カーヴェリ川長治の南インド映画日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 【Jeeva】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2009/12/09 01:45   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 2

画像

 プラジワル・デーヴァラージ主演のカンナダ映画。
 プラジワルはベテラン俳優のデーヴァラージの息子で、ロマンスcumアクション俳優の有望株だ、みたいなことを【Meravanige】(08)の中で書いておいたが、残念ながらまだ決定的なヒット作はない。しかし、興行成績は振るわないものの、彼の主演作がコンスタントに作られているという事実は、やはりヒーローとしての資質が評価されているということだろう。
 ヒロインを務めるのは【Jolly Days】(09)でデビューしたルトゥワちゃん。密かに注目していた私としては、こうして2作目が、それも単品ヒロイン作が現れたということはうれしい限りだ。
 監督はPrabhu Srinivasという人で、これがデビュー作品。これまでは音楽シーンの振付師として活躍していた人のようだ。
 というわけで、フレッシュな顔ぶれが並んだということで、やっぱりフレッシュな作品を期待したい。

【Jeeva】 (2009 : Kannada)
物語・脚本・台詞・監督 : Prabhu Srinivas
出演 : Prajwal Devaraj, Ruthwa, Chandrasekhar, Gurudutt, Rangayana Raghu, Shraddha Sharma
音楽 : Guru Kiran
撮影 : Sabha Kumar
編集 : P. Saisuresh
制作 : Paramesh, Prem

《あらすじ》
 大学生のジーワ(Prajwal Devaraj)はキャンパスでは名うての暴れん坊だった。父(Chandrasekhar)は州大臣で、母とは死別していた。ジャヤンティ(Ruthwa)は保険外交員の父と姉との三人暮らしで、やはり母はいなかった。
 ある日、例によって学内で喧嘩をしているとき、ジーワはジャヤンティと出会う。彼はジャヤンティに一目惚れするが、もちろん彼女は拒否する。ジーワはちょっとした誤解からジャヤンティの男友達を痛め付けてしまい、彼女から罵詈雑言を浴びせかけられる。これを機に、彼は真面目な青年に更生し、ジャヤンティとも仲直りする。
 ジーワの誕生日のパーティーにジャヤンティも参加する。ジーワの父は、息子が真面目になったことでジャヤンティに感謝するが、その時の会話がジャヤンティを傷付け、彼女はジーワの父を侮辱してしまう。
 翌日、反省したジャヤンティはジーワに謝罪しようとするが、彼が再び暴力を振るっているのを見、失望する。だが、それが誤解だと分かり、彼女はジーワのプロポーズを受け入れることにする。
 ある時、二人が仲睦まじくデートしているところをジャヤンティの父が目撃する。父は娘に、社会的ステータスとカーストの違いから、ジーワとの関係を諦めるよう諭す。父に逆らえないジャヤンティはジーワと分かれる決意をするが、彼は車にはねられ入院してしまう。病室でジーワに寄り添うジャヤンティを見たジーワの父は、ジャヤンティの父を呼び出し、説得する。ジャヤンティの父も二人の仲を認める。
 ほどなく二人の婚約式の日となるが、ジーワは酒に酔って式場に現れた上、ジャヤンティとその父を侮辱し、式をぶち壊してしまう。
 実はジーワは、入院したときの医療検査の結果、脳に腫瘍が見つかり、余命いくばくもないと医者に告げられていた。それで、ジャヤンティとの縁談を破棄するために、不可解な行動に出たわけである。彼は医者にそれを秘密にするよう頼み、父や友人たちをも遠ざける。
 やがて、ジャヤンティの新しい縁談も決まり、ジーワは彼女から結婚式の招待状を受け取る。彼は彼女を祝福し、人知れず死ぬ覚悟をして、毒を注射する。
 だが、ちょうどその時、医者から電話が入り、ジーワの検査結果がまったく別人のものであり、彼は健康体であることが知らされる。彼は緊急入院し、なんとか一命を取り止めるが、まだ容態が回復せぬうちに病院を抜け出す。翌日がジャヤンティの結婚式の日だったからである。彼は、途中で出会った中年男(Rangayana Raghu)の助けを借りて、式場へと向かう、、、。

   *    *    *    *

 なかなか良い映画だった。
 あまり期待していなかったせいかもしれないが、クライマックスからエンディングにかけては良くできており、感動した。カンナダ映画らしい、質素で直截的なテイストも好感が持てる。

 アイデアやストーリー展開に新しいものはなく、むしろ使い古されたネタのオンパレードで、それが本作が高く評価されない理由となっている。
 医者の間違いで患者のカルテが入れ替わり、それがとんでもない出来事を惹き起こすという物語は、テルグ映画のブロックバスター【Premabhishekam】(81)やカンナダ映画の【Anuraagadha Alegalu】(93)など、いくつか先行作品があるらしい。監督のプラブ・シュリーニワースは、自身が体験した実話を基にスクリプトを書いたと言っているが、嘘じゃないにしても、怪しいものだ。
 メッセージ性という点でも特に積極的なものはない。

 それにもかかわらず、納得して観終えることができたのは、やはり映画としての演出がうまく行っていたということだろう。特に、単純明快な情感を描き出すのに成功している点が大きい。
 例えば、ジーワ(Prajwal)の父(Chandrasekhar)とジャヤンティ(Ruthwa)の父の2人の父親像の対比とか、ジーワと亡母との関係、ジャヤンティと父・姉との関係などが意外とデリケートに描かれていて、それがラストで感動を生む布石となっている。(最後のヒネリはインド映画らしくて良い。)
 クライマックスの、毒を注射したジーワが病院に急行するシーンと、病院を抜け出して結婚式場へ向かうシーンは、ストレートでエネルギッシュだ。(ハリウッド映画や韓国映画のお手本があるらしい。)
 コメディー・シーンは非常に稚拙で、ヒロインの友達のデブ女の名前が「アイシュワリヤ・パドゥコーネ」といったレベルのものなのだが、こんなアホくさいネタも本作の簡素さに不思議とマッチしていて、腹が立たなかった。

◆ パフォーマンス面
 本作で褒めてやりたいのは、発展途上のプラジワルとルトゥワの一生懸命な演技だ。
 プラジワルについては、これまで【Geleya】(07)と【Meravanige】(08)しか観ていないが、確実に成長しており、本作での演技は申し分ない。起伏の大きい役柄をうまく演じている。カッコの付け方も、嫌味さがなくなり、自然なものになってきたのが大きい。
 アクションとダンスもまずまずこなしていて、この分じゃあ、トップ・ヒーローへの道も近いだろう。
 (写真下:ヒーローの証、走れ、プラジワル!)

画像

 ルトゥワも評価されるべきだ。
 決して美人ではなく、風変わりな顔だとも言えるのだが、なかなか良い味を持っている。
 【Jolly Days】では「攻撃的なエロ・カワ系美人」と見え、「カンナダのブリジット・バルドー」とまで誇大宣伝してまったが、本作では「攻撃的」でも「エロ」でも「カワ」でも「美人」でもなく、インドのミドルクラスの普通の女の子の役。役柄の幅が広いということが分かった。彼女が大衆をぐいぐい惹き付けるヒロインになるのはあり得ないが、その代わり、シネコン時代の個性的演技派女優になってくれればと思う。
 またまたカーヴェリさんの「悪球打ち」と揶揄されそうだが、私はヒロインたるもの、美貌よりもドラマになる顔かどうかを重視している。その点、ルトゥワは支持できる。
 本作でも、特にラスト・シーンで見せた涙顔はいじらしくて、おじさん、もらい泣きしちゃった!

画像

◆ テクニカル面
 グル・キランの音楽は、彼らしいメロディーで、特にテーマ曲が美しい。
 【Psycho】(08)でスリリングなカメラワークを見せたSabha Kumarは、本作でも良い仕事をしている。

◆ 結語
 【Jeeva】は、特に新奇なこと、複雑なことをやらずとも、気の利いた映画が作れるという好例なのだが、残念ながら客の入りはイマイチなようだ。看板がプラジワルとルトゥワじゃあ、それも仕方がないとも思われるが、カンナダ映画らしさが味わえる佳作と言えるだろう。

・満足度 : 3.0 / 5
 

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
【Jeeva】 (Tamil)
 このタミル映画【Jeeva】は先月末に公開されたものだが、地味にヒットしているらしく、バンガロールでも公開されたので、観て来た。  監督はスシンディラン。彼の作品と私は巡り合わせが良いようで、前作【Pandiya Naadu】(13)以外はすべて映画館で観ることができている。彼の成績としては、失敗作の【Rajapattai】(11)以外は興行的に成功したか、または批評家の高評価を得ているようだ。  上のポスターを見て分かるとおり、本作はクリケットをモチーフとしたもの。スシンディラ... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2014/10/21 21:27
【Ganapa】 (Kannada)
 まぁ、【Baahubali】はそのうち観るとして、この週末は私の好みっぽい低予算・カンナダ・ヤクザ映画を観て来た。  監督のプラブ・シュリーニワースという人は、本業は振付師だが、監督として過去に【Jeeva】(09)と【Parijatha】(12)を撮っている。どちらも興業的には成功しなかったが、【Jeeva】は個人的にちょっと好き。 ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2015/07/15 20:50

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
悪球打ちはむろん誉め言葉ですよ(笑

現地在住ということを考慮しても、普遍的審美眼と萌えるような(笑)情熱がなければおねーちゃんの追っかけなんて出来ないことは、不肖メタ坊も重々承知してございますので。
メタ坊
2009/12/18 23:37
いえいえ、お誉めいただかなくとも、、、私の審美眼に関しては私自身疑念を抱くことしばしばです。

ただ、こう、何と言いいますか、日々インド女優を「群」として観察していたら、美人とは扱われていない娘にも意外と旨味があったりするのに気付くのですよ。
 
カーヴェリ
2009/12/19 10:49

コメントする help

ニックネーム
本 文
【Jeeva】 (Kannada) カーヴェリ川長治の南インド映画日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる