カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Navagraha】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2008/11/26 02:11   >>

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 ‘チャレンジング・スター’ダルシャンの前作【Arjun】では、あまりのひどさに激怒してしまった私だが、今回は彼が初めて「悪役」に挑戦するということで、懲りもせず観に行った。
 ちなみに、本作はダルシャンのホーム・バナー「Toogudeepa Productions」の制作で、オカンのミーナがプロデューサー、弟のディナカルが監督を務めている。
 (上の写真、ハンドルを握っているのがダルシャン。すんません、集合写真で。)

【Navagraha】 (2008 : Kannada)
作・脚本・監督 : Dinakar Toogudeepa
出演 : Darshan, Tarun Sudhir, Vinod Prabhakar, Srujan Lokesh, Nagendra Urs, Giri Dinesh, Dharma Keerthi, Sharmila Mandre, Varsha, Saurav
音楽 : V.Harikrishna
撮影 : Krishna Kumar
編集 : T.Shashikumar
制作 : Meena Toogudeepa Srinivas

《あらすじ》
 邪まな世界各地の宝物収集家が集まり、インドはマイソールのマハラジャ宮殿にある「アンバーリ(黄金の神座)」を盗み出そうということになり、インド人バイヤーはジャグ(Darshan)という強盗に2000万ドルで依託する。
 ジャグはまず妹のガウリ(Varsha)とその恋人でIT技術者のクンビ(Tarun Sudhir)に協力を依頼する。さらに彼は、刑務所で意気投合した4人、採掘技師のドニ(Vinod Prabhakar)、自動車整備工のゲッデ(Srujan Lokesh)、贋物作りのシェッティ(Nagendra Urs)とギリ(Giri Dinesh)を加え、マイソールに乗り込む。
 だが、マハラジャ宮殿の警備は堅い。そこでジャグは、女強盗のキラン(Sharmila Mandre)を使って、宮殿警備員の息子・ヴィッキー(Dharma Keerthi)を誘惑させ、仲間に加える。こうして9人の泥棒団「ナワグラハ」が誕生する。
 彼らは、ヴィッキーを通じて、宮殿には3本の緊急時用の地下道があり、そのうち1本が宮殿内のアンバーリを保管している部屋に至ることを知り、それを侵入経路に使うことにする。さらに、本物そっくりの木製アンバーリを作り、運搬・逃走用に公営バスに擬したバスも用意する。作戦決行日時は「ダサラ祭」前日の深夜に定める。この日はアンバーリを保管している部屋に誰も入れないからである。
 一方、警察当局は、ダサラ祭でのテロを恐れて警備を厚くし、敏腕警部のバーガト(Saurav)を指揮官に当てていた。
 ジャグたちは作戦を決行し、まんまとアンバーリのすり替え、搬出に成功する。そして一味はバスに乗り、一路、積出港のマンガロールを目指す。
 バーガトは、翌朝早々にアンバーリがすり替わっていることに気付き、主要道路を封鎖するよう指示する。
 泥棒団は検問を避けて迂回路を取るが、たまたま遭遇した警官に怪しまれたため、ジャグは警官を射殺してしまう。そこから9人のチームワークが乱れ始める、、、。

   *    *    *    *

 盗人が徒党を組んで厳しいターゲットに挑戦するという犯罪物で、欧米ではよく作られ、ヒット・シリーズもあるが、インド映画では珍しい部類だろう。
 たぶん、ハリウッドの【オーシャンズ】シリーズに刺激されて企画されたものだと思われるが、インド的なプロットを持つという点では、ボリウッド映画の【Kaante】(02)や【Johnny Gaddaar】(07)を連想させる。
 「Navagraha」は、インドの占星術で扱われる「9つの天体」のことだが、邪まな人間の集まりは天界の調和のようにはいかないという、皮肉を込めたタイトルになっている。

 本作で盗賊のターゲットとなった逸品はマイソール・マハラジャ宮殿の「アンバーリ(Ambari / Golden Howdah)」。
 マイソールの有名なダサラ祭のときに、宮殿から時代行列が出て、Chamundeshwari女神を乗せた象が市内を練り歩く。その象の上で女神が鎮座する台座がアンバーリだ。(写真下)

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 黄金製で、重さは800キロもあるらしい。(こんな物を載せられて、象も大変だなぁ。)これを映画では4人の男が運んでいたが、かなり無茶だと思う。
 
 このようなジャンルの映画は脚本や技術が良ければ非常に面白くなるものだが、残念ながら至らぬ点が多すぎて(特に脚本)、インド映画のレベルからしても、B級サスペンスに留まっている。だが、これは予想の範囲内。
 コメディーは最悪、アクションもいくつかは拙劣でうんざりだが、アンバーリを盗み出すシーンや逃走過程での出来事、クライマックスには見るべきところもあった。
 また、マイソール宮殿のアンバーリを盗み出すというアイデアそのものは面白かったと思う。(ちなみに、主演のダルシャンはマイソール出身。)

 本作にはもう一つの趣向があって、盗賊9人のうち、男7人の役はすべてカンナダ映画界の往年の悪役俳優の息子たちが演じているということだ。(二枚目ヒーローのダルシャンも、実は有名なトゥーグディーパという悪役の息子。)しかも、そのほとんどはデビューらしい。
 それがどうしたと言えなくもないが、カンナダ人がこれを観た場合、何も知らない日本人の私が感じる以上に、愛着を感じる作品かもしれない。

◆ パフォーマンス面
 悪役初挑戦のダルシャンは、クールに演じていたが、悪役にしては男前すぎた。悪役らしい「凄み」や「怖さ」がやや足りなかったので、クライマックスでの「脆さ」があまり活きない結果となった。
 セリフもドスの利いた作り声で発していたが、これはいつもの声でよかったのでは?

 他の6人の野郎どもの中で、有望なのを1人挙げるとすると、ドニ役のウィノード・プラバカルだろう。決して主人公にはなれないタイプだが、サポート役としていろいろな使い方ができそうだ。(写真下)

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 2人のヒロイン、キラン役のシャルミラ・マンドレはもともとイケズ顔なのでOKだが、健康・お元気娘というイメージの強いワルシャちゃんまで悪役をやっているのは意外だった。
 (写真下:Sharmila MandreとDharma Keerthi。)

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 敏腕警部・バーガト役のサウラヴは、あまりカッコ良くないのだが、一生懸命カッコつけている様が微笑ましかった。彼はきっと良い脇役俳優になるだろう。

◆ テクニカル面
 本作の特徴はムラがあるということだが、それは音楽にも映像にも現れている。
 ハリクリシュナの音楽は特に凄みはないが、7人の賊がジープでマイソールに乗り込むシーンとバスで逃走するシーンの曲は良かった。
 クリシュナ・クマルのカメラはいつになく深みがない。だが、さすがに宮殿を捉えたシーンはきれいに撮れており、改めてこの宮殿の美しさが認識できた。

◆ 総評
 【Navagraha】は、ハリウッドの犯罪映画のことは忘れて、多くを期待せずに観たら、まずまず楽しめる。マハラジャ宮殿とダサラ祭がうまくネタに使われているので、そちらに興味のある方なら一見の価値ありだと思う。

・満足度 : 2.5 / 5

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