カーヴェーリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Naa Peru Surya, Naa Illu India】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2018/05/16 22:06   >>

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【Naa Peru Surya, Naa Illu India】 (2018 : Telugu)
物語・脚本・台詞・監督 : Vakkantham Vamsi
出演 : Allu Arjun, Anu Emmanuel, Arjun Sarja, R. Sarathkumar, Thakur Anoop Singh, Boman Irani, Sai Kumar, Pradeep Rawat, Harish Uthaman, Rao Ramesh, Vennela Kishore, Nadhiya, Posani Krishna Murali, Ravi Kale, Charuhasan, Raja Chembolu, Vikram Sahadev, Y. Kasi Viswanath, 他
音楽 : Vishal - Shekhar
撮影 : Rajeev Ravi
編集 : Kotagiri Venkateswara Rao
製作 : Sridhar Lagadapati, Sirisha Lagadapati, Bunny Vas, Sushil Choudhary, K. Nagendra Babu

題名の意味 : 私はスーリヤ、母国はインド
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション/ドラマ
公 開 日 : 5月4日(金)
上映時間 : 2時間48分

《 あらすじ 》
 デヘラードゥーンに駐屯する兵士のスーリヤ(Allu Arjun)は、短気な上に自分が正しいと思ったことは軍の命令を待たずに実行してしまう問題児だった。上官のサンジャイ大佐(Boman Irani)はそんな彼に見切りをつけ、免職を言い渡す。スーリヤの後見人(Rao Ramesh)はスーリヤに最後のチャンスを与えてくれるよう、サンジャイに懇願する。サンジャイは1つの条件と引き換えに、その願いを受け入れる。それは、インドで最高の心理学者から、スーリヤの精神状態が正常であり、怒りが抑制できることを保証する証明書をもらうことであった。
 だが、その心理学者ラーマクリシュナム・ラージュ教授(Arjun Sarja)は実はスーリヤの実父で、やはり少年期からの暴力的行為が原因でスーリヤとは絶縁状態となっている人物だった。スーリヤは躊躇するが、軍人としてパキスタンとの国境を守る思いは捨てがたく、ヴィシャーカパトナムへ行って同教授と面談する。だが、証明書などもらえる雰囲気ではなかった。しかし、何度かの面談の末、ラーマクリシュナム・ラージュはスーリヤに、21日間怒りを抑えることができたなら証明書に署名する、という条件を課す。
 ここからスーリヤの穏やかな市民生活が始まる。しかし、それを21日間も続けるのは困難そうな問題が待ち構えていた。実はスーリヤはヴィシャーカパトナムに来早々、地元ヤクザのチャッラ(R. Sarathkumar)とその息子(Thakur Anoop Singh)、チャッラの部下PC(Pradeep Rawat)とその弟(Harish Uthaman)らとひと悶着を起こしていたが、彼らはスーリヤを見るなり数々の嫌がらせを働くようになったからである。それでもスーリヤはじっと我慢の市民を演じる。だが、そうこうしているうちに、土地絡みの問題でチャッラたちが実直なイスラーム教徒のムスターファ(Sai kumar)を殺害してしまう。その唯一の目撃者はスーリヤだった。彼の心中に激しい良心の呵責が生じる、、。

・その他の登場人物 : デヘラードゥーンの警官(Ravi Kale),ワルシャ(Anu Emmanuel),ワルシャのおじ(Posani Krishna Murali),スーリヤの母(Nadhiya),ムスターファの息子アンワル(Vikram Sahadev),警官クリシュナ・クマール(Raja Chembolu)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 着 想 : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★★☆
◎ 演 出 : ★★★☆☆
・やはりテルグ映画のトレントとなっているのか、本作も【Arjun Reddy】(17)や【Rangasthalam】(18)、【Bharat Ane Nenu】(18)と同様、物語が3時間近くもたらたらと続くものだった。大がかりな社会的テーマを扱っているという点や、ヒロイズムの描き方という点で、【Bharat Ane Nenu】に近い印象を受けた。しかし、本作は何かと面白かった。

・主人公のスーリヤはなぜかパキスタンとの停戦ラインに立ってインドを守ることに執着する愛国的兵士だが、この偏執的な愛国心に共感できるほど私はインド好きではない。しかし本作の場合、その持って行き方が面白かった。何よりもうれしかったのは、マイノリティー(本作の場合、イスラーム教徒)への目配りが効いていた点だ。

・その前に、本作はストーリーの運び方がちょっと変わっているので、触れておくと、まず本作には巨悪が登場しない。従来のテルグ・アクション映画のように、腐敗政治家、悪徳実業家などが悪事のし放題をし、それを市井のヒーローが叩き潰すという構造ではない。確かに面構えの立派な悪人は複数登場するが、スーリヤが彼らを倒すのが最終的なテーマではなく、終盤に物語がするするとカーブし、インドにおけるイスラーム教徒の問題に移って行く。

・外国人には奇異な理屈だが、パキスタンとの国境紛争で、インド人(特にヒンドゥー教徒)の庶民レベルの意識は「パキスタン憎し」が「イスラーム教徒憎し」にすれ変わってしまい、特に現BJP政権になってからは、イスラーム教徒、キリスト教徒、牛肉食者、非ヒンディー語話者(外国人を含む)などの少数者に対する攻撃感があり、私などはかつてないほど息苦しいものを感じている。それで、本来パキスタンと対するためにインドは1つであるべきなのに、本作に登場するムスターファの息子アンワルのように、インドに対して絶望し、パキスタン支援に向かう者が現れ、結局インドが1つになりにくい状況となっている。

・つまり、スーリヤが討つべき真の悪は、チャッラ親子を始めとする悪人たちではなく、一般市民の心に潜むそうした偏見なのだ(本作では、チャッラ親子もPC兄弟も一般市民の次元だろう)。「インドは1つ」というメッセージは、冒頭のデヘラードゥーンのパブのシーンで、スーリヤが北インドのチンピラ相手に「南も北も東も西もない、インドは1つだ」という台詞によく表れている。その「1なるインド」を分断しかねない人々の偏見/誤った行為に対しては、スーリヤは例えばチャッラに対して「インド人である証は(アーダールカードやPANカードのように)ポケットの中にはなく、ただ心の中にだけある」という台詞で糾弾している。

・インドを分断しかねない行為/意識、言い方を変えれば、インドの一部の人々を蔑視(時には圧迫)するという行為/意識は、何もイスラーム教徒に対してだけなされるものではなく、その他の宗教的/民族的/言語的少数者に対しても当てはまる。それに対してノーというのは、愛国心に関連付けしなくとも、すごく健全なことだと思う(ほぼ永遠の理念だろうけど)。

◎ 配 役 : ★★☆☆☆
 気が付けば本作は豪華キャストであったが、ここにこの顔を使う必要があったのか、という役も多く、配役としてはあまり評価できない。

◎ 演 技
・アッル・アルジュン(スーリヤ役) ★★★★☆
 従来のアッル・アルジュンとはイメージが違っているように感じた。役柄が兵士だからか、【Thuppakki】(12)でヴィジャイが見せた変貌ぶりに似た変貌ぶりだった。とにかく、短気という性格を差し引いても、頼もしかった。ま、スタイリッシュ・スターも35歳だからね。
 (写真下: この眉の傷跡が彼の性格を物語る。)

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・アヌ・インマニュエル(ワルシャ役) ★★★☆☆
 本ブログのレギュラー読者なら、私がカルナータカ州州会議員選挙投票日というややこしい日にわざわざ映画館まで足を運んだのは、アッル・アルジュンのためではなく、このアヌ・インマニュエル目当てだということは言わずもがなだろう。【Agnyaathavaasi】(18)鑑賞記で「久々に下半身がうずく女優」と評しておいたが、本作でもエロエロで、カーヴェリおじさん、「行くぜ、アヌ!」状態だった。特に終盤で、なんでここでお前が出て来んねん、という出て来方でソング・シーン入るあたりなど、本作の監督は天才だと思った。

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・アルジュン・サルジャー(ラーマクリシュナム・ラージュ役) ★★★☆☆
 悪くはなかったが、「アクション・キング」にさせる役柄ではなかったように思う。疑問配役その1。

・サラトクマール(チャッラ役) ★★★☆☆
 この存在感のある俳優兼政治家にせこいランドマフィアをさせていいのか。疑問配役その2。

・タークル・アヌープ・シン(チャッラの息子役) ★★☆☆☆
 このインド映画史上1、2を争う筋肉の持ち主に、一度も大胸筋を見せない役をやらせていいのだろうか。疑問配役その3。

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・プラディープ・ラーワト(PC役)
 この定評ある強面悪役俳優に、こんなあっさりと負けを認めるヤクザをやらせていいのだろうか。疑問配役その4。しかし、可愛かった。

・サーイ・クマール(ムスターファ役)
 これは良かった。出番は短かったけど。

・さらに、五十路にしてこの美貌、「奇跡の熟女」のナディヤさんも出演していて、私的に萌えポイントだった。

◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★★☆☆
・音楽はほぼボリウッドで活躍するヴィシャール&シェーカルの担当。このデュオは、テルグ映画では一度【Chintakayala Ravi】(08)を担当している。あの時はボリウッド風の音楽を感じたが、本作では南インドっぽい曲だと思った。

・音楽シーンは、それぞれ良くできているが、しかし映画全体をぐっと押し上げるような力動性はそれほど感じなかった。

◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★☆☆☆
・アクション・シーンもまずまず良くできている。特に食卓でのアクションは面白いアイデアだった。

◎ その他(覚書)
・スーリヤが平和主義的市民生活を実践しているとき、鶏肉を食べないで野菜を食べていたが、これにはうんざり。どうもインド人には「肉食=攻撃性」、「菜食=平和性」という偏見があるようだ。

・映画の開始時には常のごとく国家が流れて起立しなければならなかったが、終了時(エンドロール)でも国歌が流れたので、都合2回起立しなければならない映画だった。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 5月12日(土),公開第2週目
・映画館 : INOX (JP Nagar),9:55のショー
・満席率 : 7割
・場内沸き度 : ★★★☆☆

 

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【Irumbuthirai】 (Tamil)
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