カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【E Bandana】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2008/01/15 23:32   >>

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 ドクター・ヴィシュヌヴァルダン主演のカンナダ映画。
 アミタブ・バッチャン主演のヒンディー映画、【Baghban】(03)のリメイク作品。
 タイトルの「E Bandana」は主人公の男が執筆出版した自伝のタイトルで、「この絆」といった意味。

【E Bandana】 (2008 : Kannada)
監督 : Vijayalakshmi Singh
脚本 : B.A.Madhu
出演 : Vishnuvardhan, Jayaprada, Anant Nag, Tara, Darshan, Jennifer Kotwal, Tarun, Sharmila Mandre, Raghu Samarth, Madhu Hegde, Shivaji Rao Jadhav, Arundhati Jathakara, Renuka Prasad, Kumari Vaibhavi, Master Nayanshekar, Doddanna, R.G.Vijayasarathy, Shivaram, Jai Jagadish, G.K.Govindarao
音楽 : Mano Murthy
撮影 : Ajay Vincent
編集 : B.S.Kemparaj
制作 : Jai Jagadish

《あらすじ》
 結婚40周年を迎えたハリシュ・ラージ(Vishnuvardhan)とナンディニ(Jayaprada)は、これまで一日たりとも離れて生活したことがないほどの鴛鴦夫婦であった。
 二人には三人の息子がいたが、上の二人は結婚しており、すでに孫もいた。それぞれ独立して別々に暮らしていた。
 ハリシュは長年勤めた銀行をまさに定年退職するところだった。彼は息子の養育のためにお金を惜しみなく使ってきたので、貯金などほとんどなかった。それで、定年後はナンディニと共に息子たちの家で一緒に暮らすことを期待していた。
 ハリシュは退職する。ウガディ祭で家族全員が集まったときに、彼は息子たちに一緒に生活したい希望を伝える。しかし、息子たちは困惑し、作戦会議を開く。長男は共稼ぎで、両親を引き取れないと言うし、二男の嫁は姑とは暮らせないと言う。結局、三男のアイデアが採用されたが、それは長男が母を、二男が父を、それぞれ別々に引き取るというものだった。一度も離れて生活したことのない両親は、必ずこの案を拒否し、一緒に住むことを諦めると思われたからである。
 しかし、ナンディニの説得もあって、ハリシュはこの案を受け入れる。
 ハリシュは二男の家へ、ナンディニは長男の家へ行く。だが、二人がそれぞれの場所で味わったのは、召使並みの待遇だった。
 ハリシュは近所のナラヤナ(Anant Nag)という男と親しくなる。ナラヤナは妻(Tara)と共に花屋(兼、図書室)を営んでいたが、非常に本の好きな男で、ハリシュに家族のこと、妻のこと、現在の境遇などを本に著すことを勧める。その勧めに従って、ハリシュはタイプライターで自伝を綴り始めた。
 だが、冷遇に耐えかねたナンディニはハリシュと連絡を取り、二人は家を出て共に暮らすことに決める。といって、特に行く当てのない二人だったが、偶然、キラン(Darshan)と再会する。
 キランはかつて新聞売りをしている孤児だったが、ハリシュが世話をし、学校まで行かせた経緯があった。今は実業家として成功し、パッラウィ(Jennifer)という妻ももらっていた。ハリシュの恩をひと時も忘れたことのないキランは、夫妻を家に招き、実父のようにもてなす。
 そうしているうちに、ハリシュが書いた自伝、『E Bandana』が出版され、大ベストセラーとなる。
 出版社から小切手をもらったハリシュは、それをキランに贈る。だがキランはそのお金で家を買い、ハリシュ夫妻にプレゼントする。
 『E Bandana』の成功を祝う祝賀会が出版社主催で開かれた。そこには実の息子たちもキラン夫妻も出席していた。ハリシュはスピーチのために壇上に上がる。そして、「ハリシュ・ラージ氏の息子」として司会者が紹介したのは、実の息子ではなく、キランだった、、、。

   *    *    *    *

 この映画の主題・メッセージはもう上のあらすじを読んで分かる通り。非常に明快で、私などがごちゃごちゃ言う必要もないだろう。
 そりゃあ、お世話になった人に対して(ましてや両親に)あれだけ非人情な態度をとると、天罰が下るのは当たり前というものだ。

 上でヒンディー映画【Baghban】のリメイクと書いたが、【Baghban】自体もオリジナルではなく、1958年制作のカンナダ映画【School Master】(B.R.Panthulu監督)のリメイクだそうだ。(元ネタは37年のアメリカ映画【Make Way For Tomorrow】らしい。)その後、この【School Master】は73年までテルグ版、ヒンディー版、マラヤラム版、タミル版と数度にわたってリメイク(あるいはダビング)されたようだ。
 細かい考証はさておき、時代と地域を越えて繰り返し映画化されていることからすると、この作品の主題がいかにインド人の心にヒットするかが分かる。
 特に現代では、都市部で核家族化が進み、夫婦間でも不倫・離婚もやむなしという風潮が見られる中で、危機感を感じているインド人も多いことだろう。そんな風潮に対して、親子・夫婦間の絆の大切さを描く映画が有り難がられるというのもよく分かる。【E Bandana】はそうした保守派映画の典型例だ。

 ところで、私はインドの家族映画を苦手としているので、映画の途中まではかなり居心地が悪かった。特にハリシュとナンディニの鴛鴦ぶりを紹介するエピソードは、もう結婚40年だというのに新婚夫婦のようないちゃつき加減で、見ていて何度も天を仰いだ。しかし、アナント・ナーグ演ずる花屋のオヤジが出てきて、ハリシュに自伝の執筆を勧めるあたりからドラマがアクティブになり、最後はかなり満足して観終わることができた。
 家族映画としては「直球ど真ん中勝負」といった感じのネタの配列だったが、それでも私は4場面で泣きそうになった。(もちろん、インド人はぐすぐす泣いていたが。)
 リメイクとしても、【Baghban】は豪華な作品だったが、それに勝るとも劣らない立派な出来栄えだったと思う。監督のVijayalakshmi Singhは女性で、しかも、これが監督デビュー作ということだが、そうしたことが信じられないぐらい力強い作品だった。(Vijayalakshmi Singhは女優からプロデューサーに転じた人で、夫はこの映画の制作者兼出演者のJai Jagadish。また、この作品のメガホンを取ることは、どうやらヴィシュヌヴァルダンが勧めたようだ。)

◆ パフォーマンス面
 演技陣では、ポジティブ・ロールを演じた俳優たちは良かった。
 ヴィシュヌヴァルダンはまさにはまり役で、こんな役をやらせたら天下一品だ。孔子も真っ青な説教臭さも、彼が演じればすんなり収まってしまうところが面白い。
 ジャヤプラダはテルグの女優だが、見た目は北インドのマダム。その派手な顔立ちと衣装で、映画を豪華なものとするのに一役買っていた。
 花屋役のアナント・ナーグとターラも、確実にドラマの味付け役をしていた。何をやらせてもうまい二人だ。
 ちなみに、この花屋は、花屋というより花に飾られた図書室という感じで、しかも恋人たちが集う場所となっていた。ちょっと美しすぎる設定だが、この辺が女流監督のテイストなのかな、と。
 ダルシャンとジェニファーの夫婦役も印象的だった。ダルシャンはぱりっぱりのアクション俳優だが、近ごろ少しずつ演技派へと進みつつあるようだ。しかし、やはりアクションは必須らしく、この映画でも一発パンチをかますシーンがあった。あれはファンサービスだろう。
 あと、花屋のお客、タルンとシャルミラのカップル役もフレッシュだった。
 (写真トップ:下から時計回りにVishnuvardhan、Jayaprada、Jennifer、Darshan。写真下:Anant NagとTara。)

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◆ テクニカル面
 音楽は、今やすっかりカンナダ映画界には欠かせない作曲家となったMano Murthy。作品のテーマにぴったり合った良曲を揃えていたと思う。
 マノ・ムルティは、先日、誕生日だったらしく、こちらのテレビ番組に出演していて、初めてお姿を拝見できた。思ったよりフツーのオジサマでした。

・満足度 : 3.5 / 5
 

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