カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【36 Vayadhinile】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2015/05/27 20:57   >>

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 思い返せば、私がバンガロールに来て初めて観たインド映画はヒンディー映画の【Doli Saja Ke Rakhna】(98)だったが、これにヒロインとして出演していたのがジョーティカーだった(当時はこれがジョーティカーのデビュー作だということも、監督がプリヤン先生、音楽がA・R・ラフマーン、撮影がK・V・アーナンドという豪華布陣だということも知らずに観ていた)。以来ジョーティカーの出演作は、寿引退後に公開された【Mozhi】(07)に至るまで、それなりに観ており、馴染みの女優の一人だった。
 さて、そのジョーティカーが8年ぶりに銀幕復帰するということで、タミル・ナードゥ州で話題になっていたのがこの【36 Vayadhinile】だが、その間もテレビCMとかには出演していたので、私的には特に彼女のカムバックを祝うつもりはなかった。ただ、なかなか好評のようだし、オリジナルのマラヤーラム映画【How Old Are You?】(14)は映画館で観なかったので、この機に観ておいても損はないと考えた。

【36 Vayadhinile】 (2015 : Tamil)
物語・監督 : Rosshan Andrrews
脚本 : Bobby, Sanjay
出演 : Jyothika, Rahman, Amritha Anil, Nasser, Abhirami, Devadarshini, Jayaprakash, Sethulakshmi, Delhi Ganesh, Kalaranjini, Siddhartha Basu, Ilavarasu, M.S. Bhaskar, Golisoda Sujatha, Mohan Raman
音楽 : Santhosh Narayanan
撮影 : R. Diwakaran
編集 : Mahesh Narayanan
制作 : Suriya

題名の意味 : 36歳で
映倫認証 : U
タ イ プ : リメイク
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 5月15日(金)
上映時間 : 1時間55分

《 あらすじ 》
 ワサンティ(Jyothika)は税務署に勤める36歳の婦人。夫のタミルセルワン(Rahman)はラジオ局のアナウンサー、娘のミティラ(Amritha Anil)は13歳の学生だった。タミルセルワンはアイルランドで働く希望を持っており、ビザの申請中だった。ワサンティも同伴するためにアイルランドの企業に職を得ようとするが、年齢がネックとなって、どこも採用してくれない。
 平凡な日常を送るワサンティに驚きの出来事が起きる。チェンナイを訪問中の大統領が彼女を朝食に招待したのだ。ミティラの学校を視察した大統領は、ミティラの質問に感銘を受け、その質問を考えたワサンティに直接会って話をしたいというのである。ワサンティは大統領と会うことに同意するが、肝心の質問については身に覚えがなかった。ミティラに聞いても、意地悪をして教えてくれない。
 さて、いよいよ大統領と面談する時が来るが、ワサンティは緊張のあまり、大統領(Siddhartha Basu)を見るなり気絶して、病院に運ばれてしまう。この失態のせいで、彼女は夫からも娘からも愛想を尽かされ、職場の同僚はおろか、見知らぬ人からもフェイスブックで茶化されてしまう。
 そんな時に、タミルセルワンとミティラのビザが下り、二人はワサンティを置いてアイルランドへ行ってしまう。ワサンティはひどく落ち込む。だが、そんな彼女の前にスーザン・デーヴィッド(Abhirami)が現れる。スーザンはワサンティの大学時代の親友で、今では経済雑誌の表紙を飾るほどのビジネスウーマンだった。彼女はワサンティに、学生時代の夢と行動力を思い出せと激励する。
 そんなワサンティに転機が訪れる。彼女は自宅の屋上で野菜を温室栽培していたが、その収穫物がひょんな経緯で大手サリー店のオーナー(Jayaprakash)の口に入る。彼はその野菜の味を気に入り、5ヶ月後に行われる娘の結婚式の食事のために、2千人分の各種野菜を作るようにワサンティに依頼する。彼女はこの依頼を断ろうとするが、あるアイデアを思い付き、引き受けることにする、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・本作もマラヤーラム版オリジナルも、監督は同じローシャン・アンドルース(その他、撮影監督や編集も同じ人が担当しているようだ)。セルフリメイクが必ずしもうまく行くとは限らないが、これはなかなかよくできたリメイクだった。というより、分かりやすくなっている。ランタイムがオリジナルの2時間20分に対し、こちらは1時間55分と、25分も短い。具体的な異同はここでは省くが、オリジナルにあった伏線などがカットされており、テーマに向かって一直線という感じだ。

・音楽の使い方も本作のほうが良く、また作品全体も明るい感じがし、もし日本語字幕を付けて日本で公開するとしたなら、タミル版のほうが日本人にアピールしやすいだろう(まぁ、ランタイムからして、日本人向きなのだが)。

・テーマ、メッセージはマラヤーラム版もタミル版も変わりはない。結婚して家庭に入っている中年女性に対する偏見/先入見の打破、女性が夢を実現するのに「賞味期限(=年齢)」などない、というもので、これに食品汚染(野菜の化学汚染)という問題がサブテーマとして提出される。

・一般的な主婦/母/妻が覚醒し、自信を取り戻すというプロットは【English Vinglish】(12)を連想させるものだし、たぶん【How Old Are You?】は同作品に刺激されて作られたのだと思う。ただ、【English Vinglish】は日本でも好意的に受け入れられたが、【How Old Are You?】(または本作)を日本で公開したとしても、ヒットは難しいだろう。

・表面的に見ても、「女性が夢を実現するのに年齢は関係ない」というメッセージは、80歳になって不動産屋を起業し、年商3億を稼ぐオバサマがいる国の人々には今さらなものだし、「野菜汚染」のテーマにしても、日本ではずいぶん昔から議論されてきた。

・加えて、【English Vinglish】と【How Old Are You?】が似ているのは、夫や子供に見くびられている中年女性が自信を取り戻すというプロットだけで、実は両作品は真逆なものであることに気付く必要がある。つまり、【English Vinglish】のシャシというのは本当に平凡な主婦で(まぁ、あの美貌だけは非凡だが)、彼女の「覚醒」というのは、その平凡な主婦であることが実は立派なことだということに気付いたことなのだ。普通の主婦が自分のその普通の姿に新たな価値を見出せたという「覚醒感」が、【English Vinglish】の清々しい感動の要因なのだと思う。

・対して、【How Old Are You?】のニルパマ(または本作のワサンティ)は、一見普通の主婦として登場しながら、実は学生時代は突出して成績が良く、リーダーシップも取れる傑物だったのだ。つまり、【How Old Are You?】は特別な才能を持った女性が社会的な偉業を成し遂げるという話であり、家庭生活の中で眠っていた「雌獅子」が覚醒するというのはなるほど感動的ではあるが、この映画を観る観客のほとんどは「特別な人物」ではないはずだ。

・そう考えると、【English Vinglish】は多くの人の共感を呼びやすい普遍性があるのに対し、【How Old Are You?】/【36 Vayadhinile】はある時代、ある地域の人々にのみ説得力のある台詞/メッセージの映画なのかなと。それで【How Old Are You?】は日本ではヒットしないと書いたのだが、もしかしたら、日本と言わず、ヒンディー版リメイク(カージョール主演で作られる?)でさえヒットしない可能性はある。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・ジョーティカー(ワサンティ役) ★★★☆☆
 オリジナルのマンジュ・ワーリヤルと本作のジョーティカーを比べると、格段にマンジュさんのほうが良い芝居をしているが、かといってジョーティカーがへまをしているわけではない。とにかく、彼女の強みの「目」はまだ生きているようだった。

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・ラフマーン(タミルセルワン役) ★★★☆☆
 オリジナルの夫役を演じたクンチャーコー・ボーバンがどうも夫には見えず、ヒロインの弟か何かに見えて苛々した私だが、本作のラフマーンはジョーティカーとの並びで夫らしく見えた。しかし、どちらもあまり良い印象は受けない。これは二人の演技というより、脚本(人物造形)の問題だろう。悪役っぽく見えてしまうのだが、それなら最後に妻にぎゃふんと言わされるオチがほしかったし、そうでないなら、実は「良い夫」だということが示されるエピソードをどこかで入れておくべきだったろう。
 (写真下:スーザン役のアビラミさんと。オーディオCD発表セレモニーより。)

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・オリジナルと同じ俳優が起用されていた役は、ワサンティの娘ミティラ、タミルセルワンの母親、ワサンティとサリー店オーナーを結ぶ老婆トゥラシアンマ、大統領、だった。

◎ 音 楽 : ★★★☆☆
・サントーシュ・ナーラーヤナンの音楽にしてはずいぶん控えめだったが、悪くはなかった。

◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆

◎ その他(覚書)
・英語字幕付きの上映だった。その前に【How Old Are You?】を字幕付きDVDで観ていたのだが、その英語がひどく分かりにくいものだった。本作の字幕は読みやすく、疑問だった点が分かって、すっきりした。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 5月24日(日),公開第2週目
・映画館 : INOX (JP Nagar),12:20のショー
・満席率 : 5割
・場内沸き度 : ★☆☆☆☆
・備 考 : 英語字幕付き
 

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