カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Nannaku Prematho】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2016/01/19 21:27   >>

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 本作はNTRジュニアの「主演25本目」の記念作品。といって、「25」という数字が記念になるような特別な数字とも思えないが、こちらの人はこれを区切りのいい数字と見ているようだ。
 私がNTRジュニアの主演作を初めて映画館で見たのは【Yamadonga】(07)だから、実はかなり遅い。以後、映画館かDVDで大体は観たが、15年のキャリアの中で、他の若手テルグ俳優に比べると、イメージチェンジを図ることが多かったようである。本作も、期待より不安を抱かせるヘアスタイルと衣装で、かなりのイメチェンを狙っているようだ。ただ、監督が曲者のスクマールなので、「これもアリかな」という線に収めてくるだろう。

【Nannaku Prematho】 (2016 : Telugu)
物語・脚本・監督 : Sukumar
出演 : NTR Jr, Rakul Preet Singh, Jagapathi Babu, Rajendra Prasad, Rajiv Kanakala, Srinivas Avasarala, Ashish Vidyarthi, Thagubothu Ramesh, Naveen Neni, Liza van der Smissen, Noel Sean, Baby Vernika, Madhubala(特別出演), その他
音楽 : Devi Sri Prasad
撮影 : Vijay C. Chakravarthy
編集 : Navin Nooli
制作 : B.V.S.N. Prasad

題名の意味 : 父へ愛を込めて
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ファミリー・ドラマ
公 開 日 : 1月13日(水)
上映時間 : 2時間48分

《 あらすじ 》
 アビ(アビラーム:NTR Jr)はロンドンに暮らす企業家。父のスブラマニヤム(Rajendra Prasad)は癌に侵され、余命いくばくもなかった。スブラマニヤムはアビとその2人の兄(Rajiv Kanakala & Srinivas Avasarala)を呼び、自分の無念の過去を話す。実はスブラマニヤムは本名をラメーシュ・チャンドラ・プラサードといい、かつてはロンドンで最も富裕なインド人だったが、クリシュナムールティ・カウティリヤ(Jagapathi Babu)という男に罠にはめられ、無一文に突き落とされた経緯があった。以来、身元を「スブラマニヤム」と偽って暮らす屈辱を味わっていた。スブラマニヤムは息子たちにクリシュナムールティへの復讐を果たすよう願う。
 アビは、今や大富豪のクリシュナムールティを30日で一文無しにし、犯罪者としてマスコミの前にさらす計画を考える。そのために、クリシュナムールティの会社で働いていた3人(Thagubothu Ramesh & Naveen Neni & Liza van der Smissen)を部下として雇う。そして、作戦の第一段階として、巧妙なやり方でクリシュナムールティの娘ディヴィヤ(ディヴィヤンカ:Rakul Preet Singh)に接近する、、。

・その他の登場人物 : カピル・クマール/サトパール・シン(Ashish Vidyarthi),ディヴィヤの母(Madhubala)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・非常に面白い映画だった。面白いというのは、一つは、スクマール監督は徹底して「知的」な映画を作ろうとし、もはやインド映画(南インド映画)は「幼稚」だと言わせないぞ、というような気迫を感じたことだ。それがうまく行っているかどうかは断言できないが、本作がアメリカでもヒットしている事実を見ると、理屈っぽい欧米人もいちおう納得させているようである。二つは、その知的な装い(ここで「知的」というのは物理学等の理論をモチーフに使っているということだが)と、べたべたずべずべの「父子センチメント」というインド映画のお家芸を絶妙に組み合わせていることだ。これはやっぱりインド人にしか作れない映画だ。

・その科学的なモチーフのシンボルとして使われていたのが蝶々で、本作は「バタフライ効果」が重要なモチーフになっている。バタフライ効果についてはウィキペディアの記述を参照していただくとして、インド人はその決定論的/宿命論的イメージを好むのか、南インド映画でもタミル映画の【Dasavathaaram】(08)や【Saroja】(08)、【Sarvam】(09)で意識的に使われていた。テルグ映画の【Devudu Chesina Manushulu】(12)も、変則的ではあるが、バタフライ効果だと私は見ている。

・本作では、オープニングロールのドミノ倒しのイメージからバタフライ効果が示唆されている。そして物語は、事象の細かい因果連鎖が読める目、そんな目を持つ知性的な二人の男――アビ(NTR Jr)とクリシュナムールティ(Jagapathi Babu)――が、まるで何手も先を読むチェスの試合のように、相手をやり込めようとする頭脳戦が主軸となる。その様が青く美しい蝶に託して描かれている。赤い血を流す暴力戦は二の次、というわけで、本作はアクション・シーンも実にユニークに作られている。

・蝶々のモチーフは、バタフライ効果以外にも、ストーリー展開上でいろいろな鍵として使われている。アビもクリシュナムールティも蝶好きと設定されていた。特にクリシュナムールティは、蝶のトリックを使ってビジネス上の騙し行為を行うが、逆に2億5千万円の蝶の絵画に目が眩み、アビの罠にはまることになる。このアイデアは面白かった。

・ただ、面白かったのは前半で、後半はバタフライ効果などの科学的視点から次第に離れ、割とありがちなストーリー展開になってしまったのが悔やまれる。あまり起伏のないストーリーラインなのに、【Baahubali】よりランタイムが長いというのはあり得ないだろう。クリシュナムールティが使ったサソリの罠のシーンなど必要なかったと思う。「LEAD」を巡る展開も回りくどかった。

・それと、違ったテルグ映画、違ったNTRジュニアを見せたかった気持ちは分かるが、そのために物語の舞台をすべて欧州(ロンドンとスペイン)にすることもなかったと思う。アビの父は身元を偽って暮らしていたが、広いインド国内ならそれが可能でも、狭いイギリスのインド人コミュニティーの中では(たとえインド人が多いとしても)できるはずがない。

・本作の最大のテーマは、題名から分かるとおり、「父子のセンチメント」だが、それはアビが3人の部下を「父親が大好き」という理由で選択していることからもよく分かる。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・NTRジュニア(アビラーム役) ★★★☆☆
 ジュニアのこのニュー・アバターは本人の希望なのか、スクマール監督の指示なのか、分からないが、特に支障なく見せていた。しかし、8年間ジュニアの映画を観てきた者としては、このジュニアが最高にカッコいいジュニアだとは思えない。この役柄なら、他にもっと適当なスターがいるような気もする。というわけで、目新しくて良かったが、3つ星止まり。

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・ラクル・プリート・シン(ディヴィヤンカ役) ★★★☆☆
 役回りは面白かったし、十分な働きをしている。特筆すべきは、テルグ語を母語としないのに、彼女が台詞をセルフダビングしていること。実はあまり上手くなかったが、この姿勢は評価したい。

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・ジャガパティ・バーブ(クリシュナムールティ役) ★★★☆☆
 知的でクールで余裕しゃくしゃくな悪役をそれらしく演じている。しかし、タミル映画【Thani Oruvan】(15)のアルヴィンド・スワーミのように、スマートさの中に不気味さも加味できれば、もっと良かったと思う。

・脇役陣では、アビの父役のラージェンドラ・プラサードが、ほとんどベッドで寝ていただけなのに、なぜか記憶に残っている。マドゥバーラがカメオ出演しており、こちらもOK。

◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★★☆☆
・音楽シーンは無理のない入り方だったが、終盤の1曲は余計だったと思う。

・本作のNTRジュニアは、役柄は頭キレキレの人物だったが、ダンスはキレキレというわけには行かなかった。これは振付師のせいだろう。

◎ アクション : ★★★★☆
◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 特殊効果 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆

◎ その他(覚書)
・アビが立ち上げる会社の名前「KMC Company」は「Krishnamurthyni Mosam Cheydaniki Company(クリシュナムールティを騙すための会社)」という意味らしい。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 1月15日(金),公開第1週目
・映画館 : INOX (JP Nagar),12:35のショー
・満席率 : 9割
・場内沸き度 : ★★★☆☆

 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
昨日見て来ました。今作はテルグお馴染みの暴力シーンが極力抑えられて、頭脳と知恵を絞りに絞った心理戦で勝負する所は、今までのジュニア映画には無かった新たな方法の戦い方でとても斬新だと感じました。ダンスの振付は普通に感じましたが、LOVE ME AGAINは海外ロケでありながらとても練った振付でした。途中ジャガパティ・バーブが「BRAKE」の文字を跳ね除けてたのには笑いましたがww DON'T STOPの(ドンドンパッパ、ドンパッパ)はしばらく流行りそうな気がしますw
FTR
2016/02/15 21:08
コメントありがとうございます。
私も斬新に感じました。これなら日本人にもOKかなと思いました。
英語字幕付きで見られて、よかったですね。
 
カーヴェリ
2016/02/16 10:00

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