カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Duvvada Jagannadham】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2017/06/27 21:06   >>

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 最近のインド映画スターというのは1年に1本出るか出ないかなので(マラヤーラム映画のスターは除く)、アッル・アルジュンを見るのも、前作【Sarrainodu】(16)を見送ったため、約2年ぶりとなってしまった。ご無沙汰だが、熱烈なファンでもない限り、このぐらいの頻度でちょうど良いのかなとも思う(ただし、私はアッル・アルジュンのファンである)。
 監督は、本ブログでは【Mirapakaay】(11)と【Ramayya Vasthavayya】(13)を紹介したハリーシュ・シャンカル。プロデューサーがディル・ラージュで、彼の25作目になるらしい。

【Duvvada Jagannadham】 (2017 : Telugu)
物語・台詞・監督 : Harish Shankar
脚本 : Ramesh Reddy, Deepak Raj
出演 : Allu Arjun, Pooja Hegde, Rao Ramesh, Murali Sharma, Subbaraju, Posani Krishna Murali, Tanikella Bharani, Vennela Kishore, Chandra Mohan, Pavitra Lokesh, Prabhakar, Harish Uthaman, Vidyullekha Raman, Rajitha, Giridhar, Shravan, Sana, Jeeva, 他
音楽 : Devi Sri Prasad
撮影 : Ayananka Bose
編集 : Chota K. Prasad
製作 : Dil Raju, Shirish

題名の意味 : (主人公の名前)
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション
公 開 日 : 6月23日(金)
上映時間 : 2時間36分

《 あらすじ 》
 ヴィジャヤワーダに暮らすブラフミン家の息子ドゥッワーダ・ジャガンナーダムは、祖父の影響を受け、子供ながら不正が許せない性質だった。それが時に暴力行為ともなったため、父(Tanikella Bharani)に戒められ、非暴力の誓いとしてルドラクシャを首に巻かれる。しかしある日、ハイダラーバードに行った際に、ジャガンナーダムは警官プルショッタム(Murali Sharma)を救うためにギャングたちを射殺する。それが縁で、プルショッタムとジャガンナーダムに公にはできない関係が生じる。
 成人したドゥッワーダ・ジャガンナーダム(Allu Arjun)は、家業の仕出し屋「アンナプールナ給食」で働く一方、警官プルショッタムから情報と指示を得、マフィアなどの悪人を次々に殺害していた。プルショッタムはマスコミに対して、これは「DJ」という謎の人物の所業だと発表していた。
 ジャガンナーダムはいとこのヴィグネーシュワラ(Vennela Kishore)の結婚式に料理を仕出した際に、プージャー(Pooja Hegde)という女性と出会う。プージャーは内務大臣プシュパム(Posani Krishna Murali)の娘で、デザイナーだった。ジャガンナーダムは何かと自分に色気を振りまくプージャーに惚れてしまい、プロポーズするが、あっさり振られてしまう。
 ときに、ロイヤラ・ナーイドゥ(Rao Ramesh)という悪徳不動産業者が市民から総額900億ルピーの金を騙し取るという詐欺行為を働いていた。ジャガンナーダムのおじ(Chandra Mohan)もその被害に遭い、自殺してしまう。ジャガンナーダムはプルショッタムと連絡を取り、まずロイヤラ・ナーイドゥの部下スティーフン・プラカーシュを脅し、詐欺事件の鍵を握るサミール・チャンドラの暗殺をストップさせる。この時、ロイヤラはスティーフンを脅した人物が「DJ」だと知る。
 ロイヤラ・ナーイドゥは内務大臣プシュパムと結託していた。それでロイヤラは自分の息子チントゥ(Subbaraju)を大臣の娘プージャーと結婚させようとする。プージャーはチントゥに会うためにアブダビまで行くが、極度に潔癖症で、死んだ母と会話するチントゥを気味悪く感じる。同時に、プージャーは実はジャガンナーダムを愛していることに気付き、そのことを父に告げる。
 怒ったロイヤラはスティーフン・プラカーシュらをヴィジャヤワーダに送り込み、ジャガンナーダムを殺そうとするが、逆にスティーフンが人質となる。
 プージャーはジャガンナーダムに会いにヴィジャヤワーダの家まで行く。この時ジャガンナーダムと撮ったツーショットの写真を父プシュパムに送る。プシュパムからその写真を見せられたロイヤラは、ドゥッワーダ・ジャガンナーダムこそが「DJ」だと気付き、彼の家族を脅迫し、スティーフン・プラカーシュの隠し場所を聞き出そうとする。さらにロイヤラは手の者(Prabhakar, Harish Uthaman etc.)を送り込み、ジャガンナーダムを殺そうとする。この難を逃れたジャガンナーダムは、ロイヤラに逆襲するために、アブダビに飛んでロイヤラの息子チントゥに接近する、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★☆☆☆
◎ 脚 本 : ★★☆☆☆
・しばらくこういう人気スター本位のテルグ娯楽アクション映画を観ていなかったので(何かと別格な【Baahubali 2】は除く)、久々に独特のテルグ映画の世界に酔いたいと思ったが、客観的に見て、出来は良くない。アッル・アルジュンのファンならぎりぎり楽しめるかなぁ、というレベルか。

・テンポが嫌にもたつく、無駄な場面が多い、緊張感が乏しいで、いくつかの面白いアイデア、場面はあるにせよ、概ね退屈だった。

・冒頭の、少年時代のドゥッワーダ・ジャガンナーダムがまさかの銃ぶっ放しをする場面ではわくわくしたが、後はテルグ映画らしいぶっ飛んだアイデアはアクション・シーンぐらいだった。

・もう一つ面白かったのは、スッバラージュ演じるロイヤラ・ナーイドゥの息子。これがまともな人物なのかバカなのか微妙に揺れていて、ここは腹を抱えて笑った。しかし、私は面白いと思ったが、あのクライマックスを評価しない人もいるだろう。

・個人的に最も興味深いと思ったのは、主人公のドゥッワーダ・ジャガンナーダムがブラフミンの僧侶であり、聖なる食事を仕出す職に就いていながら、裏では「DJ」という顔を持ち、殺人も辞さない人物として描かれている点だ。よくぞこれがブラフミン社会から抗議を受けなかったもんだ。ただし、一応、ルドラクシャを首に掛けている間は非暴力に徹し、ルドラクシャが不可抗力で外れた、もしくはそれを第三者に外してもらったときにだけ、DJに変貌する、と変身物のような仕掛けはあった。しかし、そんな仕掛けがあったにせよ、やはり実質的に同一人物には違いなく、この「僧侶と暴力」というアイデアが割と抵抗なく通っているところが興味深い。

・私の直感では、こういうことを書くとあちこちから非難されそうだが、バラモン教/ヒンドゥー教というのは血生ぐさい宗教であり、そもそもは動物を殺して生贄としていたし、僧侶も肉食をしていたし、『マハーバーラタ』なんかを見ても、「義」のための戦争は肯定されているし、バラモンも戦闘に加わっている。現代のヒンドゥー教徒が自分たちの徳目のように宣伝する非暴力とか不殺生は、どちらかと言うと仏教やジャイナ教から出た観念だし、「平和と寛容の宗教」というのはガーンディー以降のデフォルメされた平和主義で、最近では「イスラーム教=ジハードの名の下に暴力も辞さない悪しき宗教」という、対イスラーム用の宣伝文句にしか私には見えない。何も私はヒンドゥー教を批判したいわけではなく、庶民に根付くヒンドゥー教の感覚というのは「非暴力と寛容」みたいな有り難いものではなく、だからこそ本作のような「悪人を殺す僧侶」というのもすんなり受け入れられているのかなと。そういった意味では、本作はすこぶる「ヒンドゥー映画」だと言える(「ヒンディー映画」のタイプミスではありません)。

・もう一つ興味深いのは、本作が「Agri Gold投資詐欺事件」という現実の事件を露骨に引っ張ってきている点だ(映画中ではロイヤラ・ナーイドゥが起こした「Agro Diamond投資詐欺事件」となっている)。このブログでも何度か言ってきたことだが、インドでは「映画はあらゆるメディアに先立つ」、つまり、インドには非識字者がなお多く、大衆的なレベルでは新聞が読めない人でも映画は観られ、また村落部でテレビがない家庭でもどこかで映画が観られる施設があるわけで、映画が新聞・テレビ以上の役割を担っていると考えられるが、その役割を本作も踏襲しているのが読み取れる、というのが興味深い。

・話はそれるが、インドで最も識字率が高いのはケーララ州で、約94パーセント。インド平均は約74パーセント。しかし、アーンドラ・プラデーシュ州もテランガーナ州も識字率は7割を大きく下回っており、インド全体でも最低水準に位置している。私は何もテルグ人がアホだと言いたいわけではなく、識字率に3割も差があれば、メディアの在り方も、メディアとしての映画の在り方も変わってくるのは当然で、それがマラヤーラム映画とテルグ映画の質的な大きな違いとして表れているのかな、と思ったりするわけである。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・アッル・アルジュン(ドゥッワーダ・ジャガンナーダム役) ★★★☆☆
 穏健でおっちょこちょいな僧侶と、有無を言わせぬスタイリッシュな仕置き屋という、実質二役を上手く演じている。私にはよく分からないが、ブラフミンの話し方、ボディーランゲージというものがあるようで、それも上手く表現しているらしい。

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・プージャー・ヘグデ(プージャー役) ★★☆☆☆
 本作は暴力的なアクション映画であるだけでなく、ヒロインのお色気攻勢も攻撃的だった。このお方の登場シーンで、水着の股間部にボカシが掛かっているのを見たときは、違うジャンルの映画かと勘違いした。

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・ラーウ・ラメーシュ(ロイヤラ・ナーイドゥ役) ★★★☆☆
 いろいろなコスプレが見られて、楽しかった。悪役としては特に凄いパフォーマンスではなかったが、テルグ人、及びラーウ・ラメーシュ自身にとっては特別な役柄だったようだ。というのも、この「ロイヤラ・ナーイドゥ」というのは、ラーウ・ラメーシュの父ラーウ・ゴーパール・ラーウの【Aa Okkati Adakku】(92)の役を真似たものらしい。
 (写真下: 右が父ラーウ・ゴーパール・ラーウの【Aa Okkati Adakku】での「ロイヤラ・ナーイドゥ」。両者の首に掛かっている同デザインのネックレスは虎の爪を象ったもの。)

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・ムラリ・シャルマ(プルショッタム役) ★★★☆☆
 良い警官の役だった。良い役をやると、この不気味な顔も意外に男前に見えるから不思議だ。

・スッバラージュ(ロイヤラ・ナーイドゥの息子役) ★★★☆☆
 上に書いたとおり、きちんとした紳士かと思いきや、どこか頭のイカれた人物を演じており、これが上手い。【Baahubali 2】でも非常に良かったが、これからも面白い活躍が期待できそう。
 (写真下: スッバラージュ氏(左)とムラリ・シャルマ氏。)

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◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★☆☆☆
◎ ダンス : ★★★☆☆
・音楽シーンはテルグ映画らしいお馴染みの作りだったが、あまり面白みは感じなかった。しかし、DJが悪者退治をしている暴力的な場面の間に、夜の寺院でのお祭りの美しい場面が挟まるというアイデアは凄いと思った。

・アッル・アルジュンの振り付けは全体的にゆったりとした味のあるもので、キレッキレというのではなかった。

◎ アクション : ★★★★☆
◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★☆☆☆
・アクション・シーンはさすがに上手く作っている。アイデアが面白かった。

・撮影監督のAyananka Boseは主にボリウッドで活躍している人。その割には映像は普通だったような、、。

◆ 完成度 : ★★☆☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 6月24日(土),公開第1週目
・映画館 : INOX (Jayanagar),12:45のショー
・満席率 : 7割
・場内沸き度 : ★★☆☆☆

 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは、ご無沙汰しています。
私はプージャ・ヘグデ、好きです、あの太い眉毛とか。この人見たさに映画「モヘンジョ・ダロ」のブルーレイを買ったぐらいです。彼女のインスタグラムを見て、おしとやかな淑女と思っていたらバリバリの体育会系で(笑)。腹筋鍛えてる動画がありましたが、このままだと将来は Bipasha Basu の後継者になるんじゃないかと心配です。
ところでここ最近はインド映画見たさにブルーレイを無理して買うことがなくなりました。魅力ある俳優・女優を活かすまでの良い脚本の作品が少ないような。これは私に限らず世の中の傾向なのか?、購入する人が少なくなって、ディスク化される作品も少なくなってる気がします。この作品も見てみたいけれど、果たして巡り合えるやら。
よっぴい
2017/06/30 21:10
私もプージャー・ヘグデは好きですよ。この鑑賞記では上のほうでごちゃちゃ書いてしまったので、彼女の欄は簡単に済ませましたが、家族の出自はカルナータカ州で、トゥル語話者で、体のサイズがどうだとか、いろいろ書きたかったです。「モヘンジョ・ダロ」はまだ観ていませんが、タミル映画の「Mugamoodi」で観ました。
確かに、インド映画の質が総体的にじわじわと落ちている気もします。ただ、それ以上に、ネット鑑賞やパイレーツが盛んとなり、ディスクがビジネスとして成り立たなくなってしまいました。テルグ映画もディスクが出ず、YouTube等で字幕なしでの鑑賞になってしまうケースが多いですね。残念ですが、期待しないで待っていてください。
カーヴェリ
2017/07/01 10:02

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