カーヴェリ川長治の南インド映画日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 【Chikku Bukku】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2011/01/07 20:40   >>

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

 皆さま、新年明けましてナマスカールでございます。

 さて、1ヶ月ほど日本に一時帰国していた。当然、劇場でインド映画が観られない環境にいたわけで、その間多くの話題作・注目作を見逃し、涙々。例えば、タミル映画の【Nandalala】、【Easan】、テルグ映画の【Rakta Charitra 2】、マラヤーラム映画は【Best Actor】、【Kandahar】、【Electra】、カンナダ映画なら【Nayaka】、【Kanasemba Kudhureyaneri】等々。しかし、せめてもの悪あがきのつもりで、日本に向かう途中に経由したクアラルンプールでタミル映画を2本観て来たので、まずはその感想文から。

画像

 1本目は、アーリヤ主演の【Chikku Bukku】。先月9日、トゥンク・アブドゥル・ラーマン通り(Jalan Tuanku Abdul Rahman)の「コロシアム劇場(Coliseum Theatre)」で鑑賞。期待したが、英語字幕はなし。
 本作の制作は‘Mediaone Global Entertainment’で、【Dhaam Dhoom】(08)を作ったプロダクション。【Dhaam Dhoom】はジーヴァ監督の遺作として記憶されているが、監督の急死を受けて、後を引き継いで同作品を完成させた1人が助手のK・マニガンダンだった。この【Chikku Bukku】はそのマニガンダンの監督デビュー作となる。
 ヒーローのアーリヤは、【Madrasapattinam】【Boss Engira Baskaran】と、2010年は当たり年だったが、年末公開の本作でハットトリックなるか。
 ヒロインにはシュリヤー・サランと、もう1人、プリーティカ・ラーオという新人が就いている。彼女はボリウッド女優アムリタ・ラーオの妹で、それも話題の一つだった。
 題名の「Chikku Bukku」は汽車の走る擬音で、「シュッシュッ、ポッポッ」みたいなもの。

【Chikku Bukku】 (2010 : Tamil)
物語・監督 : K. Manikandan
出演 : Arya, Shriya Saran, Preetika Rao, Anoop Kumar, Santhanam, Jagan, Vaiyapuri, Ravichandran, Sukumari
音楽 : Colonial Cousins, Pravin Mani
撮影 : R.B. Gurudhev
編集 : V.T. Vijayan
制作 : Sunanda Murali Manohar

《あらすじ》
 ロンドン在住のディスクジョッキー、アルジュン(Arya)は、故郷のタミルナードゥ州カライクディにある亡父の屋敷を売却から守るため、帰郷することにする。同じくロンドン在住のアヌー(Shriya Saran)はMBAの勉強を終えたばかり。彼女は体調不良の父を見舞うため、マドゥライへと帰郷することにする。
 アルジュンとアヌーはたまたま同じ飛行機でバンガロールの空港に降り立つ。だが、タミルナードゥ州へ向かう飛行機が欠便になったため、二人は一緒に列車で行くことにする。ところが、二人の切符はダフ屋から買った他人名義のものだったため、それがバレてしまい、途中の田舎駅で降ろされてしまう。そこから二人の珍道中が始まる。
 そんな中でアルジュンは、旅行かばんの中に亡父の古い日記帳を発見する。それはロンドンで一緒に暮らしていた祖母がこっそりとかばんに忍ばせたものだった。アルジュンはそれを読み、父シェーカルの25年前の恋物語を知る。
 ・・・
 1985年、若き警官のシェーカル(Arya)は故郷のカライクディに戻って来る。彼は祖父母の結婚60周年祝賀会の場で、村の学校長の娘、ミーナ(ミーナール:Preetika Rao)に出会い、一目惚れする。やがて二人は心を通い合わせ、結婚の決意を固めるが、カーストが違うため、シェーカルの父は反対する。憤ったシェーカルは、家出をし、警察の訓練学校に寄宿する。その時、ミーナに付いて来るよう要求するが、父を裏切れない彼女は村に留まる。
 訓練地でシェーカルは、純朴な同僚、アンマイヤッパン(Anoop Kumar)と親しくなる。アンマイヤッパンは従妹のアムーを愛しており、結婚したいと願っていたが、気の弱い彼は何もできないでいた。そこでシャーカルは、アンマイヤッパンの思いを成就させるため、いろいろと世話を焼く。ところが、そのアムーという女性は他ならぬミーナのことだと分かり、ショックを受ける。しかし、アンマイヤッパンのアムー(ミーナ)に対する強い気持ちを知ったシェーカルは、彼のために身を引くことにする。やがてアンマイヤッパンとアムーは結婚する。
 ・・・
 アルジュンとアヌーは四苦八苦の末マドゥライに到着し、珍道中も終わりとなる。その過程でアヌーを愛するようになっていたアルジュンは、二人のツーショット写真の裏に恋心を記し、別れ際にこっそりと彼女のかばんの中に入れる。
 アヌーの実家では彼女のお見合いが行われていた。しかし、アルジュンのことを愛していたアヌーは、この縁談が受け入れられない。彼女は、たまたまかばんの中から発見したアルジュンの写真を父に見せ、この男を愛していると告げる。その写真を見たアヌーの父は表情を変える。実はアヌーの父はアンマイヤッパンで、母はミーナだったのだ。アンマイヤッパンは一目でアルジュンがシェーカルの息子であることを悟る。また、アヌーは写真の裏に書かれた手紙を読み、アルジュンの気持ちを知る、、、。

   *    *    *    *

 タミル映画も、人気スターを起用して型にはまった映画を作っているだけでは、なかなか客は来てくれない時代なので、違ったものを見せなければならないという苦労が生まれるわけだが、そうした「試み」の一つとして、ハリウッドやボリウッドの作品をパクる、または、それらのトレンドに乗っかかるという動きがある。本作もまさにそうした例で、模範となったのははっきりとイムティヤーズ・アリー監督の【Jab We Met】(07)と【Love Aaj Kal】(09)。このことは多くのレビューで指摘されている。
 このイムティヤーズ・アリーという人はなかなか優れた監督で、【Jab We Met】ではロードムービー、【Love Aaj Kal】では異世代の愛の形の対比を描き、それ以前にそうした作品がなかったわけではないだろうが、印象的な形で提示しているため、それぞれトレンドの端緒となっている。
 この【Chikku Bukku】は【Jab We Met】と【Love Aaj Kal】を合成したような作品で、もちろん、パクリ、リメイクというわけではなく、違ったコンセプトでまとめられているのだが、作品全体の雰囲気はよく似ている。試みとして決して悪いとは言わないが、それなら直接イムティヤーズ・アリー監督の作品を観ていればいいのかな、と思わないこともない。

 そこそこ楽しめる作品だが、期待に届かなかった理由は、脚本が悪いせいだろう。大掛かりで凝ったストーリーなのだが、マニガンダン監督がまとめ切れていない。現代と1985年のエピソードが並行して描かれるが、フラッシュバックの入れ方が細かく複雑すぎるように感じた。80年代の回想シーンなどは、せいぜい2,3回ぐらいに分けて、大きく挿入したほうが情緒が出たのではないだろうか。

 アルジュンとアヌーの珍道中はコミカルなものだが、笑いのネタが、2,3の面白い場面を除いて、さして笑えなかったのが辛いところだ。ただ、道中で見せた西ガーツ山脈の風景は美しく、プラスポイント。
 クライマックスの小道具である写真の使い方は効果的で、評価できる。
 ストーリーの構成・展開には不備があるものの、作品全体が醸し出している雰囲気はイムティヤーズ・アリー風の美しさで、気に入る人も多いかもしれない。
 私的に面白いと思ったのは、80年代には「カーストの違い」が理由で結ばれなかった二人(シェーカルとミーナ)が、現代において、それぞれの息子と娘(アルジュンとアヌー)が、やはりカーストが違うはずなのに、結ばれるということだ。これが25年の時代差というものか。

◆ 演技者たち
 主役のアーリヤは初の一人二役をこなしている。一人二役は、タミル・スターなら一度は通過しなければならない道であるが、アーリヤは父子の役を無難に演じている。もっとも、25年の時代差があるとはいえ、どちらも20代青年の役なので、そんなには難しくなかっただろう。

 ヒロイン、アヌー役のシュリヤー・サランは、相変わらず快活で楽しかったが、特に秀でた出来でもなかった。最近の作品では、テルグ映画【Don Seenu】のほうが光っているだろう。
 (写真トップ:Arya@アルジュンとShriya Saran@アヌー。)

 アムリタ・ラーオの妹ちゃん、プリーティカ・ラーオには、おそらく好印象を持った人も多いだろう。器量としてはお姉ちゃんより落ちるが、映画の中では落ち着いた役(ミーナ役)を上手くこなしていた。ただ、映画デビューにしては地味すぎる役だったかもしれない。
 (写真下:Arya@シェーカルとPreetika Rao@ミーナ。)

画像

◆ 音楽・撮影・その他
 音楽も、通常のタミル映画の音楽っぽくないなと思っていたら、Colonial Cousinsの担当だった。ただ、1,2曲に良いのがあったが、全体としてそれほど感銘は受けなかった。【Modhi Vilaiyadu】(09)で聴いたときも思ったが、彼らの音楽はあまり映画音楽には向いていないのかもしれない。

 ロケ地は、ロンドン、カルナータカ州シモガ辺りの西ガーツ山脈、マイソール、クーヌール、マドゥライ、カライクディ、ティルチラパッリの空港と、割と登場人物の足取りに一致したスポットで撮影を行ったようだ。

◆ 結語
 【Chikku Bukku】は、注目作だったが、マニガンダン監督の狙いが十分に結実しなかった残念作。ボリウッド風タミル映画として、イムティヤーズ・アリー監督作品が好きな人なら楽しめるかもしれない。

・満足度 : 2.5 / 5

《 見ても害なし・勝手トレイラー 》
画像
アルジュン「こうやって山道歩くんも、ええ加減うんざりやな。」
アヌー「ぜんぶアンタが悪いんやで。」










画像
アルジュン「腹も減ったし、お前、たこ焼きでも焼いてくれへんか。」
アヌー「なんでウチがたこ焼き屋の真似事せなあかんのよ。」
アルジュン「お前、道頓堀の『大たこ』でバイトしとったんちゃうんか?」







画像
アヌー「今度それ言うたら、アンタの顔、さらに歪むで。」











 

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
【Chikku Bukku】 (Tamil) カーヴェリ川長治の南インド映画日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる