カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Hudugaru】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2011/05/11 02:07   >>

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 今回もリメイク作品の紹介となってしまったが、この【Hudugaru】はサムディラカニ監督のヒット・タミル映画【Naadodigal】(09)のカンナダ版リメイク。
 【Naadodigal】は【Shambo Shiva Shambo】(10)という題名ですでにテルグ版リメイクが作られている。これはサムディラカニ自身の監督によるもので、ラヴィ・テージャやアッラリ・ナレーシュ、プリヤーマニらを配したマルチスター映画となっている。また、非公認ということらしいが、マラヤーラム版も【Ithu Nammude Katha】(11)という題名で作られている。こちらはアーシフ・アリやニシャン、アマラ・ポールなど、まだ初々しい面々が出演している。
 対して、カンナダ版はプニート・ラージクマールやシュリーナガラ・キッティ、ヨーギーシュ、ラーディカー・パンディットらを配したマルチスター仕立てとなっている。監督はK・マーデーシュ。この人は過去に【Gaja】(08)と【Raam】(09)を作ってヒットさせているが、これらはそれぞれテルグ映画の【Bhadra】(05)、【Ready】(08)のリメイクで、まだオリジナル作品は撮っていない。しかし、過去2作を見る限り、監督としての手腕は良いようである。
 題名の「Hudugaru」は「男の子たち」という意味。本作の3人の主人公は立派な「大人」なのであるが、成人男性でも未婚の落ち着かない者にはこの言葉が使えるらしい。邦題を付けるなら【男たち】のほうが適当だろう。

【Hudugaru】 (2011 : Kannada)
物語 : Samuthirakani
脚本・監督 : K. Madesh
台詞 : Guruprasad
出演 : Puneeth Rajkumar, Srinagara Kitty, Yogish, Radhika Pandit, Abhinaya, Rangayana Raghu, Sadhu Kokila, Vishal Hegde, Ramya Barna, Avinash, Vanitha Vasu, Srinivasa Prabhu, Sudha Belawadi, Tabala Nani, Honnavalli Krishna, その他
音楽 : V. Harikrishna
撮影 : Satya Hegde
編集 : Deepu S. Kumar
制作 : Parvathamma Rajkumar

《あらすじ》
 カルナータカ州のとある村。大学で歴史を学んだプラブ(Puneeth Rajkumar)は公務員の職を求めていた。彼には恋人ガヤトリ(Radhika Pandit)がいたが、その父が結婚の条件として彼に公務員になることを要求していたからである。シッダ(Yogish)はいかれた男だったが、海外で働く夢を持っており、パスポートの申請ぐらいはしていた。エンジニアのチャンドゥ(Srinagara Kitty)はコンピューター・センターを開くための準備をしていた。彼はプラブの妹パヴィトラ(Abhinaya)を愛しており、彼女もチャンドゥのことが満更でもなかった。この男三人は非常に強い友情で結ばれていた。
 ある日、プラブの親友スディー(Vishal Hegde)がこの村に帰って来る。彼にはスシュマ(Ramya Barna)という恋人がいたが、互いの親に反対されて、仲を裂かれていた。スディーの母(Vanitha Vasu)は元国会議員で、スシュマの父(Avinash)は実業家だったが、二人は互いに反目し合っていたからである。それを苦にしたスディーは自殺未遂を図る。
 事情を知ったプラブたち三人は、この二人を結婚させようと、スディーを連れてスシュマの実家のあるジャガルールまで赴く。彼らは現地でもう一人の旧友(Rangayana Raghu)の援けを借りる。
 彼らは、スシュマの家族がお寺参りしている好機を捉え、彼女を拉致する。そして、二人を結婚させた後、なんとかバスに乗せる。プラブたちは警察に逮捕されるが、すぐに釈放される。
 友人のためにひと肌脱いだプラブたちだが、払った犠牲はあまりにも大きかった。スシュマを拉致する過程で、追っ手と揉み合いになった結果、チャンドゥは片足を失い、シッダは聴力を失うことになる。プラブついては、この騒動が原因で、祖母が死亡し、恋人のガヤトリも強制的に他の男に嫁がされることになる。それでも三人は自分たちの行為を悔いてはいなかった。
 しかし、彼らに平穏な日々が戻りつつある頃、ショッキングなニュースが届く。あれほど苦労して結びつけたスディーとスシュマが喧嘩別れをし、それぞれの実家に帰ってしまったのである。プラブら三人はそれぞれの家に出向くが、親ばかりか、本人たちにまで冷たくあしらわれる。
 自分たちの犠牲が無に帰したことを知ったプラブたちは絶望する。しかし、シッダに鼓舞されて、こみ上げる怒りを晴らすために行動を開始する、、、。

   *    *    *    *

 まずまずの出来のリメイクだった。オリジナルに忠実なリメイクで、テーマや設定、ストーリー構成に変更はない。明らかにタミル版オリジナルのほうが引き締まった感じがあるのだが、オリジナルを観ていない人なら、本作からもそれなりの感動を得ることができるだろう。

 オリジナルの【Naadodigal】は「スター不在」の映画で、どこにでもいそうな田舎者がちょっとした英雄的な行動を取るというところに面白さがあったのだが、それを本作のように「マルチスター映画」としてリメイクするのもどうかなぁと、ちょっと疑問に思った。スターパワーで見せるような内容ではなく、脚本、台詞、メッセージ、個々の登場人物たちの個性などといった、総合力で勝負するような作品なので、本作ではプニートやキッティ、ラーディカー・パンディットなどが相対的に小さい役回りの中で窮屈そうに見えた。それでいて、やはりそれぞれが見せ場では気張った演技をするので、映画全体が芝居がかって見え、タミル版オリジナルのようなリアルさが飛んでいた。
 この点、観ていないので分からないが、同じくマルチスター仕立てであるテルグ版ではどうなのだろう?

 ただ、本作も改良と言える部分はある。
 大体において、他言語作品がカンナダ版にリメイクされる場合、上映時間がオリジナルより長くなることが多いのだが、マーデーシュ監督のリメイク作品は違っている。彼の良い点は、オリジナルの要らない部分を気前良くカットしてしまうことで、本作も、オリジナルの上映時間が約2時間40分なのに対して、約2時間30分と、10分ほど縮めている。
 しかも、前半終了前とクライマックスの2度のアクション・シーンは、プニートのスターイメージに合わせて、カンナダ版のほうが明らかに迫力のある作りとなっている。これも作品の内容から言って必須の改変でもないのだが、観て得をした気分にはなれる。

◆ 演技者たち
 上に書いたとおり、プニートのキャリア、実力からすると、勿体ない役柄だった。ただ、こういう時代錯誤とも言える「ストレート男」をやらせれば、やはりプニートは上手いので、安心して見ていられた。百点満点のパフォーマンスだ。

 いかれた男、シッダを演じたのはヨーギーシュ。私はこの人のことを「サンダルウッドのボロ雑巾」と呼んでおり(こちら)、大嫌いなのだが、本作での評判は非常に良い。といって、さして良い演技をしていたわけではないのだが、、、。奇妙奇天烈さではオリジナルのバーラニのほうがよっぽど凄い。
 対して、チャンドゥ役のキッティはあまり目立っていなかった。
 (写真トップ:左よりKitty@チャンドゥ、Puneeth@プラブ、Yogish@シッダ。)

 3人の女優では、まずガヤトリ役のラーディカー・パンディットは、明らかにオリジナルのアナニヤより落ちる。とにかく、アナニヤの元気さ、活きの良さには衝撃を受けたものだが、ラーディカーにはそこまでの田舎娘らしい生命力はない。彼女は上手い女優なのだが、芝居が濃すぎた(下:プニートと)。

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 我がまま娘のスシュマ役はラミャ・バルナという、【Pancharangi】(10)にも出ていた女優。イケズな感じがよく出ていた。
 パヴィトラ役はアビナヤさん。彼女だけタミル版、テルグ版、カンナダ版で共通の役を演じている。【Naadodigal】評の中でも触れておいたが、彼女は聾唖にもかかわらず、カンナダ語の口パクも上手くやっていた(下:プニートと)。

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 脇役陣では、プラブの父親役をやったのはシュリーニワーサ・プラブという人で、【Bengaloored】(10)にも出ていた俳優。実に渋い演技だった。
 スディーの母親で元国会議員のママゴンを演じたのはワニタ・ワースなのだが、かつてのヒロイン女優も迫力の因業ババアになっていて、たじろいだ。
 アイテム・ナンバーが1曲あるのだが、10年後のシルパ・シェッティみたいなオバサマが踊っていて、カンナダ映画らしさを感じた(下)。

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◆ 音楽・撮影・その他
 音楽はハリクリシュナの担当。まずまずの出来。
 前半終了前とクライマックスのアクション・シーンで流れる、テーマ曲とも言える‘Shambo Shiva Shambo’はオリジナルからそのまま取られている(テルグ版も同じ)。これをシャンカル・マハーデーヴァンが爽快に歌い上げている。

 舞台となった主人公の三人組の暮らす村は、映っている寺院や風景から明らかにシュラヴァナベラゴラなのだが、物語中でどういう設定になっていたかは分からなかった。
 三人がスシュマを誘拐した所はチトラドゥルガ近くのジャガルールという町らしい。

◆ 結語
 悪くはないリメイクなのだが、すでにMoser BaerからDVDの出ているタミル版オリジナルを観ておけば十分だろう。

・満足度 : 3.0 / 5

《 勝手トレイラー 》
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プラブ「鼻のデカさはオレの勝ち、耳の長さはオレの負け。ま、1勝1敗ってとこやな。」
















 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
非公認マラヤーラム版も数に入れると南インド全州のリメイクが揃ったフォーカードとなるわけですね、これは大変珍しい。やはり物好きとしては全部見たくなってしまいます。情報をありがとうございます。
Periplo
2011/05/11 12:27
コメント、ありがとうございます。

確かに、リメイク輪廻の作品はけっこうあっても、南印4州のフォーカードというのは珍しいですね。(というより、私は思い浮かばない。)
「愚か者」とは言いませんから、ぜひ挑戦してみてください。
 
カーヴェリ
2011/05/12 02:32

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