カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Victory】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2013/09/14 02:37   >>

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 9月6日から9日(祝日)の週末は、さして注目していた映画もなかったので、この間から気になっていたカンナダのコメディー映画【Victory】を観て来た。これは8月23日に公開されたものだが、ヒットしており、口コミ評価も上々。
 監督はナンダキショールという新人。新人だが、父はスディールというカンナダ映画界の往年の著名悪役俳優なので、「どこの馬の骨」というわけではない。(このスディールはダルシャンの父トゥーグディーパと同時代に活躍した俳優。)
 主演はコメディアンのシャラン。彼はコメディアンとして99本の映画に出演し、昨年、100本記念作品として初めて主演した【Rambo】がヒットした。本作はシャランにとって101本目で、主演2作目となる。(参考に、彼はカンナダの中堅女優シュルティの弟。)

【Victory】 (2013 : Kannada)
脚本・監督 : Nandakishore
出演 : Sharan, Asmita Sood, Sadhu Kokila, Avinash, Ravishankar, Keerthiraj, Tabla Naani, Girija Lokesh, Ramesh Bhat, Kuri Pratap, Mimicry Dayanand, Mitra, Rockline Sudhakar, Ragini Dwivedi(特別出演)
音楽 : Arjun Janya
撮影 : Shekhar Chandru
編集 : K.M. Prakash
制作 : SRS Media Vision

題名の意味 : 勝利のサイン
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : コメディー
公 開 日 : 8月23日(金)
上映時間 : 2時間35分

◆ あらすじ
 結婚紹介所に勤めるチャンドルー(Sharan)は、早くに両親と死別し、身内といえば風変わりなおじ(Tabla Naani)しかいなかった。ある日、チャンドルーは可愛い女性に一目惚れし、接近する。彼女はプリヤー(Asmita Sood)という名で、警官のラージェンドラ(Avinash)の娘だった。チャンドルーとプリヤーの関係はとんとん拍子に進み、とうとう結婚することになる。
 しかし、まさに新婚初夜の時に、プリヤーはチャンドルー宛てのプレゼントと、その中に入っていた夫と見知らぬ女のツーショット写真を見つけ、愛人だと誤解して、実家に帰ってしまう。チャンドルーはプリヤーに戻って来てくれるよう説得するが、彼女は聞き入れない。すっかり絶望したチャンドルーは自殺を決意する。
 チャンドルーはいろいろな方法で自殺を試みるが、うまく行かない。そこで、彼はラウディーを殺せば復讐で殺してもらえると思い、ラクシュマナという悪名高きラウディーを殺す。しかし、それは警官のサードゥ・ガウダ(Sadhu Kokila)が殺したことになり、マスコミは同警官の手柄として報道する。当てが外れたチャンドルーは、たまたまバーで知り会ったマフィアのラヴィ(Ravishankar)に自分を殺してくれるよう依頼する。ラヴィはあっさりそれを請け負う。というのも、ラヴィには咄嗟のアイデアがあったからである。実は、ラヴィの仲間の殺し屋ムンナー(Sharan)がチャンドルーと瓜二つだったので、まずムンナーに生命保険を掛けた上でチャンドルーを殺し、ムンナーが死んだことにして保険金を騙し取ろうというアイデアであった。
 せっかく死ねると思ったチャンドルーだったが、皮肉なことに、例の女とのツーショット写真は友達のいたずらだと悟ったプリヤーが家に戻って来る。チャンドルーの自殺願望はぶっ飛んでしまうが、しかし、ラヴィとムンナーはしつこくチャンドルーの命を狙いにやって来る。また、ラクシュマナの手下たちも、親分殺しの真の下手人はチャンドルーだと知り、チャンドルーの命を狙う。さらに悪いことに、警官ラージェンドラ(プリヤーの父)によって牢獄送りにされていたファクショニストのヴィーラバドラ(Keerthiraj)が出所し、ラージェンドラへの復讐として、プリヤーとチャンドルーを誘拐しようと動き出す、、、。

◆ アナリシス
・安っぽい作りだが、面白かった。前半のチャンドルーの自殺作戦(未遂)も面白かったが、後半の、自殺を翻意したチャンドルーがかえって3グループ(ラヴィ&ムンナー、ラクシュマナの手下たち、ヴィーラバドラの一味)から命を狙われ、しかもチャンドルーとムンナーが瓜二つのせいで大混乱が起きるという展開は、コメディーの常套を踏んでいて、良かった。

・しかし、そんなストーリー展開や状況といったことよりも、私が本作を評価したいのは、映画全体からスピリットみたいなものを感じた点だ。「カンナダ映画はおもろないぞ。なら、オレがおもろいのを作ってやる!」みたいな、ナンダキショール監督の気合いが伝わってくるような映画だった。ばりばりに大衆志向のコメディーで、安っぽさがかえって効果を上げている。

・これもコメディー映画の常套として、他の映画のパロディー、引用がいろいろあった。
 まず、一番目を引くのが【Upendra】(99)。チャンドルーがラウディー・ラクシュマナを殺すシーンに使われていた。シャラン扮する「ウペンドラ」は本物よりハンサムだったぞ。(下)

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 どだい、このハンド・シンボルからして、ウペンドラの【Super】(10)に倣ったものだろう。

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 サードゥ・コーキラ演じる警官サードゥ・ガウダはもちろんスディープ主演の【Kempe Gowda】(11)より(元ネタはタミル映画【Singam】)。

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 他に、チラッとではあるが、テルグ映画【Pokiri】(06)からの引用もあり。
 その他、テルグ映画【Bommarillu】(06)、カンナダ映画【Veera Madakari】(09:元ネタはテルグ映画【Vikramarkudu】)、【Duniya】(07)から音楽だけの引用があった。

・新人監督らしい欠点もあり、一応書いておくと、2時間35分の上映時間は長すぎる。要らないシーンが多かった(特に前半の序盤)。

・本作の評から外れるが、カンナダ映画界のコメディアン事情について書いておくと、カンナダ映画界はコメディー陣でもしょぼいのであるが、ランガーヤナ・ラグ、コーマル・クマール、シャラン、サードゥ・コーキラ、ブレット・プラカーシュ、ラージュ・ターリコーテなど、一応コマは揃っており、現地人からの人気も高い。しかも、本作のシャランが主演作【Rambo】で成功したように、例えばランガーヤナ・ラグは【Director's Special】(13)、コーマル・クマールは【Govindaya Namaha】(12)、サードゥ・コーキラは【90】(11)と、ヒット主演作を持つコメディアンもいる。それで、サンダルウッドで一番潤っているのはコメディアンたちだ、などとしばしば言われたりする。

◆ パフォーマンス面
・いつかどこかで、シャランのことを「笑える率1割」と書いた記憶があるが、実は俳優としての腕前が悪いわけではない。本作でも「二役」、「変装」と、きちんと映画を作っていた。しかし、セリフ回しやボディーランゲージにもう少しバリエーションがないと、主演級喜劇俳優としてやって行くのは苦しいだろう。
 (写真下:ヒロインのアシュミター・スードと。)

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・ヒロインのプリヤーを演じたのはアシュミター・スードという女優。北インド出身のモデルで、この人の顔はテレビCMでよく見かける。可愛い顔をしているのだが、やっぱり女優というよりはモデルで、あんまり萌えるものは感じなかった。(ま、付き合うてくれ、て言われたら、断りませんけどね。)

・本作は脇役陣にもなぜか気合いが入っていたが、とりわけマフィアのラヴィ役のラヴィシャンカルが効いていた。コメディーは初めてらしいが、さすがにコメディー・センスにも良いものがあった。

・ラーギニ・ドゥイウェーディが映画終盤のアイテム・ナンバーに出演している。この人は【Veera Madakari】でデビューしたときはまだ10代で、可憐な感じがしたが、さすがパンジャーブ家の娘、みるみる体が膨張し、ひたすら「ナミターへの道」を歩んでいるかのようだ。まだ23歳だというのに、残念なことだ。(下)

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◆ テクニカル面・その他
・音楽はArjun Janyaという人の担当。初めて聴いたが、けっこう面白い曲を書く人のようだ。
 実は、本作は先に‘Khaali Quarter’(空きボトル)という歌がヒットし、それが話題となって映画本編も客を集めたようだ。下の動画は本編のエンドロールで使われたものと同じもので、俳優のダルシャン、プニート、プレーム・クマール、ガネーシュ、スディープ、映画監督のヨーガラージ・バット、プレーム、ディナカル、音楽監督のハリクリシュナ、グル・キラン、ハムサレーカなど、カンナダ映画界の著名人がこの歌に讃辞を送っている(酒呑み讃歌なのだが)。歌っているのはヴィジャイ・プラカーシュとヨーガラージ・バット。



◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 9月8日(日),公開第3週目
・映画館 : Eshwari,11:15のショー
・満席率 : 3割
 

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カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2016/11/23 20:50

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
「ラウディー」というのが気になるのですが、マフィア、とも違うのでしょうか。
別のところで書かれてる「豪族」に近いのでしょうか。(強面の)

この作品、萌えはないのかな、と思いながら見始めたのですが、途中から激萌え作品となりました。

ラストのドタバタもかなり好みです。

最後の大物俳優たちの曲の感想は、やはり監督さんのお父様のツテで入れられるようになった、ということでしょうか。

やっほー
2014/02/28 15:49
これもスディープ作品認定になるんですね。

「ラウディー」については私もよく分からないです。ならず者、やくざ、暴力団、マフィア、ファクショニストなど、暴力を使って他人(他グループ)を制圧したり目的を達しようとしたりする集団のことを指すみたいですよ。

>やはり監督さんのお父様のツテで入れられるようになった、ということでしょうか。

分からないですけど、たぶんこの監督さんは子供の頃から映画界を庭にして遊んでたんじゃないでしょうか。
 
カーヴェリ
2014/03/01 08:52

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