カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Nagavalli】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2011/01/13 20:29   >>

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 2011年の初鑑賞作品はテルグ映画の【Nagavalli】。まだ帰省ボケ(正月ボケ)が残っていたので、ややこしい映画を観るよりは、単純なものを選んだ。
 本作は、昨年公開のブロックバスター、ヴィシュヌヴァルダン主演のカンナダ映画【Aaptha Rakshaka】のリメイク。と同時に、ラジニカーント主演のタミル映画【Chandramukhi】(05)の続編でもある。監督はすべてP・ヴァース。
 ¶参照 【Aaptha Rakshaka】
  http://cauvery-south-cine.at.webry.info/201003/article_3.html

 【Chandramukhi】の続編ということなら、【Aaptha Rakshaka】のリメイクは再びラジニ主演のタミル版が作られてもよさそうだったが、テルグ版で来た。ただ、【Chandramukhi】はテルグ語ダビング版が作られ、AP州でもヒット。その続編ということで、楽しみにしているテルグ人も多かった。
 【Aaptha Rakshaka】のヴィシュヌヴァルダン、【Chandramukhi】のラジニカーントに当たる精神科医の役はウェンカテーシュ。アヌシュカを始め、ヒロインがぞろぞろ出て来るという、いかにも楽しそうな作品だった。(公開は12月16日。)

【Nagavalli】 (2010 : Telugu)
物語・脚本・監督 : P. Vasu
出演 : Venkatesh, Anushka Shetty, Richa Gangopadhyay, Kamalinee Mukherjee, Avinash, Sarath Babu, Shraddha Das, Poonam Kaur, Suja, Prabha, Brahmanandam, Dharmavarapu Subrahmanyam, M.S. Narayana, Sana, Raksha
音楽 : Guru Kiran
撮影 : Shyam K. Naidu
編集 : Marthand K. Venkatesh
制作 : Bellamkonda Suresh

《あらすじ》
 ティルパティに住む富豪シャンカル・ラーオ(Sarath Babu)の長女ガヤトリ(Kamalinee Mukherjee)が、古典ダンス競技会に優勝し、賞品として100年前に非業の死を遂げた踊り子チャンドラムキ(ナーガワッリ)の肖像画を獲得する。
 それから5年後、シャンカル家では三女ガウリ(Richa Gangopadhyay)の婚約式が行われようとしていた。しかし、それは不幸な形でお流れとなる。婚約者がガウリとは結婚できないと言って、逃げ出したのである。また、ガウリの友達も巨大なコブラを目撃し、気絶する。翌日、ヘビ使い(M.S. Narayana)を雇ってコブラを捜索するが、そのヘビ使いも変死してしまう。
 困惑したシャンカルは、高名な祈祷師であるラーマチャンドラ・シッダンティ(Avinash)を屋敷に呼ぶ。ラーマチャンドラは、次女のギータ(Shraddha Das)が保有していたチャンドラムキの肖像画を見つけるなり、一連の奇怪な出来事はこの絵に起因すると言う。そして、著名な精神科医のヴィジャイ(Venkatesh)を呼び寄せる。
 屋敷に泊り込んだヴィジャイは、夜中に奇妙な物音を聞く。それを頼りに、彼は離れに隔離されている女の存在に気付き、それがこの家の長女、ガヤトリであることを突き止める。ガヤトリは、ダンス競技会で賞を獲得した直後に夫が交通事故死したため、精神に異常を来たしていたのである。
 ラーマチャンドラは、様々な出来事から、チャンドラムキの霊がガヤトリに憑依していると断言する。しかし、ヴィジャイはこの見解には懐疑的だった。彼は図書館へ行き、100年ほど前にいたマハラジャ、ナーガバイラヴァ・チャンドラシェーカラに関する史書を繙く。
 ・・・
 ナーガバイラヴァ・チャンドラシェーカラ(Venkatesh)は兄を殺してマハラジャの地位を簒奪すると、その宮殿にいたチャンドラムキ(Anushka Shetty)という美しい踊り子を見初め、寵愛する。だが、彼女には舞踊家の恋人がいたため、チャンドラシェーカラは嫉妬に燃え、舞踊家の首を刎ねた上、チャンドラムキをも焼き殺してしまう。死に際に彼女はマハラジャに対する復讐を誓う。以来、チャンドラシェーカラはチャンドラムキのこの言葉に怯えるようになる。また、民衆が過酷なマハラジャを殺そうと蜂起したため、チャンドラシェーカラは逃亡し、それ以後、彼の行方を知る者はいなかった。
 ・・・
 ヴィジャイは図書館で、ある人物がこの本を借り、その際「チャンドラムキ」とタミル語で署名していることを知る。彼はまたチャンドラシェーカラのホロスコープを調べ、この男が半不死身の身体の持ち主であることを知る。
 チャンドラムキを殺したマハラジャが今も生きていることを確信したヴィジャイは、彼を捜索し、ついに丘の上の廃墟に生き長らえる125歳のチャンドラシェーカラを発見する。
 一方、ラーマチャンドラにプージャを施されたガヤトリは、自分のことを「チャンドラムキ・ガヤトリだ」と名乗る。これを聞いたラーマチャンドラは、いよいよ彼女にチャンドラムキの霊が憑いていることを確信する。
 しかし、ヴィジャイはそれに反論し、ガヤトリを催眠療法に掛ける。その結果、彼女が精神病になったのは夫の事故死が惹き起こすショックが原因であり、自分のことを「チャンドラムキ・ガヤトリ」だと名乗ったのは、単にダンスの師匠からその称号をもらっていたためだと解明する。そして、この治療の結果、ガヤトリはすっかり正常に戻る。
 ガヤトリはチャンドラムキではなかった。では、誰にチャンドラムキの霊が憑依しているのか。ヴィジャイはその問い明快な回答を与える、、、。

   *    *    *    *

 ははは、テルグ映画と銘打っていながら、カンナダ映画を作ってやんの。

 カンナダ映画【Aaptha Mithra】(04)がタミル版【Chandramukhi】にリメイクされたとき、何かと様変わりしていたので、P・ヴァース監督は本作もカンナダ版オリジナルを一新して作ってくるかと予想・期待したが、基本的にはほぼ同じ、特に工夫や遊び心のないリメイク作品だった。カンナダ版【Aaptha Rakshaka】のクライマックスはあまり良くなかったので、少なくともここだけは変えてほしいと思っていたが、まったく同じ。カンナダ版は大ヒットしたので、P・ヴァース監督は安心したのか、それともアイデアが浮かばなかっただけなのか、まったく手抜きリメイクという印象を受けた。P・ヴァース監督にはそんな意識がないのかもしれないが、テルグ版にリメイクするなら、しっかりテルグナイズしないと、中途半端な完成度になってしまう。

 本作が中途半端にカンナダ映画くさかった理由は、グル・キランの音楽だろう。グル・キランはカンナダ映画界のトップ音楽監督で(オリジナルの【Aaptha Rakshaka】も担当)、本作も曲自体は面白いのだが、どこか全体的に収まりの悪いものを感じた。これがウェンカテーシュを配したダンスシーンの振り付けのくささもあって、かなりイモくさくなってしまった。
 「カンナダ映画×ヴィシュヌヴァルダン×グル・キラン」という環境では、このくささも好い加減な味となるのだが、それがそのままテルグ映画に移せないところが、映画作りの微妙なところだ。

 映画の見せ場となる古典舞踊シーンも、チャンドラムキ役のアヌシュカ、ガヤトリ役のカマリニーと、揃って期待以下の下手くそさだったのも落胆点だ。さらに、コメディアンのブラフマーナンダムやNS・ナーラーヤナがまったく効いていなかった。この2点ではカンナダ版オリジナルのほうが出来が良い。
 上映時間は、【Aaptha Rakshaka】は2時間30分、【Nagavalli】は2時間40分ほどだったと思うが、ストーリーとシーン立てが同じだったことを考えると、この10分ほどの差が間延び感の原因となったかもしれない。

 そんなことより、【Aaptha Rakshaka】評の中で私は「【Chandramukhi】パート2の冒頭には『故ヴィシュヌヴァルダンに捧ぐ』ぐらいの献辞は入れてほしい」と願ったのだが、そんなものはなく、代わってラジニに対するオマージュばかりがあって、新年早々、不快感を味わった。

 ついでに書いておくと、ウェンカテーシュは、【Chandramukhi】でラジニカーントが演じたイーシュワル(タミル語版ではサラヴァナン)そのものの役を引き継いだわけでなく、イーシュワルの助手という設定だった。映画中に【Chandramukhi】のラジニの映像が何度か使われている。
 【Chandramukhi】といえば、ラジニの発した「ラカ、ラカ」が有名だが、【Aaptha Rakshaka】のヴィシュヌヴァルダンは「ハウラ、ハウラ」、本作のウェンカテーシュは「アウラ、アウラ」と言っていた。

◆ 演技者たち
 精神科医ヴィジャイ、悪王ナーガバイラヴァ・チャンドラシェーカラ役のウェンカテーシュは、パフォーマンスそのものは悪くない。しかし、ヴィシュヌヴァルダンやラジニカーントの「還暦クラス」の芸に比べると、面白みは少なかった。

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 チャンドラムキ役のアヌシュカ・シェッティは、美しさと色気ではいい線行っているが、上に書いたとおり、ダンスでは鈍いものを感じた。クライマックスの怖い顔は【Arundhati】(09)で証明済み。

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 ガヤトリ役はカマリニー・ムカルジー。【Kutty Srank】(10)で彼女に対する愛が再燃してしまった私だが、本作のパフォーマンスはいただけなかった。

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 ふと気付けばB・C級インド女優オタクになってしまった私だが、この作品が私なりに楽しめたとすると、そんな中途半端女優が並んでいたことだ。
 写真下、左よりギータ役のシュラッダ・ダース、ガウリ役のリチャ・ガンゴーパーディヤイ、プージャ役のプーナム・カウル。いやぁ、実に中途半端ですなぁ。

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 もう一人、唯一【Aaptha Rakshaka】と共通の役で出演していたのは、ヘーマ役のスジャーさん。タミル女優で、デビュー前は体重が74キロもあったらしい。この広いおでこがチャームポイントだ。(写真は【Aaptha Rakshaka】より。)

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 女優陣のダンスはイマイチだったが、ガヤトリの夫役、チャンドラムキの恋人役の人は、それぞれダンスが上手かった。(チャンドラムキの恋人役の人は【Aaptha Rakshaka】にも出ていたと思う。)

 祈祷師役はお馴染み、カンナダ俳優のアヴィナーシュだが、ウェンカテーシュとの並びはあまり良くなかった。

◆ 音楽・撮影・その他
 カンナダ語版とタミル語版では、ナーガワッリ(チャンドラムキ)はテルグ人という設定で、テルグ語で歌を歌うが、テルグ語版ではタミル人になり、タミル語を使っていた。そのタミル語にテルグ語の字幕が付いていた。

◆ 結語
 リメイク作品としての出来は悪いが、リメイクということを度外視しても、作品そのものの完成度は低いと思われる。CGなどの技術を多用しながらも、古くさいものを感じた。期待外れの1作だろう。

・満足度 : 2.0 / 5
 

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
私にはリチャ・ガンゴーパーディヤイの読み方が分かっただけでも収穫でした(笑
メタ坊
2011/01/17 11:04
いや、テルグ人に教えてもらったとおりに書いたものなので、間違ってるかもしれません。彼女はベンガリー人らしいので、ベンガリー風の発音だとぜんぜん違っていると思います。
 
カーヴェリ
2011/01/17 17:22
チャンドラムキの続編と言うことで見てみました。ジョーティカさんのイメージが強かったのですが、この続編のチャンドラムキも怖かったですね。
悪役のウェンカテーシュさん、演技としては迫力はあるのですが…本家ラジニさまと比べると。
カンナダ版は見てないのでわかりませんが、本家チャンドラムキの方はメリハリがあったように感じました。面白いは面白いんですけど何かが足りない感じが…。
ウェンカテーシュさんが今回の映画ではラスボスに勝てなかったのは珍しいかもですね。偶然が重なって勝ったみたいな。
インド映画を見るようになって、笑いの沸点が低くなったのか、この映画のブラフマーナンダムさんのギャグシーンで何度か腹筋が崩壊しましたf^_^;。ベタなシーンが面白いですね。
ナン
2013/09/08 11:00
>この続編のチャンドラムキも怖かったですね。

リチャさんですね。カンナダ版がオリジナルなんですが、これをやったサンディヤも怖いですよ。

>面白いは面白いんですけど何かが足りない感じが…。

はい、パート1のほうが出来はいいです。
 
カーヴェリ
2013/09/10 00:45

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