カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Swamy Ra Ra】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2013/04/12 03:32   >>

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 皆さま、ハッピー・ユガーディでございます!
 シュリーヌ・ヴァイトラ監督、NTRジュニア主演の超話題のテルグ映画【Baadshah】が公開され、さっそく観に行こうと思ったが、ちょっと待てよ、、、その前にこのテルグ映画【Swamy Ra Ra】をぜひ観ておきたかった。
 本作は、主役が【Happy Days】(07)で目立った役をもらったものの、その後ぱっとせず、まったく影の薄かったニキルで、ヒロインがスワーティ。それで、いかにも低予算でやっつけ仕事的なB級映画が来るものと予想されたが、公開後、これが評判が良く、現地でヒットを記録しているという噂だった。
 監督はスディール・ヴァルマという新人で、音楽(サニー・M・R)も撮影(リチャード・プラサード)も新人。キャストと併せて、いかにもフレッシュな陣容で、内容的にもフレッシュなものが期待できる。これはおそらく【Baadshah】と好対照をなす作品だろうと予想されたので、まずはこちらを押さえておきたかった。

【Swamy Ra Ra】 (2013 : Telugu)
物語・脚本・台詞・監督 : Sudheer Varma
出演 : Nikhil, Swathi, Ravi Babu, Pooja Ramachandran, Jeeva, Praveen, Sathya, Ravi Varma, Jogi Brothers, Bhanu Avirneni
音楽 : Sunny M.R.
撮影 : Richard Prasad
編集 : Karthik Srinivas
制作 : Chakri Chigurupati

題名の意味 : 神様、来い、来い
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : クライム・コメディー
公 開 日 : 3月23日(土)
上映時間 : 約2時間

◆ あらすじ
 ケーララ州ティルヴァナンタプラムのパドマナーバスワーミ寺院から小さな金のガネーシュ神像が盗まれる。盗人は逃走中に交通事故死するが、神像は村の子供に拾われ、闇の骨董マーケットで次々と転売される。
 ハイダラーバードに暮らすスーリヤ(Nikhil)はスリのグループのリーダー。彼は2人の友人とトリオでせっせと市民のポケットを狙っていたが、ある時、へまをやってしまい、被害者に追いかけられる。その時、スーリヤは路上に停めてあったスクーターを盗んで逃げるが、それはジャーナリストのスワーティ(Swathi)がまさにその日に買った黄色のベスパだった。
 数日後、スワーティは自分のベスパに乗っているスーリヤを発見し、問い詰める。スーリヤが謝罪したため、スワーティは赦すが、これがきっかけで二人は恋人関係となる。だが、スーリヤはスワーティに自分の正体が言えず、ヒューレット・パッカード社のソフトウェア技術者だと称していた。
 さて、ドゥルガー・プラサード(Ravi Babu)というヤクザのボスが盗まれた金のガネーシュ像を手に入れようとしていた。ドゥルガーはガネーシュ像を買い取るために手下をその所有者の許に派遣するが、手下は裏切り、神像を横領してしまう。それを知ったドゥルガーは手下を追い詰めるが、切羽詰まった手下は神像をたまたま遭遇したスワーティのカバンの中に入れてしまう。ところが、その神像はスーリヤの弟分のスリの小僧がスワーティのカバンから盗み取り、スーリヤに手渡す。
 思わぬ獲物に仰天するスーリヤとその仲間。彼らは仲介者を通してサラールジュング・シャンカル(Jeeva)という骨董密売人に会い、そのガネーシュ像を50万ルピーで売る。スーリヤは「昇給した」という理由で、友人たちと共にスワーティの家でパーティーをする。ところが、そこへドゥルガーが郎党を率いて現れ、スワーティらを脅迫する。スーリヤのグループとスワーティは何とかその場を逃げ切り、スワーティの友人ドーリーの部屋に匿ってもらう。
 しかし、ドゥルガーがスワーティを誘拐してしまい、神像との交換を条件としてきたため、スーリヤは神像を取り戻さざるを得なくなる。彼は先の仲介者を通して再びサラールジュング・シャンカルと交渉しようとする。だが、シャンカルはすでにそれをナイジェリアの顧客に1億ルピーで売った直後だった。
 焦るスーリヤだが、強運はまだ続く。実は、例の仲介者は今回の件でシャンカルからコミッションがもらえなかったので、彼に一泡吹かせたいと考えていたところだった。そこでスーリヤとその仲間は、その仲介者の協力を得、神像奪還作戦を決行することにする、、、。

◆ アナリシス
・ニキルくんには悪いが、ニキル主演の映画がヒットしているということは、内容的に面白いのだと推測してまず間違いない。それで観てみたが、いや、確かに面白かった。(ニキルの名誉のために記しておくと、【Yuvatha】(08)はけっこう良い。)

・スタッフのフレッシュさから予想されたとおり、通常のメインストリームのテルグ娯楽映画とはずいぶん違った印象を受けた。それぞれが自己主張しているようなコメディー、アクション、ダンスがモジュール的に出現するという従来のフォーマットではなく、あくまでもストーリーの流れに即して台詞、音楽、アクションが配されるという、ナチュラルなものだった(ストーリーそのものはまったく荒唐無稽なものだが)。

・何よりもスディール・ヴァルマ監督の脚本がよく練られていて、良かった。まとわりつくようなセンチメントはなく、笑いの質もこてこてしていない、非常にドライなクライム・コメディーに仕上がっていた。音楽・BGM、撮影も感性的で、カッコよかった。本作は田舎のお百姓さんが観ても十分楽しめると思うが、やはり主なターゲットは都市部の若者層だろう。

・私は本作に新鮮なものを感じたが、かといって、それが本作の革新性・独創性を意味するものではない。ほとんどすべてのレビューで、本作とテルグ時代のラーム・ゴーパール・ヴァルマ監督、クエンティン・タランティーノ監督、ガイ・リッチー監督の作品との類縁性が指摘されている。ガイ・リッチー監督の作品は観たことがないので分からないが、前二者についてはまったくそのとおりだと思う。本作は【Pulp Fiction】(94)、【Anaganaga Oka Roju】(97)、【Kshana Kshanam】(91)の現代低予算版テルグ映画だとイメージすればまず間違いない。真似しと言えば真似しなのだが、あまりにも確信犯的に模倣しているし、映画そのものの出来も良いので、ここはスディール・ヴァルマ監督の手腕を評価しておきたい。

・物語は、ケーララ州のパドマナーバスワーミ寺院から金のガネーシュ像が盗まれた、というところから始まる。パドマナーバスワーミ寺院といえば、実際に2年前に地下室から価値200億ドルとも言われる金貨や宝石が発見され、大いにロマンを掻き立ててくれた寺院だが、本作はその神像の争奪を巡る人間たちの欲深さが滑稽に描かれている。かといって、本作にメッセージや教訓を読み取る必要はないのだが、濡れ手に粟のスーリヤが恋人(スワーティ)にヒューレット・パッカード社のソフトウェア技術者だと偽っていたばかりに、、、となるエンディングは面白かった。

・カンナダ映画観賞者の立場から面白かった点が一つ。スーリヤが仲介者に語るセリフに「あんたの言ってることはウペンドラの映画みたいに分かりにくいよ」というのがあったが、これなどテルグ人のウペンドラに対する見方がよく分かり、興味深かった。

◆ パフォーマンス面
・久々のヒット作で、レビューでも好評価を得ているニキルくんだが、私が見た限りでは、どうってことなかったけどなぁ。誰でもできる役だとは思うが、しかし、マヘーシュやNTRジュニアなら頭や足がはみ出てしまうような役柄なので、ニキルぐらいの俳優を使ったのは正解だろう。

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・スワーティはまさにテーラーメイドな役。ジャーナリスト兼家庭教師という役柄だったが、「ジャーナリスト」のほうはまったく生きていなかったのが本作の脚本のミスか。
 いつも子供っぽさを感じるスワーティだったが、本作を見て、おいおい、いつの間にか大人の女になってないかい? 川縁オジサン、初めて色気を感じたよ、お前さんに。

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・もう一人の鑑賞ポイントは、スーリヤのスリ・グループのメンバーで、女スリの役をやったプージャ・ラーマチャンドラン。この人はタミル映画のヒット作【Pizza】(12)でムチムチお色気若マダムをやっていた女優で、もう一度どこかで見たいと思っていたら、ここで会えたとはうれしいサマー・ギフトだった。(下)

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・もちろん、ラヴィ・バーブとジーヴァーのオジサンたちも印象的。

◆ テクニカル面・その他
・新趣向・新感覚のインド映画は、音楽のカッコよさが決め手となるが、本作は合格。
 音楽シーンの作りは、力技こそないが、十分魅力的。
 (こちらなど、本作の特徴がよく分かる音楽シーン。)



・映像も良かったが、ちょっとスローモーションを多用しすぎているように感じられた。
 オープニング・クレジットの見せ方は、アイデアは月並みだが、シンプルでカッコよかった。

◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 3月6日(土),公開第3週目
・映画館 : Vinayaka (Chamarajpet),11:00のショー
・満席率 : 1割
 

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【Baadshah】 (Telugu)
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2017/05/25 20:39

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
随分とご無沙汰しています…。

この作品、私も鑑賞しました。音楽・映像共に格好良かったです。もう一度観たいぐらいです。「テルグはこれだけやれるんだ!ヒンディーに負けない!っていうか負けてたまるか!日本で公開したい!」と真面目に思いました。

実は、2か月前まで住んでいたところの目の前でも撮影していて、その場面が出て来た時には撮影を見ていたときよりも興奮しました。

2013/04/22 02:45
本当にずいぶんご無沙汰ですね。
泉さんの映画鑑賞記録も更新されていないので、とても残念に思っていました。

この映画の撮影現場に遭遇とはうらやましい。どの場面ですか? スワーティちゃんに会えましたか?

というか、もうRTさんには会えた?
カーヴェリ
2013/04/22 09:11
三日坊主の性格なんだと思います…気が向いたらまた再開します。

撮影されていた場面は、屋台でご飯を食べているスリ三人組と「僕だって出来るよ」と少年が話しているところです。たった数秒の場面を何度も何度も撮っていました。その度にスタイリストの人が髪を直したり。撮影に使う電気を近くの病院から拝借していて面白かったです(撮影風景を4階から眺めていたので全部丸見えでした)。カーヴェリさんが紹介されているその音楽シーン、一番好きな場面です。多分これもよく知っている場所で、周りの風景に目が行ってしまいました。

RTさんにはまだ会っていませんが…Rana Daggubatiに遭遇して握手してもらいました!それから映画の音楽制作にちょっとだけ関わることができました。監督・役者・音楽担当のデビュー作なのでとても小さい小さい映画ですが。CDに名前が載っています!

2013/04/28 13:24
>三日坊主の性格なんだと思います…気が向いたらまた再開します。

プレッシャーはかけませんが、楽しみにしています。

>撮影されていた場面は、屋台でご飯を食べているスリ三人組と「僕だって出来るよ」と少年が話しているところです。

はい、分かりました。本当に数秒のシーンでしたね。

>Rana Daggubatiに遭遇して握手してもらいました!それから映画の音楽制作にちょっとだけ関わることができました。監督・役者・音楽担当のデビュー作なのでとても小さい小さい映画ですが。CDに名前が載っています!

どちらもすごいことじゃないですか!
おめでとうございます。
また良い経験ができたら、どこかに発表してください。
カーヴェリ
2013/05/02 13:26

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