カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Ami Thumi】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2017/06/14 21:09   >>

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 以前にも書いたが、南インド映画だけでも毎年数百本公開され、そのうち私が映画館で観るのは数十本。約1割。もちろん、観たいと思わないものや公開されたことさえ知らない映画もあるので、それを除外しても、観たい映画の半数以上は観られない。よって、こちらで毎週インド映画を観ていても、「観た」と言うより、「観ていない」という感覚のほうが強い。
 何が言いたいかと言うと、つまり鑑賞本数に限りがあるなら、できるだけセレクションを工夫し、新しい監督、俳優の作品なども発掘したいと思うのだが、実際にはお気に入りの監督、俳優の新作を追いかけてしまうことになっている。なかなか私のうちでインド映画の世界が広がらない。
 テルグ映画界のモーハン・クリシュナ・インドラガンティ監督もその1人で、【Ashta Chamma】(08)で気に入って以来、新作は必ず観ている。それで、もうこの新作【Ami Thumi】は流そうと思ったが、トレイラーを見たら、タニケッラ・バラニがダンスをしているお茶目なシーンがあったため、結局観てしまった。

【Ami Thumi】 (2017 : Telugu)
物語・脚本・台詞・監督 : Mohan Krishna Indraganti
出演 : Eesha Rebba, Adivi Sesh, Vennela Kishore, Tanikella Bharani, Avasarala Srinivas, Aditi Myakal, Shyamala Devi, Kedar Shankar, Madhumani, Venu Gopal, Tanikella Bhargav, Ananth Babu, 他
音楽 : Mani Sharma
撮影 : P.G. Vinda
編集 : Marthand K. Venkatesh
製作 : K.C. Narasimha Rao

題名の意味 : 俺か、お前か (私とあなた)
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : コメディー
公 開 日 : 6月9日(金)
上映時間 : 2時間4分

《 あらすじ 》
 ハイダラーバードの実業家ジャナールダン(Tanikella Bharani)には息子のヴィジャイ(Avasarala Srinivas)と娘のディーピカ(Eesha Rebba)がいた。ヴィジャイはマーヤ(Aditi Myakal)と付き合っており、結婚を望んでいたが、マーヤの父ガンガーダル(Kedar Shankar)がジャナールダンとビジネス上のライバルだったため、猛反対される。他方、ディーピカも恋人アナント(Adivi Sesh)との結婚を望んでいたが、アナントが平凡な営業マンだったため、父は認めない。ヴィジャイとアナント、ディーピカとマーヤもそれぞれ友達同士だった。
 ある日、ジャナールダンはディーピカの結婚相手として、ヴィシャーカパトナムの富豪(Venu Gopal)の息子シュリー・チリピ(Vennela Kishore)との縁談を決めてしまう。この出来事で親子が対立したため、ジャナールダンはディーピカを部屋に監禁し、ヴィジャイを家から追い出してしまう。
 ジャナールダンの家にはクマーリ(Shyamala Devi)というメイドがおり、彼女は40歳を過ぎても独身だったが、なお結婚を諦めていなかった。クマーリは送られてきたシュリー・チリピの写真を見るなり一計を案じ、ディーピカの部屋に入って彼女と相談し、自分がディーピカになりすましてチリピと会うことにし、ディーピカを家の外に解放してやる。
 ディーピカは家出をして来たマーヤとカフェで会う。そこへヴィシャーカパトナムから出て来たチリピが偶然やって来る。ディーピカはチリピの顔を見るなり認識するが、チリピのほうはディーピカの顔を知らなかった。というのも、チリピの家では代々結婚前に花嫁候補の写真を見てはいけないことになっていたからである。その状況を利用し、ディーピカはマーヤと相談し、自分がマーヤになりすまして、チリピに接近することにする。ディーピカはチリピに「私はマーヤ・ガンガーダルで、アナントという恋人がいるが、親に反対されているので、手助けしてほしい」と依頼する。チリピはマーヤ(実はディーピカ)を自分が泊まるホテルにかくまう。
 チリピはジャナールダンの家に行き、ディーピカと対面する。部屋で二人きりで会ったディーピカ(実はクマーリ)は聞いていたのとは全く違う女性だったが、とりあえず結婚を承諾する。チリピはまたジャナールダンに、マーヤという女性がアナントという男性と結婚したがっているから、手助けしたいと伝える。それを聞いたジャナールダンは大喜びし、ぜひマーヤとアナントを結び付けようと、援助を約束する。そこへディーピカが監禁されているという話を聞いたアナントがやって来る。チリピはアナントを誘拐し、自分が泊まるホテルの部屋に連れて行き、マーヤ(ディーピカ)と会わせる。二人は再会を喜ぶ。
 次に、ディーピカ(クマーリ)はチリピとこっそり部屋を抜け出し、二人で結婚衣装を買いに行く。ディーピカ(本物)はマーヤ(本物)と会い、事情を説明する。ディーピカ(クマーリ)とチリピ、ディーピカ(本物)とアナント、それにマーヤ(本物)はお寺へ行き、結婚式の準備を進める。そこへ当初はマーヤとアナントの仲を疑っていたヴィジャイも合流し、真実を知る。
 三組の結婚式が行われようとしたときに、ジャナールダン、それにマーヤの両親もお寺にやって来、てんやわんやとなる、、。

・その他の登場人物 : マーヤの継母(Madhumani),カーシ(Tanikella Bhargav),SMS(Ananth Babu)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★☆☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・モーハン・クリシュナ・インドラガンティ監督といえば、【Grahanam】(04)、【Mayabazar】(06)、【Golconda High School】(11)といったメッセージ色の強い作品か、【Ashta Chamma】、【Bandipotu】(15)といった風刺コメディーを得意としていたが、前作の【Gentleman】(16)では珍しく純娯楽的な作品を撮り、さてこの【Ami Thumi】はどんな流れかというのが注目だった。結論としては、【Ashta Chamma】ふうのコメディー・オブ・エラーズの映画だった。

・【Ashta Chamma】がオスカー・ワイルドの‘The Importance of Being Earnest’を元ネタとしていたように、本作はリチャード・ブリンズリー・シェリダンの‘The Duenna’の翻案。映画の冒頭にちゃんと断り書きがあった。私はもちろん‘The Duenna’を読んでいないし、オペラも観ていないので、原作との比較はできない。

・しかし、残念ながら本作は【Ashta Chamma】ほどのストーリーの面白さも、一点を突くような風刺の鋭さもない。人物のすれ代わりによる混乱の面白さはあるが、もう少し練りがあってもよかったと思う。例えば、ヴィジャイ(Avasarala Srinivas)をもっと有効に筋運びに活用するとか(ほとんど消えていた)。

・テーマ的にも、親世代と子世代の結婚観の違いというものに親世代の貪欲が絡んでくるというもので、新鮮みは感じなかった。

・しかし、本作がそれなりに楽しく、一見の価値があるのは、役者たちの活躍による。ディーピカ(Eesha Rebba)、シュリー・チリピ(Vennela Kishore)、クマーリ(Shyamala Devi)、ジャナールダン(Tanikella Bharani)の4人が面白く物語を動かしていた。特にシュリー・チリピを演じたウェンネラ・キショールはとても良い。

・撮影場所は室内がほとんどで、音楽シーンも地味。映画的には全然けれんみのない、いかにも低予算な映画だった(モーハン・クリシュナ監督でもまだ大きな予算を持たせてもらえないのか)。しかし、エンディングの「全ては踊って水に流そう」的なクラブでのダンスシーンは楽しかった。

・私には感知できないことだが、本作の登場人物(ヴィシャーカパトナムのチリピ親子を除く)はテルグ語のテランガーナ弁で話しているらしい。ということは、無理からカテゴリー化すると、これはハイダラーバード映画と言ってもいいのかな。ハイダラーバードのアッパークラスの若者の特徴を描いているのかなと思われるものとして、ディーピカがテルグ語が書けないというのがあった。

・どうでもいい情報だが、ディーピカの部屋にはディーピカー・パドゥコーネのポスターが、マーヤの部屋にはリティク・ローシャンのポスターが貼ってあった。

◎ 配 役 : ★★★★☆
 配役は良い。上で書いたとおり、重要な働きをしたのはイーシャー・レッバー、ウェンネラ・キショール、タニケッラ・バラニ、シャーマラ・デーヴィの4人。トリビアとして、本作はアワサラーラ・シュリーニワース、アディヴィ・セーシュ、タニケッラ・バラニ、ウェンネラ・キショールという、映画監督経験者が4人も出演者として並ぶという珍しい映画になった。

◎ 演 技
・イーシャー・レッバー(ディーピカ―役) ★★★☆☆
 モーハン・クリシュナ監督のお気に入り。撥ねっ返りな都会娘を堅実に演じている。右手首のナヴィルガリのタトゥーが本人自身のものなのか、役柄上のメイクなのか、気にかかった。
 (写真下: 左よりAdivi Sesh、Eesha Rebba、Avasarala Srinivas、Aditi Myakal。)

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・アディヴィ・セーシュ(アナント役) ★★☆☆☆
 いつかどこかでこの人のことを「中途半端ハンサム」のカテゴリーに入れてしまったが、本作ではルックスだけでなく、役回りも中途半端だった。もっとも、【Baahubali 2】(17)の生首だけの出演よりはずっとましだが。

・アワサラーラ・シュリーニワース(ヴィジャイ役) ★★☆☆☆
 このお方も影が薄かったのが残念だ。

・アディティ・マイカル(マーヤ役) ★★☆☆☆
 このメガネぶうちゃんみたいな感じがけっこう好きで、可愛いと思ったが、演技はまだまだ勉強の余地あり。【Posh Poris】というネットドラマで知られるようになったらしい。

・ウェンネラ・キショール(シュリー・チリピ役) ★★★★☆
 本作の見どころ。スニール、ブラフマーナンダムのレベルに並んだか。クマーリを見て体が麻痺する場面が目に焼き付く。

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・タニケッラ・バラニ(ジャナールダン役) ★★★☆☆
 申し分のない演技だったが、注目の古典ダンスのシーンは期待したほどお茶目ではなかった。

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・シャーマラ・デーヴィ(クマーリ役) ★★★☆☆
 「カバーリ・ダー」のパロディーで「クマーリ・ダー」と勇ましく登場し、最後まで破壊力を維持していた。

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◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・マニ・シャルマの音楽は平凡だったが(2曲しかなかった)、上述したとおり、エンディングのクラブ・ダンスは良かった。

◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 6月10日(土),公開第1週目
・映画館 : Cinepolis (ETA Mall),10:20のショー
・満席率 : 1割以下(8人)
・場内沸き度 : ★☆☆☆☆

 

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