カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Katha】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2009/12/19 03:24   >>

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 ジェネリア主演のテルグ映画。
 去年はジェネリアのボリウッド再デビューに揺れ、「ゲンちゃんはもう南に帰って来ない」と予言して赤っ恥をかいた私だが、結果的には彼女が北で劇的にブレイクしたという印象もなく、アシンのほうがよっぽどセンセーショナルなくらいだった。(もっとも私は、アシンの【Ghajini】での成功はビギナーズ・ラックで、「アシンは北でこける説」は今も堅持している。)しかしながら、それはサウス・ファンにとって歓迎すべき状況で、こうして引き続きテルグ映画でジェニーが観られるとは、うれしい限りだ。
 本作は新人監督による低予算のスリラー映画という前情報で、かなり毛色の違うジェニーが楽しめそうだ。

【Katha】 (2009 : Telugu)
物語・脚本・監督 : Srinivas Raaga
出演 : Genelia, Arun Adit, Prakash Raj, Shafi, Raghu Babu, Tulasi, Jayalalitha, Ravikiran Babu, Praneeth, Srilatha, Tamim
音楽 : S. K. Balachandran
撮影 : I. Andrew
編集 : Marthand K. Venkatesh
制作 : Gangaraju Gunnam

《あらすじ》
 AP州北部、アラク渓谷にある村の小学校にチトラ(Genelia)という若い教師が赴任して来る。彼女は校長の好意で大きな家に独居することになるが、夜、ちょっとした物音にも怯え、精神安定剤とナイフなしには眠れなかった。
 クリシュナ(Arun Adit)は駆け出しの映画監督。彼は初監督作の撮影のため、撮影隊を連れてアラク渓谷にやって来る。目下、スリラー映画を撮っていたが、ストーリーはまだ完成していなかった。
 クリシュナはチトラに会い、一目惚れする。二人はすぐに友達同士になる。
 ある日、チトラは双眼鏡で渓谷の風景を楽しんでいたとき、谷底で若い女が男に殺される場面を目撃する。彼女はクリシュナとともに警察署に通報するが、二人の警察官(Prakash Raj & Shafi)が捜索しても死体は見つからなかった。逆に警部(Prakash Raj)はクリシュナに、チトラには精神病院に入院していた過去があり、この目撃証言も疑わしいと伝える。

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 チトラは、クリシュナと一緒に市場にいたとき、血を見て気絶してしまう。心配するクリシュナに、チトラは自分の過去を打ち明ける。
 ・・・チトラには両親と二人の姉妹がいた。父は大学教授だったが、学内選挙の騒動に巻き込まれ、チトラ以外の家族は悪漢に惨殺されてしまう。チトラもそのショックで、1年間精神病院に入院することになったのである。・・・
 チトラは殺害されたはずの女性の似顔絵を描かせ、クリシュナの撮影隊とともに各所に配布し、手がかりを得ようとする。
 だが、その頃からチトラは、自分の身の回りで不思議な現象が起きるようになったのに気付く。チトラはそれをクリシュナに訴えるが、彼には彼女の言う怪現象は認知できなかった。チトラはとうとう、これは自分の忌まわしい過去の記憶が生み出した妄想だと信じるようになり、もう一度精神病院に入院する決意をする。
 クリシュナはチトラを街の病院まで連れて行く。だが、入院手続きをしているときに、チトラの携帯電話に連絡が入る。それは似顔絵を見た被害女性の友人からの連絡だった、、、。

   *    *    *    *

 監督はまったく狙ったことだろうけど、まさにジェネリアあっての、ジェネリア命のロマンティック・スリラーだった。
 スリラー映画としてはオーソドックスな作りで、ヒッチコックの作品などを手本としているようだ(映画の冒頭にヒッチコックなどの顔写真が映し出される)。殺人という現実的な出来事に主要登場人物の精神的弱点を絡ませて、サスペンス感を作り出していくという、割りとよく見る手法なのだが、そのか弱き者であるヒロインにジェネリアを持って来たというのが本作のミソだ。
 かちっと作られたスリラー映画で、「あちゃ〜」という印象はまったくないのだが、レビューなどの評価はあまり高くない。どうもサスペンスのネタがありふれたもので、新鮮味がないということらしい。確かに、監督は定石を踏みすぎた嫌いはある。
 ただ、スリラーとしては平凡でも、本作をロマンティック・スリラーとして見た場合、ロマンス部とスリラー部のバランスがよく取れていたと思う。インド製スリラーの課題とも言われるミュージカルやコメディーのサスペンスとの融合という点でもうまく処理していたと思う。チトラ(Genelia)の心理変化をうまく使ったクライマックスも面白い。

 監督のシュリーニワース・ラーガは若い新人監督だが、本作の主人公・クリシュナも新人監督という設定で、たぶん監督自身の映画に対する熱い思いが代弁されていると思われる。ちょっと空回りな気もしたが、フレッシュな息吹は感じられた。(ちなみに、監督の本名はRaaga Srinivas Reddyで、ラヤラシーマ出身らしい。)
 制作のGangaraju Gunnamと‘Just Yellow’は、【Aithe】(03)や【Anukokunda Oka Roju】(05)、【Amma Cheppindi】(06)などの渋い作品を送り出しているプロダクションのようだ。どれも未見なので、ぜひ観てみたい。

 ところで、テルグ映画ではこの頃、チャルミの【Mantra】(07)にせよブーミカの【Anasuya】(07)にせよ、美女を中心に据えたホラー物、スリラー物がよく目に付き、作品としても面白い(【Anukokunda Oka Roju】もその線だろう)。こうした官能スリラーと呼べるものが、テルグ映画では一つのジャンルとして確立していると見ていいだろう。

◆ パフォーマンス面
 上でも触れたとおり、本作のジェネリアもまったく期待に応えるもので、上手いとかどうとかいうより、とにかく安心して見ていられた。
 スリラーの主役ということで、やはり表情の変化が鑑賞ポイントだろう。
 夜には苦悩と恐怖におののく美女。

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 しかし、朝にはさっぱりとした小学校教師に。

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 かと思えば、音楽シーンではこんなロリータ・コスチュームのジェニーが!(これは【Akasamantha】のトリシャを意識したものか?)

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 まだまだいろいろ楽しませてくれるのだが、、、、しかし、本作は音楽シーンなどでことさらロリータなジェネリアを強調していたように思うが、それは単なる一興ではなく、核心的なことだ。
 ジェネリアの魅力というのはこのロリータ性にあると私は思うのだが、その無垢なイメージ(実際に彼女自身が無垢かどうかは知らないが)は非常に不安定なもので、誰かが触れれば穢れる、悪環境下では濁るといった類のものだ。しかし、彼女の場合、壊れそうになっても、「ところがどっこい」とそのロリータ性を守りきる芯の強さがあり、それが彼女の溌剌としたフレッシュさの秘訣なのかなぁ、と思ったりする。
 そういった意味で、数々のプレッシャーに押し潰されそうになりながらも、最後には笑顔を取り戻した本作のチトラは、まさにジェネリアの魅力を活かした役だったと言える。

 クリシュナ役のアルンは(本来はこの人を主人公とすべきだが)、柔らかな雰囲気の今風のヒーローで、好感は持てた。ただ、本作のこの役はこの人じゃないほうがよかったと思うし、今後ヒーローとして活躍していくのも難しいだろうなぁ、と思う。(この人はタミル人らしく、セリフはシャルワナンドが吹き替えているらしい。)

 その他、脇役陣では、田舎の警官役のプラカシュ・ラージとシャーフィ、コメディアンのラグ・バブなど、持ち味を出していたと思う。

◆ テクニカル面
 音楽シーンは映画の雰囲気をぶち壊しているという印象はなかったのだが、かといって、良く出来ていたかどうかとなると、はっきり記憶にない。
 それよりも、映像のほうが素晴らしく、特にロケ地となったアラク渓谷(Araku Valley)の風景は美しかった。(実際にどこまで現地で撮影されたものかは分からないが。)

◆ 結語
 上にも書いたとおり、本作は本格スリラーとして見れば物足りないものを感じるが、ロマンティック・スリラーとして見れば、まずまず楽しめる。特にジェネリアのファンなら、夜中にこっそりDVDを回したくなるような作品だ。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
>父は大学教授だったが、学内選挙の騒動に巻き込まれ、チトラ以外の家族は悪漢に惨殺されてしまう。

こりゃシャレになりませんな。インドの大学へ転職を考えてみなかったといえば嘘になりますが、やはり断念して正解だったかも。

てな私事は措くとして、ポニーテール・ゲンちゃんに激萌え!早く見たいです!
メタ坊
2009/12/19 08:07
ベースのスクール・ティーチャー自体が萌えますからね。
すでにギャラリーはチェックなさっていると思いますが、いろいろなコスプレが楽しめますよ。(うふっ)
 
カーヴェリ
2009/12/19 10:56

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