カーヴェーリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Mahanati】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2018/05/23 22:16   >>

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【Mahanati】 (2018 : Telugu)
脚本 : Siddhaarth Sivasamy
物語・監督 : Nag Ashwin
台詞 : Sai Madhav Burra
出演 : Keerthy Suresh, Dulquer Salmaan, Samantha Akkineni, Vijay Devarakonda, Rajendra Prasad, Bhanupriya, Tanikella Bharani, Shalini Pandey, Tulasi, Divyavani, Mohan Babu, Naga Chaitanya, Prakash Raj, Krish, Srinivas Avasarala, Naresh, Malavika Nair, Manobala, 他
音楽 : Mickey J. Meyer
撮影 : Dani Sanchez-Lopez
編集 : Kotagiri Venkateswara Rao
製作 : C. Ashwini Dutt, Swapna Dutt, Priyanka Dutt

題名の意味 : 大女優
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : 伝記
公 開 日 : 5月9日(水)
上映時間 : 2時間56分

《 あらすじ 》
 1981年のマドラス。マドゥラワーニ(Samantha Akkineni)は大学の人文学部を首席で卒業しながらも、吃音症で風采もぱっとしない女性だった。父はそんな娘をさっさと嫁にやろうとするが、マドゥラワーニはジャーナリストとして身を立てたいと思っていた。彼女は新聞社の編集主任(Tanikella Bharani)から、病で昏睡状態にある大女優サーヴィトリ(Keerthy Suresh)を取材する仕事をもらう。これにはカメラマンのヴィジャイ・アントニー(Vijay Devarakonda)も協力する。二人は関係者の証言等から、サーヴィトリの半生を編み上げていく。
 ・・・
 1936年生まれのサーヴィトリは、幼少の頃に父を亡くしたため、母(Divyavani)と共にヴィジャヤワーダの村に暮らす親類の許に身を寄せる。サーヴィトリのおじ(Rajendra Prasad)は彼女を地元の劇団に入れる。サーヴィトリはスシーラ(Shalini Pandey)と共にその劇団で人気を得るが、ある頃から客の入りが悪くなる。芝居より映画の時代となっていたのだ。そこでおじはサーヴィトリを映画女優にしようと、1949年に彼女を映画の都マドラスへ連れて行く。だが、年齢が若すぎたため、彼女を使おうというスタジオはなかった。しかし、キャスティングスタッフをしていたラーマサーミ・ガネーサン(ジェミニ・ガネーサン:Dulquer Salmaan)という男がサーヴィトリに関心を示し、彼女の写真を撮る。
 結局、サーヴィトリとおじは田舎に戻るが、翌年、ラーマサーミの撮った写真が雑誌に載り、サーヴィトリに映画出演の話が舞い込む。一旦は躊躇するサーヴィトリだが、主演が憧れのANR(Naga Chaitanya)だと知り、マドラスへ乗り込む。だが、タミル語の台詞が全く言えず、監督(Srinivas Avasarala)を怒らせる。
 しかし、プロデューサーのチャクラパーニ(Prakash Raj)はサーヴィトリのダンススキルを評価し、彼女をダンサーとして「Pathala Bhairavi」に主演させる。サーヴィトリはほどなくジェミニ(ラーマサーミ)・ガネーサンと再会し、演技についてのヒントを教わる。そして驚くべき適応力を見せたサーヴィトリは女優としての才能を開花させる。
 同時に、サーヴィトリはジェミニを強く愛するようになる。ジェミニも彼女をを愛していた。だが、ジェミニには妻(Malavika Nair)も子供もいることが分かり、サーヴィトリは彼を避けようとする。しかし、彼女の想いは抗しがたく、1952年に二人は結婚する。この結婚が原因で、サーヴィトリはおじと絶縁状態となる。
 サーヴィトリはすでに人気女優だったが、K・V・レッディ監督(Krish)の「Mayabazar」がブロックバスターとなり、その人気が沸点に達する。その頃から慈善事業にも力を入れ、民衆から「マハーナティ(偉大な女優)」と呼ばれ、慕われる。
 だが、60年代中盤頃から、サーヴィトリの運勢も傾き始める。まず、ジェミニ・ガネーサンとの関係にひびが入る。夫の浮気を知ったサーヴィトリは酒に溺れるようになる。70年代に入って、脱税の廉で資産の多くを税務局に没収されてしまう。さらに母の死、自身の健康悪化など、不幸が続き、ついに入院してしまう。この時、絶縁状態だったおじと和解し、一時的に心身が安定する。
 しかし、その後も主に経済上の問題から再び酒瓶を手にするようになったサーヴィトリは、1980年5月、遂に病に倒れ、昏睡状態となる。
 ・・・
 内気なマドゥラワーニは、サーヴィトリの取材を通して勇気を得、ヴィジャイ・アントニーに愛の告白をする。そして、彼女の書いたサーヴィトリの記事が大評判となる。マドゥラワーニは昏睡状態のサーヴィトリに語りかける。

・その他の登場人物 : サーヴィトリのおば(Bhanupriya),S・V・ランガーラーウ(Mohan Babu)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 着 想 : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★★☆
◎ 演 出 : ★★★★☆
・1950年代から主にテルグ映画とタミル映画で活躍し、1981年に没したた大女優サーヴィトリの伝記映画。またまた3時間サイズのテルグ映画だった。長いし、私は歴史物、伝記物は好まないので、通常ならパスするところだが、キールティ・スレーシュ主演だし、評判も良かったので、観た。結果、涙ぼろぼろの感動作だった。

・涙の理由は、もちろんストーリーによって感情が刺激されたというのもあるが、それ以上に、筋とは関係のないところで、いつでもどこでも涙腺が決壊する部分があったからだ。その一つが、描かれたサーヴィトリという人物の人柄。特に少女期から20代までの彼女の天真爛漫さ。あれには心洗われる。この役に特に似ているわけでもないのにキールティ・スレーシュを当てたというのは大正解だろう。

・そして、昔の映画そのものの魅力。50年代のマドラスというのはまさに映画の都として描かれており、業界人も一般市民も映画という夢に酔いしれているようだった。本作は当然サーヴィトリの代表作のワンシーンを再現する部分がいくつもあったが、それが楽しいやら美しいやらで、涙ぼろぼろ。いや、今の時代にあの映画と同じものを作ってもヒットしないだろうが、インド映画にとって「古き良き時代」という平凡な言い方があの当時には間違いなく当てはまると思った。

・本作はサーヴィトリの伝記映画ということで、出来事の年代や場所、関係者の人名などは比較的事実に基づいているようだった(こう書くのは、伝記映画と言ってもかなり自由度の高いものがあるからだ)。しかし、本作が純粋な伝記映画を目的としているかというと、それは違う。それは物語の現在時(1981年)に登場する2人のジャーナリスト、マドゥラワーニ(Samantha Akkineni)とヴィジャイ・アントニー(Vijay Devarakonda)の展開を見れば分かる。この二人はサーヴィトリの半生を構成していくための狂言回しの役割のみではなく、この二人にも可愛らしい物語上の役割が与えられており、それでサーヴィトリが人々にどんな影響を与えたのかが分かる仕掛けになっている。この2人のジャーナリストは実在する人物なのか(それなら、本作は二重の伝記になる)、ナーグ・アシュウィン監督の創作なのかは知らないが、どちらにせよ、面白い構成だと思った。

・伝記部は比較的事実に基づいているようといっても、サーヴィトリという人物、関係者、映画業界、当時の時代背景を多面的に、舐めつくすように描いているというわけではないようだった。サーヴィトリ、そのおじ、ジェミニ・ガネーサンの3人ぐらいでストーリーが動き、あとはほとんどがカメオ出演のようなもの。映画はサーヴィトリの美しい(ポジティブな)側面に光を当て、あとはばっさり捨てているかのようだった。晩年(といっても、まだ30代後半から40代前半)のサーヴィトリは、確かに問題続きで苦悩する様が描かれているが、あれさえ美しく、否定的/批判的な捉え方ではないようだった。

・それで、美しすぎるというのが不満と言えば不満だ。個人的には、当時の映画業界に山ほどあったであろうゴシップなんかもちらほら入れてほしかったし、サーヴィトリと他の女たちとの確執なども見てみたかった。例えば、サーヴィトリとライバル女優たち、ジェミニ・ガネーサンの第一夫人(アラメール)や愛人(女優プシュパワッリ)との関係ももっと突っ込んで見せてほしかった。特にプシュパワッリは、娘のレーカー(ボリウッドで成功した別嬪レーカー)とジェミニ・ガネーサンの確執を見る限り、サーヴィトリともいろいろあったと想像されるのだが、ほぼ触れられていなかった(この辺はジェミニ・ガネーサンの伝記に属することだろうし、本作も関係者の心情に配慮したのかもしれないが。)

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・キールティ・スレーシュ(サーヴィトリ役) ★★★★☆
 ヒロインデビュー作の【Geethaanjali】(13)で見たときは「好みのタイプ」と書いたものの、高くは評価しておらず、そんなキールティがここまで成長するとは。天真爛漫な10代から、泣き、叫び、諦観する晩年までのサーヴィトリをほぼ完璧に演じている。キールティのような、昔風の笑顔が作れる女優はこの役にぴったりだったと思う。台詞も良く、吹き替えが付いたに違いないと思ったが、セルフダビングしているのだった。

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・ドゥルカル・サルマーン(ジェミニ・ガネーサン役) ★★★☆☆
 サーヴィトリを映画界に招き入れ、女優として開花させた人物として、肯定的な面も描かれているが、どちらかといえばサーヴィトリを没落させた悪役といった印象を受けた。もう少し人物像を豊かに描いてほしかった。これはドゥルカルというより、脚本の責任だろう。
 (写真下: 並べて見ると、それほど似ていない。)

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・サマンタ(マドゥラワーニ役) ★★★☆☆
 キールティが華麗なヒロインを演じている傍らで、内気でおどおどしたダサ女を演じ、これでいいのか、サマンタ?と思ったが、終盤で見せ場は作ってもらっていた。

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・ヴィジャイ・デーワラコンダ(ヴィジャイ・アントニー役)
 特にコメントはなし。ナーグ・アシュウィン監督への友情出演といった感じ。

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・ナーガ・チャイタニヤ(ANR役)
 カメオ出演。ANRの役だが、全く艶っぽさもオーラも出ておらず、孫を使えばいいというものではないという例証になっていた。
 (写真下: 【Devadasu】(53)の一場面の再現。)

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・マーラヴィカ・ナーイル(アラメール役)
 こちらもカメオ出演。見せ場はなし。しかし、大スターの第一夫人として、夫が別の妻や愛人を持つのをどんな気持ちで忍んでいたか、この人物の伝記映画もぜひ作ってもらいたいと思った。

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・その他、カメオ出演は多々いた。ユニークなところでは、新進監督のサンディープ・ワンガやタルン・バースカル、脚本家/台詞ライターのサーイ・マーダヴ・ブッラが出ていたらしいが、顔をよく知らないため、気付かなかった。

◎ 音 楽 : ★★★★☆
◎ BGM : ★★★☆☆

◎ 美 術 : ★★★★☆
◎ 衣 装 : ★★★★☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆

◎ その他(覚書)
・ジェミニ・ガネーサンが妻子ある身でありながら、特に躊躇せずサーヴィトリと結婚するのを見て、あれ?と思われるかもしれないが、インドでヒンドゥー教徒の重婚が法的に禁止されたのは1955年からなので(こちら参照)、二人の結婚(52年)はセーフ。しかし、結婚当時のサーヴィトリはまだ16歳ぐらいだったとは、、。

◆ 完成度 : ★★★★☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 5月19日(土),公開第2週目
・映画館 : INOX (JP Nagar),10:00のショー
・満席率 : 6割
・場内沸き度 : ★★★☆☆

 (オマケ画像: 一度は担ぎたいガダー。)

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
観ました〜、Mahanati ! これはなかなか重厚な作品でした。サヴィトリさんという女優さん知らなかったんですが、(というかほとんど知らないんですよね。笑)人柄もよく描かれていて、IMDBで星8つ入れてきちゃいました。
レトロっぽい感よかったですね。人気上昇する かつて熱愛した夫の 演技者としてのひがみっぷりも悲哀に満ちていた。煩悶するサヴィトリさん…。

ところで、マラヤーラム語の Parava 鳩レースだけに偏るわけではなく、いろいろな要素が含まれ、なおかつエンディングが暗くない、スピード感も適度にあって、友情モノとして、私は好きです。ご覧になりましたか、あまりお好きな映画タイプでないのか、ブログ内検索では 残念ながらヒットしなかったのです。
イセエビ
2018/07/14 23:54
Paravaは観ていませんが、たぶん好きなタイプの映画だと思います。マラヤーラム映画はバンガロールでは物理的に観るのが難しく、結局観られないことが多いです。DVDか何かで鑑賞します。情報、ありがとうございます。
 
カーヴェリ
2018/07/15 10:43

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