カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Vanamagan】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2017/06/29 20:40   >>

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 タミルのA・L・ヴィジャイ監督は割と常識的なヒューマンドラマの作り手だと思い込んでいたら、前作の【Devi(L)】(16)はホラーコメディーだったので、驚かされた(さすがに含蓄のあるホラーコメディーだったが)。ところが、今度はさらに異色っぽいターザン映画のようなものを撮ったらしく、これは観ずばなるまいと思った。

【Vanamagan】 (2017 : Tamil)
脚本・監督 : A.L. Vijay
出演 : Jayam Ravi, Sayyeshaa Saigal, Prakash Raj, Thambi Ramaiah, Varun, Vela Ramamoorthy, Thalaivasal Vijay, Sam Paul, Ramya Subramanian, Arjunan, Sanjay Bharathi, 他
音楽 : Harris Jayaraj
撮影 : Tirru
編集 : Anthony
製作 : A.L. Azhagappan

題名の意味 : 森の息子
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション/ドラマ
公 開 日 : 6月23日(金)
上映時間 : 2時間20分

《 あらすじ 》
 アンダマン諸島の森に暮らす部族民が警察隊に狩られる。部族民の1人、ジャーラー(Jayam Ravi)も捕縛されるが、顔見知りの警官が密かに彼を解放する。
 チェンナイに暮らすカーヴィヤー(Sayyeshaa Saigal)は、両親の死後、裕福な実業家だった父の会社を相続していた。しかしそれは名前のみで、実質的な経営は父の友人で後見人となっているラージャシェーカル(Prakash Raj)が行っていた。また彼女にはおじのガネーシュ(Thalaivasal Vijay)がいたが、父の死後、疎遠になっていた。
 カーヴィヤーはラージャシェーカルの息子ヴィッキー(Varun)やその他の友人たちとアンダマン諸島へ旅行に行く。彼らは森でパーティーをやった後、夜道を車で走っているときに人をはねてしまう。それは部族民のジャーラーだった。カーヴィヤーは負傷したその男をチェンナイまで連れて行き、入院させる。その際に名前を知らなかったので、K・ワーシ(カートゥワーシ:狩人)という名前で登録する。
 ところが、翌日ワーシ(ジャーラー)が病院で暴れ出す。やむなくカーヴィヤーはワーシを自宅へ連れて帰り、使用人のパーンディヤン(Thambi Ramaiah)と共に彼を環境に順応させようとする。その過程で、カーヴィヤーは物言わぬワーシの人柄を理解するようになる。
 ラージャシェーカルは息子ヴィッキーをカーヴィヤーと結婚させようとしていた。そこでパーティーを開き、婚約を発表しようとする。しかし、ヴィッキーに結婚を迫られ嫌がるカーヴィヤを見て、ワーシはヴィッキーに暴力をふるい、半殺しの目に遭わせる。ワーシは逮捕され、アンダマン諸島の警察署へ送られる。
 カーヴィヤーとパーンディヤンはアンダマンへ行き、ワーシを釈放してもらおうとするが、叶わない。しかし、ワーシは警察署を脱走して来る。3人は警察の追っ手を逃れるため、森に入る。カーヴィヤーらはワーシと顔見知りの警官からワーシ(ジャーラー)とその部族の話を聞く。それによると、大企業によるリゾート開発のため、ジャーラーの部族は居住地を追われそうになり、企業側と警察に対して激しく抵抗する。しかし警察隊の大規模な襲撃に遭い、ジャーラーも捕縛され、運良く解放されて逃走しているところをカーヴィヤーらの車にはねられた、というわけだった。
 カーヴィヤーを追って、ラージャシェーカルもアンダマンにやって来る。警察はスーリヤプラカーシュという森林作戦のスペシャリストを呼び寄せ、ジャーラーらを捜索する作戦を開始する、、。

・その他の登場人物 : ジャーラーの父(Vela Ramamoorthy)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★☆☆☆
◎ 脚 本 : ★★☆☆☆
・苦しい映画だった。「苦しい」と言うのは、「つまらない」、「A・L・ヴィジャイ監督の意図が分かりづらい」という意味だ。

・面白かったと言えるのは、ワーシ(ジャーラー)がヴィッキーをボロボロに叩きのめすシーンと、アンダマンの森の中でのアクション・シーンぐらい。それと、クライマックスのヒネリで何とか片を付けていたかな、といった感じだ。トレイラーほどの目を引くものはない。

・大企業による開発の名の下に居住地を追われる部族民と、その状況を都会人が理解し、支援するというテーマは大筋では問題ないし、近ごろのインド映画のトレンドではある(「農民」や「スラム民」が「部族民」に置き換わっているが)。しかし、A・L・ヴィジャイ監督(ストーリー、脚本担当でもある)がどれだけ真剣にアンダマン諸島の部族民の現状を理解し、共感しているかが、本作から見えてこなかったことに胡散くさいものを感じた。映画の最後に、地球上の全ての部族民に捧ぐみたいな形で、様々な部族が写真と共に紹介されるが、そのメッセージも嘘くさく見えた。いや、きっと監督もいろいろ勉強したとは思う。しかし、それなら、対象としたアンダマンの部族をもっと具体的に、リアリティーが感じられるような形で描いてほしかった。読んだかもしれないが、例えばレヴィ=ストロースの著作なんかをせめて1冊でも読んだなら、ああいう浅薄な描き方はできなかったろうと思う。

・もちろん、ある種のメッセージを娯楽映画のフォーマットで見せたいという意図は分かる。しかし本作は、メッセージ映画としては生半可で、娯楽映画としても出来は悪い。それなのに監督は良い映画を作った気になっているよう。性質の悪いタイプの映画だ。

・というわけで機嫌が悪いが、せめてもの慰めに、面白いと思った場面を列挙しておこう。まるで女王のように、カーヴィヤーが大きな食卓一杯に並べられた料理からたった一品だけ取り、後は捨てさせる場面。ワーシ(ジャーラー)がカーヴィヤーの家のテレビに映ったライオンに矢を射ようとする場面。カーヴィヤーがワーシを教育(ほとんど調教)しようとする際に、なぜかタミル語でなく英語を使っていたこと。ACが寒くて、ワーシが札束を燃やして焚き火とする場面。ジャーラーの部族では蜂の巣採り競争のようなものが行われているらしいこと。ジャーラーが少女を襲おうとした虎を切り、すぐ後で傷口を縫合してやる場面。ジャーラーの部族は太陽崇拝をしているらしいこと。アンダマンの森ではリンゴが採れるらしいこと。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・ジェーヤム・ラヴィ(ジャーラー役) ★★★☆☆
 ジェーヤム・ラヴィといえば、元々はラブストーリーか正統的なアクション映画を得意とする二枚目俳優だったが、近ごろはゾンビやら野生児やらをやることになり、大変だなぁ。ほとんど台詞らしい台詞もなかったので、演技の評価はしにくいが、体が資本の部分では満点だったので、3つ星贈呈。それにしても、役名の「ジャーラー」って、Jayam Raviの頭文字から作られた?

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・サーイシャー・サイガル(カーヴィヤー役) ★★★☆☆
 上の導入で書かなかったが、本作を観ることにした主目的はこのデビューして間もないサーイシャー・サイガルをチェックすることだった。テルグ映画【Akhil】(15)でデビューしたときにスチルを見て「お、美人!」と思ったが、やっと銀幕で見ることができた。で、感想としては、美人には違いないが、やや老け顔かなと。しかしまだ19歳ということだから、「芦屋の若マダム・パート2か?」と思った(パート1はハンシカさんです)。ただし、一生懸命芝居をやろうという熱意は感じられた。

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・脇役陣では、カーヴィヤーの後見人役のプラカーシュ・ラージは、強い特徴のない役柄ながら、良い芝居はしている。使用人パーンディヤン役のタンビ・ラーマイヤも、型にはまった感じはあるが、悪くない。

・ジャーラーと顔見知りの警官役をやった俳優が渋くて良かったが、名前が分からない(過去にも見た顔だが)。

◎ 音 楽 : ★★☆☆☆
◎ BGM : ★★☆☆☆
◎ ダンス : ★★☆☆☆
・音楽はハリス・ジャヤラージの担当で、50本目の記念作になるらしい。部族民のダンスシーンの歌は(振り付けはさて置き)良かったが、それ以外のパートの歌はいまいちだと思った。
 (写真下: 1曲目がこれで、いきなりドン引きしてしまった。)

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◎ アクション : ★★★★☆
◎ 衣 装 : ★★☆☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 効 果 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・アクションはよくできている。

・撮影も良かった。グラフィックスは虎の出現シーンが全てだと思うが、インド映画だと思えばOK。

◎ その他(覚書)
・ジャーラーの部族が話していたのは実際のアンダマン諸島のある部族の言葉なのか、それとも架空の言語なのか、分からなかった。とにかく、その言葉の台詞にはタミル語の字幕が付いていた。

◆ 完成度 : ★★☆☆☆
◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★☆☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 6月25日(日),公開第1週目
・映画館 : INOX (Mantri Mall),10:30のショー
・満席率 : 1割以下
・場内沸き度 : ★★☆☆☆

 

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