カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Dubai Seenu】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2007/06/22 23:16   >>

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 先週末からシャンカル監督&ラジニカント主演のタミル映画【Sivaji】が公開されており、騒然とした雰囲気がある。
 切符を買おうと殺到した客が劇場の窓ガラスを割ったとか、向こう2,3週間の切符は完売だとか、ブラック・チケットに3,000ルピーの高値がついたとか、、、、そして遂にチェンナイで25,000ルピーのチケットも現れたとかで、そうなると飛行機でシンガポールまで行って観たほうが安そうだ。
 そんなときにこそ他の作品を観に行くと、劇場はガラガラでさぞや楽だろうと思うと、そういうわけでもなく、【Sivaji】を観ようと街まで出た人たちがあぶれて他の映画を観るので、結局は込むのである。スーパースターは他の作品まで儲けさせるようだ。
 というわけでもないと思うが、このテルグ映画【Dubai Seenu】もけっこう客を集めている。

【Dubai Seenu】 (2007 : Telugu)
物語・脚本・監督 : Sreenu Vaitla
出演 : Ravi Teja, Nayantara, J.D.Chakravarthy, Neha, Sushant Singh, Sayaji Shinde, Raghu Babu, Bhanu Chander, Sunil, Brahmanandam, Venu Madhav, Krishna Bhagawan, M.S.Narayana, Dharmavarapu Subramanyam, Supreet, Telangana Sakuntala, Surekhavani
音楽 : Mani Sharma
撮影 : Bharani K.Dharan
編集 : M.R.Varma
制作 : Danaiah D.V.V

《あらすじ》
 スィーヌ(Ravi Teja)はドバイへ出稼ぎに行ってお金持ちになる夢を抱いていた。彼は仲間と共にドバイへ旅立つためにムンバイまで行く。しかし、そこでケチな詐欺師(Venu Madhav)に引っかかってしまい、所持金を全部盗られてしまう。
 スィーヌたちは偶然出会ったパトナーイク(Krishna Bhagawan)という男の援助で屋台を始め、資金稼ぎに励む。しかし、この男もあこぎな金貸しで、働けども一向に財布は豊かにならなかった。

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 そんなある日、スィーヌはマドゥマティ(Nayantara)という女性に出会い、一目惚れする。彼女はハイデラバードでラジオ・ジョッキーをしていたが、家出した兄を探しにムンバイまで来ていたのである。
 スィーヌはマドゥマティに接近するが、彼女に職業を聞かれて、思わず「ソフトウェア・エンジニアだ」とウソを言ってしまう。二人は仲が良くなるが、ほどなくスィーヌのウソはばれてしまい、マドゥマティは失望する。やがて彼女はハイデラバードへ帰って行く。
 その後、スィーヌはたまたま親友のチャクリ(J.D.Chakravarthy)に再会する。スィーヌは以前に、チャクリがプージャ(Neha)という女性と結婚する際に、一肌脱いだことがあった。スィーヌから事情を聞いたチャクリは、彼のためにドバイ行きの段取りを整える。
 その頃、ムンバイではマフィア間の抗争が起きており、ジンナー・バイ(Sushant Singh)という名のドンが指名手配になっていた。ジンナー・バイは姿を変えて潜伏していたが、チャクリとプージャは偶然彼を見つけてしまう。正体がばれたジンナー・バイは、スィーヌの目の前でチャクリとプージャを殺してしまう。チャクリが死ぬ間際に、スィーヌは、実はチャクリこそがマドゥマティの兄だということを知る。
 スィーヌはマドゥマティに再会するために、ドバイ行きを止めて、ハイデラバードへと赴く。たまたまジンナー・バイもハイデラバードに潜伏していることを知ったスィーヌは、復讐へと動き出す、、、。

   *    *    *    *

 絵に描いたような典型的テルグ・アクション映画だった。
 脇役から悪役、コメディアンまで、テルグ映画でお馴染みのあの顔この顔が勢ぞろいしていて、違うのはヒーローだけ。こういうメインのおかずを変えるだけで「○○定食」ができてしまうような安易な映画の作り方もどうかと思うが、しかし、1分たりとも観客を退屈させないぞ、という気迫は十分で、実際、退屈しなかった。こういう娯楽作品が朝飯前のように作れてしまうトリウッドって、すごいもんだ。
 素早いストーリー展開に饒舌なセリフ、アクション・ダンス・コメディーシーンがたたみ掛けるようにやって来て、初めてインド映画を観る人がこれを観たなら、目が点になったであろう。
 ネタや語り口、構成などに目新しいものはなく、近ごろ流行りのスタイルを越えていない。しかし、娯楽作品としては申し分のない出来だ。

 映画は、スィーヌがムンバイからハイデラバードへやって来るシーンが始めにあり、ムンバイでのスィーヌとマドゥマティとの経緯、スィーヌとチャクリ、ジンナー・バイとの出来事は、2つの大きな回想シーンを通して徐々に明らかにされていく、という形を取っていた。
 冒頭で、この間起きたハイデラバードのモスク、メッカ・マスジッドへの爆弾テロの映像が早くも使われていて、コミュナル抗争の激化がマフィアの活動を活発化させる原因となっており、それが一般市民の生活を脅かし、この映画のような出来事へとつながるのだ、ということが示唆されていたようだが、それならもっとそういう社会的な背景をきちんと分析し、問題点を抉り出せば、作品として厚みのあるものになったと思う。しかし、そこまで行くとマニ・ラトナムの映画になってしまうので、それもまずいのであろう。

◆ パフォーマンス面
 さて、スィーヌを演じたラヴィ・テジャであるが、私がこの映画を観る動機となったのが彼である。【Bhadra】(05)で彼を見たとき、そこそこカッコいいとは思ったものの、はて、アクション俳優に事欠かないテルグ映画界にあって、もう一人彼を加える必要性があるのかな、と。しかし、ラヴィ・テジャはヒット作にも恵まれ、人気もあり、これは要チェックだった。
 今回見て、やはりあまりカッコいいとは思わなかったのだが、きっとファンが感じている彼の魅力とは超越的なカッコよさというのではなく、むしろ、カッコ悪さ、コメディーまでもこなす達者なセリフ回しと気さくさがウケているのかもしれない。隣の兄ちゃんが凄いことをやってくれた、みたいな感じだろう。

 ヒロイン、マドゥマティを演じたナヤンタラはこんな感じだろう。もっと芝居をさせてやってもよかったと思うが。

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 私、彼女のことをかなり純度の高いタミルのヒンドゥーだと思っていたのだが、実はケーララ生まれのクリスチャンだったんですね。
 彼女の登場は口元アップから始まり、「グッド・モーーーニング、ハイデラバーーード!」とラジオ番組を始めるシーン。これは完璧に去年のヒンディー映画のヒット作【Lage Raho Munnabhai】のパロディーだが、こうもあっさりパクるとはさすがだ。

 面白かったのは怪異なマフィアのドン、ジンナー・バイを演じたサントシュ・シン。いつも脇役しかやらない彼であるが、なかなか芸達者な男で、今回も「変装名人のドン」という役柄を楽しそうに演じていた。まぁ、いくら変装しているからといって、指名手配中のマフィアのドンが街中をぶらぶら歩いているのは不自然だ。しかも、身元がばれる原因となったのは虫歯を治療した銀歯であるが、そこまで変装に徹するなら銀歯も治しておけよ、と、これはツッコミどころだろう。
 ジンナー・バイという名前もムンナー・バイを想起させる。監督のSreenu Vaitlaはよっぽど【Lage Raho Munnabhai】がお気に入りなのだろう。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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