カーヴェリ川長治の南インド映画日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 【Vamshi】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2008/11/05 19:17   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

画像

 昨年のカンナダ映画のヒット作に【Milana】がある。
 【Milana】は傑作というわけでもないのだが、センティメンタルな面で観衆の心を掴むのに成功し、なんと、去年の9月に公開されて以来、1年を過ぎた今も上映が続くブロックバスターとなった。
 そんな【Milana】のプラカシュ監督とプニートが再びコンビを組むとあって、この【Vamshi】も期待作の一つに挙げられていた。

【Vamshi】 (2008 : Kannada)
作・監督 : Prakash
出演 : Puneeth Rajkumar, Nikita, Lakshmi, Ravi Kale, Avinash, Rajendra Karanth, Sundaraj, Komal Kumar, Vishwanath
音楽 : R.P.Patnayak
撮影 : Krishna Kumar
制作 : Smt.Parvathamma Rajkumar

《あらすじ》
 ワムシ(Puneeth)は警官になるために警察学校で訓練を受けていた。彼の父はバンガロールを震え上がらせたマフィアのドン、コトナル・ラーマチャンドラだったが、母(Lakshmi)はワムシが生まれた直後に家出をし、以来、コトナルとはまったく関係を絶っていた。
 ワムシはトップの成績で訓練を終え、あとは最終面接試験を残すのみとなる。
 彼はある時、シャールダ(Nikita)という活発な女性に出会う。シャールダはワムシにぞっこん惚れ、追っかけを始める。やがてワムシも彼女の気持ちを受け入れ、シャールダの父(Sundaraj)を説得し、婚約をする。
 ワムシは、あるマフィアのドン(Rajendra Karanth)とその一味から恨みを買っていた。そのドンはレッディー(Ravi Kale)という悪徳警官と結託していたが、レッディーはワムシが警察学校の訓練生であることを知る。
 ワムシは最終面接を受けに行くが、面接担当官の一人にレッディーもいた。彼はわざとワムシの父、コトナルの名前を挙げ、「マフィアの息子が警官になれるか」と挑発する。激怒したワムシはレッディーの胸ぐらを掴んでしまい、不合格となる。
 ワムシがコトナルの息子であるという事実はマスコミにタレコミされ、TVニュースで報道されてしまう。街の人々はワムシを恐れ、コトナル(すでに死亡)の部下たちはワムシに接近し始める。
 ワムシはマフィアの一味に襲撃され、大乱闘となったところを、悪徳警官レッディーに逮捕される。その場はコトナルと結託していた政治家(Avinash)の力で釈放されるが、その見返りとして、彼はコトナルの組に合流せざるを得なくなる。
 シャールダの父は娘とワムシの婚約を解消し、他の男と結婚させようとするが、シャールダはワムシの許に走る。だが、彼女は刺客に刺されて、病院に運ばれる。
 ワムシはシャールダを刺した敵方のマフィアのドンを殺害する。
 ワムシは、病院で母とシャールダの会話を立ち聞きし、母の辛い過去を知る。悔悟した彼は自首することを決意する。
 ワムシはシャールダと二人だけの結婚式を挙げ、母の家を訪れる。だが、自首したが最後、息子は亡き者にされると考えた母は、ワムシに毒入りの食事を差し出す、、。

   *    *    *    *

 いつもプニートの映画を観て思うのだが、なにか傑作、秀作と呼べる突出した評価点がない代わりに、つまらないわけでもなく、観終わったあとにはそこそこの満足感が残る。本作もそんな映画だった。
 実は、本作のレビューには強気なものは少なく、大勢は「期待を下回る」という論調だ。だが、私が観た限り、けっこう面白く、まずまず上手くできた作品ではないかと思っている。
 内容的に新しいと言える点はなく、性格も能力も申し分のない青年が、たった一つの運命的な理由で人生が狂い始める下りや、母子の情愛、そして復讐と、定番が並んでいる。それでも一つ一つが一定の効果を挙げており、娯楽映画としての合格基準はクリアしていると思う。
 まぁ、材料や料理法は定番だが、ほど良く調理された南インド・ミールスを食したような満足感だろうか。(と、プニート作品を観たら、いつもこのイメージが思い浮かぶ。)

 プニートとラージクマル・プロダクションの作品には必ず分かりやすい「教訓」がある。本作の場合は「子供の教育」だろう。
 ワムシが生まれた直後に、父がワムシにナイフを持たせて「極道教育」を始めようとしたとき、恐れた母はワムシを連れて家出をし、以後、息子を正義感の強い人物に育て上げる。
 本作には「Destiny's Child」という英語副題が付いているが、「ヤクザの息子」という運命ゆえに結局は警官になれなかったワムシが、学校の教壇で子供たちの前に立つ場面は示唆的だった。

◆ パフォーマンス面
 プニートは、演技・アクション・ダンスとも安定していて、問題なし。
 もちろん、重要な母親役のラクシュミも上手い。(写真上)

 ヒロインのニキータについては、先日紹介した【Chintakayala Ravi】でもちらっと触れたとおり、ちょっと気にかかっている。実は本作を観る目的の第一は彼女のチェックであった。
 私がこれまで観たニキータの出演作は【Bus Conductor】(05)、【Don】(07)、【Saroja】(08)、【Chintakayala Ravi】だけだが、すべてセカンド・ヒロインか端役、悪役だった。しかし、それぞれ面白い味は出していた。
 本作でも、マフィアに転落して自分を遠ざけるようになったワムシに対して、涙ながらに愛を訴えるシーンがあり、お約束どおりの展開だと思っていたら、ワムシが去った後に涙を拭き、「ちょっと芝居が濃かったかなぁ」と引っくり返し、コメディアンのコマルに「演技かいっ!」と突っ込まれるシーンがあった。これなど、彼女のキャラが生かされていた例だと思う。
 トータルに見て、セカンド・ヒロイン以下に向くキャラかなぁ、という感じだが、彼女は近ごろカンナダ映画ではヒロインとして扱われており、ウペンドラの次回作【Dubai Babu】にも出演予定なので、しばらくは注目を続けたい。
 (写真下:Nikita@シャールダに寄り添われ、鼻の下、もとい、鼻そのものを長くするPuneeth@ワムシ)

画像

 悪役の2人、警官役のラヴィ・カーレとマフィア役のラジェンドラ・カラントはOK。特にラジェンドラ・カラントは、本来はライターのくせに役者としては悪役が似合い、【Accident】(08)に続いて嫌らしい悪者ぶりが光っていた。

 なお、ウペンドラが映画冒頭のナレーションを担当している。

◆ テクニカル面
 撮影などの裏方陣も一定の水準をクリアしていると思う。
 R.P.Patnayakの音楽は作品の内容に合っており、まずまずの出来。‘Jothe Jotheyali’は歌もダンスも私は気に入っている。ちなみに、この歌の男性パートはプニート自身が歌っている。‘Thaayi Thaayi’は、【Hoovu Hannu】(93)という作品でラージクマルが歌っている歌を借用したものだそうだが、まったく気が付かなかった。
 ところで、‘Jothe Jotheyali’ではプニートとニキータのリラックスしたダンスが見られるが、カンナダ映画では同じようなおふざけを交えた軽い振り付けのダンスを時々見かける。たぶん同じ振り付け師の仕事だと思われるが、一体誰なんだろう?

◆ 総評
 プニート・ラージクマルといえば、【Appu】(02)でヒーロー・デビューして以来【Bindaas】(08)まで、主演作10本がすべて上映日数「100日超」のヒット作になるという、珍記録を更新中だ。これを「大記録」とか「快記録」と言わないで、「珍記録」と言うのは、やはりこの数字に作品の質が見合っていない印象を受けるからだ。それで、いつ彼の映画がフロップを叩くか、意地悪く楽しみにしているのだが、本作は評判がイマイチだったこともあり、もしや?と期待がかかった。
 しかし、娯楽作のツボを押さえた本作も、100日ぐらいは行くだろう。

・満足度 : 3.0 / 5
 

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
【Rajkumari】
 皆さま、ハッピー・ウガディでございます! ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2009/03/27 18:29
【Gokula】 (Kannada)
 プラカシュ監督のカンナダ映画。  プラカシュは【Kushi】(03)、【Rishi】(05)、【Milana】(07)、【Vamshi】(08)と堅実にヒット作を連ねている若手(そろそろ中堅か)監督だが、際立ってすごい作品を撮っているわけではないものの、カンナダ人の情を狙って外さない上手さがある。たぶん、ヨガラージ・バット監督と並んで、今のカンナダ映画界を代表する人情映画の作り手と言えるだろう。  ヒーローはウィジャヤ・ラーガヴェンドラ。プラカシュ監督とは【Kushi】、【Ris... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2009/12/11 22:24

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
【Vamshi】 (Kannada) カーヴェリ川長治の南インド映画日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる