カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Mercury】 (All Languages)

<<   作成日時 : 2018/04/19 09:54   >>

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【Mercury】 (2018 : All Languages)
脚本・監督 : Karthik Subbaraj
出演 : Prabhu Deva, Sananth Reddy, Indhuja, Shashank Purushotham, Deepak Paramesh, Anish Padmanabhan, Gajaraj, Remya Nambeesan(特別出演), 他
音楽 : Santhosh Narayanan
撮影 : S. Tirru
編集 : Vivek Harshan
製作 : Kaarthekeyen Santhanam, Jayantilal Gada

題名の意味 : 水銀
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ホラー
公 開 日 : 4月13日(金)
上映時間 : 1時間48分

《 あらすじ 》
 とある山間のロッジで5人の若者(男4人、女1人)がパーティーをしていた。彼らは幼馴染みで、しかも全員が聾唖だった。その日は女(Indhuja)の誕生日だったため、男1(Sananth Reddy)は女をドライブに連れ出そうとするが、他の男3人も車に乗り込んで来、結局5人で高原をドライブすることになる。男1は女にオルゴール仕掛けの懐中時計をプレゼントし、愛を告白する。女もそれを受け入れる。
 ロッジへの帰り道、5人を乗せた車は犬をはねそうになる。しかし悪いことに、犬の首輪の鎖が車に絡まり、飼い主と思しき男(Prabhu Deva)を引きずっていたことが分かる。その男はすでに死亡していた。パニックになった若者たちは、死んだ男を途中にあった古い化学工場の敷地内に埋める。
 翌朝、若者たちはロッジを去ろうとするが、男2(Anish Padmanabhan)が自分の携帯電話を紛失していることに気付く。もしや死体遺棄現場に落としたものなら、そこから足が付くのを恐れ、彼らは再び現場に戻って携帯電話を探す。幸いそれは見つかるが、死体を埋めた場所が掘り返され、死体がなくなっているのに気付く。その時、女が忽然と姿を消す。どうやら、化学工場の建物内にいるようだった。男4人は中に入って、女を探そうとする。
 しかし、そこには例の死んだはずの男がおり、男2、男3(Shashank Purushotham)と殺していく。男1と男4(Deepak Paramesh)は何とか逃れようとするが、結局男4も殺されてしまう。そこへ女が現れる。男1と女は工場からの脱出を試みるが、男1も死んだはずの男に殺される。女はその男の手を握り、懸命に事情を説明しようとする。と、その時、思いがけないことが分かる、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 着 想 : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
◎ 演 出 : ★★★☆☆
・カールティク・スッバラージ監督と言えば、【Jigarthanda】(14)鑑賞記で「カールティク・スッバラシー」と持ち上げてしまったほど好きな監督だが、日本人インド映画ファンの間では私が期待するほどは注目されていないようで、新感覚派のタミル映画では【Soodhu Kavvum】(13)や【Vikram Vedha】(17)に出し抜かれてしまった。コンセプトは面白いが、娯楽商品としては今一つ押しポイントに欠けるということか。(確かに、【Iraivi】などはなかなか日本人には理解してもらえないと思うが。)

・そのカールティク監督のこの新作もコンセプトが挑戦的で面白い。なにせ「サイレント・スリラー」! もっとも、この看板には何かと偽りがあり、まず「サイレント」と言っても純粋なサイレント映画ではなく、立派な音的要素ががんがん入っていた。「スリラー」には違いないが、プラブ・デーヴァ演じるキャラクターははっきりと幽霊で、超常現象もいろいろ起きていたので、まぁ「ホラー」と言ったほうが適当だろう。また、トレイラーには“A No-Language film, Releasing in All Languages”とあるが、実際には映画中の画面に映し出される新聞記事などはカンナダ語だったので(私の観たのはカンナダ語版)、これが例えばタミル語版ならタミル語、ヒンディー語版ならヒンディー語になるのだろうと思うと、“A No-Language film”とは言えない。

・しかし、主要登場人物が聾唖者だということで、台詞が一つもないホラー映画だとは確かに言える。そのユニークなホラーに水銀中毒事件(化学汚染事件)をくっつけたというのはすごいアイデアだと思う。ただ、アイデアが面白くとも、映画(脚本)としてうまく行っているかどうかとなると、もうひと練りしてほしいと思った。

・まず、化学物質中毒事件の問題を扱うのに、「台詞なしホラー」という形にするのがベストだったかどうかという疑問がある。化学汚染という公害問題を糾弾するのに、結局最後は新聞記事や字幕などの言語情報に頼っていたので、メッセージの提示方法としては安易な気がした。身も蓋もない言い方だが、「サイレント」とか「No-Language film」とかにしないほうがうまく行ったと思う。

・実は、映像や音楽はかなり野心的で、前半から後半の途中まで観たときは、その訳の分からない不気味さに「カールティク・スッバラージ監督はついに21世紀インドのヒッチコックになったか!」と興奮したが、結局は失速した感がある。私的には、カールティク監督にはあの映像と音楽を以って怖がらせに徹してほしかった。(つまり、水銀中毒といったメッセージ性はK・V・アーナンド監督に任せるべきだと思った。)

・しかし、プラブ・デーヴァ演じる人物は盲目のバイオリニストで、彼が視力を失ったのは水銀中毒のせいであり、どうも若者5人が聾唖になったのも同じ水銀中毒のせいだということなら(この辺がよく分からなかった)、この6人の身に起きた悲劇全体を以ってして、化学汚染問題に対する糾弾とすることは可能で、そうなると、“Silence is the Most Powerful Scream”という本作のタグラインも活きてくる。自分をはねた女に共感/同情した盲目男が、怒りを和らげ、女にあることを施すというエンディングも美しく見える。

・ところで、「台詞の意味が分からなくて、、、」とよく言葉の壁を愚痴っているが、台詞がなくても(No-Languageでも)、やっぱり分かりにくく、観ていて疲れるということが分かった(これは私の感性と想像力にも問題があるのだろう)。台詞がないといっても、手話はあったので、手話の分かる人が観ると違ったふうに観えるのかな、などと考えると、やっぱり言葉の壁はあるじゃんと思った。(どこまで正確な手話か分からないが。)

・先日紹介した【Rangasthalam】のように、主要登場の耳が聞こえない/目が見えないという特徴がうまく使われていた。特にクライマックスの懐中時計は良いアイデアだった。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・プラブ・デーヴァ(盲目のバイオリニスト役) ★★★☆☆
 ネタバレで申し訳ないが、ダンスはしていない(公開されていたダンス・ソングは本編とは離れたPVだった)。身体能力の高さが活かされているとも見えなかった。しかし、復讐に燃える悪鬼が実は心優しき盲目のバイオリニストというのは良かった。

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・聾唖の5人組を演じたのはサナト・レッディ、インドゥジャー、アニーシュ・パドマナーバン、シャシャーンク・プルショータム、ディーパク・パラメーシュ。このうち、シャシャーンク・プルショータムはカンナダ映画【Shuddhi】(17)に出演していた人だが、つい先日運良くご本人とお会いすることができた。もう少し活躍を期待したが、2番目に殺される男の役だった。
 (写真下: 左よりAnish Padmanabhan、Deepak Paramesh、Indhuja、Shashank Purushotham、Sananth Reddy。)

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・紅一点のインドゥジャーさんはなかなか素敵な人だった。他の作品で観てみたい。
 (写真下: 怯えるインドゥジャーさんの目。)

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◎ BGM : ★★★★☆
・いわゆる歌もダンス・シーンもない。しかし、音楽はサントーシュ・ナーラーヤナンの気合いの入りまくったものだった。画面上の映像の悲惨さと、その裏に流れる音楽の美しさとのコリジョンが良かった。

・ところで、カールティク監督かサントーシュ・ナーラーヤナンか、どちらの趣味か分からないが、ベートーベンが好きなようで、【Pizza】(12)でも本作でも「月光ソナタ」が使われていた。ついでに、シャンソンの「Non, je ne regrette rien」もどちらの作品でも面白い使われ方をしている。

◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★★☆
・ほとんどが夜の、しかも化学製品会社の廃工場の場面ということで、薄暗く緑がかった映像が不気味で良かった。上で書いたとおり、映像と音楽のコリジョンが良かったが、映像同士のコリジョンもよく考えられたものだった。

◎ その他(覚書)
・題名の「Mercury」は「水銀」の訳でいいと思うが、ポスターの題名には「水星」の記号がデザインされている。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 4月14日(土),公開第1週目
・映画館 : INOX (JP Nagar),14:20のショー
・満席率 : 3割
・場内沸き度 : ★★☆☆☆

 (オマケ画像: 特別出演のラミャ・ナンビーサンさんとプラブ・デーヴァ。)

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