カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Nagarahavu】 (1972/2018 : Kannada)

<<   作成日時 : 2018/07/27 21:30   >>

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【Nagarahavu】 (1972/2018 : Kannada)
物語 : T.R. Subba Rao
脚本・監督 : Puttanna Kanagal
出演 : Vishnuvardhan, K.S. Ashwath, Aarathi, Shubha, Shivaram, Ambareesh, Leelavathi, M.N. Lakshmi Devi, M.P. Shankar, Lokanath, Dheerendra Gopal, Vajramuni, Shakti Prasad, Jayanthi, 他
音楽 : Vijaya Bhaskar
撮影 : Chittibabu
編集 : P. Bhakthavathsalam
製作 : N. Veeraswamy

題名の意味 : コブラ
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 7月20日(金)
上映時間 : 3時間3分

《 あらすじ 》
 チトラドゥルガに暮らす大学生のラーマーチャーリ(Vishnuvardhan)は率直な男だが、短気で乱暴者、町でも厄介者として知られていた。彼は父からさえ疎んじられていた。しかし、学校教師のチャーマイヤ(K.S. Ashwath)はラーマーチャーリを我が子のように可愛がり、ラーマーチャーリもチャーマイヤを良き師として敬愛していた。
 ラーマーチャーリは親友ワラダ(Shivaram)の妹アラメール(Aarathi)に気があった。アラメールは不良のジャリーラ(Ambareesh)に目を付けられ、絡まれることが多かった。そこでワラダはラーマーチャーリに助けを求める。交換条件として、ワラダはラーマーチャーリにアラメールと結婚させると約束する。ラーマーチャーリは喧嘩で見事ジャリーラを打ち負かす。この時以来、ラーマーチャーリとアラメールは相思相愛の仲になる。
 ラーマーチャーリのクラスにキリスト教徒のマルガレート(Shubha)が転入して来る。同じクラスのトゥカーラーム(Dheerendra Gopal)はマルガレートに色目を使う。それをラーマーチャーリらが囃し立てたとき、マルガレートはトゥカーラームを黒ゴリラ、ラーマーチャーリを赤ゴリラと言って、馬鹿にする。馬鹿にされたのに納得のいかないラーマーチャーリは、マルガレートに迫り、謝罪させようとする。そして、侮辱するつもりでマルガレートにキスまでする。実はラーマーチャーリを意識していたマルガレートは、これで完全に彼を愛するようになる。しかし、アラメールを愛しているラーマーチャーリは、マルガレートの求愛を退ける。
 ところが、そうこうしているうちに、ワラダの両親がアラメールの縁談を決めてしまう。ラーマーチャーリは激怒する。アラメールもこの縁談を拒む。この問題にチャーマイヤが仲裁に入り、ラーマーチャーリにアラメールを諦めるよう説得する。ラーマーチャーリは師の言葉に従い、アラメールの結婚を祝福する。
 しかし、自暴自棄となったラーマーチャーリは大学の卒業試験にも落ちてしまう。彼は学業を諦め、紹介してもらった運転手の仕事を始める。マルガレートはそんなラーマーチャーリを慰め、ラーマーチャーリもマルガレートの愛を受け入れる。
 そんなある日、客をベンガルールまで送ったラーマーチャーリは、高級ホテルでアラメールを目撃する。そして、彼女が夫に娼婦として働かされている事実を知り、愕然とする。アラメールはラーマーチャーリを頼ろうとするが、その時彼とマルガレートの関係に気付き、逆に二人を祝福する。
 チトラドゥルガに戻った後、ラーマーチャーリとマルガレートの仲は進展し、二人の交際が公に知れるようになる。しかし、これはヒンドゥー教徒とキリスト教徒の関係だったため、ラーマーチャーリの両親もマルガレートの母(M.N. Lakshmi Devi)も猛反対し、大問題となる。ここにまたチャーマイヤが仲裁を買って出、ラーマーチャーリを説得しようとするが、、。

・その他の登場人物 : チャーマイヤの妻(Leelavathi),学長(Lokanath),パイルワン(M.P. Shankar),オーバッワ(Jayanthi)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 着 想 : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★★☆
◎ 脚 本 : ★★★★☆
◎ 演 出 : ★★★☆☆
・本作はカンナダ映画界が誇る名匠プッタンナ・カナガール(1985年没)の代表作にして、ヴィシュヌヴァルダン(2009年没)のデビュー作でもある名作だが、このたび46年の時を経て、デジタル・リマスタリング版で帰って来た。ヴィシュヌ天の古い映画のリバイバル公開は【Khaidi】(84/14)と【Sahodarara Savaal】(77/14)があったが、それほど画期的な現象とはならなかったように思う。今回はさすがにヒットとなりそうな勢いである。

・本作が重要なのは、ヴィシュヌヴァルダンだけでなく、アンバリーシュのデビュー作でもあり、また女優アーラティが人気と評価を確立した作品でもあるということである。内容的にも、インドの永遠のテーマと言える恋愛と結婚、カースト問題、師弟愛をみっちり描いており、ヴィシュヌヴァルダン演じる「怒れる若者・ラーマーチャーリ」の劇烈なイメージと相まって、本作はカンナダ映画のエバーグリーンと見なされ、今になってもオマージュ作品が作られている(例えば【Mr & Mrs Ramachari】)。

・実はDVDで一度観ているので、今回再見してもそう驚きはないだろうと、油断して劇場に入ったら、腰を抜かしてしまった。DVDで観たのとは全く違う映画を観たようだった。DVDで鑑賞したときも良い映画だと思い、感動はしたが、劇場で観たら、全く異質な力強さが感じられたのである。主要登場人物各自の葛藤、登場人物間のぶつかり合いなど、まさに劇烈ドラマ。なるほどこれがプッタンナ・カナガールの演出力かと思った。この迫力は単に画面や音量が大きいという物理的な理由だけではあるまい。やっぱり映画は、アクション系の映画だけでなく、こうしたドラマ系の映画も映画館で観るものだと思った。

・しかし、あまりに激しすぎたので、ラニングタイムの3時間3分はかなりきつかった。DVDは2時間50分なので、10分以上も長い。ところが、ウィキペディアでは190分となっているので、まだ7分も長かったということか!(いやぁ、昔の人は辛抱強い。)

・46年前の映画ではあるが、描かれているテーマはそう古びた問題ではない。むしろ最近の映画でもよく扱われているテーマであり、しかも最近ではこうまでしっかりと論理的に詰めた映画は稀なので、プッタンナ・カナガールの脚本力を感じる。むしろ、46年前の地方(チトラドゥルガ)のドラマだということを考えると、当時にしてはかなり大胆な描写が含まれていることに気付く。

・しかも本作が「古くて新しい」という表現を超えてさらに新しく感じられるのは、そのニヒリズム的色彩によるものだろう。ラーマーチャーリの前に何度も立ちはだかるチャーマイヤ先生は、単なる学校教師という存在ではなく、つまりはインド人(ヒンドゥー教徒)が大昔から作り上げてきたモラル/理想の受肉したものだろう。このモラル/理想はかなりパワフルに人々を統御するのに成功してきたが、しかしなお御することのできない感情、衝動、欲望というものはあるもので、そうした情念を抱く人間の典型としてラーマーチャーリが存在する。そして、そうした古来からのモラル/理想は結局人間を救えず、チャーマイヤもラーマーチャーリも破滅してしまうという論理的帰結で物語が終わる。だからと言って、本作が絶望のドラマだとは言えないと思うが、現代のインド人に対しても、生きる上での重い課題を突き付けているのは間違いない。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・ヴィシュヌヴァルダン(ラーマーチャーリ役)
 晩年の「善き年長者」といったイメージから入った私には、ヴィシュヌ天がなぜ「コブラ」や「獅子」のイメージで語られるのかピンと来なかったが、獅子については【Khaidi】で分かった。そして今回これを観て、やっとコブラについても合点が行った。本作では、デビュー俳優らしく目が泳いだり腰が浮いたりするところが散見されるが、台詞の上手さはすでに発現。
 (写真下: ナルタキ劇場前のカットアウト。)

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・K・S・アシュワト(チャーマイヤ先生役)
 主に脇役だが、半世紀に亘り約370本のカンナダ映画に出続けた、まるでカンナダ映画の歴史のような名優。とにかく、上手い、カッコいいで、この人が画面に出てくると安心する。若い時も晩年も、同じような紳士に見えて、この人に年齢というものはあるのかとも思ったが、惜しくも2010年に没した。

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・アーラティ(アラメール役)
 好きな人と結婚できず、泣く泣く親が決めた相手と結婚したものの、その夫から売春婦に貶められ、しかもそれを両親にも言えず、じっと耐え忍ぶという、まるで「インド女性の悲劇」を絵に描いたようなアラメールは、アーラティの演技云々というより、興味深い。ちなみに、アーラティはまだご存命。
 (写真下: この音楽シーンのヴィシュヌヴァルダンはすでにオッサンくさいぞ。)

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・シュバ(マルガレート役)
 出て来るなり、何かしでかしそうな迫力を見せたマルガレートだが、ラーマーチャーリに対するまるで戦車のような求愛攻撃は胸を打つなぁ。この情念の強さはプッタンナ・カナガールの好む女性像だろう。

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 ところで、このシュバはウィキペディアによると、テルグ映画【Mahanati】(18)で言及したプシュパワッリ(ジェミニ・ガネーサンの愛人)の姪で、別嬪レーカーのいとこということになっているが、そのシュバとこのシュバが同一人物かどうかは自信がない。

・シヴァラーム(ワラダ役)
 シリアスなドラマにあって、このワラダのコミック・パートはかなりの救いになった。本作の悲劇は、全てはワラダの軽率なウソから始まった。ちなみに、シヴァラームはなおご存命(というか、現役俳優)。
 (写真: シヴァラームは禿頭で有名だったが、この不自然な頭髪を見る限り、すでにこの頃から禿ていたか。)

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・アンバリーシュ(ジャリーラ役)
 改めて見れば、ジャリーラは短い出番だったが、インパクトは強い。言わずもがな、アンバリーシュも現役。

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・ジャヤンティ(オーバッワ役)
 劇中劇の形で挿入されるオーバッワの伝説を演じている。オーバッワは18世紀に実在した(らしい)女性で、ハイダル・アリーの侵攻からチトラドゥルガの町を救った女傑として知られている。これは映画の主筋とは特に強い関係がないので、カットしてもらいたいところだが、実はこのシーンのおかげで、本作はカルナータカ州愛州映画としての意味も持つようになった。

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・その他の脇役陣も良かったが、シャクティ・プラサード演じる「ナーイドゥおじさん」が心和む一コマを作っていた。ちなみにシャクティ・プラサードはアクションキング、アルジュン・サルジャーの父で、1986年没。

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◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス :(採点せず)

◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・アクション映画ではないが、ラーマーチャーリとジャリーラの喧嘩シーンはコミカルで、パワフルで、かなり良い。

◎ その他(覚書)
・当時の地方では、不良青年の乗り物が「自転車」というのが可愛かった。

◆ 完成度 :(採点せず)
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 7月22日(日),公開第1週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (Arch Mall),10:15のショー
・満席率 : 7割
・場内沸き度 : ★★★★☆

 

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