カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Dookudu】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2011/10/05 19:34   >>

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 さて、さて、マヘーシュ・バーブの待望の新作は、シュリーヌ・ヴァイトラ監督の【Dookudu】。
 本ブログでも私はマヘーシュの大ファンだと公言してきたが、実際、チランジーヴィやラジニカーント、モーハンラールにマンムーティらの大御所は別として、私はマヘーシュのことをインドで一番カッコいい俳優だと思っている(もちろん、ボリウッドも含めて)。というより、インドに男優多しといえども、私が心底カッコいいと思えるのはマヘーシュ以外にいないのである。そりゃあ、NTRジュニアやアッル・アルジュン、スーリヤその他も、それなりにカッコいいと思うし、才能も評価しているし、応援もしているのだが、マヘーシュほど胸ときめくものは感じない。私は男だが、彼が結婚したとき、ショックで飛び降り自殺した女の子たちがいたというのも理解できる。
 マヘーシュの魅力といえば、演技、セリフ回し、アクション、ダンスのセンスは言うまでもなく、やはり「プリンス」の愛称が端的に示しているように、その「品格」と「美しさ」だ。彼ほどの気品を感じさせる俳優としては、私はフランスの往年の二枚目スター、ジェラール・フィリップぐらいしか思い浮かばない。
 真のスターはどんな凡作をも救うと言うとおり、彼の近作の【Athidhi】(07)と【Khaleja】(10)は映画としての出来は悪かったが、マヘーシュ自身はカッコよかったし、結局そこそこ客も集めたようである。この【Dookudu】はヒット請負人のシュリーヌ・ヴァイトラが監督しているだけあって、一層の期待が高まる。
 題名の「Dookudu」についてテルグ人に聞いてみたら、「危機のときにすぐさま救いに来てくれる人」のことで、「スーパーマン」や「スパイダーマン」のような存在だと説明してくれた。日本的な訳語を当てるとすると、さしずめ「ガッチャマン」か(←ちゃう、ちゃう)。

【Dookudu】 (2011 : Telugu)
物語 : Gopi Mohan, Srinu Vaitla
台詞 : Kona Venkat, Srinu Vaitla
脚本・監督 : Srinu Vaitla
出演 : Mahesh Babu, Samantha Ruth Prabhu, Prakash Raj, Sonu Sood, Kota Srinivasa Rao, Sayaji Shinde, Ajaz Khan, Supreet, Brahmanandam, M.S. Narayana, Nasser, Suman, Vennela Kishore, Ravi Prakash, Tanikella Bharani, Chandra Mohan, Adithya Menon, Rajiv Kanakala, Dharmavarapu Subramanyam, Shafi, Subbaraju, Ajay, Brahmaji, Sonia Deepti, Sudha, Vinaya Prasad, Surekhavani, Satyakrishnan, Pragathi, Nagendra Babu, Master Barath, Srinivasa Reddy, Melkote, Parvathi Melton, Meenakshi Dixit
音楽 : S.S. Thaman
撮影 : K.V. Guhan, Prasad Murella
編集 : M.R. Varma
制作 : Anil Sunkara, Gopinath Achanta, Ram Achanta

《あらすじ》
 ハイダラーバードの政治家シャンカル・ナーラーヤン(Prakash Raj)は、市民から非常な尊敬を集める有徳の士であった。だが、彼はライバル政治家(Kota Srinivasa Rao)と対立し、また身内・支持者(Sayaji Shinde,Supreet)からも裏切り者が出て、彼らの仕組んだ故意の交通事故により暗殺されかかる。シャンカルは奇跡的に助かり、意識不明の状態で14年間ベッドに眠ることになる。シャンカルの一族はムンバイに引っ越し、対外的にはシャンカルは死亡したと発表していた。
 シャンカルには一人息子のアジャイ(Mahesh Babu)がいた。父は息子にも政治家になってほしいと希望していたが、アジャイは警官になり、ムンバイ警察に勤めていた。
 勇猛果敢なアジャイは凶悪マフィアのドン、ナーヤク(Sonu Sood)を逮捕する任を授かる。その任務のために、アジャイとそのチームはイスタンブールに飛び、ナーヤクの弟バンティ(Ajaz Khan)を生け捕ることに成功する。また、この地でアジャイはプラシャンティ(Samantha)という女性に出会い、惚れる。彼女はたまたまアジャイの直属上司(Nasser)の娘だった。
 アジャイがインドに戻った頃、父シャンカルが意識を回復する。だが医者は、シャンカルに精神的なショックを与えると、再び元の昏睡状態に戻るだろうと警告する。そこで家族たちは可能な限りシャンカルの望む状況を彼に提示することにする。それでアジャイも、警官ではなく、父と同様の政治家になったふりをする。一族はかつて住んでいたハイダラーバードの邸宅に移り、シャンカルを迎え入れる。この家には現在パドマシュリー(Brahmanandam)という男が居住していたが、彼にはテレビのリアリティー・ショーの撮影だと言ってごまかす。また、この作戦には警察のアジャイ・チームも協力していた。
 そうこうしている間に、バンティを逮捕されたナーヤク一味も警察に対して反撃を仕掛けてくる。アジャイ・チームとナーヤク一味の間で激しいやり取りが起きるが、その過程でアジャイは、14年前に父を襲った交通事故の背後に誰がいたのか、またナーヤクもこの陰謀の首謀者の一人であることを知る、、、。

   *    *    *    *

 さすがはマヘーシュ、「プリンス様! キング様! 皇帝様!」と連呼したい。まずはマヘーシュのパフォーマンスが際立った作品だった。

 映画全体としても面白く、あちこちで笑い転げた。さすがコメディー・アクションの雄、シュリーヌ・ヴァイトラ監督だけある。登場人物もお馴染みのテルグの面々がうじゃうじゃしていて(上のキャスト表を見よ)、テルグ映画らしさも強く感じた。何度も言うが、去年のテルグ映画界は不振で、今年はさらに不振で、AP州でもタミル映画のテルグ語ダビング版がさもテルグ映画のような顔してスクリーンを占拠している「大侵入時代」にあって、【Kandireega】に続く本作のような作品の出現はうれしい。

 ただなぁ、「策士、策に溺れる」とでも言うか、シュリーヌ・ヴァイトラ監督はやりすぎた感もある。
 ストーリーの着想、展開は、【Ready】(08)や【King】(08)などと同様、大掛かりな芝居を打ってターゲットをやり込めるというもので、従来のヴァイトラ監督作品の手法を踏襲している。今回が特殊なのは、芝居が2本立てになっていることで、ターゲットが敵役だけでなく、アジャイ(Mahesh Babu)の父(Prakash Raj)にも向けられているということだ。このためにマヘーシュ・バーブは「政治家」と「映画監督」の2役のふりをすることになり、それぞれのパートにブラフマーナンダムとM・S・ナーラーヤナを配して、かなり面白かったのだが、やはりくどいという印象はある。
 映画の開始30分は素晴らしく、豪華な道具立てが整って、さぁ、どんなファンタスティックなイベントが始まるのかと期待していたら、結局はコントかい!といった印象だ。この手のお笑いネタで観客の関心を繋ぎとめたいのなら、何も3億5千万ルピーの製作費をつぎ込む必要はなかったと思う。(もっとも、こんな豪華感とチープ感の同居がインド映画らしいとも言えるのだが。)

 くどさがもたつきの原因となり、上映時間も2時間50分に及ぶものだった(「あっと言う間の2時間50分でした」とは言えない)。ストーリー展開は恐ろしいほどの「ロジック無視」と「ご都合主義」で、それは構わないと言いたいところだが、もたつき感が「なんで?」と考えさせる隙を与えたかも。この種のテルグ・アクション映画は、スピーディーなストーリー展開に、アクションとダンスとコメディーが一致団結して畳み掛けるようにやって来、なんだか分からないうちに「満足した」と思わせてくれないといけない。

 そうは言っても、さすがヴァイトラ監督作品らしく、本作に盛られた個々のネタは面白い。特に、ネタバレになるので詳述しないが、映画がらみのパロディー・ネタは笑える。主人公(アジャイ)が敵の一人一人を片付けていく復讐のアイデアもユニークだった。

◆ 演技者たち
 優れた南インド・ヒーロー俳優というのは、アクションやダンスが上手いとか、走り方がカッコいいとかの特徴があるが、もう一つ、コメディー・センスがあってコメディアンとの絡みが上手いというのもある。本作のマヘーシュはその点で光っていた。
 改めて彼のダンスを見ると、別に大したことをやっているわけではないが、それでも絵になるところが良い。

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 ヒロインは一応サマンタということになっており、それも私の期待点だったが、まったく語るべきことはない(可愛いのは可愛かったが)。まぁ、彼女もこうした話題作に出演し、大物スターの相手役を務めて、一日も早く一人前の女優になってくれることを願う。
 今回のアフレコは、【Ye Maaya Chesave】(10)と同じ、チンマイさんだった。
 サマンタは情けないほどダンスができないのだが、今回は腰のハネ方ぐらいは練習したようだ。

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 2人のベテラン・コメディアン、ブラフマーナンダムとM・S・ナーラーヤナが効果的に使われていた。特に後者は、年のせいか近ごろは影が薄かったが、相変わらず奇怪なキャラクターを見せてくれており、うれしかった。

 悪役はごろごろいたが、中心となるナーヤクをやったのはソーヌ・スード。老けメイクがイマイチだった。この人はすっかり売れっ子となったが、テルグで悪役をやるにはどうもハンサムすぎるように思う。近作では【Kandireega】のほうが面白い。ちなみに、マヘーシュとの共演作ではトリヴィクラム監督の【Athadu】(05)があり、こちらは嵌り役だったと記憶している。
 ナーヤクの弟、バンティをやったのは【Rakta Charitra 2】に出ていたイザーズ・カーン。

 特記事項は、パールヴァティ・メルトンが音楽シーンの1つでダンスをしており、これがかなりセクシーだった。久々に優れたアイテム・ナンバーを見た。

◆ 音楽・撮影・その他
 S・S・タマンの音楽は、私はけっこう心地良く聴いていたが、あまり高く評価されていないようだ。
 音楽シーンの作り方は、テルグ映画のレベルからすると、平凡だった。1曲で変てこなエスニック・ダンスがあったが、あれは【Robo】/【Enthiran】(10)を意識したものだろう。

 ロケ地の目玉はイスタンブールだが、きれいに撮れていたと思う。

◆ 結語
 【Dookudu】は一見豪華な割には安っぽい作りで、シュリーヌ・ヴァイトラ監督作品の中では中位のものだろう。それをマヘーシュと2人のベテラン・コメディアンが救った形だ。ただ、十分に面白く、競合作品がない中で、豪快に客を集めるに違いない。個人的には、今年は【Shakti】【Badrinath】がこけたので、本作の成功はうれしい。

・満足度 : 3.5 / 5
 

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
期待に胸高鳴ります。ああ早く見たい!
メタ坊
2011/10/05 22:16
期待に届かないかもしれませんが、まぁ、マヘーシュですからね、見たいですよね。
 
カーヴェリ
2011/10/06 01:10
カーヴェリさんはMahesh Babuがお好きなんですね。
私はまだ『KHAALEJA』と今作しか観ていないのですが、今作ではMahesh Babuの格好良さが少々抑えられいたように感じましたが、そうでもありませんでしたか。
それから「おや?」と思ったのですが、Mahesh Babuの称号は「Super Star」なんですか?これってRajinikanth…。

ヒロイン、やはり『Ye Maya Chesave』と同じだったんですね!
とても素敵な声です、本当に。
Samanthaは笑うとどうも顔が一気に老けてしまい勿体無かったです。

2011/10/06 04:01
>今作ではMahesh Babuの格好良さが少々抑えられいたように感じましたが、そうでもありませんでしたか。

はい、颯爽としたヒーローのパートが本作では限られていましたね。コメディアンとの絡みが多すぎたと思います。

>Mahesh Babuの称号は「Super Star」なんですか?

マヘーシュに「Super Star」の冠タイトルが付いたのは、私は初めて見たような気がします。「あれっ?」と思いました。

>Samanthaは笑うとどうも顔が一気に老けてしまい

それはいけませんね。南インド女優は笑顔が勝負ポイントだと思います。
 
カーヴェリ
2011/10/06 13:00
マヘーシュの冠のスーパースターは親父さんのを譲り受けたというかたちなのでは?てことはプリンスの称号はもう卒業なのかなと思ったりするのですが、FacebookなんかではファンはSuperstar Prince Mahesh Babuって名のってるし、これからはエピテートが増えるたびにずらずら連ねてゆくのかもw
メタ坊
2011/10/15 06:39
なるほど。ピンと来ませんでした。一段位が上がったというわけですね。(すると、クリシュナ父さんは何になるのかな?)
チル太さえ「スーパー・メガスター」とか名のってましたからね、マヘーシュもこれくらい箔がないと、、、。
 
カーヴェリ
2011/10/15 23:47
見ました。完璧でした。マヘーシュ万歳!
メタ坊
2012/02/03 11:09
おめでとうございます!
 
カーヴェリ
2012/02/03 21:46

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