カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Johnny Mera Naam... Preethi Mera Kaam】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2011/06/08 21:04   >>

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 大ヒット・カンナダ映画【Mungaru Male】(06)のストーリー・ライターとして有名なプリータム・グッビは、監督としても【Haage Summane】(08)と【Maleyali Jotheyali】(09)を発表し、まずまずの結果を残している。そのプリータム・グッビの監督第3作がこの【Johnny Mera Naam... Preethi Mera Kaam】で、主役にはサンダルウッドの‘ブラック・コブラ’ことヴィジャイ、ヒロインには女優として今最も脂の乗っているラミャを起用し、話題のカンナダ映画の1本に挙げられていた。
 題名の「Johnny Mera Naam... Preethi Mera Kaam」は「名前はジョニー、仕事は愛」といった意味。これが本作の実質的な題名だが、ヒンディー語の題名を付けるとKFCC(Karnataka Film Chamber of Commerce)からクレームが付くので、オフィシャルにはたんに「Johnny」としているようだ。ちなみに、【Johny Mera Naam】という1970年制作の有名なヒンディー映画があるが、それと本作は特に関係がない。

【Johnny Mera Naam... Preethi Mera Kaam】 (2011 : Kannada)
物語・脚本・台詞・監督 : Preetham Gubbi
出演 : Vijay, Ramya, Rangayana Raghu, Achyuth Kumar, Sharan, Dattanna, Sadhu Kokila, Rakesh, Ramesh Bhat, Dharma
音楽 : V. Harikrishna
撮影 : S. Krishna
編集 : Deepu S. Kumar
制作 : Jayanna, Bogendra

《あらすじ》
 舞台はマイソールにある中流階層の人々が暮らす「ガンディー・コロニー」。ここの住人ジョニー(Vijay)は2人の仲間(Rangayana Raghu & Rakesh)と共に「ジョニー・ソーシャルサービス・センター」を運営し、コロニー住民の問題解決を引き受けていた。
 ジョニーらはある時、サンジュという男の恋愛問題を片付けるために、彼の恋人を誘拐しようとする。ところが、誤って別の女性を誘拐してしまう。それはプリヤ(Ramya)という名の女性で、アメリカ在住のNRIだったが、祖父(Dattanna)に会うためにこのコロニーにやって来たところだった。
 しかし、このへまはジョニーにとって幸運以外の何ものでもなかった。彼はプリヤの美しさに参ってしまい、結婚を思い描く。そして、プリヤのためにいろいろと行動する。また、プリヤのほうも、コロニーの住人のために親身になって奔走するジョニーを見て、好意を抱くようになる。
 ところがそんな時に、プリヤの父(Achyuth Kumar)が娘の結婚相手としてプリータム(Sharan)という男を連れて、アメリカからやって来る。プリヤはこの縁談に乗り気ではなかった。そこでジョニーとその仲間はいろいろと作戦を張り、プリータムを追い返しにかかる。ジョニーが娘に惚れていることを知った父もプリータムと共に反撃に出る。だが、結局はプリータムのほうがほうほうの体で退散することになる。
 ジョニーが喜ぶのも束の間、今度はプリヤのほうがネット・チャットで知り合ったボーイフレンドのラケーシュをジョニーに紹介する。ジョニーはショックを受け、「オレはローカル、彼女はインターナショナル」と嘆息する。ところが、このラケーシュという男がとんだイカサマ野郎で、実はプリヤを詐欺に嵌めようとしていたのであった。それを知ったジョニーはラケーシュを懲らしめる。
 プリヤは絶望し、父と共にアメリカへ帰ることにする。だか、空港へ向かう途中で、ジョニーを愛していることを確信し、父を説得して、コロニーへと引き返す。

   *    *    *    *

 明るく楽しい、陽性のロマンティック・コメディーだった。
 面白いことに、プリータム・グッビの代表作【Mungaru Male】は場面の8割で雨が降っていたが、本作はいつも快晴、雨のシーンと言えば、ジョークとしてホースで水道水の雨を降らせ、【Maleyali Jotheyali】のパロディーをやった場面ぐらい。舞台となったコロニーも、町の中央にはマハトマ・ガンディー像が立ち、その名も「ガンディー・コロニー」。家屋や商店がパステルカラーに塗り分けられ、とてもインドの町とは思えないテーマパークのようなものだった。こうしたことからして、プリータム・グッビ監督がいかに本作を晴れ晴れとした人間性肯定のドラマに仕立てようとしたかが分かる。

 本作はパロディー映画(特にボリウッド・コメディー映画の)だという指摘もあるが、私が観た限り、別段ボリウッドを皮肉ろうという意図は感じられなかった。かといって、メインストリームの映画に横並びしようという素直な作品でもなく、やはり違ったことをやりたいという意欲が感じられた。思うに、プリータム・グッビ監督は、どさ回り劇団みたいな野暮ったい従来のカンナダ喜劇映画を離れて、どこかテレビのアニメにも似通った、新しいカンナダ・コメディー映画を見せたかったんじゃないだろうか。その趣向がうまく行っているかどうかはよく分からない。

 ストーリーは単純で、まるで素人の仕事のようだった。物語の転換点がいちいち弱く、特にプレクライマックスのラケーシュがペテン師だったという件は、唐突かつ強引で、安易すぎると思った。おかげでせっかくハートタッチングな内容なのに、大きな感動は得られなかった。
 しかし、本作はストーリーの面白さより、セリフの活きの良さで観る映画だろう。特に、主人公のジョニー(Vijay)、プリヤ(Ramya)、ジョニーの相棒(Rangayana Raghu)の絡みは楽しかった。
 また内容的にも、ジョニーが体現する「ローカル/色黒/庶民階級」とプリヤが象徴する「インターナショナル/色白/上層階級」の対置は興味深かった。結論として、人々に惜しみなく与えるジョニーの普遍的な愛が、上の垣根を越えて、最終的にプリヤの愛を勝ち取るという、楽天的なものとなっている。

◆ 演技者たち
 ‘ブラック・コブラ’のヴィジャイがロマンティック・コメディーのヒーローとは大笑いだが、好演していたと言える。荒っぽいアクション映画が専門だが、実はこの人は意外に器用な人で、セリフが喋れるというのが大きい。本作ではコメディーのパートはわざとらしい感じが残ったが、「泣き」のパートはうまくこなしていた。
 (写真下:同じく好演していたランガーヤナ・ラグと。)

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 ちなみに、私が本作品を鑑賞したとき、ちょうど映画館にこのヴィジャイが舞台挨拶に来ていて、ファンから凄まじい声援を受けていた。実は、私は10年近く前にたまたまヴィジャイと同じスポーツジムに通っていた時期があり、握手をしたこともあるのだが、あの時のチョイ役俳優がまさかこんなスターになるとは思わなかった。

 さて、そのヴィジャイ以上に光っていたのがやはりこの人、プリヤ役のラミャだ。2ヶ月前に公開された【Sanju Weds Geetha】がスーパーヒットとなっており、またタミル映画【Singam Puli】もまずまずの興行成績だったようなので、今年のラミャは当たっていると言える。本作の演技も自然かつ活発で、それほど上手いという印象のなかった女優だが、上手いと思った。セリフは本作でもセルフダビングしており、こちらも上手かった。おそらくヒロインとして最も好調な時期だと思われ、女優としての自信に満ち満ちた様子が窺える乳房の膨らみだった。(写真下)

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◆ 音楽・撮影・その他
 音楽はハリクリシュナの担当だが、それほど感銘は受けなかった。
 音楽シーンの1つで、タミルのシャンカル監督が【Boys】(03)で使ったのと同じ撮影技術を用いていた。視覚的には面白かったが、やはり二番煎じは、、、。

 舞台となったコロニーは、マイソールにある撮影所に建設されたセットで、これが話題を呼んでいた。上に書いたとおり、いかにもセットといった感じのカラフルな人工空間で、気色が悪いと感じる人も多いかもしれない。私はそれほど違和感は感じなかったが、しかし、このコロニーの通りを歩く住人の歩き方が不自然で、こちらはいただけなかった。

◆ 結語
 【Johnny Mera Naam... Preethi Mera Kaam】は陽性で肯定的なメッセージを持つ作品だが、なにせストーリーラインが弱いせいで、期待したほどの感動は得られない。よって、お勧め作とはしにくいが、カンナダ映画ウォッチャーなら、一味違ったヴィジャイとラミャを見るために鑑賞してもいいと思う。

・満足度 : 2.0 / 5
 

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【Jaanu】 (Kannada)
 【Mungaru Male】(06)のストーリー・ライターとして世に出たプリータム・グッビは、その後監督として【Haage Summane】(08)、【Maleyali Jotheyali】(09)、【Johnny Mera Naam... Preethi Mera Kaam】(11)と3作発表し、後の2作はヒットを記録している(ただ、私はヒットしなかった【Haage Summane】が一番好きだ)。そんな彼の4作目ということで、ひと通りの注目を集めていたのがこの【Jaanu】。 ... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2012/06/08 21:32

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
>ヒンディー語の題名を付けるとKFCCからクレームが付く

 ↑ そういうことがあるのですね、知りませんでした。英語はいいのでしょうか…。

>10年近く前にたまたまヴィジャイと同じスポーツジムに通っていた時期があり、握手をしたこともあるのだが

さりげなく凄いことを仰っていますね!
実は私は、近所の文房具屋さんでVenkateshをチラッと見かけました。当時は一本も映画を観たことなかったのですが、握手してもらえば良かったです。少し気取ったお店とかNagarjuna Akkineni経営のクラブやレストランに行ったら誰かしらスターに会えるのか、と最近夢見ています。

2011/06/11 01:14
>そういうことがあるのですね、知りませんでした。英語はいいのでしょうか…。

英語もダメなんですよ。カンナダ語映画なんだから、カンナダ語の題名を付けなさい、ということです。
タミル映画も厳しく、非タミル語の題名を付けると、課税率が変わるようです。おかげで、タミル映画はほとんどタミル語だけの題名になっています。
カンナダ映画にもペナルティーがあるかどうかは知りませんが、非カンナダ語の題名を付けると、KFCCから「変えろ!」という指導が行き、よくすったもんだのやり取りをしています。
テルグ映画やマラヤーラム映画にはこういう規制はないようですね。

>さりげなく凄いことを仰っていますね!

カンナダ映画界は田舎映画界で、よっぽどなスターでない限り、割と普通にその辺を歩いています。ちょっとしたコネがあれば、会うのもそんなに難しくないようです。

テルグの場合はどうかなぁ? ラヴィさんクラスになるとセレブになるから、一人でぶらぶらはしていないでしょうが、「ぜひ会いたい!」と言えば、日本人なら会ってくれると思いますよ。
 
カーヴェリ
2011/06/11 23:35
もう1つ質問させていただきますが、歌も英語やヒンディー語が交じるとやはりクレームが付くのでしょうか。テルグでは歌にヒンディー語を交ぜるのが格好いいようです。

カーヴェリさんは南インド映画に特化した雑誌をご存知ですか。先月号に近所の特集が組まれていました。映画関係の仕事に就きたい人たちが集まっている所だと知り興奮しました。セレブは閑静なセレブの地域に住んでいます。

「外国人」ということで会ってもらえるでしょうかね。
なんだか希望が出てきました。
…とりあえず、変質者にならないように気をつけます。

2011/06/12 18:10
>歌も英語やヒンディー語が交じるとやはりクレームが付くのでしょうか。

それが不思議なんですが、歌詞にはヒンディー語・英語はよくミックスしています。純カンナダ語にこだわるなら、こちらも重要なんですけどね。
もちろん、セリフに自然に非カンナダ語が混じるのも問題なしです。

>カーヴェリさんは南インド映画に特化した雑誌をご存知ですか。

SOUTHSCOPEなら知っています。でも、本誌は買ったことないです。
嫌いってわけじゃないんですが、以前にも南インド映画に特化した英語の雑誌があり、毎月購読していたんですが、紙の出版物は溜まると邪魔だし、かといって好きなスターの写真があったりすると捨てにくくもあり、ずいぶん持て余した経験があるので、SOUTHSCOPEはウェブでたまに見るぐらいにしています。

>なんだか希望が出てきました。

なんとかなると思います。
新作公開時によく主演スターの劇場挨拶があるんですが、ラヴィ・テージャはそんなのやってないのかしら。
 
カーヴェリ
2011/06/13 19:26

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