カーヴェリ川長治の南インド映画日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 【Poola Rangadu】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2012/02/23 01:28   >>

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 3 / コメント 4

 先週末は注目のテルグ映画が3作公開された。ラヴィ・テージャ主演の【Nippu】、スニール主演の【Poola Rangadu】、シッダールタとアマラ・ポールさん主演の【Love Failure】(これはタミルとのバイリンガル作品)であるが、【Love Failure】は事もあろうにバンガロールではまだ公開待ち状態なので、【Nippu】と【Poola Rangadu】から選ぶことになった。順当には【Nippu】ということになるが、以前にどこかで書いたとおり、私は「ラヴィ・テージャの映画は適度に間を置いて服用すべし」というのをルールとして定めているので、今回も見送ることにした。というのも、ラヴィ・テージャの感染力の強さ、さらには感染後の症状の深刻さを思えば、長い南アジア生活の中で、アミーバー赤痢、デング熱、フィラリア、ランブル鞭毛虫に感染した経験を持つ私としては、この上ラヴィ・テージャ剛毛虫に感染するのは避けたいからである。恐ろしいことに、そんなラヴィ・テージャの【Nippu】を在邦テルグ人は日本公開を画策しているようなのであるが、日本へのフィルム持ち込みの際に、おそらく検疫で没収となるであろう。

画像

 そんな次第で【Poola Rangadu】だが、なんといってもスニールの「シックス・パック」が話題騒然となっていた。スニールにとっては4本目の主演作。【Maryada Ramanna】(10)は大成功だったものの、【KSD: Appalraju】(11)は大コケした彼にとって、主演級俳優の座へ生き残りを賭けた気魄の六段腹、、、と言っていいのかな?
 参考に、本作はオリジナルではなく、マラヤーラム映画【Pandippada】(05)のリメイクとのこと。
 (写真下:何度見てもおもろすぎるスニールのビフォーアフター。)

画像

【Poola Rangadu】 (2012 : Telugu)
脚本・監督 : Veerabhadram
出演 : Sunil, Isha Chawla, Pradeep Rawat, Dev Gill, Ali, Raghu Babu, Kota Srinivasa Rao, Satyam Rajesh, Prithviraj, Duvvasi Mohan, Sudha, Pragathi, Sumithra, Sri Lalitha, Telangana Sakuntala
音楽 : Anoop Rubens
撮影 : Prasad Murella
編集 : Gowtham Raju
制作 : K. Atchi Reddy

《あらすじ》
 不動産業が当たらず、多額の借金を抱えてしまったランガ(Sunil)は、一縷の望みを託して、ワランガルにある30エーカーの土地を買う。ランガはこの土地の検分のためにワランガルの村にやって来、友人のワース(Ali)に会う。ところが、ワースの口からとんでもない実情を聞かされる。この土地は、コンダ・レッディ(Dev Gill)とラーラー・ゴーダ(Pradeep Rawat)という2家の地主の領地に囲まれた土地であったが、仲の悪い両家はこの土地の所有を巡っても激しく対立していたため、安易に転売すると最悪のシナリオが待っているというのである。
 怯えたランガはワースの考えた作戦に従うことにする。まずランガは身分を隠し、コンダ・レッディに接近し、彼のギャング団の一員に加えてもらう。ランガはここでうまく立ち回ったため、すっかりコンダ・レッディの信望を得る。
 さらにランガは、ラーラー・ゴーダと懇意になる手立てとして、まず娘のアニタ(Isha Chawla)に接近する。医大生のアニタは、初めはランガを胡散臭く感じていたが、いつしか彼の素朴で愉快な人柄に好意を抱くようになる。ランガもそんなアニタを意識するようになる。
 しかし、ここに問題が発生する。アニタに惚れていたコンダ・レッディが、長年の両家の諍いに終止符を打つという名目で、アニタと結婚したいと言い出したのである。ランガはコンダ・レッディにメッセンジャーとしてアニタの許に送られる。ところが、ランガはアニタから「I love you」と告白されたため、さらに状況が複雑になる、、、。

   *    *    *    *

 いやぁ、日本の皆さま、よかったですねぇ〜、この映画が本邦公開となって。(あ、予定変更になったんですね、お気の毒!)
 実に楽しい、ガッツのある、大衆アクション家族コメディー・テルグ映画だった。

 「おもろかった」ということ以外、特に書くこともなく、また、書けば書くほどネタバレになるので、何も書かなくてもいいかなぁ〜、と思いつつ、ちょこっとだけ書いておくと、、、
 マラヤーラム版オリジナル【Pandippada】は私は未見なのだが、各種資料を見る限り、本作は基本的にオリジナルをなぞりつつも、いくつか変更点があるようだ(【Pandippada】については、こちらも参照)。
 まず、マラヤーラム版は舞台が「ケーララ州とタミル・ナードゥ州の州境」であり、対立する2家がケーララ人とタミル人となっているようだが、本作では単に同じ村の地主家の対立とされている。どうやらマラヤーラム映画界ではこの種の「州境問題」が時おり映画のモチーフになっているようで、ということは実際にこの種の社会問題が起きていると考えてもよさそうだが、本作ではそういった政治的色彩はなかったと思う。
 また、オリジナルを実見していないので確信は持てないが、片方の地主が敵対家の娘との結婚を望むという展開で、二人の関係はマラヤーラム版で「おじ」と「めい」のようだが、本作では「いとこ」に変わっていたように思う。(その地主を演じたのは、マラヤーラム版ではプラカーシュ・ラージだが、テルグ版ではデーヴ・ギルと、年齢がぐっと若くなっている。)
 クライマックスからエンディングにかけても、リメイク版は大きく変えていると推測される。
 もっとも、こんな異同はどちらかと言うと小さなことで、この【Poola Rangadu】を観ても、元ネタがマラヤーラム映画だとは信じられないぐらい、テルグ映画らしいテルグ映画に仕上がっているのが、一番大きな差異だと思う。

 監督のヴィーラバドラムは、おそらく【Aha Naa Pellanta】(11)でデビューした人だと思われるが、デビュー作と同様、本作も勢いのあるコメディーだった。しかし、本当のところを言えば、本作の映画作品としての完成度はそんなに高くない。ストーリー的にも、主人公のランガが陥った危機的状況を、彼がどのように機知で切り抜けるか楽しみだったが、鮮やかな形でまとめ上げられていたとは言えない。それでも、この映画の面白さ、楽しさには拍手喝采したい。

◆ 演技者たち
 1にスニール、2にスニール、といった感じの映画だが、コメディー的演技、ダンス、アクションと、ヒーローとしてのスニールが十分楽しめる。話題の「シックス・パック」がどこでどのように炸裂したかはここでは言わないとして、エンドロールで実際にスニールが筋トレしている様子が「証拠ビデオ」として流れていたので、「合成映像」でないことは確かだ。それほど苦労して、これほどカッコいいボディーになっても、やっぱり喜劇役者にしか見えないところがうれしかった。
 得意のダンス。スリムになったおかげで、こんなパワン・カリヤン風の振り付けや、、、

画像

 こんなラーム風の軽々ジャンプも様になる。

画像

 ヒロインのアニタを演じたのはイーシャ・チャウラーという女優。【Prema Kavali】(11)というテルグ作品に出ていた人らしいが、私的にはまったく感じるところがなかった。(写真トップの右)

 強面陣では、コンダ・レッディ役のデーヴ・ギル、ラーラー・ゴーダ役のプラディープ・ラーワト、ラーラーの片腕役のラグ・バーブなど、デーヴ・ギルがやや青くさい芝居をしているのを除いて、まずまずだった。
 (写真下:Dev GillとPradeep Rawat。)

画像

 本来コメディアンのスニールが主役に回ったものの、いわゆるコメディー担当として、アリーとサティヤム・ラージェーシュがなかなか面白かった。

◆ 音楽・撮影・その他
 音楽はアヌープ・ルーベンスという人の担当。この人の音楽は私は初めて聴いたが、芸術性も何も関係なし、といった感じでガンガン来るのが良かった。いつもこんな感じの曲を提供しているわけではないだろうが、本作の内容には合っていた。
 音楽シーンは、似たようなコンセプトのダンス・シーンがいくつか並んでしまったが、なにせスニールのダンスは楽しめる。

 上映時間はやや長めの2時間半強。後半はもっとハサミを入れてもよかったと思う。

◆ 結語
 南インド映画ファン、テルグ映画ファン、スニール・ファンには有無を言わさずお勧め作となる。日本のファンの皆さまにはこの映画を観にインドまで来いとは言わないが、埼玉県川口市までなら出かける価値はある。残念ながら、今月26日の上映会ではプログラムから落ちてしまったが、もし近い将来上映されることがあるなら、少々のヤボ用、デートの約束などはキャンセルして、観に行くことをお勧めする。

・満足度 : 3.5 / 5
 

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
ナイス

トラックバック(3件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
【Ishq】 (Telugu)
 2本続けてアマラ・ポールさん出演の映画が観られたかと思うと、次はニティヤ! 私にとってこの2週間、ポンガルとウガディが一緒に来たようなめでたさだ。  ヒーローはニティン。ニティンといえば、邦人テルグ映画ファンの間では「お猿のニティン」と呼ばれることが多く、人気は低いが知名度は高い(かな?)。彼が「お猿」と呼ばれるようになった経緯は私は知らないが、おそらく代表作にアンジャネーヤ(ハヌマーン)神を主題とした【Sri Anjaneyam】(04)があるからだろう。もっとも、彼自身に、ルッ... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2012/03/08 21:19
【Mr. Pellikoduku】 (Telugu)
 【Maryada Ramanna】(10)の大成功、【Poola Rangadu】(12)の驚愕のシックス・パックと、主役級俳優としての地歩を固めつつあるスニールだが、「スニールはやっぱりコメディアンであってほしい」と期待するのは私だけ?  本作はヒンディー映画のヒット作【Tanu Weds Manu】(11)の公式リメイクということで、オリジナルとそっくりのポスターが堂々と公開されていた(上)。  ヒロインは【Poola Rangadu】でもスニールと共演したイーシャー・チャー... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2013/03/08 22:31
【Gunde Jaari Gallanthayyinde】 (Telugu)
 世の中には予期しないこと、まったく期待しないことがしばしば起きるもので、ニティヤ・メーナンという女優がテルグ俳優ニティンと共演することなど考えもしなかったが、【Ishq】(12)が登場して、大ヒット。この時点でも、私は「よもや第2作はあるまい」と踏んでいたが、あらあら、本作の公開となった。  ニティンはあまり好きな俳優ではないので、いかにニティヤが出演しているとはいえ、今回はパスしようと思っていた。しかし、封切後の評判が良く、またまた大ヒットしそうな流れなので、観ておくことにした。... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2013/05/08 00:59

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
羨ましさに悶絶しながら粗筋以外の部分を読ませてもらいました。ところでスニールはこれでホントにコメディアンを卒業してしまうことになるのでしょうか。どのように予測されますか?
Periplo
2012/02/23 03:27
う〜ん、難しい質問ですが、やっぱり従来のようなコメディー・ロールは、チランジーヴィのカムバック映画でもない限り、やらないような気がします。
トリウッドではここのところ良い新人が現れていないので、ちょうどスニールが格好のニューフェースの役割を果たしているんじゃないでしょうか。
 
カーヴェリ
2012/02/23 11:43
こちらでは大分ご無沙汰しております。
自分のところがやっと最新においついたので、
こちらもこれから再びじっくり拝読します。
(今まで読むのを我慢していました。)
過去の記事を穿り返してコメントしてしまうかもしれませんが…。

この作品、リメイクだったんですね。
全く知りませんでした。

>それほど苦労して、これほどカッコいいボディーになっても、やっぱり喜劇役者にしか見えないところがうれしかった。

本当に。100%同感です。
そして、ビフォアアフターの「Family Pack」に吹きました。

2012/02/24 01:47
>こちらもこれから再びじっくり拝読します。

よろしくお願いします。

>そして、ビフォアアフターの「Family Pack」に吹きました。

スニールは以前「踊るコメディアン」とも呼ばれていましたが、これからは「6パック・コメディアン」とか呼ばれるんでしょうかね。
なんにせよ、面白い映画でした。
 
カーヴェリ
2012/02/25 10:33

コメントする help

ニックネーム
本 文
【Poola Rangadu】 (Telugu) カーヴェリ川長治の南インド映画日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる