カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Bramman】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2014/02/28 23:17   >>

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 テルグ映画の【Andala Rakshasi】(12)は不思議な作品で、なかなか評価が難しいのだが、ヒロインのラーヴァンニャには惹かれた。そのラーヴァンニャが同作品で共演したナヴィーン・チャンドラと共にタミル映画に、しかもサシクマール主演の映画に出演すると知り、「?」だったが、とにかく観ずばなるまいと思った。
 監督はソクラテスという風変わりな名前の人物で(本名かどうか知らない)、カマル・ハーサンの助手をしていた人らしい。本作が監督デビューとなる。(「Socrates」は、タミル人は「サークラティース」と発音しているが、さんざ迷った末、日本では馴染みの「ソクラテス」というカタカナ表記を採った。)
 特記事項というわけでもないが、本作はタミル映画といっても、上述したとおり非タミル系の俳優も主演しているし、音楽監督がテルグ人のデーヴィ・シュリー・プラサード、撮影監督がケーララ人のJomon T. John、プロデューサーがカンナダ人のK・マンジュとケーララ人のAnto Josephと、混成南インドチームみたいになっている。

【Bramman】 (2014 : Tamil)
脚本・監督 : Socrates
出演 : Sasikumar, Lavanya Tripathi, Naveen Chandra, Santhanam, Soori, Jayaprakash, Malavika Menon, Lateef Omar, Vanitha Krishnachandran, Surekhavani, Arjun, Padmapriya(カメオ出演), その他
音楽 : Devi Sri Prasad
撮影 : Jomon T. John
編集 : Raja Mohammed
制作 : K. Manju, Anto Joseph

題名の意味 : ブラフマー(ヒンドゥー教の神の名前)
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 2月21日(金)
上映時間 : 2時間32分

◆ あらすじ
 無類の映画好きの少年シヴァは、同じく映画好きの親友クマールと共に、映画館に忍び込んではいたずらをしていた。しかし、クマールは家族の事情で町を去ってしまう。
 成人したシヴァ(Sasikumar)は友人のナンドゥ(Santhanam)と共にコインバトールで単館の映画館を経営していた。しかし、経営状態は良くなかった。
 シヴァはある時、マスメディアを専攻する女子大生のガヤトリ(Lavanya)と出会い、惚れる。ガヤトリもシヴァに惹かれるようになる。シヴァには妹(Malavika Menon)がいたが、ガヤトリの兄(Lateef Omar)との婚約が決まる。
 シヴァの映画館が税金を払えなかったため、営業停止の危機に陥る。シヴァは金策のためチェンナイに出ることにする。頼るのは少年時代に離れ離れになって以来一度も会っていないクマール(Naveen Chandra)。彼は今や新進の映画監督になっていたのである。
 チェンナイには出たものの、シヴァはなかなかクマールに会えず、逆にプロデューサー(Jayaprakash)からクマールの助手だと誤解され、映画の1シーンを撮らされたりする。そして、やっとのことでクマールと会うことができるが、クマールはシヴァに対し警戒心を抱き、打ち解けた会話ができない。また、ガヤトリがチェンナイ滞在中のシヴァを訪ねて来るが、二人は擦れ違いで会うことができなかった。
 シヴァはコインバトールに戻るが、映画館は空しく一時閉館となってしまう。さらにシヴァは新聞を通して、クマールとガヤトリが婚約したニュースを知る、、、。

◆ アナリシス
・カマール・ハーサンの助手で、「ソクラテス」という名前から、どんな魔球を繰り出すか身構えて観たが、実に他愛のない映画だった。スタンスは極めて真面目なので、悪し様に言いたくはないが、映画として特に見どころはなかった。

・テーマは「映画への愛」と「友情」の二本柱で、どこかのレビューで【Veyil】(06)と【Kuselan】(08)を足して2で割ったようなもの、みたいな指摘をしているのは当たっている。

・ソクラテス監督が新奇な趣向を避け、古き善き時代の保守的な映画を志向したのは好感が持てる。ただ、映画作品として上手く結実しなかった理由は、そもそもキャスティング・ミスがあったからかもしれない。

・主人公の「友情に篤く、映画狂」という設定だけならサシクマールはOK。しかし、サシの旦那にアクションもやりいの、ロマンスもやりいのといった、カッコいいヒーローの役割を担わせたのは間違いだったと思う。

・そして、ヒロインのラーヴァンニャが残念ながら生かされていない。というより、ラーヴァンニャのイメージが本作に全く合っていないと思う。マスメディアを専攻する女子大生という設定はいいとしても、タミルのコインバトールにこういうタイプの女性がいるとはどうも思えない。どこかのレビューで「バービー人形みたいだった」(つまり、浮いていた)と指摘しているのは当たっている。

・もっとも、私の見方にも問題があったと思う。私は、公開前に見たポスターのサシクマールとラーヴァンニャの取り合わせ悪さから、「この二人のロマンス展開はない」と勝手に思い込み、その強い先入観から物語の流れを捉え損ねた感がある。ラストで結局二人が結ばれることが分かったときは、いすからずり落ちそうになった。

・しかし、例えば下のスチル、、、このラーヴァンニャの隣でこうしたポーズを決めるのは、やっぱりサシクマールじゃダメだよなぁ。テルグのマヘーシュ・バーブとか、プラバースとか、ラーム・チャランあたりのテルグ・ボーイになるよなぁ。

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・ラーヴァンニャを別の地味な女優に代えて、サシクマールとヒロインのロマンスを抑え気味に描き、親友クマールの役(ナヴィーン・チャンドラは全く冴えていなかった)を贅沢にスーリヤあたりにカメオ出演させたら、がらっと印象が変ったことと思う。

・「映画への愛」というテーマには理解できるものがあった。衛星テレビやインターネットの普及でインドの映画産業は大打撃を蒙ると言われた割には、実際にはそれほど映画産業が衰えている気配はなく、バンガロールではむしろスクリーン数が増えたりしている。だが、伸張しているのは高級マルチプレックスのほうで、単館映画館の経営は苦しく、閉館に追い込まれたり、生き残りのために懸命のリニューアルを行ったりしている。それは他都市でも同じような状況だろう。

・本作でシヴァとナンドゥが経営する映画館も「Modern Theatre」という名前で、おそらくオープン当時は本当にモダンな小屋だったのだろうが、今や新作さえ上映できない二番館に落ちぶれている。しかし、だからといって映画ビジネスは諦められないし、利益目当てでポルノ映画を上映するなんてことも受け入れられない。そういった関係者の苦悩はよく理解できる。(この辺りはカンナダ映画【Lucia】(13)とかぶるテーマだった。)

◆ パフォーマンス面
・サシクマール(シヴァ役) ★★☆☆☆
 上述のとおり。この人はやはり【Subramaniyapuram】(08)や【Naadodigal】(09)のように、「煙たいけど頼りになる兄貴」という役柄がふさわしい。ラブラブは控えめに。アルプス・ロケもできることなら、、(以下省略)。

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・ラーヴァンニャ(ガヤトリ役) ★★☆☆☆
 上述のとおり。
 (追記:自信はないが、今回はセルフダビングをしていると思う。)

・サンターナム(ナンドゥ役) ★★☆☆☆
 地方の映画館共同経営者という役柄なので期待したが、不発。

・ナヴィーン・チャンドラ(クマール役) ★☆☆☆☆
 重要な役回りであるはずなのに、ほとんど見せ場なし。上述したように、【Andala Rakshasi】でラーヴァンニャと共演しており、あれではかなり印象的だったが、本作では暗いイメージだった。ちなみに、この人はカルナータカ州バッラーリの出身だと分かり、ちょっと驚く。

◆ テクニカル面・その他
・音楽 : デーヴィ・シュリー・プラサード ★★★☆☆
 DSPの担当とは意外だったが、歌、BGM共に良い。本作の唯一の救い。
 終盤にパドマプリヤーを起用したアイテム・ナンバーがあり、やっとここで目が覚めた。

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・撮影 : Jomon T. John ★★☆☆☆
 映画賞受賞者の割には平凡なカメラだった。
 (けっ、アン・オーガスティンと結婚しやがって。オレはこういういかにも「アーチストでごぜぇます」といった野郎が嫌ぇなんだよ。)

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◆ 完成度 : ★★☆☆☆
◆ 満足度 : ★☆☆☆☆
◆ 必見度 : ★☆☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 2月23日(日),公開第1週目
・映画館 : INOX (Jayanagar),13:20のショー
・満席率 : 2割
 

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