カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Khaleja】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2010/10/20 00:40   >>

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 以前、テルグ映画【Simha】を紹介したときに、前置きで「ここ半年(上半期)のテルグ映画界は湿っぽく、クリーン・ヒットが出ていない」と書いたが、下半期に入っても似たような状態が続いている。ヒット作の数と言うよりも、去年の【Arundhati】や【Magadheera】のように、映画産業を活気付けるような作品が出ていないのが寂しい。終盤のお祭りシーズンに入って、話題作としてまずパワン・カリヤン主演の【Komaram Puli】が登場したが、大コケしてしまった。私は劇場まで同作品を観に行ったのだが、さっさと打ち切られていて、代わりにサルマーン・カーン主演のボリウッド映画【Dabangg】が掛かっていた。結局その日はそれを観て、面白かったので満足したが、南インドのテルグ映画専門館でパワン・カリヤン主演の映画がサルマーン・カーン主演のヒンディー映画に席を譲るとは、どう考えても情けない。【Komaram Puli】の関係者はしばらく顔に袋をかぶせて外出すべきだろう。

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 さて、2番手に登場した話題作はトリヴィクラム監督、マヘーシュ・バブ主演の本作【Khaleja】。このコンビにはヒット作の【Athadu】(05)があり、話題性は十分だが、それ以上に何よりも‘プリンス’マヘーシュが【Athidhi】(07)以来3年ぶりに銀幕に帰って来たというのが大きい。マヘーシュ・ファンを公言する私としても、こんなにうれしいことはない。
 この3年間、彼は一体どこで何をしていたのだろう?、、、というのはテルグ映画ファンなら誰しも抱く疑問だが、それがどうもよく分かっていないらしい。現代の著名人でここまで消息が判然としないのは、ウサーマ・ビン・ラーディン氏か金正日総書記ぐらいなものだろう。何はともあれ、スチールを見る限り特にお変わりはないようで、ホッとしている。

【Khaleja】 (2010 : Telugu)
物語・脚本・台詞・監督 : Trivikram Srinivas
出演 : Mahesh Babu, Anushka Shetty, Prakash Raj, Rao Ramesh, Shafi, Sunil, Ali, Brahmanandam, Tanikella Bharani, Subbaraju, Dharmavarapu Subramanyam, Kota Srinivasa Rao, Raghu Babu, Archana (Veda)
音楽 : Mani Sharma
撮影 : Yash Bhatt, Sunil Patel, K.V. Guhan
編集 : A. Sreekar Prasad
制作 : Singanamala Ramesh, C. Kalyan

《あらすじ》
 ラージュ(Mahesh Babu)はハイダラーバードでタクシー運転手をしている青年。彼はスッブ(Anushka Shetty)という女性と出会うが、彼女と会うたびに損害を蒙る結果になるので、彼女のことを疫病神だと見なしていた。
 ラージュはある時、地質学者とその助手を車に乗せる。だが、その2人は何者かによって殺されてしまう。その過程で自分のタクシーも損傷を受けたので、ラージュは地質学者の助手の家族から車の修理費を受け取るため、ラージャスターンまで赴く。
 一方、スッブの父(Tanikella Bharani)は娘をアミットという男と結婚させようとしていた。アミットの父は化学製品会社を経営する実業家GK(Prakash Raj)で、スッブの父とはビジネスパートナーだった。アミットはスッブをヘリコプターでラージャスターンの砂漠まで連れて行き、キャンプをする。だが、スッブはアミットがコンドームを持参しているのに気付き、その場から逃げ出す。
 ラージュとスッブは偶然ラージャスターンの地で再会する。彼らはたまたま知り合った男(Ali)の車に乗せてもらい、地質学者の助手の家族がいる村まで行く。だが、その村でラージュは何者かに襲われ、傷を負う。そこへシッダッパ(Shafi)という男が現れ、ラージュとスッブをAP州の自分の村まで連れて帰る。
 ラージュはこの村で村の守護神として崇められる。実はこの村ではしばらく前から謎の病気が流行り、村人たちが次々と死亡していた。村の長(Rao Ramesh)は、この村を救う救世主が必ず現れるとの預言を立て、シッダッパを救世主探しに行かせていたのだが、ラージュはその特徴とぴったり一致していたわけである。
 ラージュは、付近に巡回医師団が来ていたので、村人に血液検査を受けさせる。しかし、その結果が知らされる前に巡回医師団の活動が妨害を受ける。
 ラージュはひとまずハイダラーバードに戻るが、村での一連の出来事にうさん臭いものを感じ、調査を始める。そして地質学者の秘書(Archana)を見つけ、彼女の口から地質学者の殺害と村人の病気には関連があり、その背後には実業家のGKがいることを知る。
 その後、GKとその手の者が村に乗り込み、破壊活動を行う。GKの企みの全貌を知ったラージュはシッダッパと共に村に戻り、彼らに立ち向かう、、、。

   *    *    *    *

 私が潤沢な資金を準備できる映画プロデューサーなら、トリヴィクラム監督にもう一度本作を撮り直すようお願いしたい、そんな作品だった。失敗作と言えるかもしれないが、とにかく監督のアイデアがうまく映画として煮詰まっていないように見えた。

 映画は村のシーンから始まる。よく分からないのだが、この村は架空のもので、たぶんマハーラーシュトラ州とAP州の境界辺りに暮らす部族民の居住地を想定していると思われる。村人は比較的原始的な生活をしており、シヴァ神に対する儀礼を重んじる人々として描かれていたが、かなり虚構性が強いように見えた。この村で謎の病気が流行り、村の長(Rao Ramesh)が神託を受けて、シッダッパ(Shafi)に探しに行かせるところから映画が始まるのだが、この辺は重厚な擬似歴史劇のイメージだった。
 かと思うと、次のシーンでラージュ(Mahesh)が突然砂漠に出現し、テレビ取材者(Sunil)にハイダラーバードでの出来事を語って聞かせる。この回想シーンの中ではラージュとスッブ(Anushka)のコミカルなやり取りが展開されるのだが、この軽さと冒頭の荘厳なイメージとにはかなり齟齬があるように感じられた。
 その後も、サボテンを集める男(Ali)が現れたり、ヤケクソ気味なアクションシーンが続いたりと、付いて行くのが厄介な、性質の悪い夢を見ているような映画だった。

 トリヴィクラム監督のアイデア自体は面白かったと思う。おそらく、大企業の活動により圧迫を受ける部族民の窮状を娯楽アクション映画のフォーマットで見せたかったのだろうし、見せ方にも新機軸が見られる。しかし、考えすぎの感はあり、こなれの悪い部分も多い。
 物語の構成としては、前半ではすべてが謎のままで何も明かされないのだが、そんな状態が1時間半近くも続き、いい加減イライラする。しかも、後半でのタネ明かしが待たせた割にはあっさりしたもので、腰砕けだった。この辺を何とかしてほしかった。

◆ 演技者たち
 3年ぶりに映画出演のマヘーシュだが、さすがにそのカッコよさと存在感はいささかも萎れていない。ただし、今回はコメディー面にも力を入れたキャラクター設定になっていたようだが、うまく行っていたかどうかには疑問が残った。
                  (独り歩いてもカッコよし)

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                  (走ってもカッコよし)

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                  (悪漢を睨み付けてもカッコよし)

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                  (アクションの決めもカッコよし)

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                  (ローリーをバックしにてもカッコよし、のプリンスでした!)

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 スッブ役のアヌシュカ・シェッティについては、色っぽさは増しているような気がしたが、役柄と彼女のパフォーマンスについては特に語ることはない。
 マヘーシュとの共演ということで大いに期待もしたが、物語上、二人の間にはロマンス展開がないという、色気のない脚本だった。

 悪役のプラカーシュ・ラージを始めとして、常のテルグ脇役陣が顔を揃えているのだが、マヘーシュの独り舞台のような映画なので、彼ら登場も相対的にショボかった。
 その中で異彩を放っていたのは村の長役のラーオ・ラメーシュとシッダッパ役のシャフィーだろう。ラーオ・ラメーシュはこんな特殊な人物ばかり演じているが、不思議と似合っている。シャフィーについては、私はこの男が善玉を演じているのを初めて見た。

◆ 音楽・撮影・その他
 マニ・シャルマの音楽と音楽シーンはまずまずの出来。村人たちがシヴァに捧げるダンスをするシーンはなかなか面白かった。

 撮影はYash BhattとSunil PatelとK.V. Guhanの3人で行ったようだ。Sunil Patelは【Hum Tum】(04)や【Bachna Ae Haseeno】(08)などのボリウッド作品でカメラを回した人らしい。

◆ 結語
 まさにマヘーシュ・バブを見るためだけの作品で、マヘーシュのファンを中心にある程度客を集めそうだが、映画の出来としては良くない。‘プリンス’マヘーシュの3年ぶりの新作ということで、私としても素晴らしいものを期待したが、残念だった。マヘーシュ・ファン以外にはお勧めしない。

・満足度 : 2.0 / 5
 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
川縁さんの評価で2.0ですか…。トリヴィクラムだから結構期待してたのに。

ツイッターのつぶやきを信じるならばプリンスは今次回作のロケでイスタンブールにいるようですがね。

次こそ期待したいもんです。

しかし「だが、スッブはアミットがコンドームを持参しているのに気付き、その場から逃げ出す」というのは好かった。インド映画のこういうとこが好きです。
メタ坊
2010/10/20 12:41
>川縁さんの評価で2.0ですか…。トリヴィクラムだから結構期待してたのに。

トリヴィクラムらしく、台詞は良いようなので、字幕付きで観たら多少は評価が変わるかもしれません。

>インド映画のこういうとこが好きです。

そう言やぁ、そうですね。何気に見てましたが。
 
カーヴェリ
2010/10/21 00:39

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