カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Chandra】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2013/07/04 23:50   >>

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 この週末はテルグ映画の【Balupu】、マラヤーラム映画の【5 Sundarikal】、カンナダ映画の【Chandra】と、観たい映画が競合したが、様々な事情から【Chandra】にした。
 監督はルーパ・アイヤルというタミル系ブラフミンの女性で、芸術系のことは一通りこなす才女のようだが、映画では子供のエイズ感染の問題を扱ったカンナダ映画【Mukhaputa】(10)で監督デビューし、批評家から高評価を得た(英語字幕付きDVDあり)。本作は彼女の監督2作目。
 (写真下:ルーパ・アイヤル監督近影。)

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 本作の話題は、何と言ってもシュリヤー・サランが主演していることだった。シュリヤー(カンナダ圏では普通「シュレーヤー」と表記/発音されるが)はカンナダ映画には【Arrasu】(07)でちらっとカメオ出演していたが、プロタゴニストとなるのは初。なんでも、マハーラージャー家のプリンセスを演じるらしく、華麗なポスター、スチル、トレイラーが公開されていた。私も一応シュリヤーのファンなので、映画本編の出来はどうであれ、あのシュリヤーだけでも見に行く価値はあるかなと思った。
 お相手はサンダルウッドの「Lovely Star」こと、プレーム・クマール。
 本作はタミル語版とのバイリンガル作品で、ヴィヴェークやガネーシュ・ウェンカットラーマンらのタミル俳優も出演している。

【Chandra】 (2013 : Kannada)
物語・脚本・衣装・美術・振付・監督 : Roopa Iyer
出演 : Shriya Saran, Prem Kumar, Ganesh Venkatraman, Srinath, Sumithra, Vijayakumar, Vivek, Sukanya, Padma Vasanthi, Sania, Sadhu Kokila, Dharma, Suchendra Prasad, Yash(特別出演)
音楽 : Gautam Srivatsa
撮影 : P.K.H. Doss
編集 : Sri Crazy Minds
制作 : India Classic Arts, Narasimha Arts

題名の意味 :(ヒロインとヒーローの名前)
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ロマンス
公 開 日 : 6月27日(木)
上映時間 : 2時間9分

◆ あらすじ
 チャンドラヴァティ(Shriya Saran)はとある地方のマハーラージャー家のプリンセス。美しく、適齢期のチャンドラヴァティのために、両親(Srinath & Sumithra)は結婚相手を探すが、なかなか適格者が見つからない。
 チャンドラヴァティはチャンドラハーサ(Prem Kumar)のことが好きだった。チャンドラハーサはこの王室付き楽匠の息子で、ヒマーラヤでアーユルヴェーダ、音楽、武術の修業を終え、実家に帰って来たばかりだった。チャンドラハーサもチャンドラヴァティに心通うものを感じる。
 しかし、チャンドラヴァティの両親はついに娘に適した結婚相手を見つけ出す。それはアーリヤ(Ganesh Venkatraman)という、アメリカ在住の裕福な実業家の息子で、やはり王室の血を引く青年だった。アメリカからやって来たアーリヤとその母(Sukanya)は、チャンドラヴァティを見てすっかり気に入り、ほぼ両家の間で縁談がまとまる。だが、保守的なチャンドラヴァティは、インドを離れることにも、アメリカナイズした男と結婚することにも関心はなかった。しかし、両親に押され、アーリヤとアメリカを理解するために、チャンドラヴァティはアーリヤの家族と共に渡米し、しばらく滞在することにする。
 だが、アメリカ滞在中もチャンドラヴァティの心の中にはチャンドラハーサしかいなかった。彼女は電話で彼と連絡を取るが、それがチャンドラハーサの父(Vijayakumar)に見つかり、二人の関係が知られてしまう。父は息子にチャンドラヴァティとの関係を諦めるよう諌める。
 インドの宮殿に戻ったチャンドラヴァティにはすぐさま結婚の準備が待っていた。チャンドラヴァティは、チャンドラハーサの妹ブーミカ(Sania)から彼の譲歩の話を聞かされ、ショックを受ける。しかし、まさにアーリヤとの結婚式の最中に、チャンドラヴァティは意を決し、父にチャンドラハーサへの想いを訴える、、、。

・その他の登場人物 : チャンドラヴァティの兄(Vivek)

◆ アナリシス
・トレイラーやポスターを見ているだけではいつの時代の物語か予想がつかなかったが、時代劇ではなく、まったく現代の話だった。すごく古典的な衣装に身を固めたチャンドラヴァティ(Shriya)がスマートフォンを使っている様はちょっと奇妙だった。

・重苦しく退屈なばりばりの芸術映画なのでは、と危惧したが、意外なことにルーパ監督は娯楽映画を意図したようだ。海外ロケ付きの音楽シーンも、ヴィヴェークやサードゥ・コーキラによるコメディー・シーンもあったし、プレーム・クマールの登場シーンにはアクションもあった。

・しかし、娯楽映画のフォーマットに則っていながらも、退屈な作品なのには違いなかった。ストーリーがなく、ただただきれいな画面が流れ行くだけ、といった感じだった。音楽シーンは力を入れて作られたには違いないが、結果的には単調な並びになったし、ヴィヴェークの芝居でぎりぎり救われたものの、コメディー・トラックは陳腐なものだった。

・私的に最もがっかりだったのは、せっかくマハーラージャー家をテーマとしながらも、それが、視覚的な華やかさ以外、ほとんど活かされていなかったことだ。一体、王室の、または王室の娘の何を、どんな苦悩を描きたかったのか、分からなかった。チャンドラヴァティはプリンセスということにしなくても、大臣や大実業家の令嬢ということにして、同じカレッジに通うヒーローと恋仲になるが、ヒロインの前に両親の選んだ結婚相手が現れるのであった、、、という筋立てにしても十分成り立ち、そうすると、これまで何千と作られた娯楽ロマンスと選ぶところがなくなる。(私が本作に最も「王室物」らしさを感じたのは、アーリヤ(Ganesh Venkatraman)がチャンドラヴァティの部屋に入ったときに、高く積まれた古い書籍や古典楽器、肖像画などを見て、「この部屋は博物館か」と言う場面だった。)

・一応、現代のマハーラージャー家が直面する問題(所有地や既得権益の制限を政府から迫られるという)にも言及されており、それがマハーラージャーをしてチャンドラヴァティを、アーユルヴェーダ医師ではなく、在アメリカの実業家に嫁がせようという展開に結び付くのだが、この辺はもっとドラマティックにできたはずだ。

・しかし、1点だけ褒めると、映像は文句なしに美しかった。美しい映像といっても、別にサントーシュ・シヴァンが撮りに来たわけではなく、撮影監督はP・K・H・ダースというカンナダ映画界の人。カンナダ映画もやればできるんだと、うれしくなった。

◆ パフォーマンス面
・映画がどんなにつまらなかろうと、興業的にフロップに沈もうと、そんなことシュリヤーにとってはお構いなし、憧れの(たぶん)「お姫様」の役がやれて、しかも、これだけきれいに撮ってもらったのだから、満足の1本となっただろう。ちなみに彼女は、【Midnight's Children】【Pavitra】、そして本作と、このところアート系映画への出演が続いている。実は、私は当初「アートなシュリヤー、見比べ」も企画していたが、一発目の【Midnight's Children】を観逃がしたので、あっさりボツ企画に。
 (写真下:私の好きな「朝に礼拝、夕べに感謝、御宗旨を守るのはそれはそれは尊いことで」の図。)

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 冒頭のこの入浴シーンは秀逸。

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 カラリパヤットもなかなか決まっていた。

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 アメリカの場面ではこんな姿。えらい変わりようだが、これはアーリヤの指示によるもの。(右はチャンドラヴァティの兄役のヴィヴェーク。「王子様」ということになるのだが、、、。)

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・チャンドラハーサ役のプレーム・クマールは、しっかり絞ったシックスパックで、なかなかカッコよかった。ただし、カンナダではOKでも、タミル語版を観る彼の地の鑑賞者の目にどう映るかは疑問。プレームの冠タイトルは「Lovely Star」だが、本作では「Handsome Star」と記されていた。(参考に、シュリヤーは「South Queen」となっていた。)

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・結局は振られ役のアーリヤはガネーシュ・ウェンカットラーマン。やはりこういう在アメリカのバターくさい男を演じるには、彼の黒々とした髭剃り跡は効果的だった。

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・コメディー陣では、「プリンス」役のヴィヴェークはまずまずの息抜きタイムになっていた。なんと、カンナダ語のセルフダビングもやっており、驚いた。対して、サードゥ・コーキラは作品の足を引っ張っていた(もっとも、脚本を書いた人の責任だと思うが。)

・シュリーナート(チャンドラヴァティの父役)やヴィジャイヤクマール(チャンドラハーサの父役)、スガンニャ(アーリヤの母役)ら脇役陣の配役も適切だった。

・ラミャ・クリシュナンとS・P・バーラスブラマニヤムのカメオ出演のウワサもあったが、出ていなかった。(タミル語版ではどうか知らないが。)

◆ テクニカル面・その他
・音楽はガウタム・シュリーワトサという人の担当。ちょっと記憶にない人。古典調の曲も1つあったが、概ね現代インド歌謡曲風の、センチメンタルな曲が多かった。
 音楽シーンの1つにマイソールのダサラ祭をモチーフとしたものがあり、「マイソールの若大将」と私が勝手に呼んでいるヤシュがダンスをしていた。なかなか活きの良いものだった。

・上で述べたとおり、P・K・H・ダースの撮影は良かった。

・衣装と美術はルーパ・アイヤル監督自身が担当しており、本作の視覚的美しさの理由となっている。彼女は音楽シーンの振り付け(カラリパヤットを含む)も自分で行っている。

◆ 満足度 : ★★☆☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 6月30日(日),公開第1週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (RR Nagar),10:00のショー
・満席率 : 1割
 

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