カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Anaatharu】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2007/09/30 21:17   >>

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 9月18日はカンナダ映画界のリアル・スター、ウペンドラの誕生日とあって、それに合わせたかのように(というより、もろ合わせているのだが)、彼の新作【Anaatharu】が公開された。
 共演はチャレンジング・スターのダルシャン。(なぜ、チャレンジング・スターなのだろう?)
 私は、3月28日のブログ記事に、「ウペンドラ、ダルシャンの旧作に屈す!」と、何やら因縁めいた書き方をしたが、別にウッピとダルシャンの間に確執はないようで、今回こうして仲良く共演している姿を見て、安心した。
 とにかく、カンナダ映画界の人気者、ウペンドラとダルシャンが並ぶというのも珍しいことだと思われるので、これはお得な作品に違いない。

【Anaatharu】 (2007 : Kannada)
監督 : Sadhu Kokila
出演 : Upendra, Darshan, Sanghavi, Radhika, Rambha, Ramarajan, Sadhu Kokila, Honnavalli Krishna, Dr. Nagesh
音楽 : Sadhu Kokila
撮影 : Krishna Kumar
制作 : Munirathna

 特に下調べをせず観に行ったのだが、一見して、これは2003年のタミル映画のヒット作、【Pithamagan】(Bala監督、Vikram & Surya主演)のリメイクだということが分かった。
 私が記憶している限り、設定やストーリーにほぼ変更はなく、むしろ、ぴったりとオリジナルを再現している。
 なので、【Pithamagan】を観ていない人には面白く感じられるであろう。しかし、だからといって、【Pithamagan】を観た人にとってはつまらない作品かと言うと、これがまた結構よく出来たリメイクで、私は面白く観られた。(オリジナルをずいぶん忘れていた、というのがあるけど。)

 孤児で、墓場の死体焼き人に育てられ、野生児同然のルドラ(Upendra)と詐欺師のサティヤ(Darshan)の奇妙な友情の物語。これにガンジャ売りの姉御・パールヴァティ(Sanghavi)と女子大生のマンジュ(Radhika)、大麻を裏ビジネスとする悪漢らが絡み、ストーリーが展開する。(ちなみに、Upendraの役はオリジナルではVikramが演じていた。以下、DarshanはSurya、SanghaviはSangeetha、RadhikaはLaila。)
 「Anaatharu」は「孤児」で、「Pithamagan」は「神の子」という意味だが、インドでは両親のいない子を「神様の子供」と呼ぶようなので、どちらも同じことになるのだろう。
 (トップの写真:Darshan@サティヤ、Upendra@ルドラ、Sanghavi@パールヴァティ。)

 【Pithamagan】は、その設定の面白さと、主要登場人物4人の迫真の演技で質の高い作品となったが、この【Anaatharu】でもオリジナルの良さは保たれていたと思う。
 それは、オリジナル同様、4人の登場人物の頑張りに負うところが大きいと思う。加えてこの作品では、カンナダ映画ファンにとっては、マシンガン・トークでお馴染みのウペンドラがほぼひと言も話さず、寡黙で「男は黙って、、、」といった感じのダルシャンが口先八丁の詐欺師役を演じるという、逆のイメージを突いているところがミソなのだろう。

 【Pithamagan】を観たときも思ったが、この作品を評価するのは難しい。ルドラのキャラクター設定になにやら哲学めいた深いものも感じるが、たんにラディカルな人間たちの出会いと友情の面白さを描いただけの作品とも思える。
 ただ、私としては、登場人物たちのパワフルさが気に入っている。
 インド人と日頃接していると、特に地方や農村部から来た人たちには、そのしぶとさや打たれ強さに感服することが多い。
 この作品の4人も間違いなく田舎者で、ルドラはまさに動物的本能と身体能力の持ち主だし、詐欺師サティヤはとにかく生き抜くことに懸命だし、パールヴァティは気に入らなければ男でも張り倒し、マンジュは一見普通のお嬢様だが、溢れるばかりの元気さを持て余している。みな、それぞれの仕方で生命力を表現しており、そこが気持ちよかった。
 女優・ランバーを拉致して農村でダンスをするシーンがあるが、これなど農民の元気一杯な様子が描かれていて、非常に印象的なシーンだった。(ちなみに、オリジナルではシムランが女優役をやっていた。)
 田舎は強し! さすがは、酷暑、旱魃、貧困にもめげず、10億人を食わせているだけのことはある、と、ひ弱な日本の都会育ちである私などは感服してしまうのである。
 (写真下:女優・ランバーとのダンスシーン。)

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 ウペンドラは素晴らしい。こういう規格外の役柄をやらせると、真似の出来ない役作りをする。(もちろん、ヴィクラムというお手本があるのだが、それでも誰でもできるというものではないだろう。)彼が自分の作品を撮らず、「俳優としていろいろな映画に出るのは経験のため」と言っているのも、これなら納得できる。
 ダルシャンとサンガヴィも上に書いたとおり、上手く役柄をこなしていた。
 ヒロイン、マンジュを演じたラーディカーはカンナダ映画の女優陣にあっては破格に美形だと思うのだが、なぜか女優としては中途半端なところに留まっている。個性の問題なのか、演技力の問題なのか、、、ただし、今回はかなり体当たりの演技を見せているので、また違った風が彼女に吹くかもしれない。

 ・・・それにしても、カンナダ映画界はどうしてこうも美女不在なのだろうか? アイシュワリヤーやシルパ・シェティなどを生んだマンガロール周辺や、もともと美人処として名高いクールグを州内に抱えながらも、この有様である。(どうせディーピカー・パドゥコーネも、ボリウッドに行ったまま帰って来ないのであろう。)
 この2地点に、お隣、ケーララ州のパーラッカード周辺を加えた地域を、私は「美女のゴールデン・トライアングル」と呼んで注目しているのだが、ここいら出身の女優たちがほぼカルナータカ州を素通りしている事実に、笑ってしまう。

 監督のサードゥ・コーキラは、多くのカンナダ映画に出演しているコメディアンだが、音楽監督としても活躍している。加えて、監督でも旨みを発揮するという、いわば「カルナータカのチャップリン」と呼べる逸材だ。ただ、残念なことに、自身を主役にした作品はまだ撮っておらず、いつの日か、ぜひぜひ、【サードゥ・コーキラの独裁者】とか【サードゥ・コーキラの犬の生活】とかいう作品を観てみたいものだ。
 (写真下:手前左がサードゥ・コーキラ氏。いつ見てもぶさいくだ。右はウペンドラ、奥にいるのはディーピカー・パドゥコーネ。映画【Aishwarya】より。)

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・満足度 : 3.0 / 5
 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
監督としてのサドゥコキラ、好きです。
こういう作品、作るんですね。

この作品で初めてダルシャンが素敵だと思いました。
こういうちゃらい役、どんどこ見たいです。オススメありますか?
ウペンドラは期待以上の野人で惚れ惚れしました。

大好きな作品になりました。

これはタミルでヴィクラムとスーリヤがやってるんですね。こっちも見たいです。
やっほー
2014/03/31 23:56
なかなか良いですよね、これ。
サードゥ・コーキラは監督としてけっこういい仕事していますよ。

>こういうちゃらい役、どんどこ見たいです。オススメありますか?

チャラ男のダルシャンというのは思い付かないですね。
ヒンディー映画「Ishq」のリメイクの「Snehana Preethina」というのはアクション物じゃありませんが、チャラ男って感じでもなかったです。

>こっちも見たいです。

はい、ぜひ。タミル版オリジナルは見ないといけません。
 
カーヴェリ
2014/04/01 09:55

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