴァラージを自分の家に連れて来ることに成功する。だが、シヴァラージはナヤナの家に飾られた自分の父の写真を見つけ、複雑な気持ちになる。
 そんなシヴァラージにムールティはシヴァラージの父が書いた手記を読ませる。シヴァラージの父はカルナータカ州の故郷で村人に土地を与えて農業を支援し、「黄金の心を持つ人」として尊敬されていたことを知る。この手記に霊感を得たシヴァラージは早速インドへと飛ぶ。
 故郷のカルナータカ州ラームプラに着いたシヴァラージは、ここの全ての村人の家に父の写真が飾ってあるのを見る。また彼は、この村人たちが多くの問題――旱魃で農作物が不作であること、政府系の工場を建設するために立ち退きを要求されていること、農民たちが銀行から借金生活をしていること――に直面していることを知る。この問題の背景には地元の政治家ガウダ(Mico Nagaraj)と州政府の内務大臣(Sharath Lohitashwa)が絡んでいた。シヴァラージは農民たちの問題を解決しようと、ガウダと内務大臣に対して、3カ月の猶予をくれるよう要求する。
 しかし、その間にガウダに借金返済を迫られた農民が夫婦で自殺してしまう。シヴァラージと村人たちは抗議行動として自殺夫婦の遺体をベンガルールのフリーダム公園まで運び、座り込みをする。取材に来たマスメディアに対しシヴァラージがアピールしたため、近隣の農民もこの輪に加わる。このためシヴァラージは逮捕されてしまうが、村人たちの抗議により、釈放される。
 シヴァラージは私財を投じて、カルナータカ州と近隣州の農民たちを買収し、農作物がベンガルールに流通しないようにさせる。さらに彼はテレビの生番組に出演し、インドの農民の窮状を訴える。シヴァラージのアピールは都市部の若者層の支持も得、フェイスブックなどを通して拡散する。事態を重く見た中央政府の首相はカルナータカ州首相(K.P. Sridhar)に速やかに問題を処理するよう指示する。
 シヴァラージと州首相及び内務大臣との間で話し合いの場が設けられる。シヴァラージはこの機会に農民の地位と生活を向上させるための要求を突きつける。州首相はこの要求を飲むのに躊躇するが、シヴァラージが「黄金の心を持つ人」の息子だと知り、積極的に受け入れることを決定する。
 念願が叶ったシヴァラージと農民たちは米の刈り入れをする。だが、ここでシヴァラージは倒れ、入院する。実は彼はある事実を隠していたのである、、。

・その他の登場人物 : サーガル(Vishal Hegde),スネーク・サードゥ(Sadhu Kokila),医師(Srinath)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★☆☆☆
◎ 脚 本 : ★★☆☆☆
・まるでパールワタンマの死を読んでいたかのように、プニート・ラージクマール主演の【Raajakumara】(17)とシヴァラージクマール主演の本作が相次いで公開されたが、【Raajakumara】がラージクマールの【Kasthuri Nivasa】(71)へのオマージュだったように、本作も(予想されたとおり)【Bangaarada Manushya】へのオマージュ、というより、続編とも言える作品だった。

・はっきり言って、映画としての完成度は低く、あまり面白くもない。いかに【Bangaarada Manushya】へのオマージュだと言っても、スタイル、センスが古くさすぎる。【Raajakumara】は大ヒット作となったが、本作はそうは行かないだろう。

・しかし、面白くなかったのに、私は不覚にも泣いてしまった。何と言うか、やはりラージクマールの追憶というのは大きい。物語中に引用されるラージクマールの映画やニュースフィルムのクリップも泣きのポイントだが、シヴァンナが演じる【Bangaarada Manushya】への対となる場面(例えば、稲穂を持つ場面とか、ラストの夕日に向かって歩む場面とか)がいちいち泣かせる。

・しかし、最も泣けた理由というのは、本作のはっきりとした農民への愛だろう。インドは火星探査機を飛ばすほど科学技術の進んだ国であり、世界的なIT産業国でもあるのだが、どうもインド庶民の心の底には「インドの心は農村にあり」、「農民こそがインドの主役」といった観念があるようで、しかし、だからといって現代では農村も農民も大切にされず、例えばカルナータカ州では農民の貧困と自殺が深刻な問題となっている。そういった状況には映画産業も敏感で、テルグ映画の【Srimanthudu】(15)のように、都会育ちの若者が田舎に帰り、農民のために尽力するといった映画もよく作られている。本作も意固地なまでに農民を何とかしたいという気持ちが、けっこう胸を打つものとなっていた。

・シヴァラージが州首相らに要求した改革案というのが、農民への土地の保証とか、農産物販売委員会(APMC: Agricultural produce market committee)での売買の停止とか(この委員会は本来農民を保護するために作られたはずだが、仲介人の質によって、かえって農民を圧迫するものとなっている)、コングレス政権が実施した貧困者への米1キロ1ルピーでの配給政策の中止とか(まだやっていたのか?)、農業にかかる水道代、電気代の無償化とか、「農民の日」の制定とか、何だかすごいことばかり言っていた。これが実施できるものか、また実施すべきことかどうかはさて置き、カルナータカ州の農業政策が十分ではないことはよく分かった。

・そして、本作の良い点は、カルナータカ州の農村問題から出発しながら、これをインド全体の農村に共通の問題だと一般化していることだ。よって、本作は「カルナータカ万歳!」もカンナダ旗ぶん回しもない。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・シヴァラージクマール(シヴァラージ役) ★★★☆☆
 シヴァラージクマールは、と言うより、ラージクマール家ではラージクマール以外、全て苦手とする私だが、本作のシヴァンナは後半は良かった。否、称賛すべき演技をしていたわけではないが、こういう、偽善的になりがちな役柄と台詞も、彼がやれば何だか収まってしまう、という意味でだ。こういう役が体現できる俳優は、サンダルウッドではそう多くはいまい。しかし、前半の「ミラノ」でのカッコ付けの場面は、「もう勘弁!」といった次元だった。
 (写真下: ギターをあしらうシヴァンナ。キモかった。)

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 (写真下: これはアカンでしょう。えっ、いいんですか?)

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 (写真下: これもなぁ、、。)

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 (写真下: やっぱりお兄ちゃんは田舎者がいい。)

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・ヴィディヤ・プラディープ(ナヤナ役) ★★★☆☆
 インドが世界有数の宇宙開発技術国の仲間入りをした時代にあって、時代遅れのタイプのヒロインを演じさせられて、気の毒だった。土産物屋で売られている人形のように可愛い人だが、私的には好むタイプではない。しかし、女優としてのIQは高そうだった(と、調べてみたら、この人は幹細胞生物学の博士だぞ!)。
 (写真下: 本作のスチルではありません。)

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・シュリーニワーサ・ムールティ、シヴァラーム、シュリーナートといった、ラージクマールとも共演したベテラン俳優の顔も見られて、うれしかった。

◎ 音 楽 : ★★☆☆☆
◎ BGM : ★★☆☆☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・サンダルウッドもなぁ、衣装と振り付けをもっと改善してくれたらいいのに。(この野暮ったさがいいのかもしれないが。)

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◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★☆☆☆☆
◎ 撮 影 : ★★☆☆☆
◎ 編 集 : ★★☆☆☆

◆ 完成度 : ★★☆☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★☆☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 6月4日(土),公開第3週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (Arch Mall),15:45のショー
・満席率 : 4割
・場内沸き度 : ★★☆☆☆

 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
シノプシス読んだだけで号泣しそうになりましたよ。鈍臭い衣装着たおにーちゃんがミラノのサント・ナポレオーニ通りでカッコつけて異世界の生き物のように浮いてる姿もくっきり目に浮かびました。ラージクマール兄弟の映画は川縁さんのレビューさえあれば映画館行かなくても全篇見たに等しいことになりますから素晴らしいですね。
メタ坊
2017/06/11 18:29
とりあえず上のコメントは褒め言葉だと受け取っておきます。
こういう映画を観ると、メタ坊さんが「インド映画は映画に非ず」と言うのがよく分かります。
カーヴェリ
2017/06/13 09:37

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