カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Bindaas】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2008/03/23 23:01   >>

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 プニート・ラージクマール主演のカンナダ映画。
 プニートといえば、鼻がでかいにもかかわらず(否、それが幸いしてか)、ヒット作の山を築いている人気俳優で、【Appu】(02)でデビューして以来、9作連続で上映日数「100日突破」を記録している。こんな記録は他に例がないのではないか?
 ところが、私の周りにいる今どきの若者の間では、プニート映画の評判はあまり芳しくない。「全部ストーリーが同じ」、「スタイルが古くさい」とか言う者が多く、じゃあ、どうしてあんなにヒットしているのか?と聞くと、「ラージクマールの息子だから、なにがなんでもヒットさせるんです」という答えが返ってくる。
 まぁ、分からない意見でもないが、しかし、同じラージクマールの息子でもお兄ちゃんのシヴァラージクマールのほうはこのところヒット作から見離されていることを考えると、そうとばかりは言えないはずだ。
 やはり、良作に恵まれていたことに加え、プニートくん自身にもスター性があるのだろうと、ここは穏当に受け止めておきたい。
 この【Bindaas】も、ヒロインに北インドからイケイケ・ギャル(←こんな言い方、今もあるのかね?)のハンシカ嬢を迎え、おそらく100日超えは堅いだろう。

【Bindaas】 (2008 : Kannada)
脚本・監督 : D. Rajendra Babu
出演 : Puneeth Rajkumar, Hansika Motwani, Nasser, Suman, Rahul Dev, Ramesh Bhat, Komal, Suman Ranganath
音楽 : Guru Kiran
撮影 : H.C. Venu
編集 : T. Shashikumar
制作 : M. Chandrashekhar

《あらすじ》
 バンガロールで3件の連続爆弾テロが起きる。これは国際的なテロリスト、サリーム(Suman)と‘D’(Rahul Dev)に率いられたマフィアが首謀者と見られていた。警視のラートール(Nasser)は彼らの逮捕に血眼になっていた。
 シヴ(Puneeth)はスリやダフ屋行為をして生計を立てている男だった。彼は何度もラートールの下にしょっぴかれながらも、いたって呑気な日々を送っていた。
 ある日、シヴはプリーティ(Hansika)という美しい女性を目撃し、一目惚れする。彼は早速アタックするが、もちろん拒絶される。しかし、シヴは持ち前の機転と粘り強さで、とうとうプリーティの心を勝ち取ることに成功する。
 ところで、プリーティは実はラートールの娘だった。ラートールはある時、娘がシヴと睦まじくデートしているところを目撃し、不快感を抱く。
 一向にテロ捜査が進展しないことに苛立つラートールは、バンガロール警察内にマフィアへの内通者がいる疑いを抱く。彼は情報収集のために、シヴをマフィア組織への潜入捜査員として利用しようと思い付く。プリーティとの結婚のために仕事が欲しかったシヴもこれを引き受ける。
 シヴはまんまと‘D’の組織に潜入する。彼は危うい綱を渡りながらも、ラートールの期待に応える働きをしていた。
 ある日、シヴは‘D’と敵対するマフィアとの抗争に巻き込まれ、路上で派手な乱闘をやらかす。それをたまたまプリーティが目撃してしまう。
 翌日の新聞にその記事がシヴの顔写真と共に掲載され、ラートールはプリーティに新聞を見せながら、この男はとんでもないヤクザだと知らせる。ショックを受けたプリーティはシヴに絶縁を言い渡す。
 落胆したシヴであるが、任務は続け、遂にサリームを捕縛することに成功する。シヴはサリームをラートールに引き渡そうとするが、その際に、ラートールの口からプリーティは彼の娘であることを知らされる。のみならずシヴは、たんに自分がラートールに利用されていただけであることも知る、、、。

   *    *    *    *

 2時間半、映画館で座って観るには問題のないアクション映画だったが、なんだか締りのない、「ここがグッと来た」と唸るところの少ない作品だったような気もする。

 「敵の敵は味方」という言い方があるが、「敵の敵が味方ではなかった」(つまり、シヴとラートールの関係)というのがこの作品のミソだと思う。
 だが、善玉・悪玉の二項対立ではなくて、こういう「三つ巴」になるものは、よっぽどストーリーの練り方を工夫しない限り、うまく行かない場合が多い。
 それは、ヒーローが叩きのめす対象が曖昧になってしまうからで、結局、悪玉のどちらかが中途半端な扱いになって、ストーリーが混乱するか、緊張感がなくなるかのどちらかになってしまうからだ。
 この作品でもテロリストのサリームと‘D’がそういう損な役回りになってしまい、せっかくスマンとラーフル・デーヴという名悪役(?)を使っていながら、滑稽感漂う悪玉になっており、結果的にワサビの利いていない寿司を出されたような気分だ。

 グル・キランの音楽も本作では平凡で、ダンスシーン、アクションシーンとも、特に目を見張るものがなかったのもこの作品の弱みだろう。(追記:DVDで再見した結果、グル・キランの音楽はかなり良く、ダンスシーンもまずまずの出来だということが分かった。)

 なお、タイトルの「bindaas」は「carefree」という意味で、ヒーローのシヴが口癖のように何度も言っているフレーズ「Be happy, no BP! Bindaas aagirabeku!」は「気楽に行こうぜ!」ぐらいの意味。

◆ パフォーマンス面
 プニートについては全く問題はない。セリフ、アクション、ダンスと、彼らしいエンタティナーぶりが楽しめる。俳優としてもずいぶん腰が据わってきた感じだ。
 (写真トップ:背中で演技するプニートくん。ちょっとカッコいいかも。)

 悪役のスマンとラーフル・デーヴについては、上でも書いたとおり、滑稽だった。
 もちろん、「スマンの七変化」や「にやけたラーフル」など、マニアックな南インド映画ファンなら楽しめる部分はあったのだが、やはり、スマンについては「こんな奴がいるから世界は良くならんのだ!」と思わせるほどの嫌らしさに徹してほしかったし、ラーフルについては「鬼神も黙る冷血悪漢」ぶりを見せてほしかった。
 ラートール役のナーサルもどうかなぁ?という感じだったが、こっちのほうが嫌らしさは出ていた。

 ハンシカ嬢については、もう、健気のひと言。がんばってました。
 Wikipediaによると、彼女はムンバイ出身で、子役やCMタレントを経て、アッル・アルジュン主演のテルグ映画【Desamuduru】(07)で本格デビュー。【Bindaas】がまだ3作目ということですか。
 公表年齢が正しいとすると、まだ16歳なのだが、な、な、なんという成熟度!、、、というより、ちょっとオバサンくさくないですか??? (写真下)

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 16歳にして早くも有閑マダムの風格というのは、イエローカードものでしょう。
 メイクの仕方を研究してください。
 とはいうものの、次作の【Kantri】、NTRジュニアとの共演も楽しみだ。

 ダンスシーンでスマン・ランガナートがカメオ出演していることも記しておこう。

◆ 余談
 さてさて、弟のプニートが快調にヒットを飛ばすとなれば、兄のシヴァラージクマールも気にかかるところだが、上で触れたとおり、【Jogi】(05)以来ヒットらしいヒットがない(その代わり【Jogi】は、これでもか、というほどの大ヒットだったのだが)。
 前作の【Lavakusha】も、ウペンドラと共演し、ヒロインにチャルミまで擁しながらも不発に終わった。
 【Preethse】(00)を知っている者なら、なんでウペンドラとシヴァラージクマールが共演していながらこけるのか理解に苦しむところだが、10年近い歳月は映画界の勢力図もファンの好みも変えてしまうものなのだろう。(ついでに言っておくと、【Preethse】の監督はこの【Bindaas】と同じD. Rajendra Babu。)
 シヴァラージクマールといえば、次はジェネリアと共演の心配作、もとい、話題作【Sathya In Love】が控えているが、これだけは成功してほしい。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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