カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Kallarali Hoovagi】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2007/01/08 23:30   >>

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 なんだかこの頃カンナダ映画に元気がなく、しばらく傑作・秀作が出ていないような気がする。元気いっぱいのヒンディー映画に対して、タミル、テルグ、マラヤーラムも健闘しているのに、カンナダだけ沈滞ムード。人材がいない。男優・女優もどうかなぁ?といった感じ。(ウペンドラさえ雌伏の時を送っている。)IT産業は順調なのに、映画産業は付いて来ていない。バンガロールの人はおそらくハリウッド映画を観ているのだろう。

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 と心配していたら、やっと見どころのある作品が現れた。17世紀のカルナータカを舞台にした時代劇で、これはおそらく【Aptha Mithra】(04)以来の力作だと思う。
 「Kallarali Hoovagi」は「石が花になった」という意味。

【Kallarali Hoovagi】 (2006 : Kannada)
監督 : T.S. Nagabharana
出演 : Vijaya Raghavendra, Umashankari, Ambarish, Anant Nag, Devaraj, Avinash, M.P. Shankar, Sumalatha
音楽 : Hamsalekha
制作 : Madhu Bangarappa

《あらすじ》
 17世紀の南インド。マイソールのイスラム国家の王、ハイダル・アリー(Devaraj)は、隣国チトラドゥルガの版図を狙い、何度も戦争をしかけていた。
 ある日、チトラドゥルガの若い兵士ジャヤデーワ(Vijaya Raghavendra)は瀕死のムスリム女性(Umashankari)を救い出し、家へ連れて帰る。彼の父が国王の侍医をしていたからである。
 看病の結果、女性は回復したが、口が利けない状態であることが分かった。
 彼女の名前はヌール・ジャハンで、実はハイダル・アリーの側近の妹だった。ジャヤデーワの家族は様々な問題を避けるため、彼女にラトナという名前を与え、ヒンドゥー教徒の扮装をさせる。
 体調がすっかり良くなったラトナは外出をするようになった。それをハイダル・アリーの隠密が見つけ、ヌール・ジャハン(=ラトナ)の所在を彼女の兄に通報する。
 兄は早速ヌール・ジャハンに密書を送り、スパイとして行動するよう要求する。しかし彼女は、命の恩人たちを裏切れないとし、兄の要求を拒否する返事を送り返す。
 ジャヤデーワは次第にラトナを愛するようになったが、ラトナは受け入れない。
 ある時、チトラドゥルガのマダカリナーヤカ王(Ambarish)の御前で兵士の技量を測る競技が行われた。この困難な競技に合格したのはジャヤデーワだけだった。王は感心し、何でも欲しいものを要求しろと言ったが、ジャヤデーワの要求は王家の庭に咲くサンピゲの花2輪だけであった。それは以前ラトナが欲しがっていたからである。
 がっかりする家族。しかし、それでラトナの心を開くことができた。王もこの無欲な若者に感服し、彼を軍の指揮官に任命する。
 昇進したジャヤデーワがまず行ったことは、領地内に潜伏するハイダル・アリーのスパイ狩りであった。彼は王の側近にもスパイがいることを突き止め、彼の活躍でその側近は投獄、手先の者は斬首になった。
 その様子を見たラトナは、やはり自分がここにいるのは相応しくないと思い、マイソールへ帰ることを決意する。ジャヤデーワも反対し切れず、ラトナの護衛をするが、道中で別の王の側近(これもスパイ)に捕まってしまい、逆にスパイ容疑で王の面前に差し出されてしまう。
 しかしマダカリナーヤカ王は、自身が放った密偵によって、ヌール・ジャハンと兄の間の密書を読んでおり、ジャヤデーワとラトナがシロであることを承知していた。それで、かえって二人を祝福し、結婚させることにする。
 ハイダル・アリーが戦闘のために大軍を動かし始めた。その中には当然ヌール・ジャハンの兄もいた。
 ジャヤデーワに投獄されたスパイの側近は牢を出て、ヌール・ジャハンの兄にチトラドゥルガ軍の配置図を届けようとする。しかし、それを事前に察知したジャヤデーワは彼を捉え、地図と信用手形(ハイダル・アリーから贈られた指輪)を取り上げる。
 ジャヤデーワは敵を撹乱するために、偽の地図とその指輪を持って、単身ヌール・ジャハンの兄のテントに赴く。ラトナも隠密と共にその場所に駆けつける、、、。

   *    *    *    *

 大枠は歴史的事実を借りているが、もちろんフィクションで、原作はB.L. Venuという人の時代小説。
 インドは歴史的な題材も撮影の環境(ロケ地とか)も事欠かない割には、歴史劇が少ないように思う。昔は【Mughal-e-Azam】のような傑作も作られていたようだが、この頃はどうなのだろう。切り込みにくいジャンルなのかもしれない。
 カンナダ映画でも、去年【Gandugali Kumararama】という作品が大失敗しており、その後を受けて時代劇を作るのは勇気がいったことであろう。しかし、この【Kallarali Hoovagi】は成功作だと思う。努力しただけの成果が実を結んでおり、カンナダ映画も頑張れるということを証明した出来栄えだ。

 宗教や国の対立を超えた二人の愛が一国を救うという、崇高なテーマが軸となっている。
 しかし、だからと言って、普遍的な愛や良心といったものが前面に出されているわけでもなさそうで、よくよく見れば、やはりこの作品でもヒンドゥー教徒=善玉、イスラーム教徒=悪玉という図式になっており、結果的には「寛大なるヒンドゥー」というところに落ち着いてしまっているようだ。そこが弱い。
 もう一つの欠点として、音楽シーンが多すぎる。退屈させないためだとは思うが、せっかくストーリーは上手く練られているのに、遅々として進まずといった感じで、私にはかえって退屈だった。

 主演のヴィジャヤ・ラーガヴェンドラという人、長髪に髭面で、どことなくウペンドラに似た風貌なので、この人の新作映画の手描きポスターを見るたびに、「お、ウッピの新作か!」と勘違いし、がっかりしたものだ。この人自身は何にも悪いことをしていないのに、私の中では人騒がせな男であった。
 そんなヴィジャヤの演技にも注目だったが、やや貫禄不足。特に声が弱い。こういうヒーローを演じるなら、スピーカーの音がぱちぱち割れるような声を出してもらわないと。
 むしろこの役こそウペンドラがやれば、かなり面白くなったであろう。
 マダカリナーヤカ王を演じたアンバリーシュ(下)は、目下マンモーハン・シン政権で大臣を務めている現役の政治家。この間の【Care Of Footpath】にも出ていたが、ちゃんとお勤めはしているのであろうか?

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 もう一人、狡猾なハイダル・アリーを演じたデーヴァラージ、かっこよかったです。古今東西、映画では善玉より悪玉のほうが魅力的なのは何故だろう?

 作品の中では、チトラドゥルガはひとまず防御されたが、歴史的事実としては、結局はハイダル・アリーに征服されてしまう。
 まぁ、あれだけスパイの潜入を許せば、国家滅亡は時間の問題だろう。寛大なるヒンドゥーよ。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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